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旅の記録、宿泊先や行程とか

【大内宿~昭和村~旧喰丸小学校】ロードバイクで秋の奥会津を走ってきた

秋の会津地方へ

今回は、ロードバイクで福島県を走ってきました。

秋の季節に福島ライドをするプランは実は夏頃からあって、当初の予定では磐梯吾妻スカイラインを走るのが目的でした。しかし例によって予定がずれ込んでしまい、気がつけばもう紅葉は散ってしまっているという状況。というかもう標高的に季節が秋ではなく冬へと移っており、磐梯吾妻スカイライン付近は凍結のために通行止めになるというニュースも見た覚えがあります。

ただ、紅葉というのは同じ県内でも、場所によって進み具合が大きく異なるのが特徴の一つ。標高が高いところがダメなら低いところに行けばいいじゃない!ということで、ちょっと南下したところにある南会津~奥会津を走ることに決めました。

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会津田島駅からスタート

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今回のルートとしては、南会津の中心部にある会津田島駅を出発して大内宿へと国道沿いに北上、その後は山間部をひた走りながら昭和村へ向かい、最終的には只見線沿いに至ってゴールという流れです。只見線沿いでは本数は少ないものの輪行が可能なので、只見線の時間を調べてから行程をざっくり決めました。

実を言うと、この週末に福島県に行くことを決めたのが金曜の午前中。突発的ということもあり、いつもだったらやってるような旅館の予約も今回は行っていません。

宿泊をセットにしなかったのは翌日の天気がなんか微妙という背景も関係していて、ライドを翌日に持ち越したものの帰宅するだけ、という流れにしたくなかった。夜通し移動してきて身体の方も正直クタクタなので、今回は日帰りです。

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国道121号から県道329号へ

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会津田島から緩やかに標高を下げていく国道121号とはここでお別れし、最初のポイントである大内宿を目指す。

このあたりの地形としてはすごくシンプルで、ひたすらにが連続しています。山の合間を流れている川以外の場所は基本的に平坦な部分はなく、朝の時間帯で冷え切っていた身体も早速温まってくる。

冬の寒い時期は日が落ちるのがとても早いので出発をなるべく早くとるのが順当なんだけど、あまりに寒かったので今回の出発は日が昇ってずいぶん経ってからでした。走り出してしまえばなんだかんだで寒くはないものの、意を決してスタートするまでが冬ライドの試練かと。

大内宿までの道中では、渓流と紅葉、あるいは落ち葉が一緒になった素敵な光景が広がっています。上りが急ということで渓流の流れも場所によって全く様子が異なっており、紅葉という静に対して明確な"動"が見ていて気持ちいい。大内宿までは200mほど上りましたが、それを横目に見ながらだと獲得標高もそんなに気にならない感じ。

大内宿を散策

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駐車場はほぼ満車でした

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大内宿の案内

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まずは大内宿に到着し、ここでしばし散策をしました。

大内宿は江戸時代の宿場町の一つで、会津と日光を結ぶ重要な道・会津西街道(下野街道)の宿場町として栄えたところ。実は今回のスタート地点である会津田島も会津西街道の一部で、図らずも宿場と宿場を結ぶように走ってきた形になりました。国道を逸れてからはずっと山道らしい山道を走ってきた中で、その先にいきなりこんな大きな町並みが登場してくるのは度肝を抜かれます。

この大内宿が明治時代以降もあまり形を変えずに今日まで残っているのは、主要な道路から離れた特殊な環境であることも要因の一つ。交通機関の発展してきた時代の流れがある一方で、この宿場町は観光地として受け継がれてきました。

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大内宿のメインストリート

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大内宿の特徴は、旧会津西街道の両脇に茅葺き屋根の民家が数多く立ち並んでいる点。その数はなんと30軒以上もあり、これだけの規模で残されているのはかなり珍しい。

全体を見ても茅葺屋根の建物には統一感があって、しかも建物の短辺側(妻側という)を通りに向けているという特徴があります。そのため宿場町全体がとても大きなものに感じられ、実際に現地を歩いてみると楽しかった。

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朝食代わりにこんにゃくをいただく。味噌が効いている上に熱いので冬にぴったり。

言葉にはしずらいんですが、大内宿は観光地ながらも観光地っぽくない印象を感じました。

福島県内で一二を争うほどの有名観光地…なのは間違いないものの、大内宿という集落、そこに住まわれている人の生活の傍らで観光やってますという感じ。すぐ裏手には集落としての生活感あふれる風景が広がっているし、土産物や飲食店だって観光を全面に押し出している風ではないです。

道行く客側の方が自然と軒先に歩いていって、そこに並べられている商品だったりを眺めていく。別に売り子がいるわけではなく、地元の方々の生活圏にお邪魔している実感を強く受けた。

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集落の一番奥には展望台がある

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観光雑誌などでよく見るアングル

街道を歩いていくと突き当りに階段があり、ここを上った先には展望台があります。

展望台からは大内宿の中心部が見渡せる上、若干斜め上から眺める形になるので集落の奥行きもよく把握できました。

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集落中央付近から脇道を逸れたところにある高倉神社

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集落から西へ少し歩いた先には田園が広がっていて、その脇には高倉神社という神社があります。

街道沿いの賑やかな雰囲気とは一転し、静かな空気が対照的。田んぼ周辺から周りの風景を改めて見渡してみると、集落の向こう側には紅葉に染まった山々がそびえているのが見えて気分が良い。ここには観光客もあまりおらず、次第に太陽が上ってきた時間帯を一人で味わってました。

まだ大した距離は走っていないにも関わらず、旅情的にはなんか後半戦に入ったような不思議な感覚になってしまう。大内宿の一帯はまるで昔にタイムスリップしたような情景が広がっていて、ここで過ごす時間はゆっくりとしている。この後の行程が完全にフリーだったなら、もう少し滞在して秋の澄んだ空気を満喫していたかもしれません。

次はまた別の季節に訪れることを予定して、大内宿を後にしました。

昭和村を目指す

さて、今自分がいるのは会津鉄道の路線にほど近い山の中。ここからは国道400号に合流し、峠越えをしてから只見線が通っている北西に向けて走っていく。

国道400号はスタート地点である会津田島を通過している国道なので、普通に行くのなら今まで走ってきた国道121号を逆走すれば合流することになる。でも同じ道を走っても新鮮味がないので、今いる大内宿からは県道131号~県道346号を走って国道400号に合流することにしました。

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この道が個人的には当たりで、交通量が少ない上に景色がいいという一石二鳥なルート。

道沿いにはぽつぽつと集落や田んぼがあり、なんというか「力を入れずに走れることができる」道でした。力を入れるというのは交通量が多かったり路面状況が悪かったりと、要はいつも以上に集中する必要があること。このルート上ではそんな要素はなくて、自然があふれていて周りの風景を横目で流しながら走るのにちょうどいい。走る道が全部こんなんだったらいいのにと誰もが思う道って感じ。

こういうおすすめルートって地元の人がよくご存知だろうと思うけど、適当に引いたルートでこういう道に出会えるとかなり感動します。

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その後は無事に国道400号に合流できたので、ここからしばらくの間は上りが続きました。

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紅葉真っ盛り

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で、この国道400号沿いの景色がもう最高の一言。

まさに紅葉が一番いいタイミングで訪れましたという通りで、右を見ても左を見ても紅葉という状態で感激するしかない…!特に舟鼻峠の前後数km区間はご覧の様子ですよ。青空+木々の黄色&赤色という色彩の組み合わせが、まさに"秋の山"というイメージ通り。

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やっぱり、木々って太陽に照らされているときが一番美しく感じる。曇りのときと比較すると鮮やかさが+100%くらいになってくれるし、自分はこのシチュエーションが好き。

ただ、毎回ベストのタイミングで各地を訪れるのは正直難しい。

紅葉は桜と同じく、訪れるタイミングと場所によって見頃かどうかがすぐに変わってしまう。しかもタイミングに関しては毎年微妙に変わるので予定を立てづらく、これに加えて晴れや雨といった天候も関係してくる。それらがすべて揃った状況というのはかなりレアです。
地元だったら距離が近いのでニュースを見てからアクセスするまでがスムーズなんですが、遠方だとなかなかそうもいかず…。

春や秋はこういうケースが多々あるので、前もって予定を組むのはなるべく避けています。今回の福島については、紅葉情報を仕入れてから行動に移すまでのラグをできるだけ少なくしたのが功を奏しました。

旧喰丸小学校の大銀杏

舟鼻峠から先は昭和村に入り、ここから昭和村の中心部まで気持ちのいい下り基調の道。

昭和村はその名の通り昭和時代に入ってから誕生した市町村で、只見線に沿って流れる只見川の支流・野尻川のほとりに形成されています。

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昭和村では、上の写真のような特徴的な家屋を多く見かけました。

何という形式なのかはよく分からないものの、高めの1階&2階に加えて屋根裏部屋がある雪国ならではの造りなのかもしれません。屋根の色も赤や青、さらに緑色もあったりと比較的カラフル。

只見川の流域まで下ってくるとこういった家は姿を見かけなくなった覚えがあるので、ここ周辺の家屋だけの特徴だったり?

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遠くからでも一発で分かる大きな大銀杏が特徴

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そして、今回の行程で一番訪れたかった旧喰丸小学校に到着。

ここは1980年に廃校になった小学校を改修工事し、観光拠点施設として生まれ変わった場所です。昔の写真も見ましたが、かつての木造校舎のまま改修が行われていて、雰囲気はそのままに現代風になったというイメージ。開館時間は9:00~17:00、入場料は無料で誰でも入ることができます。

交流・観光拠点施設 喰丸小(くいまるしょう)・大銀杏 | 昭和村観光協会(福島県 奥会津)

この旧喰丸小学校の最大の特徴は、この巨大な大銀杏と木造校舎という組み合わせ。特に大銀杏については隠れた名所(隠れてないけど)で、地面に散った大銀杏の葉が、まるで黄色の絨毯のようになっている光景が有名。観光用ポスターなどにも採用されているくらいです。

今回の訪問タイミングでは銀杏の木全体が黄色に染まり切る直前くらいで、落葉についてはもう一週間先というところ。でも、これだけ心に残る景色が見れたんだから一週間くらいのタイムラグは気にならなかった。

大銀杏だけでも十分インパクトが強いんですが、背後に木造校舎があるというのが素敵だ。
大銀杏の見事な黄色の背景に、どこか懐かしさを覚える校舎がセットになって目に飛び込んでくる。ここにずっと佇んでいると、この一角だけ時代が違うような、次第にそんな気分になってきた。

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どこまでも上っていくような青空と大銀杏。心のなかに風が通り抜けていくような気持ちよさがある。

昼近くになって気温も上がってきて過ごしやすいし、秋の土曜日の過ごし方としては申し分ない。思い切って遠方まで出かけてきてよかったな。

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小学校の中へ

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小学校の外観を味わったので、次は内部へ入ってみます。1階には職員室跡や観光案内所、それに昭和村の各地を撮影した写真などが展示されていました。

観光名所の割には意外と人が少ないと思ってましたが、自分が中を散策している途中で観光バスの一団がやってきたりとやはり有名どころのようです。大銀杏が完全に見頃になる前でこれなのだから、落ち葉が本格的になる一週間後はとんでもない混雑具合になってそう。

見頃になるちょっと前に訪問する、というのは案外ベストタイミングなのかもしれません。

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教室

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校舎裏の林も紅葉していた

小学校の中はこんな感じで、耳をすませば生徒や先生の声が聞こえてきそうになるくらい保存状態が良いです。

木製の机や椅子、オルガン、黒板はもちろん、教科書や掲示物までそのまま。展示やイベントができる多目的室もあり、予約をすれば誰でも使えるという自由さがあります。今回は、1階奥の部屋で服の販売をされていました。

全国各地でこの旧喰丸小学校のような廃校跡に出会いますが、廃校になったまま崩壊するのを待つだけというところは少なくありません。そのまま朽ちていくのはあまりももったいなく、宿泊施設や資料館といった何らかの形で保存されているのは嬉しい限りです。こうして校内を見て回る中で、この地を訪れてよかったと強く思えてくる。

只見線の駅へ

今回目当てにしていたスポット、主に紅葉メインの散策はこれで終了。

後は無事に只見線の駅に向かい、輪行でスタート地点に戻ればフィニッシュです。

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道の駅で昼食にしようかと思ったけど超混んでたのでやめた

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昼食の代わりに、たまたま遭遇した豆腐屋のドーナツを購入。その場でレンチンしてくれるので温かい

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国道400号を北に走って只見川に合流

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只見川の下流に走っていく中で、只見線の車両を見れた

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地味にアップダウンが連続する只見線沿線

旧喰丸小学校から先は、順当に国道400号を只見川方面に走っていくシンプルなライド。

只見川に合流してからは、只見線の時間を気にしながらちょうどいい感じの駅まで走ることにしました。なんせ只見線は本数が非常に少なく、駅で長い時間待つよりはちょっとでも下流に走った方が満足度が高いと踏んだからです。

只見川のほとりは平坦かと思いきやそうではなく、小刻みな上り下りが頻出する苦手なタイプの道。只見川自体がグネグネしている川なので、それに並行する道路の方もカーブのRとかで地味に斜度があるみたいです。

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只見川にかかる橋を見下ろせるビューポイント

そのまま特にここの駅から輪行する!という目的もなく会津若松方面へと走っていき、最終的には「第一只見川橋梁ビューポイント」あたりで日没を迎えました。

しかし、この周辺は川面との高低差がこんなにも遠くなったり、逆に近くなったりと景色的に忙しい。でも短距離で見晴らしがいい景色に出会える道ともいえるので、特に紅葉の季節は走るのが楽しそうでした。

谷みたいに切り立った地形の中に架かる橋、その向こうに見える山々。スタート地点である会津田島とは全く異なる眺めを、比較的短距離移動するだけで楽しめるのは会津地方の魅力の一つかと思います。

逆にこの只見川を上流側に走っていけば、以前宿泊した栃尾又の自在館方面(魚沼市)に行くことができる。別の行程で走った場所が近くにあると、「道はどこかに繋がっている」ということを思わずにはいられない。

ロードバイクに乗っている限りは、この道の上を走っていける。旅の移動手段としてのロードバイクは、やっぱり自分の性分に合っているらしい。

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最後は、只見線の郷戸駅から帰路につきました

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電車が来なかったら絶望してましたが、無事に来てくれました

夕焼けに染まる只見川の景色をひとしきり見渡した後、近くの郷戸駅まで走ってフィニッシュ。

週末、突発的に数百km先の場所でライドするのは深夜テンション的な意味でかなり楽しい。走るルートを決めないのも今回はなぜかうまくいってくれました。

おしまい。