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旅の記録、宿泊先や行程とか

四万温泉 積善館本館 元禄七年創業の温泉旅館に泊まってきた Part 2/2

館内を歩き回る

部屋を後にして、この積善館の館内を散策してみることにしました。

夕食は夜の時間帯に大広間を訪れる形になっていて、その前に温泉に入ることを考慮しても散策にあてる時間は十二分にある。本館だけでなく山荘の方にも行ってみます。

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本館廊下

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本館洗面所

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本館2階ロビー

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岩風呂への入り口

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今回泊まっている桐の間への案内もありましたが、やっぱり何か扱いが別なようです

本館の2階以上は基本的に客室のみとなっており、特に玄関の真上より北側はすべて旅館の従業員専用の通路や部屋になっています。そのため、宿泊者が立ち入ることができるのは山荘へ続く通路から南側(客室&食事処)のみ。

また、本館には元禄の湯の他に岩風呂もあって、これに入る場合は本館2階へ行く必要があります。

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本館1階からの階段を上がってすぐの廊下。奥に進めば山荘への通路、さらに階段を上がると3階へと続いている。

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山荘や佳松亭も含めると館内はとても広くて入り組んでいるため、最初の方は館内地図を見ないと迷子になりました

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異世界へのトンネル

本館から山荘へは階段やエレベータで向かうことができますが、そのうちエレベータへ通じているのがこの浪漫のトンネル。

本館から上の山荘や佳松亭は山の斜面に建てられており、水平方向への移動は地中を進むことになります。このトンネルはその通路に相当するもので、独特の重たい雰囲気が漂っているのが特徴。先程外観確認の際に見かけた朱い橋と同じように、こちらもなかなかの異世界感がありました。

特に、駐車場に車を止めて佳松亭から山荘経由で本館に向かう場合、エレベータの扉が開いた先がこの景色になっているので初見ではかなり驚きました。なお、夏場だとかなりの蒸し暑さになっているためか、扇風機が備え付けられています。

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山荘の廊下

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山荘の階段

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階段を上がった先

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山荘の廊下からの眺め

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佳松亭への案内

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佳松亭から山荘に入ったところの分岐

そのエレベータを上がって山荘へと移動してきました。

山荘には共用スペースはあまりなく、廊下から見て四万川方面に客室が並んでいる以外に目立った特徴はなし。公式サイトの写真を見る限りだとかなり豪華な内装をしているようでした。また、山荘には予約不要の貸し切り風呂があって、こちらは空いていればいつでも入ることが可能です。

で、そこから先へ進むと佳松亭の建物となります。

佳松亭は山荘や本館と比べると一際高級感がある扱いのようで、1階の総合フロントや温泉(杜の湯)以外は素通りしました。客室についても書かれている言葉が「貴賓室」だったり「クイーンサイズベッド」だったり造りが新しかったりと、色んな意味で自分には馴染みがないようです。

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山荘から本館への階段

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山荘から本館への廊下

本館から山荘への移動はエレベータを使ったものの、あまりに蒸し暑いのでその逆の移動では階段を利用しました。

階段は石と木を組み合わせたような変わった床になっていて驚いたほか、階段が通じているのは本館の2階ではなく3階部分でした。歴史的に考えると本館の後に山荘が造られたため、建築しやすい場所に通路や階段を付けたっぽいです。

今更なんですが、自分みたいに宿泊先の散策をする人間って皆無なんですよね。すでにチェックイン開始からかなりの時間が経っているのに館内はひっそりとしているし、ここに限らず他の宿でもそういう経験ばかり。普通の人は泊まることになる部屋と温泉、それに食事処を往復するくらいで、その他の場所になんて行かないのかも。

でも、やっぱり自分はあれこれ散策するのが好きです。決まった場所にしか行かないということは同じような景色しか見れないということだし、それよりは旅館の色々な面を見るために歩き回るという時間があってもいい。

本館の散策、そして温泉へ

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本館3階は階段付近だけ立ち入り可で、それより向こうは従業員の寮になっています

そんなことを思いながら本館に帰還。

行きではスルーしていた本館3階に行ってみたところ、外観確認時にすでに把握していたとおり、奥の方は寮になっているという旨の看板が立っていました。また、行きのタイミングでは館内ツアーの客がここでビデオを見ていたらしく、その痕跡を感じながらささっと散策することに。

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この空間でのんびりするのが好き

本館3階の手前部分には部屋が3つほどあって、いずれも昔は客室として使われていたのではないかと思われる構造になっています。

公式サイトでの説明の通り、昔の積善館では湯治文化が中心でした。湯治が前提となっている旅館の客室は相当にシンプルなのは私も他の旅館で経験済みなので、たぶん昔はここから積善館の入り口を見下ろす形で、景色を眺めていた客もいたのではと思います。

しかし、よく考えてみれば館内に従業員の寮があるというのも珍しい気がする。

一般的な旅館だとそもそもそういう部屋は確保されていないような感じで、積善館のように明確に「従業員の寮です」というアピールもしていない。朱い橋の隣に建っている建物も昔は寮として利用されていた、という話についても直に従業員の方から伺った話だし、なんというか「旅館の影の主役である従業員の方の存在が、宿泊客にもはっきりと把握できる」ように建物が運用されている。

例のジブリ映画も従業員目線のストーリーだったことを踏まえると、ここを訪れた人が自然とそれを連想してしまうのも当然といったところでしょうか。

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で、ここの小部屋が自分はかなり気に入ってしまい、腰を下ろしてくつろいでました。

そもそもが3階という高所に位置しているので眺めがよく、本館前の景色を一望することができます。それに加えて窓際が軒並み木製なので、身を乗り出して腕を置いた際の感触がいい。冷たい金属製ではなく、あくまで木製のままという点が良く感じる。

積善館周辺を取り巻く環境は昔と比べると多少は変わっているかもしれないが、自分みたいにこの部屋でくつろぐ人間は過去にも居たと思う。

私が過去の宿泊客と同じ体験をしていると実感できるのが好きなのはもう何度もこのブログで述べている持論ですが、なんかこう、良いじゃないですか。時代は変わっても、旅館に泊まる人間はどの時代にもいるというのを実感できる気がして。

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本館1階の玄関横は資料室になっている

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資料室の真ん前が元禄の湯

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資料室には宮崎駿のサインもありました。やっぱりそういうことなのか。

本館3階でまったりした後は、そのまま階段で1階へと下って資料室を見学。

資料室には、昔の積善館の歴史などについての資料が並べられています。場所的にも元禄の湯の前にあるので、例えば湯上がり時に休憩がてら見て回るのもいいかもしれません。

さて、散策はこれにて一旦終了。夕食の時間までに温泉に入ることにしました。


温泉 | 【公式】四万温泉 積善館(せきぜんかん)

最初は、積善館の中で洗い場が一番多い佳松亭の杜の湯で身体を洗うとともに内湯と露天風呂を満喫。

実は我々が投宿してから少し経ったあとに天気が急変し、快晴から一転して土砂降りになってました。露天風呂はそんな豪雨の中での入浴となって、これはこれで楽しかったです。雨の中の投宿となるとテンション下がるけど、投宿してからだったら特に問題なし。他の温泉では洗い場の数が1つ程度しかなく、公式でもまずはじめに杜の湯に行くのは推奨されている感じでした。温度は比較的ぬるめで長湯がしやすいです。

その次は、本館2階から階段を下ったところにある岩風呂に入りました。こちらは入り口と脱衣所が一体になっているようなお風呂で、扉を開けたら目の前に温泉が広がっています。温度は先程入った杜の湯と比較すると熱めでした。

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元禄の湯(積善館公式サイトから引用)

そして、忘れてはならないのが本館1階から行くことができる元禄の湯です。

扉を開けた先に脱衣所と浴室の境界がない広い空間が登場するのですが、先程見てきた本館の和風さとはまた異なったモダンな造り。アーチ状の窓や格子、壁の模様も含めて洋風になっているのが面白い。

浴槽としては2人くらいがゆったり入れるくらいの湯船が4箇所と、少し大きめの湯船が一つあります。湯船一つ一つに蛇口はあったものの、今回の訪問時は湯はかけ流しではなく足元から静かに湧き出していていました。それだけに浴室内に響く音は皆無で、周囲の空間の雰囲気も相まって独特の良さがあります。

この洋風な浴室はタイル張りになっており、湯船は石で構成されていました。この石が実に身体への親和性がよくて、その深さもちょうどいい。湯船のへりの石に頭を乗っけて寝るのに適していて、ここにじっと入っているとそのまま寝られるくらいに快適です。熱さもそこまで熱くないのもグッド。

浴室の様子は上の画像の通りで、湯船が個々に独立しているのが最大の特徴かなと思います。今日で言う大浴場や、大きな浴槽に大人数が入るという形式が確立される前の時代(昭和初期)に造られたものだけあって、個人的にも新鮮な気持ちで入ることができました。

自然と「一つの湯船に一人が入る」みたいな空気が漂っているおかげで、他の人に気兼ねなく出たり入ったりすることができて居心地がいい。その一方で、自分が今いる空間そのものはめちゃくちゃ広い。このギャップが、他ではなかなか味わえない元禄の湯独特の構造だと思います。

夕食、夜景、そして朝へ

そんな感じで3連続で温泉に入ると何が起きるのかというと、お腹がとんでもなく空くということ。

ただでさえ空腹状態だったのに、温泉の効能もプラスされてかなり飢えた状態です。なので、夕食の開始時間と同時に食事処まで直行するという形になりました。

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夕食の内容

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当然のように地酒を飲む

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ご飯と、郷土料理である「上州麦豚こしね汁」はおかわり自由となっています

夕食は、通常の献立にお刺身や茶碗蒸し、岩魚の塩焼きなどが追加された「四季御膳」を予約していて、このボリュームの多さが空腹に非常に効いてくれました。

山に囲まれた四万温泉には四季折々の山菜や、群馬県名産のこんにゃく、お豆腐、味噌、漬物などの食材が揃っています。そのどれもが身体によい品で、要は湯治にふさわしい健康的なものばかり。味付けは素朴なのに自然と食欲が湧いてきて、当たり前みたいにご飯や汁物を何倍もおかわりしてました。特に汁物(上州麦豚こしね汁)が野菜たっぷりでとにかく美味しく、これと白米が合わさるともう無敵という感じ。

おかずの一品一品が美味しいのは間違いなくて、それに地酒やご飯、汁までもが加勢して胃の中を刺激してくる。温泉で身体の調子を整えた後は食事でさらにそれを加速させる流れになっていて、もう何も言うことないです。幸せ。

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夕食後は部屋に戻ってまず布団を敷いた

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雨上がりの夜景

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幻想的な夜だ…。

夕食後は最初に布団を敷いて寝る準備をし、夜景を撮りに行ったり再度温泉に入りに行ったりしながら夜の時間を過ごしました。

夜景については、夜の時間はちゃんとライトアップをしてくれるので撮影がやりやすかったです。完全に真っ暗だったら三脚がないと無理だったけど、これだけ明るければ手持ちで十分。本館の建物が軒並み明るく浮かび上がっている様は幻想的そのもので、これに雨による照かりが加わってなんとも良き。

また、桐の間からの屋外へのアクセスの良さが本当に便利で、雨がやんだっぽいので夜景撮りにいくか、というのが気軽にできました。

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翌朝。

昨夜は隣を流れる四万川の流れを聞きながら眠りにつき、この日はかなり早い時間に目が覚めた。眠気覚ましに元禄の湯に入りに行って、その後は元禄の湯の前でしばらく朝の空気を味わう。

温泉旅館は早朝から温泉に入れるところが多いですが、実際に早起きして入りにいく人は実はそんなにいません。なので、それこそ他の宿泊客を気にすることなく、のんびり温泉に入ることができました。

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朝食の内容

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あれだけ夕食を食べたというのに、朝になったらしっかりお腹が空いているあたり四万温泉の効能は凄い。

なんかもうお腹を空かせるために温泉に入っている感もしてきてマッチポンプじみているけど、温泉旅館の過ごし方はこれが正解だと思う。温泉に浸かって身体を温め、その後の食事でしっかり食べる。身体にとってもこの流れが良いことは分かっているし、何よりも精神的に開放されたような感覚にもなる。

やはり人生には温泉旅館が必要だ。

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こんな感じで積善館での朝はあっという間に過ぎ去っていき、そのままチェックアウトとなりました。

投宿してから朝になるまでがすでに一瞬だったし、特に温泉入ってからは時間が飛んだかのような早さ。これはそれだけ積善館でのひとときが充実していたということに他ならないわけで、今回積善館に泊まって本当によかったと思ってます。

外観や館内の様子もまさに自分が好きな要素であふれていて、温泉や食事も同様。積善館を最初に見たときの「異世界感」は勘違いではなくて、まさに日常を忘れるような素敵な体験を送ることができました。

おしまい。

四万温泉 積善館(せきぜんかん)【公式】|群馬県の温泉旅館