TAMAISM

旅の記録、宿泊先や行程とか

勇楼旅館 刻み煙草で栄えた辻町の旅館に泊まってきた Part 2/2

宴会場の大広間

続いては、別館2階にある宴会場を女将さんに案内していただきました。

女将さんはとても話好きで、こちらから何かしらのアクションをしないと無限に話し続けてしまうくらいに色んなことを説明してくれます。たぶん宿泊者に同じようなことを聞かれるので自然とそうなったのでは…と思う一方で、玄関跡のことなどこちらに移ってきた当時のことを今でも鮮明に覚えていらっしゃるなど、元々旅館に対する思い入れが深い様子でした。

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大広間へ続く階段

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大広間前の廊下

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宴会場や結婚式場として使われている大広間

大広間の広さは、なんと60畳もあります。

もともと40畳だったところを後から拡張したもので、当初の間取りは天井を見れば把握できました。ちょうど上に示した写真でいう一番左端がその拡張部分で、他の天井と比べると板張りが異なっているのが分かります。

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照明が付いている天井の模様が美しい

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大広間の天井は板を交差状に張り巡らせた構造になっていて、当初から存在する照明がある部分だけ飾り付きの空洞になっています(後付の照明の部分はこの飾りがない)。

梁が通っているような天井ではないことから、この広い空間内に佇んでいても圧迫感を感じづらいような気がする。天井も高く、非常に奥行きを感じさせる広さにも関わらず居心地がいい。

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大広間の手前側から奥側を見る

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大広間の奥側から手前側を見る

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庭に面した窓には欄干が残っていた

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欄干部分は幅があり、窓とカーテンの内側に障子戸がある

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大広間から見える庭

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大広間の奥側は舞台になっている。舞台袖には階段があり、1階へと通じている

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結婚式で用いられる金屏風。相当珍しい品。

旅館において、ここまで広い空間はなかなかあるものではない。

しかも窓の外側が全体的に庭に面していて眺めがいいし、ここで何かの祝い事をするのなら演技がいいことは間違いない。しかも当時の構造がほぼそのまま残っており、適度な古さの中に身をおいていると時間を忘れそうになる。

また、この大広間の床の間もまた横方向にかなり広いもので、女将さんいわく三間はあるとのこと。確かに大広間の壁の一面に合うものとなれば広くなるのは納得できるのですが、ここまで大きなものとなると希少じゃないかなと感じました。比較対象としては城とかじゃないと現存してないのでは。

本館2階の客室

さて、別館についてはこれですべての部屋を散策し終わり、夕食の時間まではまだ余裕がある。

そのまま続けて、本館2階にある客室を散策することにしました。

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本館の階段を上がったところ。階段がある部屋は小部屋になっており、そこから一段上がった先が客室になっている

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本館2階の客室

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上一號床の間前から上二號を眺める。右側は床の間の付け書院

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本館2階の客室は、階段を上がった先にある「上二號」と、その右隣(玄関側)にある「上一號」から構成されています。

いずれも刻み煙草の商談に使われた部屋であり、つまりこの部屋で煙草屋の主人と客(商人?)が直に会って話をした、歴史的に見ても厳格な場所ということ。その背景もあって旅館の客室という雰囲気ではなく、とても静かで荘厳な感じがします。

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客は門を入り庭を抜けて本館1階と進み、その階段を上がって2階へと向かった。写真正面奥にその階段がある。

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かつて客が上がった階段。こちらが正式な階段だが、現在使われている階段も昔から使われていたようである。

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ちなみに、この階段の正面は上一號の付け書院の裏に通じている

上一號及び上二號の窓側(旧街道側)には廊下が走っており、その端には庭へと繋がる箱階段がありました。

主人側は現在使われている階段から、客側は門から入ってこちらの階段を上がって本館2階へと趣き、客はまず上二號で待機する形だったといいます。そして準備が整えば上一號で商談をするという流れ。

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上一號の床の間

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正直、ここまで見事な床の間は初めて見たかもしれない

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上一號ではこの建物においてもっとも重要な「刻み煙草の商談」が行われたということで、その床の間は群を抜いて豪華そのものです。

まず床板が欅の一枚板だし、三段の違い棚、金箔をふんだんに使用した袋戸棚が目を引きました。次いで竹で編んだ壁や中抜きされた床柱、その隣の凝った意匠など、客人を迎えるにあたってこれ以上のものはないでしょう。それに加えて下部にある明り取りもまた美しく、明り取りの意匠は日本では珍しいもので大陸の技術を取り入れたのではないかと女将さん談。

写真には撮れてませんが、長押の筋の数も別館のそれと比べると3倍くらい多く、とにかく商談を行う際のスキが感じられない。この風情の中で商談をするにはなかなかの精神力が要りそうです。

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上一號から旧街道方面を眺める

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上二號から見た別館と庭

本館2階からは眺めもよく、西方面の天気がよく確認できました。

南北を山に挟まれた地形の中に建てられたこの旅館で展望を得ようとすれば西か東しかないわけで、その当たりも考慮して建てられたんだろうと思います。

夕食、そして朝

夕食については、椅子がある玄関横の居間か部屋出しかを選ぶことができます。

今回は、せっかくなので部屋出しにしていただきました。

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いつものことだが、旅館の夕食はとにかく酒が進んでしまう

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夕食の内容は地元の牛肉を使った焼肉や、徳島県の名産品である半田そうめん、それに魚や野菜などが中心に並んでいます。

これだけの料理を前にして酒を飲まないのはむしろ失礼にあたるレベルなので、例によって地酒を注文して一緒に飲んでました。地酒もまた旨すぎて追加で頼もうか悩んだくらいで、結局翌日に近所の酒屋で買って帰るほど。

旅館の食事って地方によっても異なるし、もちろん旅館ごとにも異なるので投宿の際の楽しみの一つでもあります。ですが、結局のところどれもこれも美味しすぎる上に、酒に合いすぎるので満足以外を感じたことがありません。あと、「旅館で一泊して飲食している」という点も精神的にプラスになってくれて、もう速攻で胃に収まるというか。幸せな時間です。

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少々暑かったが、寝たのは本館でした

その後は気温が低くなるまで別館で過ごし、夜になって本館に移動して布団で寝てました。

本館・別館を問わずに客室は西に面しているため、夏だと特に西日の影響が大きいです。なので、エアコンがない本感に泊まりたい場合は涼しい時期を選んだ方がよさげかなと思いました。別館についてはどの部屋にもエアコンがあるので、特に心配ないかと。

夜中になれば多少は過ごしやすい気温になり、扇風機だけでもなんとかなりました。

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翌朝。

夏特有の湿度で目が覚め、かと思えばすでに蝉が鳴いているのが聞こえる。

夏場の宿泊の何がいいって、やっぱり夕方と朝に蝉の鳴き声が聞こえることだと思います。日中はもう暑すぎて蝉すらろくに鳴いてないし、近年だとそれを味わえるのは比較的涼しい時間帯のみ。これについては日帰りだとなかなか難しいし、夏の旅先で一泊して、その上で蝉の鳴き声が響いてくるというのが夏感があって好き。

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朝食は居間でいただきました

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朝食はこんな感じで、どれもが白米のおかずとして強力に作用する品ばかり。この日はもう帰宅するだけだったのですが、案の定何杯もご飯をおかわりしてしまった。

そんなこんなで、勇楼旅館での一夜は終了。女将さんには何度もお礼を言って、旅館を後にしました。

四国を巡る旅はまだまだ何個も計画しているので、その際にはまたこちらに投宿したいと思います。

おしまい。