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旅の記録、宿泊先や行程とか

市比野温泉 割烹旅館 みどり屋 与謝野夫妻が愛した旅館に泊まってきた Part 2/2

与謝野夫妻が泊まった客室

一通り館内を散策したところで、今日泊まる部屋に戻って一休みすることにしました。

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みどり屋の客室は「竹3-2」や「桧3-5」という風に部屋番号が振られており、今回泊まることになる客室は「松3-1」。想像するに、最初の番号が階数を表していて、後ろの番号が各階の客室番号なのでしょうね。

松3-1は、2階への階段を上がって突き当たったところにある、みどり屋の一番奥の客室です。

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広々とした松3-1の客室

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反対側から。布団はチェックイン時にすでに敷かれていました。

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他の客室もそうですが、短歌が飾ってありました。

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右奥が階段方面で、左奥が洗面所。

松3-1の客室は4面のうち2面が障子になっていて、ここから廊下へと繋がっています。また、廊下がそのまま広縁になっているかのような独特の構造をしており、広縁には椅子や机が置かれていました。部屋の広さは7畳あって、まさに一人でくつろぐにはこれ以上ないくらいにちょうどいい広さ。しかも天井も比較的高く、横方向だけでなく縦方向にも居心地のいい客室、というのが率直な感想です。

続いて窓際ですが、壁が占める割合がその分少なく、大きくとってある窓からの採光は十分以上でした。この日は快晴だったこともあって、部屋に居ながらまるでそれを感じさせないくらいの明るさがあります。

部屋の設備については扇風機やエアコン、ポットやテレビなど一通り揃っており、電源タップもあるので不自由を感じることはありませんでした。

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広縁部分

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広縁からは、川の対岸にある旅館「市比野荘」がよく見渡せる。みどり屋と同じような構造をしており興味が湧いたが、もう廃業されていた。

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広縁奥側には洗面台がある。みどり屋で洗面台付きの客室はどうやらここだけの様子。

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反対側から。本当に景色が素晴らしい。

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有事の際に使う避難ロープだが、使える自信はない…。

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すぐそこに滝があり、厳かな水音が聞こえてくる

この部屋の魅力は、角部屋であるということに加えて「川の近く」という立地を最大限に活かした景色にこそあると思います。

2階部分から見下ろすようにして眺める市比野川周辺の風景はものすごく見通しが良くて、川の流れが上流から下流に向かって流れていく様子をまじまじと見ることができる。このシチュエーションで広縁に座ってお茶でも飲んでいる日ときたら、それはもう充実したひとときになることに違いありません。

実質、そろそろお風呂に行こうかな…という欲求もそこそこに、ポットを沸かして広縁で風景を眺めながら延々とお茶を飲んでました。しかも窓を開けて心地よい風を感じながら水音を聞いていると、ただそれだけで満足できる。

思い返してみれば、自分が今やっていることといえば、1日の行程が終了して宿に到着し、浴衣に着替えて身体の緊張をほぐすかのように椅子に座ってお茶を飲んでいる。

これだ。自分がやりたかったのは、まさにこういう旅だ。

日中のアクティビティな部分だけでなく、日が傾いてからの時間の過ごし方も大切にする。こういうのが好きなんだから旅はやめられない。

みどり屋の温泉がまた凄かった

さて、まったりしていたところで、夕食までに汗を流しておきたいので早速温泉に向かいます。

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1階から地下1階への階段には、足が悪い方用の昇降機が取り付けられていた。

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地下1階は、温泉のほかには倉庫として使われているようです

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こういう雑然とした感じが好き

地下1階への階段はそこそこ急な一方で、昇降機もあるので足が不自由な方でも利用できるようになっています。

というのも、みどり屋は宿泊だけでなく日帰り湯も営業されているので、それ目的の方も多く訪れるわけですね。となると年配の方も必然的に多いということで、このような形になっているようです。

確かに、パッと想像してみると温泉って大抵は玄関がある階と同じフロアにあるのが一般的だし、みどり屋のように階段を「下って」向かう形なのはレアかもしれない。

で、肝心の温泉がこちらなのですが…。

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みどり屋を唯一無二たらしめる円形の浴槽「つばき」

これですよコレ。

これに入りたいがために今回の九州旅を計画したと言っても過言ではない、みどり屋ならではの円形の浴槽。四角でも楕円でもない、まん丸の浴槽に入りたかったのです。

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反対側

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隣の浴槽「さくら」方面を眺める

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壁を隔てて隣りにある「さくら」の浴槽

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みどり屋の温泉は丸い浴槽の「つばき」と、四角い浴槽の「さくら」の合計2箇所ありますが、後者は湯を張っていませんでした。

日によって切り替えているのか、そうでないのかは確認していないものの、電話予約の際に「丸い浴槽の…」と言ったのが影響しているのかもしれません。念のため、予約の際に確認した方がよさげですね。

温泉は夜は22時まで、朝は6時から入ることができ、見ての通り男湯/女湯の別はありません。が、今回は宿泊での利用ということで、1日1組限定ということを考慮すると特に影響なし。ただ、日帰り湯の場合はどうなるのかな。女性が入っているところに入ろうとするとストップがかかるのかも。

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湯の注ぎ口は湯面より下にあり、直接湯を供給している

湯の注ぎ口は既に張られている湯の中にあって、つまりお湯がコポコポと注がれている音は聞こえてこず、完全に無音になっています。また、赤いコックは湯量を調整するためのもので、熱い/温いがあったらこれを操作してねーと女将さんに言われたものの、お湯の温度が絶妙だったので特に弄らず仕舞い。

それにしても、この浴槽のシンプルさが良いと思いませんか。

タイル張りで上下左右に均等のとれた形状をしており、湯の排出口もないので溢れた湯は端っこの方から勝手に流れ出てゆく。浴槽の半径が人体に実にフィットしていてくつろぎ感も半端なものではなく(両腕を浴槽の端に置きやすい)、滝の音を聞きながら瞑想していると、時間が無限に過ぎ去っていくほどでした。

お湯の温度は個人的には「ちょうどいい温め」で、かつ若干のヌルヌル感があります。この湯に浸かっていると、ライド終わりの肉体的な強張りが嘘みたいに解消されていったし、やっぱり温泉って良いよなという話ですよ。

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そして、部屋に戻ってくれば素敵な部屋が待ってくれている。

心から安心して一夜を過ごすことができる宿って、みどり屋のような旅館のことを言うんだろうなと思います。

夕食が豪華過ぎる

そして、気がつけばもう夕食の時間。

半ば無意識のうちに布団の上に移動しており、もうちょっとで寝そうになるところでしたが気合で目を覚まして夕食場所へ。夕食は、松3-1の隣にある客室でいただく形になります。

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今回の夕食の献立

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フライドチキン(でかい)

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海老や白身魚、野菜の天ぷら

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献立はというと、割烹旅館ならではの多種多様な料理が並んでいました。

ブリの刺身や豚のしゃぶしゃぶ、イカ焼きや豚の味噌焼きなどもあり、色んな味が楽しめるだけでなく視覚的にも楽しめて非常に満足のいく内容です。どの料理も酒と抜群に相性がよく、自動的にビールも進んでしまったことは言うまでもありません。

ちなみに、みどり屋の宿泊プランは税抜で6,000~8,000円くらいと幅があり、金額が上がるに連れて品数が増えるそうです。今回は、その中間をとって7,000円のプランにしてもらいました。

結果的に言えば、おかずの量は自分にぴったりで計算通りという感じ。

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釜で炊くご飯の美味しさが…想像できますか…?

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そしてですね、驚きの出来事というものは続くもので、ご飯はまさかの釜炊き(!?)だったんですわ。炊飯器が釜炊きを模してるとかそんなんじゃなくて、本物の釜炊き。

この釜で炊いた白米が美味しくないはずもなく、おかずvs酒vs白米という構図になってしまって、最初から運命づけられていたかのように明らかに食べすぎてしまう始末。何もかもが食欲をそそってくる要素しかないし、これはもう仕方ない。

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そんな「幸せな苦しさ」を味わいつつ、食後はもう一度温泉に入りに行くなどして夜までまったり過ごしました。

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冷蔵庫で冷えた温泉水をいただく

で、夕食時に女将さんから「冷蔵庫の中に温泉水が入ってるんで、湯上がりにでもどうぞ」と言われたので、せっかくなので飲んでみることに。

温泉水はその名の通り、温泉のお湯を冷やしたものです。通常の温泉でも飲泉といって、飲むこと自体は普通に行われていはいるものの、冷やすことによってより飲みやすくしているというわけです。

で、この温泉水が普通の水よりも明らかに美味い。なんだろう、普通の水よりもまろやかみがあるというか、どこか柔らかい感じがして喉や胃に優しい気がしました。

温泉から上がったばかりで火照った身体を、冷たい温泉水が冷やしていく。窓の外はもう夕闇で、この宿に泊まっているのは自分だけだ。一人での宿泊はどこか寂しい思いを感じつつも、こんな時間を過ごしていると、一人旅の良さってこういうところなんだろなと思わざるをえない。

お風呂から上がって、寝る前までの時間に自分一人の世界に浸って考え事をする。やはりこういう旅が自分には合っているようです。

翌朝

滝の音を聞きつつ横になったらいつの間にか値落ちしていて、気がついたら朝でした。

早速、6時から入れるという温泉に入って目を覚ますことにします。

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おはようございました

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今日も良い日になりそうだ

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朝風呂

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お風呂から上がった後は、そのまま朝食へ。

朝食のご飯もまた釜炊きで、湯豆腐や味噌汁、酒の塩焼きなどと一緒にご飯をかっこんでいると、今日も1日がとても良い日になることを確信してしまう。なんせ、朝からこんな幸せな時間を過ごせるのだから。

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旅館で過ごす時間は、長いようで実はすごく短いもの。

朝食を済ませたらもう出立時間になってしまったけど、できることならもう少し長居したい。結局、出発前には女将さんにあれこれみどり屋のことを伺って、最後までみどり屋のことを味わってからのスタートとなりました。

この日は熊本県の日奈久温泉にある宿に泊まったわけですが、それはまた別記事で。

おわりに

みどり屋は昔からほとんどその姿を変えておらず、特に今回泊まった客室については、窓周辺を新しくした以外は当時の姿を保っているとのことです。歴史がある宿というのは世の中に結構あるものの、"当時のまま"でとなると話は別。そういう意味でも、みどり屋は非常に貴重な旅館であると言えます。

そういう旅館に泊まってみたい、という人には自信を持っておすすめできるし、温泉や食事も含めて大満足の旅館だったことは自分が経験済み。女将さんの人柄もよくて話も弾みました。

1日1組限定ですが、是非みどり屋に泊まってみてはいかがでしょうか。

おしまい。

みどり屋旅館(薩摩川内市樋脇町市比野/温泉旅館、割ぽう旅館、ビジネス旅館、旅館)(電話番号:0996-38-0002)-iタウンページ