TAMAISM

旅の記録、宿泊先や行程とか

「竜とそばかすの姫」舞台訪問 ロードバイクで仁淀ブルーの源流を旅してきた

夏が終わる前に

今回自分が旅に出ようと思ったのは、もう夏も終わろうとしている8月の中旬。

外へ出かけるのも億劫になるような暑さが影を潜めるのはありがたい一方で、夏の時期にこそ訪れたいところという場所がある。もちろん秋でも冬でも行くことはできるものの、この機を逃さずにかねてから行きたかったところに行ってきました。

その場所というのは、四国の中でも清流として名高い仁淀川の周辺。

前回四万十川沿いをロードバイクで走ってきた時点でもその存在感はずっと傍らで感じていて、四万十川沿いを走ったのだから仁淀川沿いも走らなければならないと決めていました。もっとも、仁淀川周辺はずっと前からロードバイクで走ると気持ちいいだろうなと思っており、今回やっと実行に移せたという感じです。

で、今回巡った主な"仁淀ブルー"のスポットは以下のとおりです。

  • にこ淵
  • 安居渓谷
  • 池川~土居川周辺
  • 浅尾沈下橋

これ以外にも名もないスポットを数多く巡ったのですが、超有名所も含めて仁淀川周辺を割と回れたんではないかなと思います。こうして振り返ってみると、意図せずして仁淀川周辺を舞台にした細田守監督の最新作「竜とそばかすの姫」の舞台となった場所をある程度回った形になっていました。高知県を訪れてから見直してみると、また違った印象を受けるのではないかと思います。

というわけで早速出発。

一般社団法人 仁淀ブルー観光協議会

にこ淵

今回ロードバイクで回ったところは予め決めておいたわけではもちろんなくて、例によって気分で行き先を決めた結果こうなったという感じです。行き先だけ決めておいてそれらを繋ぐように走るのももちろんいいけど、見知らぬ土地なだけに散策に力を入れていきたいところ。

走る距離がめちゃくちゃ長いというのであれば、散策する時間は必然的に少なくなる。でも、今回のようにそれほど広範囲を走るのでなければ、途中で気になった場所に寄り道してみるのも面白いです。

f:id:offtama:20210905175908j:plain

f:id:offtama:20210905175912j:plain

そんな適当な行程でも一応スタート地点というものはあるわけで、今回は最初に訪れるところがにこ淵になりました。ここは仁淀川水系ではかなりの知名度を誇るスポットでもあるので、早いうちに訪問するのがよさげです。

高知県特有の「山間部の合間に川が流れている風景」を横目に見ながらロードバイクを走らせる。

夏ということで朝早い時間帯に行動するのがベストである一方で、そういう散策上の都合とは一切関係なく、朝の空気が美味しい。いや、これは高知県の自然の美しさによるものだろうか。

f:id:offtama:20210905175916j:plain

f:id:offtama:20210905175924j:plain

国道439号から国道194号へと入り、仁淀川の支流である枝川川を遡る方向に舵を切る。次第に狭くなってくる川幅のほとりに走る道を走ること数分。

車一台分しかない道のほとりにいきなり登場してくるのが、にこ淵です。

"淵"というのは水を深くたたえているところのことをいい、簡単にいうと滝のすぐ下流側の水が滞留している一帯のこと。ここの雰囲気が幻想的ということで話題になり、今では時間を問わずに大勢の観光客が訪れています(特に夏は多い)。

にこ淵の周辺には駐車場がいくつかあるのですが、例えば昼くらいに訪れた場合だと埋まっている可能性が高いです。実際に自分が訪れたときもそこそこ埋まっていたし、回転率は多少高いとはいえ狭い道の途中で車同士すれ違うのは結構怖い。そういう意味では、まさにロードバイクで訪れて正解でした。

f:id:offtama:20210905175920j:plain

f:id:offtama:20210905175928j:plain
神聖な雰囲気

f:id:offtama:20210905180554j:plain
階段はそれほど急ではないが、一段が大きいので少し疲れるかも

f:id:offtama:20210905180551j:plain
にこ淵の全景。川の流れは手前側に続いている。

f:id:offtama:20210905180546j:plain

なんという美しい色だ。

仁淀川自体が他の川では見られないような澄んだ青色/碧色をしているのは周知の事実で、その色は言葉では形容しがたいほど独特なものですが、このにこ淵の色は本当に今まで見たことがない。日光が当たっている場所とそうでない場所とでもまた色が異なっていて、見る場所によってもまた違って見える。

自分の住んでいる近所にも一応大きな川があるものの、そういう川を見ていて「川の色」と聞かれて想像できるような色とは、まるでかけ離れている青さがここにはある。この神秘さは、じっと眺めていると吸い来れそうなほどでした。写真では色がうまく表現できていないので、これはぜひとも生で見てほしいです。

f:id:offtama:20210905180542j:plain
にこ淵のすぐ下流側は小さな滝になっていて、巨石がごろごろしていた。

f:id:offtama:20210905180538j:plain

f:id:offtama:20210905180535j:plain:w500

淵というくらいだから結構な深さなんだろうけども、中央付近の色が澄みすぎているせいで底が見えそうになっている。

にこ淵は地元の方にとっては神聖な場所なので、生半可な気持ちで訪問してはいけないという言葉の通り、単なる自然界のスポット以上の存在感があります。他の観光客の話し声も気にならないほどに、水が流れる音が静かに聞こえていました。

f:id:offtama:20210905180004j:plain
日比原への入り口

f:id:offtama:20210905175959j:plain

f:id:offtama:20210905175955j:plain
レトロな看板が目立つ

にこ淵の散策を終え、次の目的地を目指していく。

ですが先にも書いたとおり、旅の行程は寄り道をして然るべきだと思っています。なので普通に道沿いに走るだけだとつまらないので、気になったところに入ってみました。

国道194号沿いの日比原郵便局周辺は日比原という地名の一帯であり、ここには昔からの集落が残っています。

この国道が建設されるずっと前はこちらが主要な道路として利用されていて、その周りに家屋が集まっているという感じ。脇道に逸れたところにあるので普通なら見落としてしまうところ、個人的には視界内の映る景色の隅っこの方こそ気になるので立ち寄ってみました。

f:id:offtama:20210905175932j:plain

f:id:offtama:20210905175936j:plain

f:id:offtama:20210905175939j:plain

日比原の町並みはこのように、観光スポットとは無縁の静かな空間が広がっています。

なんというか、自分の旅においてはこういう何気ない場所の風景の方が記憶に残りやすいと常々感じますね。確かに有名なスポットの方が賑やかだったり派手だったりで衝撃度は高いけど、あまり「旅」をしているという感覚にはなりづらい。

そういうところとは真反対に位置する、地元の方にとっての日常な風景。そこへ自分が少しお邪魔して、まるでここで自分も長い間過ごしてきたかのように目に映る風景に思いを馳せてみる。うまく言葉では説明しづらいのですが、こういう時間の過ごし方が好きだったりします。あと、こういうところって完全に地元の方しか通らないので静かだし。

f:id:offtama:20210905175944j:plain

f:id:offtama:20210905175948j:plain

f:id:offtama:20210905175951j:plain

大通りよりは路地裏や細道。有名スポットよりはその土地独特の日常。

最終的には自分が好きな場所はそんな風に分類される。でもその一方で有名なところも回っておきたいという気持ちも確かにあって、ひとたび旅を始めると行きたいところが次から次へと出てくるから面白い。

f:id:offtama:20210905180559j:plain
雉肉を使ったそば

ちなみに、にこ淵の近くには珍しい雉の肉を使ったそばをいただけるお蕎麦屋さんがあります。

雉の肉の感触は若干固く、味は鶏肉に近い感じ(当たり前か)。山に近い場所だと普段では食べられないような肉を食べることができるので、これからも色々チャレンジしていきたい。鹿肉や猪などは食べたことがありますが、雉肉は初めてでした。

安居渓谷

続いて訪れたのは、仁淀川の支流の一つである安居川の上流に位置する安居渓谷という場所です。

今更ですが仁淀川そのものだけでなく、仁淀川に注ぐ支流の周辺にもまた美しい景色が広がっています。さっき訪れたにこ淵がまずそうだし、これから訪れる安居渓谷もそう。川というものは上流(源流)に行けば行くほど澄んでいるというイメージの通りで、これは四国の中を走る上で結構重要な要素だったりします。

ロードバイク的に言うと、上流に行くことになるので上りが多くなるわけですね。車なら全く問題ないのですが、これがロードバイクになると地味に疲れてしまった。日頃の運動不足がたたっている。

f:id:offtama:20210905180009j:plain
国道439号は交通量が多いが、その分川の規模も大きい

f:id:offtama:20210905180012j:plain

ルート的には、にこ淵から安居渓谷までは国道439号を走っていくことになります。

国道439号というと四国の国道の中では2番目に長い一般国道で、場所によっては"酷道"と名がつくくらいヤバい道だったりするのですが、仁淀川周辺に限っては非常に走りやすいので安心。ただ交通量が多く、車の速度も地味に早いのでそこだけ注意ですかね。

▼以前、四万十町周辺の酷道439号を走った記録はこちら

にこ淵から続く枝川川はここまで下ってくると上八川川という名前に変わり、川幅が広くなって道路からの見通しもよくなります。

流れが緩やかなこともあって、鮎釣りをしている人が多かったのが印象的でした。しかも鮎が釣れるということは水が綺麗なことに他ならず、この点だけ見ても高知の川は生き物が住むのに適していることが分かります。

f:id:offtama:20210905180016j:plain
川沿いには実り多い田畑も広がっている

f:id:offtama:20210905180019j:plain
田園地帯を走る軽トラ

川沿いにはわずかな平地しかなく、その限られた土地を使って家屋が建てられていたり稲作を行っていたりします。

ここでは一帯に田園が広がっており、そこに育っている稲も実り頃。農作業のために農道を走る軽トラも見かけたりして、実に平和な時間が流れている。

そもそも、これだけ綺麗な水を使って育てられた稲が美味しくないわけがない。米には水が大切な要素であることは間違いないわけで、ここで稲作をするのは理にかなっていると思います。

f:id:offtama:20210905180023j:plain

f:id:offtama:20210905180026j:plain
名もなき道を走る

f:id:offtama:20210905180029j:plain
次第に人気がまったくない道に入っていた

さて、安居渓谷までの道のりの件に話を戻すと、直で向かうのであれば国道439号から新大峠トンネルを通って県道362号を走ればスムーズです。特に交通に問題があるルートではなく、若干の上りはあるけどそれでも安全なルート。

でも、自分としてはこれが物足りなく感じる予感がした。

国道というものは大きな道を通しやすいところに通されたものに過ぎないため、そこを通る道中で得られる景色は結構予想がつきやすいです。たまに民家が集まった一帯があったりする一方で、山が切り開かれていたりトンネルが通っていたりと、悪い意味で言えば退屈なことが多い。ただ単純に移動するならこれ以上ないほど便利な国道ですが、今回は気分的に別の道を選びたくなった。

そんな中で選んだのが、県道293号から樅ノ木簡易郵便局を経由して山の中を突っ切るルート。地図を見ると分かりやすいのですが、樅ノ木簡易郵便局から反対側にある安居簡易郵便局までの区間、いの町と仁淀川町の境界周辺には一応道が通っていて、その道がかなりぐにゃぐにゃとしています。ここを通ったら面白そうじゃない?と判断し、そのまま山を突っ切って安居渓谷を目指しました。

f:id:offtama:20210905180033j:plain
車一台分しか通れない道の先に民家があることは、四国では日常茶飯事

f:id:offtama:20210905180037j:plain
いの町と仁淀川町の境界は峠になっています

f:id:offtama:20210905180040j:plain
ダウンヒル中に出会った清流

f:id:offtama:20210905180044j:plain
無事に県道362号に合流したところ

四国ではこの手の細い道が無数にあって、しかもその道の奥深くに民家が普通に点在していたりするから油断ならない。

林道とかであれば車の通行は皆無だというのが予め分かるのですが、ここに限っては通常生活道なので意識の外から車がやってきます。しかも斜度がそこそこある中で車に遭遇したりすると割とビビる。

あと、人気がないところだと猿に遭遇したりもしました。猿はまあ…岐阜でも普通に見かけるので大きな驚きはないが。

そんなこんなで、無事に県道に合流。ここからは道が危険でないので安心できます。

f:id:offtama:20210905180047j:plain
安居渓谷近くの景色

f:id:offtama:20210905180148j:plain
安居渓谷の入り口

f:id:offtama:20210905180143j:plain
宝来荘の建物

そのまま安居川に沿って遡り、安居渓谷に到着。

渓谷の入り口にはまとまった広さの駐車場のほかトイレ、飲食店や宿泊施設(宝来荘)があります。宝来荘については渓谷ならではの川魚料理が楽しめるみたいで、ここで一泊してみるのも面白いかも。

f:id:offtama:20210905180151j:plain

安居渓谷は安居川に沿って各所に名勝があるので、普通に歩いているだけで回ることができます。

今回はまず一番奥の砂防ダム&水晶淵まで向かい、そこから下流に下っていきながら散策をする方針にしました。

f:id:offtama:20210905180050j:plain
水晶淵の入り口

ちなみに、駐車場については渓谷の入り口のほかに水晶淵の周辺にもいくつかあります。

しかし、おそらく安居渓谷で最も観光客が多いであろう水晶淵に一番近い駐車場は台数が少なく、シーズン中にここに止めるのはちょっと難しそうな感じ。実際に自分が訪れたときも満車になっていて、下流から直進してきた車が右往左往してました。渓谷の入り口から水晶淵までは距離的に1.3kmほどしかないため、入り口から歩いてくるのがおすすめかと思います。

が、今回は移動手段がロードバイクということで止める場所には苦労しませんでした。

こうして振り返ってみると、ロードバイクって本当に散策に向いている乗り物だと思う。道が多少狭かろうが対向車のことを心配する必要がない上に、駐車するときも自動車よりは圧倒的に楽。また、移動したり一時停止したりするのも簡単にできるので、まさに仁淀川周辺のような地形に合っているというわけです。

f:id:offtama:20210905180054j:plain
駐車場からは川沿いの岩場を歩く

f:id:offtama:20210905180059j:plain

f:id:offtama:20210905180107j:plain

f:id:offtama:20210905180103j:plain
渓谷の奥に位置する砂防ダム

駐車場から先は、ある程度整備された道を歩いていくことになります。

が、この道がほぼ自然の岩で形成されているので結構滑りました。場所によっては道の上に水が流れている箇所や苔むしているところもあって、人工的な整備をやりすぎていないのがいいですね。

で、一番奥にあるのが砂防ダムなんですが…。この川の色が美しすぎてもう見とれてしまった。何かで着色したように水が明確な青色になっていて、にこ淵で見た色よりは青成分が少し強い感じ。深さを全く感じさせないくらいに透明度が高くて、この中に飛び込んだら別世界に行けそうなくらい。

砂防ダムというと水量がそれほどないようなイメージがあったものの、安居渓谷の砂防ダムは全然そんなことないです。背後にそびえる人工物と、その手前に広がる大自然の賜物。この対比がまず美しいし、仁淀川の源流では何もかも予想以上の出会いがある。

f:id:offtama:20210905180115j:plain
水晶淵

f:id:offtama:20210905180111j:plain

砂防ダムから少し下ったところにあるのが水晶淵で、こちらはにこ淵とは異なり、川沿いに形成された水深が深いところ、という感じでした。これだけ見ると普通の場所のようにとらえるかもしれませんが、明確に異なるのはその透明度でしょうか。

これがですね…。なんと河原に近い側から奥の岩場まで川底が全部見えてるんです。浅いところの底が見えるのはまだ理解できるが、奥の深いところまで見えてるってどれほどの透明度があれば可能なんだろう。

川底には水面で屈折した日光が映し出されており、それが川の流れによって時々刻々と形を変えていく。川を形成している石や岩もどこか青っぽくて、ふと上を見上げれば抜けるような青空。自分が今佇んでいる空間がここまで青色だったことは、いまだかつてない。

f:id:offtama:20210905180120j:plain

f:id:offtama:20210905180123j:plain

f:id:offtama:20210905180126j:plain

f:id:offtama:20210905180130j:plain
荒男谷周辺では泳いでいる人も見かけた

f:id:offtama:20210905180134j:plain
切り取る場所によって、流れる水の様相が全然違うのも川の特徴の一つ

水晶淵でしばし放心状態になった後は、徐々に安居川を下りながら数々の風景に触れました。

「数々の」という言葉の通り、川というものは実に色々な状態があって驚いてしまう。流れの様子や淀みの程度など、どれも一つとして同じ箇所はない。流れが早かったり緩やかだったり、水深も場所によって様々に異なっている。散策していく中で仁淀川が見せてくれる風景が徐々に、あるいは急激に変化していく様を間近で見れるのだから、安居渓谷はある種のお得感があると言えます。

f:id:offtama:20210905180138j:plain
渓谷の入り口に帰還

基本的には川沿いに遊歩道がずっと続いているので、それを伝っていけば車道に出ることなく散策をすることができます。さっきも書いたように休憩場所もちゃんと設けてあるので、ここで時間を忘れて散策に熱中してみるのも面白いかと。

池川~土居川周辺

お次は安居川の流れに従って下流へと進み、安居川が仁淀川の本流へと合流する地点までとりあえず向かうことになります。上流から下流へと進むので道としても抵抗は少なく、散策目的のライドでは少なくとも上流→下流の方向で考えるのがよさげ。

仁淀川に合流してしまえばあとはもう緩やかな流れがずっと続き、最終的には太平洋へと注がれていく。そう考えてみると川というものは本当に距離が長く、その規模も場所によって全く異なる。何度も書くことでもないですが、一箇所だけに存在する…というわけではなくて、移動しながら楽しめるのが川が素敵な理由の一つだなと。

で、その合流地点に向かう途中にも、思わず止まってしまうようなスポットを見つけました。

f:id:offtama:20210905180531j:plain

ここは土居川(仁淀川の別の支流で、安居川と合流する)の途中の地点からの風景で、具体的に言うと池川という地名の周辺です。

国道439号から土居川を挟んで反対側に国道494号が走っており、その国道494号に沿って町並みが形成されているのが特徴。つまり、今自分が走っている側からは町並み&土居川がセットになって見えていました。

f:id:offtama:20210905180520j:plain

f:id:offtama:20210905180515j:plain

ここの風景の何が良いかと言うと、河川敷まで普通に下りられるということ。

土居川はご覧の通り川幅が広く、その影響なのか川の端も中央も水深がそれほど変わりません。深いのは町並みに近い側の一部くらいで、残りの部分は普通に歩いて通ることができるんです。流れも比較的緩やかなのでまさに泳ぐに適した地というわけで、実際に泳いでいる人をそこそこ見かけました。

で、河川敷に下ったところの真正面の景色がまた凄い。

水面からかなりの高低差があるところに家屋が集まっていて、ちょうど河川敷からだとそれらを見上げる形になります。視界の下半分が清流で、上半分が家屋、そして青空。ここまで心をからっぽにして眺めることができる風景というのは実に貴重だ。

f:id:offtama:20210905180524j:plain

ちょうど気温が高くなってきたこともあって、自分も足をつけて休憩してみる。やはり「夏」はこうでなくては。

その行程中に回るところばかり気にしても仕方ないし、時間を気にしすぎるのも精神衛生上よくない。暑かったら水につかればいいだけで、気になったところがあれば寄り道して。毎回行程については適当そのものですが、その瞬間を楽しむことに全力を出している、とも言えます。

やっぱり、自分にはこういう行程が性に合っていると思うわ。

f:id:offtama:20210905180506j:plain
宮崎の河原キャンプ場

f:id:offtama:20210905180511j:plain

そして、もう一箇所忘れてはならないのが池川から少し下ったところにある「宮崎の河原キャンプ場」周辺。

一直線に流れていた池川とは異なり、ここでは川が蛇行しています。その蛇行した土地を活用したキャンプ場やSUP体験場が整備されており、しかも川の流れの程度は見ての通り池川よりもずっと穏やか。というか、まるで水が静止しているかのようにゆっくりとしています。

川の色も池川とは全く違っていて、ほんの500m程度しか離れていないのにこちらはどこか碧っぽい感じ。自分自身、仁淀川の色はここまで多彩なんだということを身を以て感じた瞬間でもありました。川の色は一色しかないという先入観を持って仁淀川を訪れてみると、なかなかに面食らうんじゃないでしょうか。

こんな感じで、仁淀川周辺は散策ポイントがあまりにも多すぎて、ロードバイクで走る意味があんまりないのでは?と薄々感じてきた。

ちょっと進むだけで魅力的な風景が目に飛び込んでくるし、良い意味で移動が全く捗らない。でも、これだけ狭い範囲に魅力がギュッと詰まっているのは本当に凄いことだと感じています。めちゃくちゃ移動しないと味わえないということではなく、そういう視点で考えれば、ロードバイクでの移動がまさにベストなのかも。

f:id:offtama:20210905180155j:plain
ラーメン自由軒本店

f:id:offtama:20210905180158j:plain
味噌ラーメンの中にとんかつが入っている

ここでちょっと話が逸れますが、食事処として「ラーメン自由軒」が良かったので取り上げておきたい。

ラーメン自由軒は高知周辺に複数の店舗を持つラーメン店で、有名なのは上の写真にも載っているボリューム満点のみそカツラーメンというもの。あっさり目の味噌ラーメンの中にとんかつがデンと乗っていて、しかも煮卵とコーンがデフォで搭載されている。

ラーメンとトンカツを同時に食べるという幸福。もう想像しただけでも美味いというのが理解できる。

それぞれが単品でも料理として強力すぎるのに、それらがタッグを組んだのがこのみそカツラーメンです。傍から見れば"異色"な組み合わせなんですが、意外にも相性の良さが抜群でした。味はもちろん絶品で、カロリーがヤバそうなのは忘れることにして、道の道中にいきなり登場したりするので立ち寄りやすいと思います。

浅尾沈下橋

そんな感じで途中で休憩も織り交ぜつつ(というか休憩ばっかりだけど)、国道439号から国道494号、そして県道18号を通り過ぎて最終目的地へ。

最後に訪れたのは、高知県の沈下橋の中でも隠れた名所である浅尾沈下橋です。

まあ、隠れた名所と言いつつ「竜とそばかすの姫」の影響で、一躍有名スポットになってしまったわけですが。

沈下橋というと四万十川に架かっているものがよく知られている一方で、実は仁淀川にも架かっているんです。浅尾沈下橋の他には、下流に架かっている名越屋沈下橋、片岡沈下橋などがあります。

で、有名になってしまったので浅尾沈下橋周辺では特別体制が取られており、結論から言うと、現在では車やバイクで浅尾沈下橋周辺に行くことができません(下記)。

映画「竜とそばかすの姫」で舞台のモデルとなった浅尾沈下橋には駐車場がございません。また、高知方面から来る際に浅尾沈下橋を目的地とし、ルート指定をせずにカーナビなどに案内を任せると、国道194号から県道18号を通るルートを通る事になりますが、非常に道が狭く危険です。すれ違いの出来ない部分もあります。宮の前公園からシャトルバスを運行していますので、目的地を宮の前公園とし、国道33号でお越しください。

竜とそばかすの姫│越知町公式ホームページ

※ちなみに、「竜とそばかすの姫」の舞台訪問マップはネット上で配布されている(下記)ほかに、仁淀川周辺のコンビニ等で簡単に入手できます。なので、これをゲットしてから散策を始めるのが便利かなと思います。

映画「竜とそばかすの姫」スペシャルタイアップサイト|よさこいネット

f:id:offtama:20210905180209j:plain
日ノ瀬清流公園周辺からの眺め。奥の方に浅尾沈下橋がある。

f:id:offtama:20210905180206j:plain

f:id:offtama:20210905180202j:plain

浅尾沈下橋は県道18号から先、仁淀川の上流にある浅尾というところに架かっている橋です。

ここから川の両岸に走っている道のいずれかを通れば橋まで行くことができるのですが、常時ガードマンがいて先には進めません。もし車で訪れた場合には川の上流にある宮の前公園という公園に車を止め、シャトルバス(無料)で橋周辺まで向かうという形になっているようです。確かに浅尾地区の道は細く、ここに路駐でもされようものなら他の車が通れなくなってしまうので。

ですが、今回の移動手段はロードバイク。特に止められることもなく、すんなりと橋まで向かうことができました。

f:id:offtama:20210905180213j:plain

f:id:offtama:20210905180216j:plain
県道からだとほんの600mほどで浅尾沈下橋に到着。

f:id:offtama:20210905180219j:plain

そしてこれですよ。

この圧倒的な眺め。劇中と全く同じ風景が自分の目の前にある…なんて素敵なんだ。映画でも印象に残りやすい場所だし、ここにはなんとしても行きたかっただけに感動も一際大きい。いや、大きすぎる。

こうやって愛車と一緒に風景を撮影できるのも浅尾沈下橋では自転車のみというわけで、本当に今回ロードバイクで訪れてよかった。

f:id:offtama:20210905180222j:plain

f:id:offtama:20210905180226j:plain

同じようなカットで何枚か撮ってみる。

こんな風に、沈下橋の周辺に家屋が集まっているところは高知の中でもかなり珍しいと思います。特に四万十川に架かっている沈下橋だと橋の周辺にはなにもなく、橋の向こうの見えないところにこじんまりとした集落があることが多いです。しかし、浅尾沈下橋の周りにはたくさんの民家が密集していて、まさに地元の方にとってはなくてはならない存在といったところ。

あと、この視点から見る景色の「向こうへ抜けていく感」が強い。

一番手前にあるのが標高が一番低い仁淀川と沈下橋で、その向こうの丘陵地帯にあるのが集落、一番奥にあるのがさらに背が高い山々。奥行きが徐々に奥へ奥へと増していく感じが、この風景のスケール感に拍車をかけている。

f:id:offtama:20210905180439j:plain

f:id:offtama:20210905180443j:plain

f:id:offtama:20210905180435j:plain

f:id:offtama:20210905180623j:plain
反対側から

今回は平日に訪問したせいか、自分以外の観光客は皆無でした。

休日になるとものすごい人出で賑わうようなので、自分みたいに平日に訪れるのは結構アリだと思います。

f:id:offtama:20210905180229j:plain
対岸の河川敷にはサイクルラックがあって便利。あと、鮎釣り用の人の駐車場はここで受付をしているようでした。

f:id:offtama:20210905180447j:plain
対岸には田畑も広がっている。

f:id:offtama:20210905180451j:plain
対岸に止まっていたシャトルバス

浅尾沈下橋周辺はゆっくりとした時間が流れており、ここだけ自分が住んでいる世界ではないのでは、とも思ってしまう。

それは何も浅尾沈下橋に限ったことではなく、今まで見てきた仁淀川に関わる場所はみんなそうだった。

都会の喧騒、ストレス社会…そんなものとは無縁の澄んだ空気が高知にはあって、少なくとも自分の普段の生活では味わえない時間を過ごせたのは確かなこと。改めて日本という国の広さや、四季折々の風景の素晴らしさを実感している。

f:id:offtama:20210905180455j:plain
浅尾の集落

f:id:offtama:20210905180459j:plain
対岸の高所から浅尾沈下橋を眺める

f:id:offtama:20210905180503j:plain
仁淀川の流れは、最後まで青かった。

別にこれが最後というわけではないのに、何度も浅尾沈下橋の方を振り返ってしまう。

この快晴、湿度や気温の高さ、そして仁淀川の水の冷たさ。夏がもう終わろうとしているタイミングでこれほどベストな状況になってくれたことがまず嬉しいし、仁淀川周辺、そして高知の風景は「夏」を全力で楽しめるものだった。

この後は、にこ淵近くにある川又屋旅館で一泊したわけですが、蛇足になりそうなのでリンクだけ載せておきます。

おわりに

高知に限らず、四国は旅をする場所として、自分の中ですでに特別な存在になっている。

四国は山もあれば海も川もあり、山については適度な険しさもあってチャレンジ的な意味でも面白いところ。今回は高知県を訪問して美味しいものも食べることができたし、なんといっても仁淀川の魅力を再発見できたことが何よりも嬉しい。また機会を見つけて訪れたいと思っています。

おしまい。