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旅の記録、宿泊先や行程とか

河津峰温泉 花舞竹の庄 昭和ノスタルジーあふれる旅館に泊まってきた Part 2/2

温泉へ

曙の客室でひとしきりくつろいだ後、夕食前に温泉に入りに行きました。

一般的な宿だったら夕食の時間を元に行動するわけですが、花舞竹の庄は素泊まりの旅館。夕食の時間はこちらで自由に決めることができるため、お風呂に行く時間も比較的自由が効きます。

ましてや、今日は自分ひとりの貸切状態。気兼ねすることなく温泉に入りに行きたいタイミングで入りに行くことができました。

さて、花舞竹の庄の温泉について軽く説明すると、以下のとおりです。

  • 大正檜風呂:2階にある。
  • 伊豆石風呂&ヒスイ露天風呂:1階にある。浴槽の数は合計3つ。

いずれも源泉かけ流しで、温泉大国である伊豆半島の温泉をそのままの形で味わうことができます。旅館の規模が大きいので温泉の数も合計4つというのは納得がいくところですが、それは昔の話。今ではそもそも客室数が4つに限定されてますし、Part 1で述べたように、利用する人が団体から個人というふうに明確に違いがあります。

何が言いたいのかというと、要はめちゃくちゃ広い温泉を少ない人数で楽しめるということ。自分も実際に入ってみて、こんなに素敵な温泉を独占できていいのかと疑問に思うくらいでした。

大正檜風呂

まず向かったのは、2階にある大正檜風呂。

自分が泊まっている客室から比較的近いので、最初に入りに行くことにしました。

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大正檜風呂は、客室を出て2階への階段を上がったすぐ先にある

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大正檜風呂

こちらがその大正檜風呂の全景です。

この浴室全体の雰囲気がもう独特すぎて、ひと目見ただけで虜になってしまいました。浴槽自体は桧で出来ている大きめのものなのですが、それを取り囲む壁や天井の造りが自分好みすぎる。

まず、壁らしい壁はあまりなく、ほとんどが窓で構成されていて陽の光の入りがいい。その窓の木枠の意匠も凝っており、上部は雲、下部は地平を表したような模様になっています。そして浴室の床から一段上がったところに座るスペースがあって、ここと窓の位置関係が絶妙でした。右の方に見える壁は下部分がタイル、上部分がガラスで構成されており、こちらはどことなく日本的というよりは中国チックな模様にも見えます。

実はここと同じ構造をした浴室が右に見える壁の向こう側にもあるんですが、そちらは全く使用されていないようでした。昔は男湯と女湯に分かれていたものを、今では片方しか使っていないという感じです。

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窓から入ってくる自然光の柔らかさが心地よい

大きくとってある窓の外には植物が絡みついているのが見えて、ここだけ切り取ってみても年月を感じさせます。

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隣の女湯?との境界にある壁

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浴槽の檜。均一に削られているわけではなく、全体的に凹凸があります

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いやー、もう堪んないっすね。

お風呂自体も広くて独占欲を掻き立てる上に、浴室全体の雰囲気もよすぎるとなれば長湯が捗ってしまう。お湯の温度は思ったよりは高くなく、個人的には普通に長湯ができるくらいでした。

源泉は旅館のすぐ隣りにある「峰温泉第2号」から引かれていて、泉質はナトリウム-塩干物温泉(低張性・弱アルカリ性・高温泉)です。源泉温度はなんと99.3℃もあるものの、流入経路のどこかで冷やしてるっぽくて温度はちょうどいい感じ。

改めて言うことでもないが、浴槽に浸かったときに大きな窓が前面にくるのが開放感を感じさせる。他にもタイル張りの壁や太い木の柱、まるで客室の一室の中にいるようなガラス戸など、ここにしかない雰囲気が漂っているのが実感できる。その上浴室内は余計な音が一切聞こえてこず、音といえばこんこんと流れ出る温泉の音のみ。

浴室の空間の広さが温泉に入っている人数(一人)に対して余裕がありすぎて、なんか温泉に入っているんだけど入っていないような、良い意味で温泉感がない唯一無二の情緒を覚えました。

伊豆石風呂&ヒスイ露天風呂

檜風呂の心地が良すぎて精神がどこかに行ってしまいましたが、気を取り直して次の温泉に行ってみます。

今いる2階から階段で1階に下り、伊豆石風呂&ヒスイ露天風呂へ。

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入浴中であることを示すランプ

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ランプを付けた状態

こちらのお風呂の入り口には「男子」「女子」「家族」の3つのランプがあって、今入ろうとしている人が都度スイッチを押してランプを付けるようになっています。

例えば自分が男子だったとして、男子のランプが点いていたらそのまま自分も入ることができるし、逆に女子のランプが点いていたら空くまで待つという形になります。ここのお風呂は男湯/女湯の区別が特に無いため、このような仕組みになっているみたいですね。

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脱衣所

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脱衣所はこんな感じで、温泉の説明書きが書いてあったりしました。

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伊豆石風呂&ヒスイ露天風呂

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構成としては内湯が2つ、露天風呂が1つあってとても広いです

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そして、いざ扉を開けて浴室に入ってみてびっくり。

先程入った檜風呂以上の広大な空間に、これまた広い浴槽が2箇所、そしてその奥には露天風呂も見えます。確かにこれだけの旅館の規模を考えれば温泉もここまでの広さが必要な気もするけど、素泊まり専門になってからはまた別の話。一度に大勢の人間が入るわけでもないし、これらのうちの1箇所のみ使用可能、となっていても全然おかしくない。

でも、ここにはどの浴槽にも温泉がなみなみと満たされている。そればかりか源泉かけ流しの新鮮な湯がとめどなく注がれていて、これを一人で独占できるというのがもう信じられないくらい。実際にこの日の宿泊者は自分だけなことを考えると、どう考えても温泉を準備する手間暇に見合ってない気もする…。

「大浴場に一人で入る」という経験が今まであまり無いだけに、浴槽の中で思う存分身体を伸ばしたりしてくつろいでました。

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露天風呂

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で、内湯の外にある露天風呂もまた広いもの。

すぐそこに見える建物の外壁は植物に覆われていて、露天風呂の横にある湯量調節用の設備も傍から見れば朽ち果てているように感じる。しかし、今自分が入っているのは紛れもなくそれらの設備によってもたらされた温泉なわけで、設備の劣化とか、メンテナンス性とかが一切気にならないくらいの気持ちよさがあります。

温度については、さっき入った檜風呂と比べると若干熱め。でもしっかりかき混ぜればむしろぬるめに感じる程度で、真夏真っ盛りのこの時期でも入るのに支障はなかったです。

夜の時間

そんなふうに温泉に入りまくっていると、気がつけばもう夜。

普通だったら夕食の時間になるところですが、ここではその時間はあくまで自分が決めることができます。なのでいつ温泉に入りに行ってもいいし、夕食を自分が好きなタイミングでとってもいい。

素泊まりというと旅館特有の美味しい食事を楽しめないと悲観的になる人もいるかと思うけど、素泊まりは素泊まりで結構いいものですよ。まず酒を好きなだけ持ち込めるし、片付けの時間とか、布団を敷く時間を気にする必要がない。小腹がすいたらまた間食すればいい。いい意味でも悪い意味でも、素泊まりは各人の「自由」を提供してくれます。

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「ゆるキャン△」でもおなじみの酒

今回は、伊豆半島の地酒である「池」を持ち込みました。

これはここに来る途中で伊東市の広井酒店で買ってきたもので、ゆるキャン△でも登場したこともあって一部界隈では有名なお酒です。日本酒の中では比較的飲みやすい部類に入るので自分もファンになってしまい、伊豆を訪れる際にはほぼ毎回購入している品。

それを四合瓶のまま持ち込むということができるのも、花舞竹の庄の特徴の一つ。どうせ旅館で酒を飲むなら自分が好きな酒をと考えるのは自然な思考だし、適当に選んだ夕食と一緒にこれを飲んでいるともう堪えられない。

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その後は、ひっそりと静まり返った館内を散策し直したりしました。

日中の時間帯からすでに客は自分ひとりだったものの、夜になるとまた雰囲気が変わるというもの。バブルの頃だとこの時間帯は大広間で宴会やってる賑やかな感じだったんだろうけどね。それは今では、建物だけが覚えている昔の記憶になってしまった。

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確かに、この一角だけ切り取ってみれば花舞竹の庄は確かに廃墟然としているかもしれない。

しかし、確かに今も営業している旅館であることは確かな事実。建物としては意匠に凝った素晴らしいものであるし、宿泊するのに憂いはまったくない。

それに加えて、昔は高級旅館としてとても賑わっていたという歴史が、この旅館の雰囲気に色を添えている。温泉の豪華な造りや、館内の広さ。第一線を退いてひっそりと運営しつつも、その独特の空気感は訪れる人を魅了し続けているというのが、自分が泊まった際に抱いた感想です。

あ、余談ですが布団の感触の良さに加えて枕が重くて、身体へのフィット感がよくて非常に寝やすかったです。寝具は旅館によって結構差がありますが、ここの寝具は自分に合ってました。

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翌朝

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朝風呂に入る

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旅館を後にする際に自分が泊まった部屋を見てみると、早速布団が干されていた

翌朝は朝食もそこそこに、布団と温泉を行ったり来たりして完全にだらけムードで過ごしました。

何しろ自分の行動を阻害する要素が特に存在しないわけだから、自然に温泉に入りに行く機会が多くなる。たまに水分補給をしたりして、眠くなれば二度寝、三度寝をするだけ。今日一日の予定が詰まっていればこうはいかないものの、今回はそういうわけでもないので。

こんな感じで、花舞竹の庄での一夜は終了。

広大な館内や広々とした温泉、さらに宿泊客としてのフリーダムさを味わえるというところが、他の宿にはなかなかない良いポイントだと思います。温泉旅館で一味違った体験をしてみたいという人、古い旅館が好きな人には心からおすすめできる旅館だと感じました。ただ、こういう広い木造旅館は維持していくのがとてつもなく大変なので、できるだけ早く訪れるのがいいかなと思います。

おしまい。

河津峰温泉旅館花舞竹の庄|公式