TAMAISM

旅の記録、宿泊先や行程とか

天野屋旅館 北木島の木造3階建て旅館に泊まってきた Part 2/2

3階の大広間へ

投宿してから1階と2階の散策を終え、せっかくなので夕食前に3階の散策もまとめて行うことにしました。

いつものパターンだったら旅館周辺もちらほら歩き回ってみるところですが、今回は旅館へのチェックイン前にある程度は回っているので割愛しています。というか、旅館に到着したのなら以降の時間は旅館でのみ過ごすのが普通な気がするし、"いつものパターン"がなんか珍しいような気がしてきた。

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さて、1階から2階への階段を上がってすぐ目の前に、3階への階段があります。

3階には客室はなく、宴会用の大広間があるのみと伺っていたので、普通に泊まる分にはこれより上に上がる機会はまずないといえますね。というわけで早速上ってみたのですが…。

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大広間、めちゃくちゃ広いんですが…。

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!?

3階へ足を踏み入れた瞬間に驚いた。

この広すぎる空間は一体何ごとなのか。まるで時代劇に登場するようなお殿様の居室そのものじゃないか。

大広間というくらいだから広いのは予め想像していたのですが、3階に上がってすぐにそれが広がっているとは思っていなかった。しかも予想の2倍以上の広大な面積を誇っているだけに、気持ちの整理が付かないままに大海に放り出されてしまったようでどこか落ち着かない(広いところが苦手)。

落ち着いてきたのでその広さを数えてみると、なんと38.5畳

これだけの広さに畳が規則正しく敷かれている風景なんて日常ではまず出会えないものだし、具体的な広さよりもとにかく圧倒されました。横方向に広いだけではなくて縦方向にもかなり余裕があって、木の天井にシーリングファンが付いている様子が特徴的です。

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窓際の廊下

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廊下の窓際には欄干がそのまま残されていて、しかもガラスは古いものでした。

自分が3階を訪れたタイミングでは窓が開けっ放しにされており、どうやら天気のいい日は空気の入れ替えを行っているようです。

自分が夕食をとっているときにご主人が3階に上がり、窓ガラスを締めている様子だったのでこれは間違いないっぽい。人が入らなくても常に建物を保つようにされていて、この天野屋旅館をご主人が愛されているのがよく伝わってくる。

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あと、天井と壁との境界部分はRのように丸みを帯びていて、単なる天井ではなくひと手間加わっているようでした。そういえば天井の造り自体があまり見ないものだし、全体的な雰囲気も含めるとなんか「城の天守閣の1フロアです」と言われても全く違和感がない。

ちなみに大広間の海側には廊下があって、ここには欄干がそのまま残されていました。

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廊下からの眺めはこんな感じ。

欄干にもたれかかって大浦の町並みを眺めていると、この離島の旅館でのひとときが何倍も濃いものに感じられてくる。島の宿といえば海の展望が特徴の一つですが、ここではそれに加えて町並みも同時に味わうことができるわけです。

というか、こういうふうに屋内から屋外を眺めるのが個人的に大好き。屋内の程よい暗さと屋外のまぶしさが同時に視界に入ってきて、うまく言葉には説明できないけどなんか良い。あえて屋内側に明かりが灯ってないのがグッと来るんですよね。これのおかげで明暗の差がはっきりと感じられる。

その後は大広間の中心に寝転がって天井を眺めたり、欄干越しに日が沈みつつある海を眺めたりしながらぼんやりしてました。旅館において「ぼんやりする」のは結構大事だと思っていて、これは身体も心も休まっている状態に他ならない。予定が詰まっていてあくせくする必要もないし、変に別のことを考えていて気が張っているというわけでもない。精神的に揺蕩っているような漂流感が、旅館でのひとときには必要だ。

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大広間の隣の中?広間

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こちらは布団置き場になっていました

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3階へ至る階段はもう一箇所あって、こちらを下っていくと6畳の客室の前に出れます。

大広間の奥には中広間とでもいうような広間がもう一つあって、こちらの広さは21畳。

場所的には天野屋旅館の右端に相当し、端っこ部分は丸ごと押入れになっています。ここは主に布団置き場になっているようで、そのへんで猫が寝ていてもおかしくないような静けさがありました。

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3階のトイレ

で、こちらが3階のトイレです。

この天野屋旅館の背後は山の斜面になっていて、旅館と斜面の間には路地が通っています。旅館からトイレへは短い渡り廊下を伝っていく形になっており、つまりトイレは旅館側ではなく山側にあるわけですね。構造を見るに後付されたもの…なんでしょうか。

そんなこんなで一通り散策は終了。そろそろ夕食の時間が迫ってきたので、お風呂に入ってさっぱりすることにします。

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お風呂の特徴としては、浴槽がタイル張りになっていること。

しかも形が不思議な台形になっており、タイルの色使いも赤と青でどこかお洒落を感じさせます。

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部屋に戻るとお布団が敷かれていた

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そして、お風呂から戻ってくると部屋にはお布団が敷かれていました。

敷かれていたのは2号室の方で、つまり寝る場所と普段くつろぐ場所が別になっているということ。まあ二間続きの時点で察してましたが、ここまで部屋を贅沢に使用できるのは感謝しかないですね。

すでに浴衣にも着替えていて寝る準備は万全。夕食から就寝までのムーブがこれで完全に確立された。あとは夕食を心ゆくまで堪能するだけだ。

夕食、そして朝へ

天野屋旅館での食事は、すべて部屋出しです。

部屋で待っていると階下からご主人が料理を運んできてくれるので、自分としてはただ待っているだけでOK。

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見てよこの豪華な献立!

内容は瀬戸内海の海の幸オンリーという幸せ感で、端から端まで海鮮づくし。しかも魚だけでなく貝やタコ、イカなど種類的にも色彩的にも富んでいる。それらをあらゆる調理法で仕上げた料理が絶品でないわけがなく、久しぶりに味わう"岡山の味"に自分の舌が喜んでいるのが分かった。

味付けは非常にあっさりとしていて、余計な味が付いていないだけに素材の味を最大限に引き出している。食べる前から美味しさが想像できてしまう見た目と匂いをしているけど、実際の味はその想像を簡単に越えてきた。

最近は肉とか油系の料理よりもこういう日本料理の方が特に好きになってきた自分としては、どれを食べても美味しすぎて感動しました。

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無限に酒が進んでしまう

旅館の夕食と言えば、やっぱり酒。

今回は瓶ビールを注文して、ちびちびやりながら料理をつまんでました。

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〆である魚のお吸い物と白米は、魚、もとい肴をもとに酒を飲みまくっていたにも関わらず、不思議とすらすら胃に入っていった。

岡山といえば晴れの国。その陽光の下で育った米の美味しさはもはや限界突破しているといっても過言ではない。最後まできっちりいただき、幸福感が残る夕食となりました。

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で、夕食の後は旅館の前の海まで歩いてみた。

夜の北木島はしんとしていて他に出歩く人もなく、聞こえてくるのは波の音だけ。そんな中でふと振り返ってみると、天野屋旅館の明かりだけが見える。

島の旅館で夜を迎える。それも野宿とかキャンプではなく、人の営みが感じられる"旅館"で。夜といえば人間として不安になるシチュエーションではあるものの、このほのかな明かりがなんとも心強く、優しさを感じられる。島ならではのしじまに身を任せ、しばし時間を忘れてから布団に潜り込んだ。

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翌朝。

北木島の朝は静かにやってきた。

窓から陽の光が差し込んできて、その眩しさで目が覚める。何かの発する音ではなくて、あくまで自然に起きるということが素晴らしい。天野屋旅館は東向きに建っているので、つまり海を上ってくる朝日がそのまま窓に飛び込んでくるというわけです。

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朝食の内容もまた素晴らしいものだったけど、ここにきて自分が西日本に戻ってきていると実感したことが一つ。

それは、味噌汁に使われているのが白味噌ということ。やはり岡山といえば白味噌だ。

自分が今住んでいるところにも赤味噌というものがあって、これはこれで好きなんですが、やはり自分には白味噌の味が合っている。中部地方で普通に暮らしている限りでは味わえない故郷の味に涙しつつ、この味噌汁だけでご飯を何倍でも食べられた。

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さて、実は朝食前の時間を活用して北木島の北部分を散策しに行っており、適度に運動したこともあって心地よい疲労感のもとでの朝食となりました(別記事で書きます)。

若干の眠気もあるので、思う存分に食後の昼寝を満喫していく。普通だったらそろそろ出発の準備をしなければならないところだけど、あいにく北木島ではフェリーの時間が全てだ。焦って準備をしても何も始まらないし、旅館での滞在を最後まで楽しもう。

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そして、フェリーの時間が遂にやってきてしまったのでご主人と奥さんにご挨拶をし、天野屋旅館を後にしました。

出立間際にはまたしても地元トーク(千鳥)で盛り上がり、「まさかここらへんの人だとは思ってなかったよ(笑)」と言葉を頂いたりもしつつ、久しぶりの岡山訪問はやっぱり良いなと感じました。

しかも日中にあれだけ濃い時間を過ごし、夕方からはこの木造3階建て旅館で過ごす。北木島にはいわゆる「島時間」がゆっくりと流れていて、心に残る2日間となりました。

北木島の宿で「島」を感じつつのんびり過ごしてみたいという人には、天野屋旅館がおすすめです。

天野屋旅館 - 北木島の情報

おしまい。