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旅の記録、宿泊先や行程とか

【秋葉山神社】 冬の天竜区ヒルクライム~遠州横須賀ポタ

【訪問日:2020年12月26日~27日】

天竜区を走る

2020年の年の瀬、今年の旅納めということで近場の静岡を走りに行くことにしました。

静岡は岐阜から訪れやすい距離にある一方で、面積が広く地形に富んだ魅力あふれるところでもあります。少し山側に入るだけで山岳ルートになるし、逆に南側は平野部が比較的多い。ロードバイク同伴の旅をするにはこれ以上ないほど最適というわけです。

今回の行程では掛川市にある宿に投宿するのが一番の目的でしたが、もちろんそれだけではもったいないので"走り"についても疎かにしないようにしたいところ。

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天竜川の上流へ

というわけで、まずは天竜川を遡るように北へ向かってみることにしました。

天竜川といえば、長野県から愛知県、静岡県を経て太平洋へ注ぐ天竜川水系の本流。その流域の広さに驚かされると同時に、この一級河川を隅から隅まで巡るようなライドもいつかやってみたいと思っています。

特に、長野県においてこの川が流れる地域は個人的に別の意味で好きなところが多いので、そういう意味でも興味が湧いてくる。以前訪問した飯田市周辺がまさにそんな感じの場所で、完全に山に囲まれた遠山郷は独特の雰囲気がありました。思えば、あそこを流れる遠山川も天竜川の支流の一つでしたね。

話が逸れましたが、今回も特に予定らしい予定はありません。適当なところで天竜川の北上を中断し、東方面へ抜けて掛川の田園地帯を目指すことにしました。

で、出発前にちらっと地図を確認してみたところ、秋葉山神社という神社が目に入ったのでまずはそこへ行ってみることに決定。「神社」と名が付いているところには否応なしに吸い寄せられてしまうあたり、やはり自分が訪れたい場所の中で神社は上位に位置づけられているようです。

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ちょっと月行ってくる

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思ってたよりも近い月

そんなわけでひとまず国道152号を北上していく矢先に遭遇したのが、かの有名な月まで3kmの看板。

「月まで3km」…。ライドの途中にこんな素敵な看板を見つけたら、その先へ行ってみたくなるのが人間というもの。

ただしこの看板はある意味で見つけづらく、普通に国道152号を走っているだけでは通り過ぎてしまうパターンが多いと思います。最初に遭遇するトンネルが目印となっていて、そこを左に逸れて県道360号に入ったところにありました。

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「月」の集落

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もちろんこの先には本物の月があるわけではなく、月という名前の集落があります。

あまりにも珍しい地名なので由来が気になるところですが、それを抜きにしてもこの辺りの風景はかなり綺麗なもの。国道152号とは打って変わるように交通量が格段に少なく、天竜川の静かな川面を眺めながら川沿いを流すのが気持ちいい。

左右にそびえる山々、それに天竜川。いずれもこの寒い季節の中にあって濃い緑色をしており、寒さもどこかへ飛んでいくような開放感を与えてくれます。そういう意味では、さっきの看板から先にはまるで別世界が広がっていたともいえなくもない。

秋葉山神社ヒルクライム

月を通過して再度天竜川のほとりを上流側に向かい、気がつけば秋葉山神社の麓に到着していました。

秋葉山神社は標高866mの秋葉山の山頂付近にある神社で、日本全国に存在する秋葉神社、秋葉大権現および秋葉寺の信仰の起源となった神社でもあります。いわば総本山ともいうべき有名な神社なので全国から参拝する人も多く、今回はそれをロードバイクで訪問してみようというわけ。

秋葉山神社は山頂の上社と、麓の気田川の畔にある下社があります。上社までの道のりは下社から続く古来の参道を歩いて上るほか、舗装された林道が麓から繋がっているので車の場合はそこを通ると手っ取り早く上まで行けます。今回は特に登山装備を持ってきていないので、上社に行くには後者の林道を走ることになりますが…。

これがなかなかにヤバい道でした。

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林道の入り口。秋葉山神社の看板があるので迷う心配はない。

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天竜川から秋葉神社上社へ至る林道は、行程約7.5km。

この短距離で山頂までの標高を一気に稼ぐため、途中の斜度が9%を下回ることがありませんでした。ずっと10%とか11%あたりをうろうろし、場所によっては14%とかも普通に出てきます。しかも途中で休むポイントが一切なく、一度走り始めたら山頂に着くまで斜度の緩みがほとんど感じられないレベル。

逆に考えると一定の斜度で上り続けるので緩急がなく、そういう負荷が得意な人にとっては上りやすい道ともいえます。個人的には斜度そのものよりも、工事の車とか参拝客の車がバンバン通ってくる方が精神的に疲れました。

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秋葉山神社 上社の大鳥居

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標高900m近い高さに位置しているだけあって、麓との気温差はかなりのもの。

ヒルクライムしている最中は暑くて仕方なかったのが山頂に着いた瞬間に一変し、がっつり着込んでおかないと寒すぎて風邪を引いてしまうくらい。この時期のライドはできるだけ汗をかかないようにペース配分をするのが理想(汗が冷えるので)なんですけど、今回の行程に限ってはなかなか難しいものがありました。

自分はとにかく暑がりで汗をかきやすいため、冬ライドの服装を決めるのが結構難しい。最初から薄着しているとダウンヒルとかで冷えるし、かといって厚着すると今回のようなヒルクライム時に困る。

ま、適宜脱いだり着たりするのが一番ですね。

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特徴的な金色の鳥居

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ひたすらに眺めが良い

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天竜川の河口が見えるくらいには天気がいいです

ヒルクライムのご褒美は、上から眺める風景の素晴らしさ。

上社には、道中の険しさを帳消しにできるくらいの絶景が待っていました。

しかも、比較的厳しい斜度の中を上ってきた先にある神社への参拝ともなれば、普通に車で訪れるよりはご利益がありそうな感じがする(たぶん)。ちなみに秋葉山神社で得られるご利益は火防開運にちなんだ火災消除がメインで、他にも厄除開運、商売繁昌、良縁祈願や子授祈祷、心願成就と多岐にわたります。

今回は、祈り的な意味も込めて「来年も事故や怪我なく旅ができますように」と願っておきました。

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上社への参拝が終わった時点で、時間は昼頃。

このまま今日の宿へ直接向かっても良かったものの、せっかくなので下社にも参拝することにします。

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上社から下社へは県道286号を進めば簡単に行けるのですがなんと通行止めで、遠回りをする羽目になりました。

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秋葉山神社 下社に到着

リムブレーキ+カーボンホイールという装備で斜度10%のダウンヒルをするのは正直怖いものの、いい加減慣れました。

ロードバイクに乗り始めて1.5年も経つし、自分の旅ライドにおいて想定するシチュエーションはあらかた走ったんじゃなかろうかと思います。あとは如何に快適に、疲れずに長距離を走れるようになるかを徐々に突き詰めていけばいいやくらいに考えていて、細々としたテクニックとかには興味ありません。あくまで自分の主目的は旅であって、走りではないので。

まあ長距離を…といっても現状で100km走ってだいたい平均25km/hなので、旅ライドならこれはこれで十分なのでは。

とか考えてたら下社に着きました。

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下社の正式名称は遥斎殿(ようさいでん)といって、境内には手水舎、社務所、社殿があります。

上社とは異なり下社は比較的アクセスしやすい上、表参道も短いので時間に余裕がない場合でも参拝しやすいと思いました。

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いいね。

この神社特有の静けさと雰囲気はやはり好きなものだ。

こんなこと言うと怒られそうですけど、自分は特に宗教的な意味で神社が好きなわけではないです。流派とか宗派についてはよく分からないし、信仰心も厚いとはいえません。

簡単に言うとなんか落ち着くから好きなんですよね。神社は緑に囲まれて、風が吹くと木々が揺れるし、歩くたびに砂利の音が聞こえる。ほぼ木造建築なところも好き。ざわざわしていなくて、ゆっくり心を落ち着かせるにはもってこいのところなんです。

ロードバイク旅と神社参拝は実は相性がいいと思っていて、ロードバイクの小回りの良さを活かすと、前情報なしにたまたま見つけたような神社にも訪れやすいわけです。そこで自分ひとりの静かな時間を手に入れて、それこそ行程を一切考えずにその場の空気に浸る。こういう時間の使い方が、自分の旅の中では必要だと感じています。

遠州横須賀を訪ねる

秋葉山神社への参拝が無事に終わったところで、あとはもう今日の宿に向かうだけです。

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昼食は鹿肉カレー。なんか甘い?味がして新鮮でした

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再度、山の中を走って遠州森地区へ

冬の静岡県はとにかく風が強く、特に西風が異常に激しいのでロードバイクで移動する際には注意が必要。

今回は秋葉山神社から県道58号経由で遠州森→袋井市→横須賀地区の順に南下しましたが、ほんの僅かにでも西方面に舵を切ると西風に煽られるので大変でした。逆に東に進むと追い風で楽になれるので、冬の静岡を走る際には行程が重要ですね。平野部だろうが山間部だろうがお構いなしに吹いてくるので逃げ場がない。

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三熊野神社前の郵便ポスト

そんなわけで、今日の宿である掛川市旧大須賀町の横須賀地区に到着。

旧大須賀町は遠州灘と遠州大砂丘に挟まれた町で、その中心部を横須賀といいます。かつては戦国期から始まる城下町として栄えた町でした。今では考えられないですが昔はここ一体が入江(宝永4年(1707年)の大地震の地形変動により消失)であり、港町でもあったようです。港町時代は遠江航路の中継地でしたが、港が失われると陸上交通の中継地、宿場町へとシフトしていきました。

今では宿場町としての面影は僅かにしか感じられませんが、街道の両脇には古い建物を垣間見ることができます。

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山中酒造

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旧鈴木歯科医院

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清水邸

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街道沿いには旅籠建築が多い

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古い町並みをただポタっているだけで心が休まってくる。

家々だけに留まらず、ちょっと行ったところに寺や神社があるのはいいですね。子どもたちの遊ぶ場所にもなるし(実際親子連れがそこそこいた)、町全体としてこういう感じに適度に古い箇所が遺っているというのがいい。チェーン店ではない個人経営の商店も数多く見かけましたし、自分が好きな風景が随所で見られたのが嬉しかった。

で、一通り横須賀地区を回ったところで、今日の宿である八尾甚さんにチェックインしました。八尾甚の宿泊記録については別記事でまとめています。

ところで、八尾甚の目の前には横須賀高校という高校があるんですけど、ここのポスターがなんか印象に残ったので載せておきます。

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ここはさっき通ったところ

こんな感じで、横須賀地区をモチーフにしたポスターが町の各所に貼られていました。見たところ制服が特徴的だったので調べてみたところ、「静岡かわいい制服ランキングTOP10」というものがあり、このランキングでなんと1位だそうです。なんでも、着こなしやすさが魅力的だとか。

話を戻すと、八尾甚でのひとときは正直最高すぎるものでした。建物だけでなく料理も美味しいし、お風呂も広い。木造建築というだけで個人的には魅力しかないわけですが、居心地の良さも含めて素敵以外の何物でもないという幸せ感。

こうして考えてみると、定期的に旅を続けていくには1泊2日の行程がちょうどいいですね。日中はロードバイクなり何なりで各所を回って、夜は鄙びた宿でまったり過ごす。翌日は帰宅するだけという気軽な感じにしておけば、事前準備も特に必要ないので精神的にも楽。

というわけで、今回も非常に満足のいく旅ができて何よりです。