TAMAISM

旅の記録とか、舞台訪問とか。

【竜宮閣】戦前の佇まいを今に伝える、熱海のレトロな温泉旅館に泊まってきた Part 2/2 (@静岡県熱海市)

館内の散策

まずは自分が今いる部屋を離れ、隣の部屋を見てみます。

部屋を拝見することはご主人に許可をいただいたものの、竜宮閣はその日当日に突発的に宿泊する人が少なくありません。熱海駅前に位置しているのでとにかくアクセスがよく、遅い時間に宿を探すことになった場合は間違いなく候補に上がると思います。

ただ、まだ時間は14時を過ぎたばかり。そういう客もまだ現れないだろうということでささっと見て回ることにしました。

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隣の部屋。広さは同じ6畳だが部屋の造りは異なっている。

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竜宮閣の客室は、似ているようでどこか違うのが特徴の一つ。

この部屋については床の間などの配置は同じなんですが、入り口周辺に窓が設けられていたり、広縁が入り口を入って真正面にあったりと微妙に異なっていました。なので、仮に別の部屋に泊まったとしてもある意味で新鮮な気持ちで宿泊することができるのではないかと思います。

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こじんまりとした広縁と階段

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また、こちらの部屋にも海を臨める小部屋が設けられています。

自分が泊まっている部屋のように階段が途中で90°回っているタイプではなく、そのまままっすぐ上っているシンプルな造り。入り口から広縁への導線も含めて割とかっちりとした配置になっており、こちらの方が好みという人もいると思います。

それにしても、何度見ても小部屋の狭さがなんだか癖になってしまう。ここにじっくり座って海を眺めるにはちょっと狭いし、広さ的に1人以上が入るのは厳しいものがある。最初からこれを目的に造ったのではなく、あくまで余ったスペースを活用した結果がこれなような気がする。

あと今更ですけど、わずかでも高い視点から海を見られるようにとわざわざ階段を付けているのが良い。普通だったら広縁だけで済ましてしまうところを、広縁のスペースを少なくしてでも高さの確保の方に振っているのが面白いです。

これだけの独創的な構造、竜宮閣を建築した当時の職人さんの頭の中をちょっと覗いてみたい気分だ。

竜宮閣の温泉へ

さて、これで一通りの散策は終了。

特に外でやるような用事もないので、夕食を食べる前に温泉に入ることにしました。

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大きい方の温泉

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タイルの絵柄が素晴らしい

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反対側の壁

竜宮閣の温泉は、比較的広くて複数人が入ることができる大きい方と、家族風呂みたいに少数が入るのに適している「扇風呂」の二箇所があります。

で、上の写真に示したのが大きい方の浴室。ご覧の通り床の面積の多くを波打ったような形の湯船が占めており、しかも場所によって深さが異なっていました。入り口側の方の浴槽は浅くなっており、いわゆる寝湯ができちゃいます。

そんな浴槽自体も特徴あふれるものである一方で、忘れてはならないのがこの浴室全体を占めるレトロな雰囲気。

壁や床、天井すべてがカラフルなタイル張りになっており、向かって右方向の壁には風景が描かれています。そして左側の壁にはというと、タイルのみで構成された浦島太郎風の絵柄。端には「竜宮閣」の文字と温泉マーク♨があり、もう何も言わなくてもこれがこの旅館の名前の由来であることが伺える。実に素敵過ぎる空間だ。

竜宮閣はその建物はもとより、今自分が入ろうとしている温泉も戦前から変わっていない。日帰り客や宿泊客、さらには学童疎開の児童もまたこの壁画を眺めたことは疑いようのない事実。そのとき、彼らはどんな気持ちでこれを見つめたのだろうか。

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肝心の温泉の特徴は以下の通り。

  • 源泉名:熱海93号泉・福々温泉
  • 泉質:カルシウム・ナトリウム-塩化物温泉(低張性・弱アルカリ性・高温泉)
  • 源泉温度:76.7℃
  • 温泉を公共の浴用に供する場所における温泉の温度:42℃
  • pH:8.0

加水なしの源泉かけ流しの湯で、湯量はドバドバというよりは静かに蛇口から流れていっています。

温度はめちゃくちゃ熱くて飛び跳ねるレベルというわけではないものの、ちょっと湯に浸かるだけでも秒で身体が温まってくる。ここの湯に多く含まれている塩分は皮膚に付着すると汗の蒸発を防ぐため、何もしなくても自動的に熱がこもってくる仕組みになっています。

確かに、ただ温度が高い湯だと皮膚の表面的な熱さのせいでなかなか入りづらかったりするけど、ここの湯は身体の内部に向かって熱が集まってくるような感覚になってくる。浴槽には寝湯ができる箇所もあるので長湯ができそうに思えるのに対し、実状としては「長湯が不要なレベルでぽかぽかになれる」のが正しい。

竜宮城×温泉という雅な組み合わせにも度肝を抜かれた上に、湯の成分でまた驚かせてくる。この温泉の素晴らしさは入ってみないと分からないので、ぜひおすすめしたい。

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扇風呂。その名の通り浴槽が扇形になっている。

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タイルの絵の色の感じが好き

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そして、その隣にある扇風呂がこちら。

向こうのお風呂が大人数用とするなら、こちらは少人数でじっくり入るのが適している広さ。湯船の広さは完全に一人用で、今回のような一人泊の場合はこちらの方が居心地がいいかもしれません。

壁に設けてあるタイル画もちょうど湯に浸かったときに真横にくるような配置にされていて、まさしく長湯が似合いそうな湯だといえます。温度は向こうに比べると若干低め(だと思う)で、個人的には多少長い時間でも浸かっていることができました。

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蛇口には析出物が付着している

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こちらの扇風呂に入ってみて改めて感じたことは、経年したタイルは人体と相性がいいということ。

古くて角がとれたタイルは肌になじむようで、長時間接していても違和感が全くありません。お風呂のタイプとしては木製とか檜風呂とか色々ある中で、歴史を感じつつ雰囲気に浸れるという意味ではタイルが一番じゃないかな。

前述の通り、竜宮閣のお風呂は上がった後でも熱が逃げないのが特徴。

エアコンが効いた自室に帰ってきてからも「体力を消耗した」感が強く、すでに敷かれていた布団に寝転がって昼寝をしてました。

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チェックインの時間が早いと、宿泊先であれこれできる時間が多いのがいい。

こういう風に昼間から昼寝をすることもできるし、仮に1時間ほど寝たとしてもまだ夕方。素泊まりなので夕食は外で食べる形になることも含めて、自由な時間が多くとれると選択肢も広がる。

逆にチェックインが16時とかだと、あれこれしているうちに夕食の時間になってしまって結構時間に余裕がない。すべての旅館がこうである必要はないと思うけど、こういう形式は宿泊メインの行程を組む際に非常に助かります。

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買い出しへ

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すぐ近くにあった酒屋で酒を買い、あと適当に食べ物も調達してから帰宅。熱海にはちょっとした店が多い。

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買った酒。どちらも熱海オリジナルのものです。

結局、昼寝は早々に切り上げて、外へ出るのが面倒になる前に買い出しを済ませました。

しかし、熱海はとにかく坂が多いのが特徴の一つであって、良くも悪くも高低差が大きい。平坦な道はないんじゃないかと思えるような町の構造をしており、しかも斜度もかなり急です。坂道じゃなくて階段が頻出するような場所もあるので、完全な夏場だったら歩くのすら億劫になるかもしれません。

ただ、店自体の数はそこそこ多かったです。商店というか個人経営でやっているような店にはすぐ出会うことができて、今回はそのうちの一つで酒を購入。落ち着くまでは一人で飲む方が安全ですね。

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そこからは旅館に戻り、広縁に座って酒を飲んでました。

ここから眺める風景も創業当時とは変わっているだろうけど、海はまだかろうじて見ることができる。約100年前の景色と今の景色。どちらがいいものかは一概に決められないけど、昔を思いながら酒を飲むのはなかなか楽しい。

もちろん、自分がその昔の風景を知っているわけではないです。そもそも自分に馴染みがない土地だし、その上で時を遡った先の風景なんて知る由もない。

でも、現代にいる自分だからこそ当時を想像することが可能であるともいえます。せっかく古い建物に宿泊しているのだから、それが古くなかった時代のことをちょっと考えてみてもいい。こういうことを考えながら酒を飲むのが、自分が好きな旅館での過ごし方です。

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夜は一瞬だけ散歩してました

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翌朝

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旅館で目覚めたときの静けさと空気感が好き

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熱海駅から新幹線で帰路につく

というわけで、竜宮閣での一夜はこれで終了。翌朝もしっかり温泉に入って身体をあたため、朝早い時間の新幹線で西へ帰りました。

そのまま帰らずに、例えば途中で浜松に寄るとか行程には色々案がありましたが、結局、竜宮閣に泊まった後はそのまま直帰。なんかどれもが蛇足になりそうな気がして、竜宮閣での思い出だけを胸に家まで帰った。宿泊だけがメインで、それを十二分に楽しんでから帰る。こういう週末も在り方もたまにはいいかな。

以上、熱海の竜宮閣の紹介でした。

「昔の熱海」を感じてみたいのなら、戦前から存在するレトロな温泉:竜宮閣を訪れてみてはいかがでしょうか。

おわり。