Part 1:伊東~白濱神社~下田邪宗門~石廊崎~雲見浅間神社
Part 2:雲見温泉~松崎~西伊豆スカイライン~修善寺
伊豆半島の東側で初詣
2026年に入って最初のライドをどこにしようかと思っていたところ、ふっと伊豆半島が浮上してきたので一泊二日で走ってきました。
少しでも内陸部へ向かえば路面凍結や積雪の影響を受けやすい日本列島において伊豆半島は冬でも降雪がないため、安全に走ることができるという意味で実に冬ライド向きの場所だと言えます。ルートを選べば走行距離を大きくとることもでき、加えて全体的に坂道ばかりなので獲得標高的にも満足度が高い。サイクリングをしつつ景色・疲労度・美味しいものをセットで味わいたい人にとって、伊豆半島はベストな選択肢だろう。
また今回はSony α7 Vを購入して初の遠出ライドということで、撮影の感触を試しながらのんびり走る方針としました。宿泊込みだと撮影シチュエーションが増えそうだし、そもそも行程を急ぐ旅ではない。

コースをざっくり説明すると、スタートとゴール地点を伊豆市修善寺にとり、一日目は伊東~下田~西伊豆と伊豆半島を時計回りに走って雲見温泉に宿泊。二日目は西伊豆スカイラインを走って修善寺に戻ってくるという感じにしました。大まかには以前にも走ったことがあるルートですが、今回は今までに訪れてこなかったスポットを巡ることに重点を置いています。
宿泊場所については、自分と同じように一泊二日でスポットを一通り巡る方針だと距離的に西伊豆周辺に泊まることになると思います。西伊豆周辺の宿泊施設といえば前回も泊まった「堂ヶ島」が有名なところ、自分はあえてその手前の雲見温泉を選択。宿泊場所を同じ場所ではなくずらすことで新たに見えてくる景色もある。

冬の寒さにしんみりとしながら伊豆半島ライドが始まる。
修善寺から伊東市へ向かう山越えルートは、前回通った県道12号~県道59号ではなくその南に位置する県道112号~県道111号を選択。朝の肌寒い山中を静かに上っていくのは気持ちがいい。鹿路庭峠からの下りでは、有名な大室山の姿が見えました。


大室山からの下りの途中では、ゆるキャン△に登場した広井酒店に立ち寄ってみた。
最初にここを訪問したのが2019年だから、早いものでもう7年経つことになる。自転車移動でなければここで地酒の富士錦酒造「池」を買っていくところですが、今回は装備的に無茶なのでやめておきました。ボトルケージに固定できなくもないが…。




国道135号に合流した後は、順当に南下して下田方面を目指す。何しろ何回も走っている道だから「有名なスポットを巡らなきゃ」「景色を楽しまなきゃ」という"やることリスト"が特になく、純粋に目の前の風景に集中できる。"やることリスト"はこの趣味を長くやっていると陥りやすい思考の一つなので、肩の力を抜いて走ることができるスポットを今後も全国各地に増やしていきたい。
東伊豆は西伊豆と比較すると高低差が控えめとはいえ、稲取温泉や尾ヶ崎ウイング周辺は海面からの高さがあってインパクトが強いです。さらに一つ一つの町並みの規模が比較的大きく、町並みと海を一緒に眺められるアングルだとスケールの大きさを感じられる。
下田まであと一息というところで立ち寄ったのが、伊豆で最も古いという伊古奈比咩命神社(白濱神社)です。国道を走っているときに存在自体は昔から知っていた場所で、今回は正月ということもあって参拝することにしました。






本殿の方は案の定、初詣の参拝客でごった返していたので白浜海岸に面した赤鳥居を訪問。青い空と海に赤い鳥居が映えて実に美しい場所だ。この2026年の一年がより良い年になるように願っておきました。
こんな風に海岸沿いに砂浜があるのは東伊豆の特徴の一つだと思います。下田(南伊豆)や西伊豆は海面と道路との高低差があるところが多くて、同じ「海」というカテゴリとは思えないほど景色の変化が目まぐるしい。伊豆半島は本当に色んな地形に富んでいるな。
下田の町並みを巡る
下田に到着した後は、周辺でランチとカフェタイムを楽しむことに決めました。
下田は伊豆半島の南に位置していて各所へのアクセスがいいことに加えてお店も多く、さらに伊豆急下田駅までは輪行も可能です。下田を起点・終点にして走るとライドの行程が比較的立てやすいと思います。




ランチの場所として久しぶりに訪れたのは、道の駅開国下田みなとの中にあるCafe&Hamburger Ra-maru。
一度食べてその味にやみつきになった金目鯛バーガーを今回も注文しました。最初に食べて以来、好きになってしまって毎回それを注文してしまう…という食べ物があるけど、ここの金目鯛バーガーはまさにそれ。海鮮が有名な伊豆半島において宿の夕食にも海鮮が登場することを考慮すると、金目鯛バーガーはサクッと手頃に食べられてライドの合間の休憩にちょうどいいです。
なお道の駅は結構混み合っていましたが、今までの道中ではそこまで渋滞がなかっただけに不思議でした。どっちかというと西伊豆方面の方が交通量が多いのかもしれない。


ランチ後にライド再開…をする前に、そういえばと思い出して下田邪宗門でティータイムをとりました。
下田邪宗門は道の駅から川を挟んで西側の繁華街にあり、レトロな雰囲気を漂わせている素敵な喫茶店。外観からして周囲の風景に溶け込んでおり、古く(昭和41年11月)から下田の街で歴史を重ねてきたという貫禄を感じさせます。







店内は適度に薄暗く、さらに初代オーナーが収集された様々な調度品や展示品が多数あって見どころが多いです。
どこか懐かしい空気感の中でオリジナルのコーヒーとケーキを堪能していると、まだライドの行程は半分しか終わっていないというのにすでにゴールしたかのような感覚になってしまった。正月の客の喧騒はここにはなく、店内には地元の人と思われる数組のみ。旅先でのひとときはこういう店で過ごしたい、という要素がすべて詰まっているお店でした。
自分は自転車で走る際に「寄り道」をできる限り増やしたい人間で、出発地点から目的地まで一直線に向かうライドはあまり好きではない。走行中にたまたま見えた海岸とか、川の向こう側に見える町並みとか。そういう気になった場所を巡って、最終的に目的地に到着していれば良いと考えのもと行程を決めている。それが自分があまり知らない土地ならなおさらだし、視界は常に広くとっておきたい。





カフェで落ち着いた後は再び寒空の下へと戻り、進路を今度は西へとって移動を再開していく。
海の近くの集落や道路ってやっぱり良いですね。地形と人の生活の場が密接に繋がっている様子がよく見える。特に半島を自転車で巡っていると水深が比較的浅い湾に家屋が集まっていて、海岸線に沿って道が形成されている様子を体感しやすいと思います。
南伊豆~西伊豆のジオサイト
下田から今日の宿がある雲見温泉までは、国道136号を直進すれば到着する。ただそれだと時間がちょっと余りそうなので、途中で伊豆半島最南端の石廊崎を訪問することにしました。
石廊崎は太平洋を一望できる迫力あるスポットであり、駐車場から遊歩道を歩くことで石廊崎灯台や石室神社といった場所にも向かうことが可能です。半島に来た時点で岬があるのははっきりしているけど、地形の端っこまで行ってみたくなるのは人の性だろうか。




大したアップダウンもなく石廊崎に到着。
遊歩道の途中では眼下に遊覧船が見えました。この遊覧船とはまた後で再会することになります。




遊歩道の先、階段を下っていった先には断崖絶壁に収まっている石室神社があります。
階段が左にカーブしており、手前からでは神社の建物がまったく見えないためその立地のインパクトに度肝を抜かれました。どうしてここに神社を建てようと思ったのか、そしてどうやって建てたのか…。岩肌の窪みに収まっている本殿を眺めているとそんな疑問が湧いてきた。





そのまま遊歩道を歩き、正真正銘の石廊崎の突端に至りました。朝早く修善寺を出発して、伊豆半島を半周してきた行程がここで一区切りつきました。
それにしても景色がすごい。あと風の強さもすごい。一面の海、海からそびえるようにして形成されている切り立った崖、そして崖の上の木々の緑。実に風光明媚で色彩的にも地形としてもメリハリが強く、風が台風並みでなければずっと佇んでいたくなるくらいだ。


岬に打ち寄せる荒々しい波を見ていると大自然の力強さを実感する。いや、新年の最初にここに来て良かったな。

ちなみにさきほど遭遇した遊覧船については、石廊崎を散策中に再度会うことになりました。こじんまりとした船体がこっちに向かってくる様子がなんか可愛いです。
海の大きさを体感するのは難しいことだけど、こうやって海上に比較対象が居てくれると結構分かりやすいですね。



その後は来た道を戻り、石廊崎灯台周辺を散策。
岬あるところに灯台あり。周りを海に囲まれた日本では灯台の存在はとても重要であり、航海の無事のためになくてはならないもの。石廊崎灯台は比較的小さくて可愛い感じだ。
雲見浅間神社から見る西伊豆の夕焼け
石廊崎での散策を終え、ライドの舞台は南伊豆から西伊豆へ。国道136号に合流して雲見温泉を目指していく。
西伊豆に入ると今までの行程とは一変して坂道が多くなり、所要時間も多くなるため注意が必要です。この地形の変化は道路が通っている位置にも現れていて、西伊豆の道路は海岸線ではなくその内側を走っています(地図上で確認すると分かりやすい)。海岸沿いは崖が多くて道路を通せないので内陸に移さざるをえないというわけです。
もちろん肉体的には疲れるものの、景色の新鮮さという意味では気分転換できてちょうどいい。同じような景色ばかり見ていると感動が薄いし。


途中で国道を逸れ、県道119号の近くにある子浦という集落に立ち寄ってみる。国道が通る前の西伊豆は集落同士の行き来がとんでもなく大変そうだ。


何度目かの峠を越えて南伊豆町から松崎町へとイン。このペースだと今日の宿に余裕を持って到着できそうで一安心しました。宿泊ライドで何よりも優先されるのは「宿に無事に着くこと」だし、日帰りライド以上に走行時間と観光時間の配分をよく検討する必要がある。
松崎町自体はかなり広く、町の中心部へ向かえばなまこ壁通りなどの観光スポットや多数の飲食店、宿泊施設が集まっていて便利です。今回は中心部までは行かず、自分が今いる峠からダウンヒルをしたところにある雲見温泉が目的地となります。


というわけで雲見温泉街に無事到着。
で、宿に向かう前に訪れておきたいスポットがあります。それが温泉街の西側にある雲見浅間神社という神社。ここは今回のライドを決行しようと思った理由の一つであり、話を聞くには「途轍もなく眺めが良い」とのことで楽しみだ。早速向かってみよう。






雲見浅間神社は烏帽子山(162m)の頂上にある神社であり、駐車場から急勾配の石段を登っていくことで到着します。
眺めがいいということで結構な高さを登ることになるだろうなと覚悟していたけど、計636段もの石段を上るのは相当にしんどかった。数分前に軽い気持ちで「峠まで来たので今日の行程は終わり」とか余裕こいていたのが悔やまれるレベルで、しんどさに加えてビンディングシューズだと少し怖くなるくらいには斜面が急です。脚を踏み外すと冗談抜きに転げ落ちかねません。まあ大丈夫だろ、と思ってボトルを持っていかなかったのを本気で後悔した。
しばらく上ると中之宮(石段320段)があり、そこから山道を更に登っていくと本殿(山の頂上)に到着。個人的には石段よりも、下が土の山道の方が歩きやすかったです。





そしてこちらが本殿横の展望台の様子。
展望台といっても巨大な岩の上にちょこんと数人分のスペースがある程度で、上までいくと台風レベルの強風が吹き荒れてました。風が強すぎてまともに立っていられず、高所恐怖症の人にとってはなかなかの体験になると思う。
展望台からの眺めについては…もう本当に絶景でした。
西伊豆にここまで展望が良い場所がスカイライン以外にあったのか??と思えるほどで、全方位360°に抜群の開放感を感じられる。北側は本殿の屋根越しに雲見海岸、その先には西伊豆~堂ヶ島の海岸線。眼下には雲見温泉の町並みが一望でき、南側には千貫門の巨大な岩と海岸線。そして西側にはどこまでも続く太平洋の大海原。西伊豆を象徴する夕焼けの美しさも相まって、まさに神秘的で雄大なアングルだ。




いやはや、言葉を失うほど圧巻の高度感だ。今日走ってきた南伊豆~西伊豆の山々、そして明日走ることになる西伊豆スカイライン方面の海と山が、ここからだと細部まで見通せる。
自分が一体どういう場所をロードバイクで走っているのか。地図上だけ、地形の一区間を走るだけでは地形全体を把握することはできないし、サドルの上から見える範囲にも限りがある。朝から夕方までこうして走って伊豆半島をマッピングしていき、最終的に上から全体を見渡してその大きさを実感する。このような楽しみ方ができるのもロードバイクの良いところだな。
あと一般的な展望台って、陸地側から海側を眺められる場所がほとんどだと思います。なので海側方面の眺めがよくても陸地側はそうではないことが多い一方で、雲見浅間神社の展望台は海と陸を含めた全ての方向に視界が開けている。山のてっぺんに建っているため尾根や木々が視界を妨げず、加えて大自然が織りなす地形の所々に人工的な建物が見えることによって、そのスケール感を増幅させている。
伊豆半島だけでなく、日本の海岸線の中でも随一の景勝地だ。ここは。


ひとしきり堪能した後、転倒に注意しながら駐車場まで戻ってきました。
ロードバイクのライドに加えて登山をすることになり、日頃の運動不足を痛感する始末。訪れるには覚悟が必要な場所ですが、頂上まで登りきったら心から清々しい気持ちになれると思います。登って後悔することはありません。
さて、絶景を拝んだところで今日の宿はもうすぐそこ。Part 2に続く。
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