米澤穂信「さよなら妖精」舞台訪問 不動橋から行かない?

岐阜県高山市の宮川にある不動橋という橋をご存知でしょうか。

この橋は米澤穂信原作の小説作品をアニメ化した「氷菓」の後期OP、それから21話「手作りチョコレート事件」でビジュアルとして登場する場所です。しかしそれだけではなく、不動橋という名前は米澤穂信の他の作品でも登場しています。

それが2004年に東京創元社から刊行された「さよなら妖精」という小説です。

もっともあくまで文字として登場しただけで、高山市の不動橋であるとは限りません。しかし米澤穂信の出生地が高山市であることや小説内の描写から、作中の舞台は高山がモチーフになっているのではないかと言われています。

そんなこんなで不動橋は氷菓ファンだけでなく、さよなら妖精ファンの方も舞台として訪問している場所なのです。

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橋の眺め

さよなら妖精の作中では不動橋は物語が始まる場所であり、終わりへと繋がる場所として描写されています。例えば物語の最初では、

(前略)込み合う横断歩道前、センドーの暗紅の傘が隣の生徒の深緑の傘に当たり、滴が跳ねておれの首筋を濡らす。爪の先で滴を弾くおれを太刀洗は見るともなく見ていたが、信号が青に変わると

「不動橋から行かない?」

と持ちかけてきた。いつもと違う道を行くことでひと込みを避けようというのだろう。ひと込みを鬱陶しいとは思わなかったが、おれは無言で同意した。
米澤穂信「さよなら妖精(文庫版)」、東京創元社、2006年6月16日、p.26

米澤穂信「さよなら妖精(文庫版)」、東京創元社、2006年6月16日、p.26

とあります。主人公である"おれ"(守屋路行)と太刀洗万智が不動橋でマーヤという女の子と出会い、物語が動き出すわけです。

逆に言えばここで二人が不動橋に行ってなかったら何も始まっていなかったといえます。この「不動橋から行かない?」という台詞がまたファンの一部の方には人気で、TLを見ているとたまに不動橋の写真とともにアップされてます。


この小説は後に太刀洗を主人公とした〈ベルーフ〉シリーズに繋がっていく作品であることから、多くの読者にとって印象深いものになっているのではないかと思っています。また作中で登場する場所、特に不動橋には強い思い入れがあります。

高山を訪れる度に様々なシチュエーションで不動橋を撮影してきましたが、2017年が終わり一段落したので一旦まとめてみました。

一番上の写真は昨年の年末、年越しをするために高山を訪れた際に撮影したものです。ちょうど橋全体に雪が積もっており見栄えが良かったので撮影しました。

生きびな祭りを見るために訪れた際に撮影。

星の軌跡を撮るのは運要素があまりにも大きいため個人的には苦手です。最低でも一時間程度は雲が全くない天気が続くことが条件となるからです。せっかく現地に行っても雲がかかっていて星が見えない!晴れ予報だったのに!と思った経験は多いです…。

ちょっとの雲ならPhotoshopで消せたりするのかな。雲だけでなく飛行機の光にも注意しないといけないのが辛いです。人通りに関しては、夜間に不動橋付近を歩く人はほとんどいないので問題ないかと。

このときは奇跡的に夜間ずっと晴れていたので撮影できました。シャッタースピードは30秒に設定し、比較明合成して軌跡を表現しています。

飛騨の大祭を見るために訪れた際に撮影。

運要素が大きい撮影その2。桜や紅葉といった季節に関係するものも、遠方から訪れる者にとっては難易度が高いです。毎年時期が違うっていうのが…。咲き加減については予想ができません。

例えばニュースで八分咲きですというニュースをみて、今週末に行ってみるかと考えてたら雨で散ってしまったりということもあるので。ただこのときは桜を撮影しに訪れたわけではなく、咲いてたらいいなくらいの気持ちで行ったのでむしろ運が良かったといえます。天気も良かったし。

梅雨時に訪れた際に撮影。

不動橋は木製だからなのか、比較的水が溜まりやすくなっているようです。

街灯の灯りが水で反射して綺麗だったので撮りました。雨の中の撮影はあまりやったことがないのでこれから練習していきたい。

奥穂高岳→西穂高岳の縦走が終わったときに高山に寄り道しました。

行程中ずっと天気がよく気持ちよく歩けて、麓に下りても晴れていたのが嬉しいです。広い範囲を撮影するには広角が一番なのですが、余計なものまで写り込んでしまうのでよく構図を考えないと…といつも感じています。

高山での映画氷菓上映会に参加した時に撮影。

わずかに雪が積もっているくらいが私は好きです。なお、豪雪時にはこの橋が埋もれるくらい降るようです。


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