今回は、ロードバイクで北海道を走ってきました。
夏が過ぎつつあるとは言ってもまだまだ気温が高い日が続いています。そんな中で本州を走るよりは、涼しくて過ごしやすい北海道を選んだほうが満足できると判断。幸いにも予定していた日程は天気もかなり良いらしく、そうと決まれば躊躇している場合ではない。行かない理由を探すよりも、行く理由を探す方が自分の性格に合っている。
今までの北海道ライドでは北海道の真ん中(札幌~美瑛~富良野あたり)あたりを走ることが多かったので、今回は北海道の南方、函館~小樽周辺を選びました。行程としては以下の通りです。
- 1日目…函館空港~函館散策
- 2日目…洞爺湖~羊蹄山~岩内
- 3日目…岩内~積丹半島~神威岬~余市~小樽
上記の2泊3日のプランで、回る場所、走る道は例によって当日決めるというスタイル。結果的には3日とも晴れてくれたので大満足に終わりました。天気については自分の力ではどうすることもできないので運が良い。
坂の街を走る
そういうわけで、今回の記事は函館散策編となります。
函館は日米和親条約によって下田とともに開港した港町であり、歴史的に重要であると同時に貿易で様々な国の文化が入り込んできた魅力的なところ。街並みには洋館や教会、和洋折衷の建物などが立ち並ぶ情緒ある風景が広がり、端的にいえば異国情緒を楽しむことができます。
日中はそうした街の雰囲気を満喫し、夜は世界三大夜景で有名な函館山に上って美しい夜景に酔いしれる。今日のテーマはこれだ。
函館への移動は、今回は航空機を選びました。
青森方面から航空機で飛んでくるとまず眼下に津軽海峡が見え、次第に函館の町並みが迫ってきます。そうこうしているうちに函館空港に到着して、旅はここから始まる。
旅の移動手段の一つとしての航空機は速度の面で便利な他に、これから散策、あるいは走っていく旅先の様子が俯瞰で見えるのが何よりも好き。全体像を把握するというか、自分がこれから降り立つ地が一望できるというのは興奮してくる。
KUALISに乗り始めてからDi2の飛行機輪行はもう何度目かになるので、これについてはいい加減慣れました。慣れたといっても普段の輪行からバッテリーを取り外すだけなので、差異は1分くらいかな。Di2での公共交通機関利用は敷居が高くないから楽で良いです。
で、気になっていた北海道の気温はもう快適そのもので、この日の最高気温は26℃。加えて湿度も低く、函館に降り立ったのが昼過ぎなのに関わらず汗をかかない。やはり夏場は北に行くに限る。
五稜郭にて
函館空港から函館市街方面へ向かう前に、まずはその途中にある五稜郭を訪問することにしました。
散策という観点で見ると、ロードバイクだと行き先を比較的自由に決められるのが何よりも便利だと感じます。「あ、ちょっとここ寄りたい」というのが簡単にできてしまうので。
五稜郭に到着。
実は自分は函館を訪れるのが初めてなので、今日の函館散策は奇をてらったものではなくオーソドックスな観光スタイルとなっています。
函館の地を知るには代表的な観光スポットを訪ねてみるのが良いと判断し、それ以外の自分好みな場所は適宜探していく感じ。変なところでこだわりを持つ必要はない。
五稜郭は自分が好きな漫画「ゴールデンカムイ」でも登場した歴史的に有名な城郭で、今は公園として整備されています。中に入ってみるとまさに公園そのもので、平日にも関わらず地元の方や観光客が多い様子。緑が溢れているので気分的にも爽快になれるほか、とにかく広いので歩くだけでも「城」感がありました。
というか、ゴールデンカムイを読んだから函館に行きたくなったというのももちろんあります。特にあの最終決戦を見たら、誰もが函館に行きたくなると思う。
ただ、そんな五稜郭をただ歩いて終わりというのは流石にもったいない。その特徴的な星形の五角形を上から眺めるために、すぐそばにある五稜郭タワーに上ってみることをおすすめします。
自分は当初すぐに函館市街へ移動するつもりだったのが、遠くからでも確認できるこの五稜郭タワーが気になったので立ち寄ることにしたというのが事実。これほど高い建物は近くにはないので、函館の町並みを全方位抜群に俯瞰できるに違いない。
そしてこれがタワー上からの眺め。
さっき自分がいた場所が、実は巨大な五角形の陣地だったというのが如実に示されている。平地で理解できることには限りがあって、こうやって上からでないと五角形であることはなかなか感じ取れない。これを見れて本当に良かったと思っています。
これは旅にも結構当てはまる部分があり、同じ場所でも視点によって全く異なる雰囲気を感じられることがありますよね。一度そこに行ったからもう行かないではなくて、常に新鮮な視点を探し続けていきたい。
もちろん五稜郭タワーからの眺めは五稜郭だけに留まらず、これから向こうベイエリアや函館山方面まで見通しがいいです。
こうして見てみると、函館って適度に自然に囲まれていて適度に都会な感じがする。タワー周辺が都会なのはなんとなく想像していましたが、周りには海や山があってなんでもある感がすごいです。何をするにも便利そうな街だ。
ちなみに五稜郭タワーは観光客がめちゃくちゃ多くて、ひっきりなしに人々がエレベーターで展望台まで上がってきては降りていくのを繰り返していました。一般的な夏休みが終わったし混雑は一段落したかなと思っていたのは、ちょっと認識が甘かったようです。
函館ベイエリアを散策
五稜郭を後にし、続いては大通りを走って函館駅方面へ。
函館の街には路面電車が走っているので、バスだけでなくこれに乗ることで移動が格段に楽になります。
特に函館の玄関口となる函館駅前やこれから向かうベイエリア、そして五稜郭公園前や湯の川温泉など、主要な場所に駅が設けられているのがポイント。決して誇張ではなく、路面電車による移動だけで観光が完結するくらいに便利な存在だと思います。これは積極的に活用すべき。
あと、やっぱり路面電車が走る街って個人的に好き。
なんだろう、建物と車という普通の風景ではなく、そこに加えてこじんまりとした電車がゴトゴトと走っていく光景。そういうのがなんか平和な感じがする。適度な速度もそれに一役買っているのかもしれません。
そんなことを思いながら函館駅前に到着し、今日の宿に荷物を預けて身軽になりました。ここから先は、夜になるまでひたすら函館の街を散策していきます。
ベイエリア(ウォーターフロント)に到着。
ベイエリアにはショッピングモールやイベント広場、飲食店、資料館などなど様々な店が立ち並んでいるほか、クルーズ船も運行しています。函館に来たらとりあえずここに来ればOK!というくらいに色んなことができるので、自分も深く考えずに訪れてみました。ここから函館山方面へのアクセスもいいし、ここを基点にして行程を考えるのがいいかなと思います。
店が多いというほかに、ベイエリア周辺はとにかく景色が良いのが特徴でした。そもそも港がすぐそこにあるということで風が心地いいし、特に目的もなくふらふらしているだけで気分が整ってくる。
ベイエリアで一際目を引くのが、この赤レンガ造りの建物群でした。
これは金森赤レンガ倉庫と呼ばれているもので、国際貿易港として外国からの輸入が盛んだった明治時代に建てられたもの。輸出入とそれらに関わる物品を保管しておく倉庫は切っても切り離せない関係で、函館だけでなく横浜や神戸、長崎など各地に残っていることからもうかがい知ることができます。
現在残っているのは大火で一度焼失し、明治42年(1909年)に再建された倉庫。倉庫としての役割はすでに終えており、飲食店や土産物店が集まるショッピング街として姿を変えていました。
ベイエリア全体の雰囲気がレトロなのはこの赤レンガ倉庫の効果が大きく、美しい青色に染まっている函館港と、どっしりとした安心感を与える赤レンガの存在が見事に調和している。視界に入ってくる色彩の感覚がたまらなくて、しばらくここでじっと佇んでいました。
海の色、空の色、建物の色、そして街路樹の色。その全てが色鮮やかで、頬を撫でる風は強くもなく弱くもないちょうどいい感じ。本州より一足早く秋の気配が感じられる時間帯に、ここを散策していることがもう感激だった。
そんな中で、昼過ぎに函館に到着したというのにまだ昼食をとっていないことに気がつく。夕食まで空腹がもちそうにないのでここで食べることにしました。
昼食の場所に選ばれたのは、函館を代表するハンバーガーショップのラッキーピエロ。
別にもったいぶったわけじゃないけど、函館で食事をするのならここ!と決めていたというのが事実です。以前フォロワーさんが函館を旅していたときにラッキーピエロに立ち寄られていて、そこでの食事がなんとも美味しそうだったのがその理由。自分としてはやはりその土地の食事を満喫したいと常日頃から思っているし、この選択はある意味で必然的じゃないだろうか。
函館市街を中心に数多くの店舗を構えているので、お腹がすいたら最寄りのラッキーピエロを探せばいいという気軽さがあります。マップを見てもらえばわかると思うけど、函館市内の各地にあります。
ラッキーピエロにはハンバーガーだけでなく、カレーやオムライス、焼きそばまであってレパートリーが豊富です。なので、そのときの気分にあった料理を選べばいいです。実際、店内でハンバーガーメインで食べている人は半分くらいでした。
今回は、ラッキーピエロといえばこれというくらいに有名なチャイニーズチキンバーガーを注文。不動のNo.1を誇る人気メニューです。
「ダントツ人気ナンバー1セット」を頼むとこのチャイニーズチキンバーガーに加え、ポテトに濃厚チーズがかかったサイドオーダーのラキポテ、ソフトドリンクとして本物ウーロン茶がついてきます。神か?
食べ進めていくと甘辛な味付けのチキンのボリュームがまず印象的で、これにパンとマヨネーズ、レタスの食感がプラスされてある種の中毒性があります。これにポテトが合わさるともう食べるのを途中で止めることができなくて、あっという間に完食しました。
途中で挟んだウーロン茶のさっぱり感が油っこさを洗い流してくれるし、このセットは王道を征く旨さがある。間違いない。
それにしても、今日は抜けるような青空だ。
これほどまでに清々しい日になるとは思っていなかった。
この時期の湿度を含んだ本州の空と違い、どこまでも突き抜けていきそうな開放感がある。ジメッとした感じが微塵もしないのは、北海道の良いところの一つだと思う。
坂の上から見る街並み
そんな感じで散策を続け、普通なら時間が気になるところですが今日は全く気にならない。宿は素泊まりなので夕食は外食で自由気ままだし、函館山の夜景の時間を考慮してもまだまだ余裕があります。
続いては、函館山方面にある坂道を重点的に走ってみることにしました。
上の写真をもとに説明すると、今自分がいるのが海抜ゼロメートル地帯であるベイエリア。そのまま上に向かっていくと函館山があります。つまりここから山の方へ向かうと徐々に標高が高くなってくるわけで、必然的に坂道が登場してきます。
函館の街並みの特徴の一つがこの坂道で、函館山への道と並行して数多くの坂道があるのが分かります。驚いたのはそのどれもに○○坂という名称が付けられているということで、古くから函館の人にとって坂は馴染みのある存在だったというのが理解できました。
観光においては坂=移動がちょっと面倒という図式もあるにはあるけど、函館山まで導いてくれる道と思えばわりかし悪くない。
今回は、その坂の中でも一番有名で人気が高い八幡坂を中心に散策。
これらの坂は基本的に石畳になっており、斜度が急(10%以上)なので歩道にはフラットな斜面と階段が一緒に併設されています。遠方から見た限りではそれほどではないものの、近くで見るとかなり急でした。自転車でなく車を運転する場合でもこれは結構怖いかも。
こんな道をロードバイクで走ろうなんて物好きは自分くらいしかいなくて、自転車でここを通っている人は見かけなかったです。中には自分がダンシングで上っているとなんか徒歩で張り合ってくる子供もいる状態。平和か。
坂の一番上にはあの北島三郎が通ったことで知られる函館西高校があり、その真下からの眺めがこちら。
美しすぎる…。
とても道幅が広い道の両脇に街路樹がそびえ、道には石畳。それでいて視界を遮るものは特に存在しておらず、ありのままの景色を味わうことができる。
ちなみに一直線に海まで下る坂道の向こうに見えるのは、かつて津軽海峡を渡っていた函館市青函連絡船の摩周丸です。青函トンネル開業に伴って廃止された航路の船を眼下に眺めながら、目の前に広がる実に函館らしい風景に感動を覚えました。
この八幡坂周辺は特に人気スポットになっているようで、観光客を乗せたタクシーがひっきりなしに巡回しています。あと平日だと時間帯によっては生徒を迎えに来る車も多く、場合によっては道の両脇に車が駐停車しているケースもあります。上の写真のように何もないタイミングは運次第。坂の上でじっくり待つのも一つの手です。
坂の上は左右に平行に道が走っているので、特に苦労もなく移動することができます。
八幡坂の近くにはカトリック元町教会や東本願寺函館別院、函館ハリストス正教会など宗教施設が並んでいました。歴史ある街にはこういう古い建物が集まっていることがありますが、他の場所と明確に異なっているのはやはり坂の上にあるという点。
着目しているその建物だけでなく周囲の家屋や、もっと言うとはるか遠方の港の風景も一緒に見ることができる。高低差という地形の特徴が風景に奥行きを与えているのは明白で、こんなにダイナミックだとは思ってませんでした。なんだろう、自分の視界が1.5倍くらいに広がったような錯覚を感じるレベル。
例えば長崎の街並みが好きという人なら、間違いなく函館も好きになるはずです。自分がそうなんだから間違いない。
その後は西方面へ進んで、箱館奉行所跡がある元町公園周辺を歩きました。
このあたりは八幡坂ほど観光客が集中しておらず、石畳の感触を味わいながら歩けるのが良かったです。公園の下には基坂と呼ばれる坂があって、道路というよりは広場のような面積があるのが驚きでした。
ちょっと足を伸ばして、ゴールデンカムイにも登場した旧ロシア領事館にやってきました。さっき訪れた元町公園の近くにある旧イギリス領事館といい、当時の領事館は坂の上にあるようです。眺めがいいからかな。
旧ロシア領事館は明治41年(1908年)に建てられたもので、昭和19年(1944年)まで使用されていたそうです。現在では外観のみの見学が可能です。
建物の前の坂の斜度がヤバいことになってますが、このあたりの坂は基本こんな感じなので移動が大変そうです。でも住宅地なので家屋は多いし、車による移動がメイン…なんでしょうか。
しかし、これだけ一直線な急勾配の坂道があるのは気持ちがいい。ブレーキをいっぱい握りしめてゆっくりゆっくり下って行きたくなる。
ふたたび件の坂道エリアへ帰還。素晴らしい風景は何回でも見たくなる。
時間が過ぎて影の具合も変わってきているので変わらず新鮮味があるし、いずれにせよ空が広く見えるのは良いことだ。背の高い建物が少なくて、引いて見たときに建物群に凹凸がないので余計にそう感じる。
青森県を眺めに
坂道を満喫した後は、ベイエリア周辺から離れて立待岬に向かいました。
立待岬は函館山の南東に突き出ている津軽海峡に面した岬のことをいい、周囲を断崖絶壁に囲まれた地形にあるところです。
というわけで立待岬に到着。
一般的に函館山の眺めとして有名なのはベイエリアから見る正面部分で、それに対してこちらから見えるのは函館山の側面部分。こんもりとしている様子がよく分かりました。
で、この岬から見えるのは本州最北端にある青森県の下北半島です。特に下北半島の突端にある大間崎はマグロ漁で有名で、自分も以前ロードバイクで走りました。今となっては良い思い出だ。
こんな風に、以前訪れた場所が異なる視点から見えるとテンション上がりますね。青森 or 大間~函館間はフェリーも出ているので、双方への移動はかなり楽なようです。青森県から函館には、新幹線でも船でも移動できるので便利そのもの。
ひとしきり津軽海峡を眺めて感傷に浸った後は市街地に戻りました。
立待岬から路面電車の谷地頭駅(立待岬の最寄り駅)へ向かう道中には広い墓地があり、その一角に石川啄木の墓がありました。そういえばゴールデンカムイでも石川啄木登場してたよな。こんな見晴らしのいい場所に墓があるのは、個人的には羨ましい。
時間の方は、夕方から夜に差し掛かっています。
再度ロードバイクを駆って市街地からベイエリアに戻り、夕日に照らされる街並みを眺めて時間を過ごしました。
夕日の時間帯は陽光にオレンジ色の成分が強くなり、赤レンガの建物はより鮮明に見えました。海についても、日中とはまた異なった色合いになってくれて気分的に落ち着く。いい塩梅だ。
同じ場所でも、時間帯や天気によって受ける印象は全く異なる。今までの旅ではとにかく色んな場所に行こうとばかりしていたけど、あえて同じ場所を複数回訪れてみるのもいいかもしれないと思っています。
気温もここにきて更に涼しくなっており、半袖ジャージでは立ち止まっていると全く暑さを感じません。
早めの夕食は、ベイエリアに近いカリフォルニアベイビーというお店でシスコライスをいただきました。
シスコライスは函館市民のソウルフードという存在らしく、見ての通りボリューム満点。開店から30年以上愛されて続けているその味は絶品で、山盛りのバターライスの上にたっぷりとかかったミートソース、そこに大きなソーセージが2本乗っかっています。これまた美味しすぎて一瞬で完食。ごちそうさまでした。
濃い味付けかと思いきや、ライスが割とさっぱりしているのでスッと食べられると思います。おすすめ。
店内は天井が高くて開放感があり、シスコライスの味も含めてどこか懐かしさを感じることができました。ベイエリアはこんな感じで飲食店が多く集まっているので、食べるお店には困りませんね。あれこれ色々食べたいのに満腹になってしまうという、良い意味で困るけど。
函館山の夜景
さて、この日のメインディッシュは函館を訪れた観光客のうち、100人いたら99人は訪れると言われている函館山です。
函館山からの夜景は世界三大夜景の一つとして世界に知られ、特に説明不要な夜景スポット。標高334mから見る函館市街の様子は、どんなにか美しいだろう。
定番といえば定番ですが、自分としてはその定番を楽しみにやってきた。夜景が最も美しく見えると言われている、日没から30~40分のタイミングを見計らっての訪問です。
函館山ロープウェイ山麓駅の近くには無料の駐車場はなく、車で訪れた場合は有料の駐車場に止めるしかありません。函館に宿を取っている場合はタクシーを使うか、路面電車の駅から歩くことになります。
が、バイクや自転車といった二輪車はその限りではなく、なんと山麓駅の目の前の専用駐車場に無料で止めることが可能です。これが本当に便利で、ロードバイクで来てよかったことの一つ。あまりにも便利すぎる…!
後はロープウェイに乗って片道約3分の空中散歩を楽しんだ後、山頂駅へ到着。頂上に向けて静かに上昇していく中、自分の中の興奮度が徐々に高まってくるのが実感できる。
まだ日没からそんなに時間が経っていないので周囲は明るく、空には美しいグラデーションがかかっていました。ここだけ切り取っても十分満足できるレベル。
観光客は自分とほぼ同じ時間帯を狙って上に上がってくるので、例えば休日で天気が良い場合はとんでもない混雑になることが予想されます。今回は平日だったのにも関わらず、頂上に到着した時点ですでに人だかりができてました。
そして待つこと約20分後…。
あまりにも美しすぎる。
「函館の夜景は一度は見たほうがいいよ」と聞いていたが、まさかこれほどとは。
広大な視界の中に街の灯りが浮かび上がって、しかも遠くからだとそれらが動いているのがとてもよく把握できる。比較的近いところから遠方までくっきりと見えるのは天気がいいからに他ならず、この日に函館を訪れることを決めて本当に良かった。
ちょうどいい標高の函館山から眺める、ちょうどいい距離感の夜景。距離的には確かに遠くに存在しているものの、まるで手を伸ばせば届いてしまいそうなくらいに近くに感じました。
あと、「夜景の両側に海が見える」のも函館特有の景色だと思います。普通だったらどちらか片方にしか海は見えたりしないのに、ここでは函館湾と津軽海峡を同時に見ることができる。これは函館でしかできない体験だ。
夜景を形作っている灯りは、いずれもすべてが函館の人々の生活に関係しているもの。そうした一つ一つの照明や街灯が集まってここまでの幻想的な風景を生み出している。ロマンチックこの上ない。
しかもこの日は中秋の名月の前日で、頭上は月はというとほぼ満月に近い真ん丸な形。その明るさはかなりのもので、すでに暗くなっている函館の空にもはっきりと見ることができました。
もっと言うと、次第に夕方から夜へと切り替わっていく様子をここから眺めることができたというのが一番嬉しいです。単に到着した時点で夜だったら夜景しか見れないものの、夕方の澄んだ空模様から少しずつ潜まっていく様子。空色が暖色から寒色へ切り替わっていく過程。そういう時間の流れを味わえた。
この函館山にいるとあっと言う間に時間が過ぎ去ってしまう。そんな贅沢なひとときでした。
興奮冷めやらぬまま下界に降りてきた後は、付きを眺めながら函館山近辺をライトライドしてました。
街灯の灯りに照らされるレトロな街並み。日中の観光客の多さはもう感じられず、自分一人の時間を満喫している。
明日に備えて今日は早めに寝ようと思っていましたが、結局夜の散策が楽しすぎて宿に帰ったのは遅い時間でした。まあこれはもう仕方ない。函館の雰囲気が良すぎるから。
こんな感じで、半日とはいえ濃い時間を過ごすことができた函館の散策は終了。次の日からは本番となる積丹半島をロードバイクで目指していきます。
函館は正直もっと時間をかけて回りたかったというのが正直なところで、個人的にまた再訪するのが確定しているほど好きになった街。今度は冬にでも訪れてみようかなと思っています。
おしまい。
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