TAMAISM

旅の記録とか、舞台訪問とか。(旧 OFFTAMA)

【後立山連峰】ちょっと日帰りで五竜岳に登ってきた (@富山県黒部市)

岐阜県民の特権を使って北ア日帰りしてきた話。

【訪問日:2020年9月15日】

4年前はガスってたあの山へ

今回は登山回です。

以前も触れましたが、北アルプス山域の山小屋ではコロナウイルスの影響で「完全予約制」がとられており、小屋泊/テント泊を問わずにその日の行程次第で宿泊することが不可能になりました。前もって電話予約をしておかないと門前払いをくらうというわけです。

自分のように天気を見てから登る山や行程を決めるスタイルの人にとっては、これが実に痛い。

ただでさえ山は天気が変わりやすく、ましてや雨の中を歩くのはかなりの危険が伴います。せっかくならば快晴の日を狙って登るのが吉なんですが、「快晴の日を狙」うには前々日くらいの天気予報を確認しなきゃいけないわけで、そうなると小屋に空きがないというジレンマ。

少なくとも今年に限っては、これまで何回も言っているように日帰り登山のみをやっていくことになると思います。

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今回の目的地は、飛騨山脈・後立山連峰にある五竜岳

五龍岳自体は4年前に白馬~扇沢までの縦走時に訪れたことはあるものの、当時は完全にガスってて展望が全く無い状態でした。縦走はある意味で逃げ場がないので、多少天気が悪くても目的地まで行かなきゃ…という思いで虚無のなか歩いた覚えがあります。

この日はしっかり天気予報を確認し、晴れ間が得られるであろうことを確信してから向かいました。

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ルートとしては、黒菱平からの唐松岳~五龍岳のピストンです。

単に五竜岳だけ登るのなら遠見尾根ルートが最短ですが、リフトの時間を待たないといけないので時間に制約があります。黒菱平ルートなら、出発をいくらでも早くできるのでこっちにしました。

例によって車中泊をし、深夜3時に出発。岐阜から長野は行きやすい場所とはいえ、実は黒菱平に着いたのが23時過ぎなので2.5時間くらいしか寝れてません。大丈夫か。

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まずは八方尾根を上っていきます。

八方尾根はスタート地点からすでに標高が高いため、唐松岳に続く稜線に出るまでの距離も比較的短いのが特徴。そのため唐松岳登山は手軽に楽しめる北アルプスとして有名であり、いつもならかなりの数の登山客で賑わっているところです。

もっとも、この時間だと歩いているのは自分ひとりなので快適そのもの。何個目かのケルンを通り過ぎたらいつの間にか雲の上にいました。

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早起きは三文の徳…というわけでもないけど、見晴らしがよくなった瞬間に雷鳥の家族?に出会えるという幸運っぷり。

雷鳥というとガスってるときにしか遭遇したことはありませんが、ここまで晴れてるときに、しかも結構近くまで寄ってきてくれたので相当運がいいといえます。

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そのまましばらく登山道を先導してもらったりもして、かなり心が癒やされました。

これは実に幸先がいい。

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おはよう日本

そして気がつけば、目の前には燃えるような夜明け

ナイトライドもそうですが、今回のような夜間に行動する際には朝日が本当に頼もしく思えます。平日だったら朝日=起床=労働の始まり(死)くらいのマイナスイメージを持っているのに、趣味のときに限ってはその限りではない。

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ただ、登山でいう「日の出」はもっと特別な意味があります。

標高2,000~3,000mという非日常な空間で出会う朝日は想像以上に神々しく、個人的には朝日を見るために夜間に歩いているといっても過言ではないです。ナイトハイクではないにしても、山で1泊するときは必ず夜明け前に起きてご来光を拝むし、誰でもこの絶景を見ると気分が高揚しますよね。

今まで仄暗い中、かろうじてわずかに見えていた山々がいきなり見渡せる爽快感。堪らない…!

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そしてはるか遠くには、今回の目的地である五竜岳が雄々しくそびえ立っているのが確認できる。

切り立った稜線を歩いていった先に見える山頂、そこまでの行程を想像しただけでもう胸が高鳴るしかない。コースタイム13時間もあるし後半はバテそうだな…とか考える以前に、山歩きそのものを楽しむ姿を思い描いてしまいます。

やっぱり登山って最高だな。

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それにしても、予想通りの快晴っぷりにニンマリしてしまう。

五竜岳方面はもちろんのこと、白馬岳や杓子岳、不帰ノ嶮方面まで澄み切ったような眺めが広がっている。山の1日の中で日の出直後が最も天気がいいとはいえ、ここまで見晴らしがいいと俄然テンション上がります。

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その後はちょっとした迂回路を通り、唐松岳頂上山荘と唐松岳山頂との分岐に到着。ここまで上ってきたことで、ようやく後立山連峰の稜線歩きが始まります。

岩稜帯の散歩を楽しむ

頂上山荘前のベンチで一休みした後、ここから五竜岳前の鞍部にある五竜山荘を目指していきます。

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さっき唐松岳は人気が高い山と書いたけどまさにそのとおりで、今日は平日にも関わらず山荘前にはそこそこ人がいました。タイミング的に頂上山荘で小屋泊やテント泊をした人々っぽいです。

もし何日も前から予約して泊まっていたのだとしたら、相当天候に恵まれてると思う。お互い楽しんでいきましょう。

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唐松岳から五竜岳に向かう最初の区間は「牛首の鎖場」と呼ばれる岩場が連続しており、道じゃなくてほぼ崖なので高度感があります。

場所によっては三点支持が必要になるし、危険といえばそうなんだけど、岩稜帯大好き人間な私にとっては大好物以外の何物でもない。まるで水を得た魚のように無我夢中で歩いてました。

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なんで岩稜帯が好きなんですかという話なんですが、うまく説明できないけど高度感を感じられるからじゃないかなと思います。岩稜帯って切り立った崖とかが多いので、必然的に「高所を歩いている」という実感が湧くんですよね。

表銀座のような緩やかな稜線を歩くのももちろん好き。だけど、どちらかというと岩場を歩いている方がより面白い気がする。

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歩いているうちに次第に気温が上がってきて、北アルプスあるあるの「長野側がガスる」状態になってきました。富山側にはガスはないんだけど、見事に稜線を境にして長野側だけにガスがかかっています。

ガスると山体がはっきり見えなくなるので嫌!という場合もあるけど、ガスることで逆に神秘的な雰囲気になることもあるのでGood。霧が立ち込めているような風景を眺めていると、自分がいかに深山幽谷に居るかということを如実に感じさせてくれますね。

ガスの速度も結構早かったりするので、歩いているうちにガスの中に突っ込んだり、逆にガスから出たときの開放感を楽しめたりとなかなか楽しいです。昼を過ぎて完全にガスっていると虚無にしかならない(高い山は大抵昼からガスる)ので、早い時間帯のみ味わえる遊びといったところでしょうか。

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五竜岳の頂へ

ちょくちょく後ろを振り返って唐松岳を確認しつつ、勢いで五竜山荘に到着。

稜線沿いとはいえアップダウンがえげつないのでなかなか体力を削られます。まあこの後また同じ道を歩くわけだけど…(絶望)

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五竜山荘は案外人が少なく、唐松岳や冷池方面から来たと思われる方が数人居るくらいでした。これからの時間帯はどんどん人が増えていくことが予想されるので、かなりいいペースで歩けてるみたい。

そういえば、ここに来るまでに数人の登山者と出会いましたが、グループで登られてる方がほとんどでした。コロナ禍とはいえ、そこまでソロ登山を強行する必要もないのかもしれません。まあ自分の場合は単純に同行者が見つからないことのほうが多いけど。

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で、ここから五竜岳に向けて再度標高を上げていくことになります。

"逃げ道はありません"という文字が物々しいですが、五竜岳から先はキレット小屋までコースタイムで4時間程度あり、エスケープルートが全くありません。キレット小屋から先も、北アルプス3大キレットの一つである八峰キレットを経て鹿島槍ヶ岳に至るまで危険箇所が続くため、いずれにしろ気を抜けない箇所が連続します。

今回は五龍岳ピストンなのでそこまで危ないところは無いものの、例えば雨の日なんかだとキレットは通りたくないですな。

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ゆるい坂道を歩いてぐんぐんと標高を上げていく。

左手(長野側)に見えるは延々と広がる雲海、そして眼下に見えるはさっき休憩した五竜山荘。

山の道は地上の平坦な道とは異なり、アップダウンが激しい代わりに場所によって全く異なる風景が楽しめるのが良いところ。距離的には数kmしか歩いていないのに、坂道を登ったり下ったり、さらには天候も時々刻々と変化していくものだから、実に多彩な状況に遭遇することができます。

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また、この後立山連峰の特徴として、長野側は切れ落ちたような崖が続いているのに対し、富山側はなだらかな斜面が広がっていることが挙げられます。

山ってよくよく眺めてみると、本当に色々な形がありますよね。単に頂へ向かって三角形が伸びているのではなく、それぞれの山がひと目で分かるような独特な形状をしている。それは遠くから見ても一発で分かるし(槍ヶ岳とか顕著だね)、山の形的に男性のような剛健さ、女性のような美しい姿、などなど様々に形容されるくらい多彩です。

個人個人が好きな山はもちろん違うので、単に歩く以外にもその様相を見るのが好き、という人も多いです。

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そしてついに五竜岳(2,814m)に登頂!

4年前は山頂を表す標識しか目視できなかったものの、今回は見事に晴れてくれました!!

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山頂でこれだけの展望が望めるなんて本当に運がいい。鹿島槍ヶ岳や槍ヶ岳、剱岳や薬師岳、黒部五郎岳などなど、名だたる名峰がすべて確認できます。前回は涙を飲んだだけに、そのときの落差も相まって本当に嬉しい気持ちになりました。もう感無量すぎる。

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このまま鹿島槍ヶ岳まで歩きたい気持ちがMAXになったけど、そっちまで行ってしまうと日帰りできないのでここで引き返します。鹿島槍ヶ岳を日帰りで登る場合は逆方向の室堂から行くのが手っ取り早いので、いつかはチャレンジするつもり。

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ここからはもう帰るだけなんですが、せっかく登った五竜岳が名残惜しくて帰路についている途中に何度も振り返ってしまいました。

もうこれは仕方ない。五竜岳が魅力的すぎるからね。

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帰るときには唐松岳をじっくり眺め、完全に下山する前に後立山連峰をまぶたに焼き付けておく。

この時点で時間は12時くらいで、頂上山荘は行きとは比べ物にならないくらい登山客でごった返してました。この時間から登ってくるということは頂上山荘で1泊するということなので、明日もいいお天気だといいね、と祈らざるをえない。

登山中は初めて出会った人でも挨拶は欠かさないし(当然向こうも返してくれる)、この後の行程とか道の難易度とかの話をすることも多いです。

これは個人的な感想なんですが、登山を趣味にしている人って良い人が多い気がする。なので別け隔てなく情報交換ができたり、こっちも明るい気持ちになれることも多々ありますね。なので、ソロで登ってたとしても暗い気分でとぼとぼ歩く…ということはあまりありません。

何より、頂上で出会った人と同じように絶景に感動したり、お互い励まし合ったりできるのが本当に楽しいです。

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それからは下山一辺倒で、最終的には課金してリフトで黒菱平まで戻りました。下山時刻は14:30。

こんな感じで五竜岳日帰り登山は無事に終了し、明日の労働に怯えつつも車を走らせるのでした。

おわりに

山小屋泊は予約必須で、気軽に縦走ができないなら日帰りで行けばいいじゃない!という安直な考えで結構した今回の縦走。お天気を信じた結果、最初から最後まで充実した登山ができました。

日帰りとなると訪問できる山の選択肢がちょっと減るけど、少し頑張ればある程度は行けてしまうので自分の体力と相談して決めるのがいいと思います。逆に言うと、日帰りなら天気を比較的コントロールしやすいので満足度は保証できますね。

今の状況でできる範囲で、無理のない行程で今後も山を歩いていきたいです。

おわり。