浅野屋料理旅館 昭和初期創業 郡上市白鳥の静かな木造旅館に泊まってきた

今回は、岐阜県郡上市白鳥にある浅野屋料理旅館に泊まってきました。

白鳥は観光地で有名な郡上八幡(郡上市八幡町)から北部へ約20kmほど行ったところにある町で、そのまま北へ行けば白川郷、西へ行けば福井県大野市へ到達できる岐路に存在しています。
岐阜県は南部以外とにかく山が多く、その影響で基本的に主要な道路は南北に走っているのが特徴。しかし白鳥はほどよい距離のところにあって個人的に行きやすく、今回は道路脇に残る残雪を眺めながらロードバイクで向かいました。

浅野屋料理旅館の創業は約90年前の昭和初期で、当時から増築を繰り返して今の形になっています。ただ古い年代の構造はそのまま保っており、現在でも白鳥で変わらず営業を続けられている老舗。経営においてはその名の通り「料理」に重点を置かれていて、今回の宿は雰囲気に加えて美味しいものをお腹いっぱい食べたい、と思ったときに候補に挙がりました。

また、浅野屋料理旅館はミステリ作家として有名な内田康夫先生が以前訪問し、白鳥及び当館を舞台にした作品「白鳥殺人事件」(1999年)を執筆されたことでも有名です。当時滞在された部屋もそのまま変わっていません。

もくじ

外観

美濃市から郡上八幡を結んでいる国道156号は交通量こそ多いものの、左右を山に囲まれた典型的な岐阜県の風景が広がっていて走るのに向いています。

間を流れる長良川に沿うように長良川鉄道というローカル線が走っていて、この路線の沿線を走るだけで満足できるレベル。郡上八幡で折り返すと半日+αくらいで帰ってこれるので、個人的に暇なときはここばっかり走っています。

冬はもう終わったかと思っていたものの、ここらへんはもう岐阜県における積雪地帯に入るので日陰には雪がまだまだ残ってました。

とあるお店の前にいた猫
長良川鉄道に遭遇できてレア
美濃白鳥駅

郡上八幡から走って白鳥に到着。

浅野屋は交通量が多い国道沿いではなく、そこから道を一本入った越前美濃街道の近くにあります。美濃白鳥駅に続くこの町並みは静かな雰囲気を維持しており、行程の最後の最後で喧騒がなくなる感覚が印象に残りました。

というわけで、まずは外観から。

表通りから確認できるのは旅館の正面部分で、1階に玄関、2階に宴会場として使われている大広間が見えます。外観から分かるのはこれくらいで、というか表通りに面しているのはここの一角だけ。

浅野屋料理旅館の大部分は鰻の寝床のように奥へ奥へと続いているため、ここからではその全容が全く分かりませんでした。泊まってみて初めて全体が把握できるということで、自分好みな構造といえます。

館内散策

玄関~中庭

チェックイン時間(16:00~)になったので、玄関を入って屋内へ。ここで女将さんが出てこられ、浅野屋料理旅館での滞在が始まりました。

浅野屋料理旅館の構造をざっくりと説明すると、まず表通りには「L」の形に棟が面しています。Lの下の横線部分が上に示した玄関部分で、左の縦線部分には宿泊者が泊まる部屋やお風呂場などがあります。
「L」の棟のさらに奥側には2階建ての客室棟が存在していて、両者の間には中庭と池があるという風流な造り。従って、大きく分けると棟は2つあります。

玄関前には多種多様な植木が植えられているのに加え、たぬきや巨大な水瓶、竹、灯籠など色んなものが飾られていてなかなかカオスなことになっていました。

玄関を開けると正面に上がりの部分があり、右奥に見えるのは2階へと続く階段。

後述しますがこの階段の先は大広間へと繋がっていて、宴会などをする際にはすぐに玄関から向かうことができるように動線が単純化されています。確かに宿泊しない場合は他の部分を歩く必要はないし、これはよく考えられているなと思いました。

この正面箇所にも様々な置物が置かれていて、一見すると雑多なようにも見えるけどこういうのは個人的に好きです。

玄関すぐ左には別の部屋がある
宿泊者の動線は左方向
ロードバイクは玄関土間に置かせていただきました。

この玄関部分、実は宿泊者は素通りするだけだったりします。

大広間にすぐ用事がある人はここで靴を脱ぐ形になるのに対して、宿泊者、つまり客室に向かう人はこのまま玄関土間を通って建物奥側へと向かうことになります。なのでここは玄関というよりは通路という意味合いが強く、奥まったところに歩いて向かうというのが秘密基地感があって好き。

履物を特に履き替えることもなく、屋内にいながら靴のまま歩く距離が多いというのは宿泊施設においてあまり見ない形式です。同時にここまで玄関土間が長いのも珍しくて、玄関土間が広い=外履きのまま行動する必要があるからこうしたっぽいです。積雪の多さとかが関係しているのかも。

正面奥の扉まで進む。左側に厨房がある。
居間の一部が開け放たれていた。元々は帳場だったような感じ。
奥の扉から玄関方面を見る

動線に従って進んでいくと比較的幅が狭い通路が奥へと伸びていて、一番奥の扉を出れば中庭があります。

そこまでの道中の雰囲気は上の写真の通りとなっていて、まず左側には料理旅館の心臓部である厨房がありました。厨房をちらっと覗いてみたところかなり広く、旅館そのものの規模が大きいので設備も整っている様子です。

左側に対して右側には障子戸で区切られた居間が連続していて、真ん中の箇所については障子戸がなく開け放たれていました。ここは昔は帳場だったらしく、箪笥や衝立、囲炉裏などが所狭しと密集していて見ごたえがあります。狭いほうが落ち着く自分としては、こういうこじんまりとしたスペースは心が和らぐ。

奥側の障子戸の部屋からはテレビ音が聞こえてきたので、旅館の方の生活スペースになっているっぽいです。

中庭~宿泊棟~大広間

この通路の最奥にある扉を開けると、中庭及び池がある開けた場所に行き着きます。

場所的にも旅館のちょうど中央部に位置し、ここから各方面へ向かうことができる分岐点がここ。なので滞在中はここを何度も通ることになって、雰囲気の良さに浸ることができました。
玄関から屋内に入ったかと思えば、ワンクッション置いてまた屋外へと出ている。そして各人が泊まることになる客室へと再度屋内に入る形になって、外と中を行ったり来たりできて不思議な感覚でした。

思えば、表通りに面することができる家屋の幅(間口)は限られています。
道と建物を出入りするためには多くの建物を通り沿いに並べる必要があって、その上で建物の面積を広げようとすると奥行方向しかない。でも奥へと建物を連続させていくと閉塞感があって、奥から玄関へ向かう途中、あるいはその逆でも行きが詰まりそう。

そんな中で、中間ポイントにこのように「屋外」を設けてやることで、その閉塞感を解消できます。明確な空間の広がりによって自分も開放感を感じられたし、滞在中のことを考えた見事な建築だと思いました。

左方向が、同じ棟における宿泊部屋方面
橋の向こう側の宿泊棟

中庭に出て、左方向に沿って歩いていくと今までと同じ棟における宿泊部屋方面(説明しにくい)へと入ることができます。

逆に正面に進むと、池にかかっている橋を経由してもう一つの宿泊棟へと繋がっていました。

池についてはこんな感じで、雪を防ぐために左半分には覆いがされていました。

池の周りにある苔むした岩や木などには溶け切っていない雪が残っていて、冬ならではの静かな季節感を感じることができました。
もちろんここは屋外に面してはいるものの、通路には広い範囲で天井部分がある。なので普通に玄関方面から歩いてきただけではすぐには屋外に出たということが分からないところが、視界の中に雪が入ってくると一発で屋外だと分かります。だって上が開けていないと雪がここまで到達しないんだから。

他の季節だったらまた感じ方も変わるんだろうけど、これに関しては冬に訪問したことがとてつもなく良い方向へと働いてくれました。まるで季節が音もなく、今は冬ですよと教えてくれているようだ。

宿泊棟前から厨房方面を見る
大広間方面を見上げる

池に架かっている短い橋の上にも屋根がちゃんとあって、天候に関わらず宿泊棟と玄関方面へ行き来は問題ありません。

この中庭部分は個人的に一番気に入った場所で、特に今回泊まった部屋は見通しが良くてこの中庭がすぐに見えるんです。夜は灯りが優しく一帯を照らしており、屋外の様子がよく見えない一般的な客室に泊まっているだけでは味わえない体験ができたことも良かった。

とにかく、各客室の配置からすると中庭をすぐそこに感じられる部屋に泊まれる率は高めだと思います。そうでなくても、たまにここを通るときには「外」の雰囲気を感じてみてほしい。


続いては中庭に出たところから建物に沿って左に進み、最終的に大広間へと続く屋内部分を歩いてみます。

動線は通路から上がり框を経てスリッパへと履き替えた後、そのまま直進するか階段を上がって2階へ行くかの2通り。これらのうち、1階にはお風呂場があるので宿泊者は必ず通ることになると思います。

というわけで、まずは1階から。

階段を横目に見ながら進むと最初に洗面所があり、廊下を右に折り返した先にお風呂場と客室がありました。

お風呂場については大と小の2箇所あって、いずれも家族風呂形式。空いている方を好きなタイミングで入ればOKです。夕方以降になると宿泊者が大勢到着するので、1箇所では足りないということで2箇所設けてあるようです。

お風呂場「小」の脱衣所
お風呂場「小」の浴室
お風呂場「大」の脱衣所
お風呂場「大」の浴室
客室の入り口。廊下部分が畳敷きで、客室とは障子戸で区切られている。細長い間取りの様子。
高級そうな棚

お風呂場と客室についてはこんな感じで、お風呂場は一般家庭にあるようなタイプ。

今回は最初に宿に到着したのが自分だったので、「大」の方に入りました。この日の日中は晴れていたとはいえかなり寒く、白鳥自体も気温が低くて残雪が多く残っているほどでした。そのぶんお風呂の気持ちよさは倍増するというわけで、後続がいないことをいいことに結構長湯してました。

続いては、大広間がある2階へと向かいます。

2階へ

幅が狭い階段を上がると分岐があって、左へ進むと大広間、右へ進むと客室があります。廊下の配置や洗面所がある場所も基本的に1階と同じで、明確な差異は見られません。

あと、関係ないけどこういう廊下に小さな椅子や机が置かれているのが個人的に好きだったりします。

すぐそこに客室があるのでここで一休みすることはたぶんないだろうけど、それでも「休憩ポイントが設けられている」という事実が精神を和らげてくれる。単に廊下=客室へ向かうための道筋というだけでなく、一見すると無駄に見えるものを置くことで建物としてのまったり感が感じられるような気がする。

廊下を正面に進むと右側に格子戸がある一角があり、その向こう側には謎のミニチュア庭園みたいな場所になってまいした。

2階の客室は1階でお風呂場の対面にあったものと、それからお風呂場に相当する箇所に2部屋あります。

これらの客室はいずれも客室同士が離れているので他方の物音が聞こえづらく、部屋の前にはその部屋専用の廊下(名称が分からん)が通っていて空間的な余裕があります。廊下からすぐに客室、という配置ではなく、その間に遷移域として廊下を設けた上で棚などの品を飾っている点が優雅だ。

古い建物はどこも壁が薄いので防音性が気になるものの、ここでは単純に部屋同士が隣り合っていないので安心して過ごせると思います。後述する宿泊棟の方は実際に泊まった結果、音が問題になりそうな予感がしたのに対して、泊まるのならこっちの方がおすすめかな。

階段を上がって、今度は左側に進んだところの風景がこちら。

まず最初に洗面所、次いで男女別のトイレがあり、その奥が大広間になっています。何回も言うけど大広間では基本的に宴会をしているので、洗面所やトイレが近いのは配置として正しい。

この一角は、今まで見てきた場所とは明らかに時代が異なる新しさを感じました。たぶん浅野屋料理旅館自体が宿泊よりは大広間メインで運用することが多いので、人の出入りが多い場所は優先的に改修されているんだろうなと思います。

大広間
ステージ

廊下の先にある大広間の様子はこんな感じで、昔から今に至るまで多くの人がここで賑わっていたことを思わせるほどの豪華さがありました。

大広間はその旅館で一番広い面積を誇っている場所で、大人数を収容できるのはもちろんのこと、ステージも完備しているので様々な用途に用いることができそうです。最盛期は毎日ここで宴会とかやってたんだろうな。
部屋の広さに応じて天井に多くの照明があって、明るさは十二分でした。

構造としては廊下から入って左側にステージがあり、正面奥に見える窓がさっき表通りから確認した2階部分にあたります。最初はまさかここに大広間があるとは思っていなかったけど、こうやって散策して構造を把握してみるとなんか良い気分になる。

大広間は夕食や朝食のときに訪れることになり、上の写真の通り、部屋別に各テーブルが割り当てられている形です。他の宿泊客との間に特に仕切り等はないのである意味丸見えで、気になる人は気になるかも。

大広間の前の廊下

大広間の前には廊下を挟んでもう一つの客室があり、その先の階段を下ることで1階の玄関に行くことができます。つまり建物の両端に階段がある構造になっていて、どちらからでも1階と2階の行き来が可能です。

玄関でも同じことを思ったけど、玄関を入ってすぐに階段があり、そこを上るだけで大広間に行けるというのは宴会のときにとても便利。

日帰りなのにわざわざ旅館の奥の方まで移動する必要はないし、そもそも昔の建物は通路が狭くて、しかも酔った状態で長い距離を歩くのは好ましくないもの。そんな場合に大広間からスッと玄関まで移動できて、後は送迎で旅館を後にする…という流れがスムーズに行えるのは利便性が良いですね。

例えば大広間がめちゃくちゃ奥にあるような構造だと屋内⇔屋外の移動が大変になってしまうのに対して、浅野屋料理旅館の玄関周辺の構造は「客の動線」という視点から見ると実に素敵。今は移動が苦にならないけど、自分が老人になったときにそれを深く理解できそう。

宿泊棟~今回泊まった部屋

玄関側の建物の散策はこれで終了。

最後は、今回泊まることになる宿泊棟を歩いてみました。

橋を渡って宿泊棟の入り口に到着し、ここで履物を履き替えて屋内へ。棟の入り口には戸などがなく、屋外のまま建物へと入っていく感じです。

一段上がったところ(スリッパが置かれている木材が新しめの部分)は右側に廊下が伸びていて、この突き当りにトイレがあります。宿泊棟のトイレはここにしかなく、2階に泊まっている場合は1階に下りてくる必要があります。

トイレには男女の別はありませんが、設備は全体的に近代的で快適に使用することができました。

建物は古いけど、滞在中の快適性の観点から洗面所やトイレを新しくしている旅館は良いですね。
建物自体は古いままというのは雰囲気としてとても良いのに対し、水回りはやはり現代風にしたほうが快適。現代の宿として運営していく上で、取捨選択して「良いところ」だけを残すセンスが良い。


入り口に戻って先に進むことにして、さらに一段上がると正面と左右に廊下が繋がっています。

左右の廊下の先はそのまま客室の障子戸に面していて、その廊下の途中にはドアが後付けされていました。日本家屋特有の廊下~障子戸という組み合わせでは鍵を付けるのが困難であるため、このような形を取っています。

正面の廊下の先には細い階段(浅野屋料理旅館で一番細いのでは?)があり、踊り場で折り返して手前側に上った先に2階の客室があります。こちらも後付けでドアを設けた結果、廊下の途中にドアが斜めに付いているという奇妙な配置になっていました。

以上が宿泊棟の構造の全てで、客室としては1階に2部屋、2階に2部屋の合計4部屋あります。

いずれも廊下を挟んでいるので隣り合ってはいませんが、いかんせん廊下と客室との境界が障子戸なので防音性は皆無。滞在中はお互いに物音に注意したほうが良いです。


今回泊まったのは、その宿泊棟1階の右側に位置する「たけ」の部屋。

広さは床の間付きの6畳で、設備としてはエアコン、テレビ、炬燵、電気毛布があります。特に電気毛布は寒い冬の日に寝る際に絶大な効果があって、比較的温かく眠ることができました。
ただしトイレへの入り口がすぐ目の前にあり、この引戸を開け閉めする音がかなり響きます(間にゴム等がなく、木と木が直接接触する)。

中庭が目の前
入り口のドアには鍵があって防犯になる

宿泊棟1階の客室は入り口部分がかなり特殊で、まず表側の廊下に面した部分にガラス戸があります。ガラス戸は上から下まで透明で非常に見通しがよく、ここからは中庭がよく見えました。

そのガラス戸の内側に客室の入り口に繋がる短めの廊下が設けられていて、そこに障子戸が面しています。つまり一般的な旅館だったら壁がある部分が丸見えになっているわけで、実際に部屋から障子戸を開けたらすぐに外が確認できるという視認性の良さ。

部屋については、向かって右側に床の間と押入れがありました。

6畳という広さは一人用の客室としてオーソドックスなもので、今回のように炬燵と布団がセットになって置かれているととても分かりやすいです。なんというか、一人の人間が滞在中に部屋で過ごすのに狭くもなく広くもない印象。結局はこの面積に終着するんだなって。

内線電話
浴衣、タオル、歯ブラシはあります
フカフカの布団

部屋の様子はそんなに古い感じには見えないものの、たぶんそれは壁を模様替えしているせいだと思います。柱や天井、障子戸などの木材は新しすぎない感触をしており、ここは変わっていないことが分かりました。

室内には浴衣、タオル、歯ブラシが備えられているので、これらを持参する必要はありません。

以上が浅野屋料理旅館の館内の様子ですが、奥まったところに建物が建てられている中でも狭さを感じさせない工夫が見て取れます。
中庭の存在がやっぱり大きくて、移動の間に一度屋外を経由させることによって屋内にいる実感をリセットしている。廊下や客室の間取りについても当時から変わっていない一方で、明るさを重視しているのか暗く思うようなところはありません。

夕食~翌朝

客室で炬燵に入ってまったりと過ごしていると、待ちに待った夕食の時間(18時~)。

夕食の時間になれば係の方が部屋まで呼びに来てくれるので、特にこちらから向かう必要はないようです。

夕食の内容

そしてこちらが夕食の献立なのですが、もうびっくりするほど美味しかったので驚きました。

岐阜県ならではの朴葉味噌焼きに具として牛肉と豆腐をプラスした料理(正式名称が分からん)を始めとして、魚介類と肉類をふんだんに使用した豪勢な料理。しかもどの品も温かいものは温かいうちに運ばれてくるので、一番美味しい状態で満喫することができます。

朴葉味噌
ローストビーフ
鮭と野菜の天ぷら
揚げ出し
魚介類の炙り焼き
火が通った朴葉味噌(美味すぎる)

当初は岐阜県の郷土料理を中心として上品さの方に振った料理を想像していたのが、蓋を開けてみれば「質」と「量」の両方を満足するという素晴らしい内容でした。

三大欲求のうちの食欲が限りなく満たされていくのが自分でも実感できて、夕食に費やした約1時間くらいはずっと精神がマッハだったと思う。

個人的には肉が多かったのが何より嬉しくて、なんか今日はどちらかというと肉の気分だなと思っていたらその通りだったので自然と笑みがこぼれてしまった。とてもじゃないけど白米の消費が追いつかなくて、それはもうお腹いっぱいになれました。幸せな苦しさとはまさにこのこと。

夕食後は部屋に戻る道すがら、夜の浅野屋料理旅館を散策。

夜の明かりに包まれている館内はとても静かで、さっきまでの食事で火照った身体をひんやりとした空気が冷ましていく。特に用があるわけではないけど、この寝るまでの時間に適度に歩くのは好きです。

そのうちに眠くなってきたので、この日は早めに就寝。

翌朝はもう家に帰るだけなので、起床する時間も比較的遅めでした。

朝食の内容

朝食(7~8時)の内容はこんな感じで、昨晩あれほど満腹になったのにまた食欲が湧いてくるような美味しさがありました。

たまには料理に全振りした宿泊もいいものだ。

帰路は昨日と同じく郡上八幡を経由するルートにし、同じ店の前を通ったら昨日とは違う猫がいたのでナデナデ。このお店の猫は基本的に人馴れしているようなので嬉しいです。

そんなわけで、浅野屋料理旅館での一夜はこれにて終了。比較的近場(岐阜県内)にある旅館なのでアクセスもめちゃくちゃよく、充実した二日間になったのは言うまでもないです。

おわりに

浅野屋料理旅館は白鳥の町並みに溶け込むようにして存在し、その名の通り料理が有名な旅館。食事についてはとても満足でき、奥へと進むにつれて広がりのある館内の雰囲気も好きになりました。

白鳥は郡上八幡と白川郷の間に位置していることもあって、現代において宿場的な役割はなく素通りする人が多いと思います。それでも、あの思い出しただけでも涎が出そうな料理をまた味わいに再訪したい限りです。

おしまい。


本ブログ、tamaism.com にお越しいただきありがとうございます。主にロードバイク旅の行程や鄙びた旅館への宿泊記録を書いています。「役に立った」と思われましたら、ブックマーク・シェアをしていただければ嬉しいです。

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