- Part 1:島後 都万の舟屋群~油井~水若酢神社~西郷港出発
- Part 2:島前 隠岐国賀海岸~摩天崖~焼火神社~海士町
島後のライドから一夜明け、島前の西ノ島町にやってきた。今日はここを中心に走っていくわけですが、島前はどちらかといえば島後に比べるとより地形的な意味で楽しめるところだと思う。
もちろん島前にも集落はあって、そこにある人々の営みが味わえるのは間違いない。しかし、特にこの西ノ島町では圧倒的な自然の力を感じる景色がとても印象に残っていて、この記事を書いているときもまた訪れたいと強く思っています。
なので島後と島前では明確に雰囲気がガラッと異なっているため、訪問前のイメージがいい意味で覆されました。
大自然の島を走る
フェリーから降り、別府港の周面を軽めに散策してみる。
港の中には飲食施設もあるようで、それに加えて周辺には店がいくつかありました。島前の拠点として発達しているので、ここを目印にしてあちこちに出かけていくのが一般的になりそうです。
あと、気になったのがフェリーから降りてきたバイク乗りの多さ。
西郷港から乗ってくるときは目に入っていなかっただけなのか、結構な数のバイク乗りに出会いました。もちろん港だけでなく島の各所でも遭遇したし、まあこれから訪れる場所のことを考えればバイクで行きたくなる気持ちもよく理解できる。これからのシーズンは特にツーリングにもってこいだと思います。
西ノ島町を走る
由良比女神社
昨日の行程がフェリーで目的の島に降り立ってその島で宿泊したのに対し、今日泊まることになる宿はお隣の海士町です。なので今いる西ノ島町を散策し終わった後はフェリーに乗って向かう必要があり、つまり散策時間に制限があるということ。
万が一乗り遅れでもしたら野宿になってしまうので、フェリーの時間だけは再度よく確認しておきました。
まずは国道485号を西へ向かい、島の中心部を離れます。
別府港から西はすぐに山になり、それを超えると海沿いに町が形成されていました。途中では高い橋の上を通ることもあったり、かと思えば海と接した港のそばを走ることもあったりと海との距離感が連続的に変化している。
ここだけ見ると西日本独特の海沿いのような感じがして、ふと懐かしい気持ちになった。
最初に訪れたのは由良比女神社という神社で、漁業神や海上守護神として島内の信仰を集めているところです。
境内は新緑に包まれており、ライドの合間に涼むにはもってこいの場所。周囲はしんとしていて心も静まってくるようです。平安時代に隠岐国一宮に定められた古社でもあることから、その厳かさはかなり高いといえます。
鳥居の前には神社の宮司さんが設置した注意書きがあって、そこに書かれているのが「牛馬を放すこと」という文言。
こんなところに牛馬が?と驚くかもしれませんが、実は西ノ島町では牛馬の放牧が盛んに行われていることから、ここから先の行程ではごく自然に彼らに出会うことができます。なので、この言葉はある意味でその遭遇を匂わせるものでした。
由良比女神社の前には、イカ寄せの浜と呼ばれる浜が広がっています。
これは神話に関係していて、国づくりの神だった由良比女命が出雲大社へ出かけ、芋桶に乗って隠岐へ帰る際、海に浸したその手をイカが噛み付いたことがありました。そのお詫びとして毎年、神社の目の前に広がる浜にイカの大群がやってくるようになったのだそうです。
実際に昔はこの浜にたくさんのイカが押し寄せてきたこともあったそうですが、今では潮流の影響なのかそういうことはなくなった様子。それでも海中に浮かぶ鳥居と、その向こう側に見える集落の対比は美しいものでした。
赤尾展望所
島前の中心部付近を向く湾のような海からはここでお別れし、残りの行程はもっぱら島の西側に面した断崖絶壁・国賀海岸周辺を訪ねていくことになる。
「断崖絶壁」の言葉からも分かる通り、簡単に言えば山の上まで上って海面を見下ろすような地形がここからは登場してくるということ。
したがって必然的にヒルクライムをすることになって、おそらく隠岐諸島ではこの国賀海岸周辺が一番アップダウンが激しい箇所になります。
斜度は大したことがないものの、問題となるのが道の狭さ。
完全に車一台分しかない道幅のところばかりな上に、そこを観光客のレンタカーや、場合によってはマイクロバスが通行してきます。路面状態もいいとは言えないので、斜度以外のところに注意しながら上っていく必要がありました。
ただ、山の中を走ることになるので日差しは遮ることができます。ヒルクライムをしていると身体が熱くなってくるので、それを抑えてくれるのはありがたい。
国賀海岸周辺の有名スポットはいくつかあって、今回は南から順番に赤尾展望所、通天橋、摩天崖を回る行程にしています。
と思ったら、いきなりの牛さん登場。
ここらあたりは放牧地になっているため、道路上に普通に牛や馬が現れてきます。それも自由気ままに。
あまりにも突然なのでかなり驚きました。ダウンヒル気味の坂道を下った先に我が物顔でのそのそしてたので、移動手段に関わらず注意が必要。
近寄るのはNGなので遠目から眺めてみると、のほほんとした愛嬌が感じられる。最終的には疲れたのか座って昼寝モードに入ってたけど、ちょっと見る限り近くに草原のようなところはない。遠くから歩いてきたのかもしれない。
そのまま走って赤尾展望所に到着。
島の西側には国賀海岸を一望できる展望台が複数あり、この赤尾展望所もその一つ。これから向かうことになる通天橋がよく見渡せるほか、さらに南側にあるなだらかな丘も見ることができます。
よく目を凝らしてみると放牧された馬が視認でき、すでに自分が牛馬の生活圏内に入っていることが自覚できる。まあすでにさっき牛には会っているけど。
特に通天橋を上から眺めることができるのはここからだけなので、先に訪れる前にここから全体像を把握できたのは嬉しいです。
通天橋
ここからは眼下に見えている通天橋まで向かうことになりますが、パッと思いつくのはこのまま稜線沿いにあそこまでいければとても楽だということ。今いる展望所のほうが標高が高く、そういう風に道が作られていれば移動しやすいのは分かります。
が、通天橋に向かうには一度海岸線まで下らなければなりません。しかも最終的には海沿いに行き着くとは言え、ちょっとした山を越えることになるのでアップダウンが非常に激しいです。
さっきまでの獲得標高をゼロに戻すかのようなダウンヒルを経て、通天橋方面への交差点に帰還。改めて上り坂を上っていきます。
これだけ激しい坂道ばかり走ってたら体力つきそうだし、坂道にも強くなれそうな予感がする。短距離で標高を稼ぐような道が多く、これは島後ではなかなか見られない地形でした。
距離的には島後と島前はそれほど離れていないとはいえ、地形としてはこれほどまでに明確な違いがある。前日に島後を走っていた分、その差異を実感できている気がして良い気分になってきた。
やはり隠岐諸島はセットで訪問するのが吉です。
坂道を上っている途中で後ろからぶち抜かれたのが、この観光用の電動アシスト自転車。(休憩中に写真撮らせてもらった)
これは道の斜度が10%だろうが15%だろうがお構いなしに速度を得られる便利な乗り物で、観光客はレンタカー中心かと思っていたのに対してそこそこ遭遇率は高かった。
正直、坂道ばかりの島前を回るのであれば利用しない手はないと思います。利用料金も高くないっぽいので、天気が良ければ車よりもこれの利用を選択肢にいれるのも一考ですね。
普段の旅だとロードバイクの移動がかなり便利で楽しく思える一方で、平地が皆無な山の中とかを走っていると電動アシストの存在が少し羨ましく思えてくる。
というわけで国賀海岸の通天橋に到着。
隠岐諸島自体が日本海の荒波による海食作用の影響で、全体を通して険しい断崖絶壁に囲まれているところです。その中でも最も厳しく、そして美しい景観美を誇るのがここ西ノ島の国賀海岸。隠岐の観光スポットといえば国賀海岸というくらい有名なところで、例によって訪れる人もかなりの多さでした。
駐車場から通天橋までは徒歩で5分ほどで、坂道を下るだけで向かうことができます。
これがその通天橋の全体像ですが、自分が思っていた以上にはるかに大きいです。
遠景から見ているのにも関わらず、アーチ部分の大きさが一見すると把握できないほど。写真だとうまく伝わりづらいので、これはもう現地に行ってみてほしいとしか言えない。
人間の大きさなんて霞むほどの巨大な地形に圧倒される中で、その場所の名称はというと「通天橋」「天上界」、そしてこれから向かうことになる「摩天崖」と、まるでこの世のものでないようなものばかり。最初にここを訪れた人が抱いた感想が手に取るように分かるようです。
いま自分も同じように口をあんぐりと開けてこの光景を眺めていて、本当にここに来てよかったと思う。とにかく風景のスケールがでかすぎる…。
あと、隠岐諸島の海の美しさが風景の良さに拍車をかけていることは言うまでもない。
隠岐の海は沖縄などで見られる緑がかった色とは正反対に、深みを感じさせる蒼色…そういう感じがします。
どこまでも深く潜れそうな濃い青色と、その上に広がる青空。そして陸の薄い緑色と、視界の中の色が自然の色で溢れている。風景を表す言葉として自然豊かというのがあるけど、ここまで自然豊かな場所はなかなか無いのではないだろうか。
なお、ここから徒歩で上に見える摩天崖まで向かうこともできるようです。今回は一旦戻り、ロードバイクで上を目指すことにしました。
摩天崖
先ほど訪れた通天橋、あれの一番上に見えた草原部分が摩天崖です。
相変わらずの斜度に汗をかきながら、摩天崖の駐車場に到着!
摩天崖の標高はなんと257mもあって、この高さで垂直にそそり立つ絶壁が見どころです。駐車場から摩天崖を直接見ることはできず、ゲートで仕切られている放牧地帯を歩いて展望所まで向かうことになります。
駐車場はかなり狭く、自分が訪れたタイミングでは満車になっていました。ここまでの道中の道も狭くて走りにくく、タイミングによってはマイクロバスが前や後ろから迫ってくるので怖かったです。
あと放牧地帯の前には仕切りの大きな溝みたいなところがあって、ロードバイクだとここにタイヤをとられそうになったので注意。
それでは、早速ゲートを後にして海岸の方へ。
足元には天然の芝生がずっと続いていて、ただ歩いているだけでも気持ちがいい。崖の方は本当に岩ばかりな一方で、山の上の方がこれだけ緑で満ち溢れているのは本当にすごいと思う。放牧が盛んになるわけだ。
しばらく歩いていった先には日本海の大海原が見え、その手前に広がっているのがこの想像を絶する絶景!!
一面の草原の奥にはほぼ垂直に切り立った崖が海まで真っ逆さまになっていて、一番奥に見える半島の形が比較的なだらかなのでその対比で余計に断崖絶壁感が増幅されている。
最初は視界の中が緑色一色だったのが、ここに急にハッとするような海の色が飛び込んでくるからより美しい。この景色をはじめてときに思ったことは、本当にここは日本だよな?と疑ってしまうほどでした。
日本らしからぬ風景…という言葉はあまり使いたくないですが、日本って本当に様々な景色を内包しているということが改めて実感できた。自然が多い隠岐の中で、個人的にはここは外すことができない絶景スポットだと感じます。
こんな風にまだまだ自分が知らない日本が各地に眠っているんだと思うと、旅する欲が止まらない。
駐車場横にあったゲートから先は基本的にすべてが放牧地帯になっているため、こんな風にまったりしている牛馬を近くで見ることができます。もちろん我々としては彼らのスペースにお邪魔している形になるので、適度な距離感が重要。
今回の訪問時は摩天崖近くの低地に集団で固まっていて、草を食べたり昼寝をしたりしてました。
平和…。
そう、ここは平和そのものだ。
動物たちが呑気に過ごしている様子を見ていると、こっちまで心が穏やかになってくる。彼らは毎日、どんな気持ちでこの風景を見つめているのだろうか。気になって仕方がない。
こんな感じで、基本的に西ノ島町の標高が高いところに行けば牛馬に出会うことができます。しかもお手軽に。
放牧地帯という言葉からアップダウンが少ない丘陵な地形を想像していたけど、そこにあったのは海がすぐそこに見える絶壁。断崖の上部一帯にのみ穏やかな地形が広がり、一面緑の草地で多くの牛馬が放牧されている。
視界の中に見える色んな要素が組み合わさってこの唯一無二の場所を作り上げていて、ただ単に絶壁があったり、ただ単に牛馬が放牧されているだけでなく、それに留まらない良さがあると思いました。
これらが合わさることで、そのギャップがここまでの迫力に富んだ素晴らしさを生んでいる。そんな気がする。
焼火神社
ここまで隠岐諸島の大自然を満喫して正直もうお腹いっぱいなんですが、宿に向かう前にもう一箇所のポイントに向かうことにしました。
ただ、フェリーの時間を考えると少々のんびりしすぎた感がある。果たして間に合うのだろうか。
到着したのは西ノ島の中央部、南に突き出た焼火山の山麓に佇む焼火神社。
焼火神社は標高452mの焼火山(島前の最高峰)の8合目あたりに位置する神社で、その社殿は隠岐諸島で最も古いものとされています。場所的に島前3島の間を航行する船からよく見えるため、昔は境内で灯される明かりが灯台の役割を果たしていたそうです。
北前船の寄港が盛んだった江戸時代には航海安全の神様として広く知られていたとのことで、経緯を知れば納得といったところ。
焼火神社の社殿の特徴はそれが建っている場所にあって、一部が大岩窟の中に半分身を隠すようにして岩屋造りになっているのが分かります。
要はすぐ背後が焼火山そのものなわけで、山と一体化しているような感覚になる。ここは神社の場所を見て行くことを決めたところで上ってくるのも結構しんどかったものの、ここでもまた隠岐の自然に触れることができた。
ちなみに社殿の手前側には宮司さんがいる社務所の建物があり、ここもかなり古そうな造りでした。
社務所にしてはかなり広いため、宮司さんの住居も兼ねているのかもしれません。
島前での宿泊
西ノ島での滞在を終え、フェリーの時間が迫るなか港へ。
西ノ島におけるターミナルは今朝にも訪れた別府港である一方で、これから中ノ島へ向かうのに乗る内航船の乗り場は少し離れたところにあります。なので別府港ターミナルに到着して一安心していたところ、ここじゃないよと言われて微妙に焦ったりしました。
離れているといってもほんの100mほどなので安心です。
島前の内航船は「いそかぜ」と「フェリーどうぜん」の2種類があり、いそかぜの方はフェリーではなく大きめのボートのようなものなのでロードバイクは載せられません。
内航船は昨日や今朝乗った本土~隠岐をつなぐフェリーよりはダイヤが多く、西ノ島(西ノ島町)の別府港、中ノ島(海土町)の菱浦港、そして知夫里島(知夫村)の来居港を結んでいます。所要時間は一番遠いところで30分ほどで、今回のような別府~菱浦の場合だと約10分。
料金も安くかなり気軽に乗ることができるため、島前間の移動はこれを使うのが吉かと。
フェリーとうぜんは瀬戸内海等でよく見ることができる両頭型フェリーで、着岸するのも早いです。ラッシングも特になしで、フェリーの壁に立てかけておくだけ。
今回の行程では巨大なフェリーに乗ってきたので、個人的には馴染みがあるこのこじんまりとした小型フェリーに安心しました。後は、乗っているだけで中ノ島に行くことができます。
今日の宿に到着。
今回泊ったのは、菱浦港からほど近い場所にある「但馬屋」という民宿です。
元気な女将さんが経営されている宿で、民宿というだけあって建物も民家そのものでした。隠岐に宿泊するにあたって色々調べたところ、隠岐にはホテルや旅館は少なく、こういった形式の民宿がメインのようです。
本当にこの近くに宿があるのか?って思いながら走っていった先に、田園風景に溶け込むようにして宿がある。こういうところに泊まると癒やされますね…。
ここでは宿泊者と女将さんの間だけでなく、宿泊者と宿泊者の間の距離も近い。
民家を改築して宿にしているので廊下と部屋との仕切りは襖戸、さらに壁は結構薄いのでお互いに気を使う必要があります。あとお風呂についてもチェックイン順の交代制なのでそれも意識する必要があったりで、ホテルや旅館にはない実家感を味わうことができる。
合わない人には合わないかもしれませんが、こういう風にアットホーム感溢れる宿も結構好き。
夕食はもちろん海鮮一色で、食後には但馬屋名物?である女将さんによる民謡の踊りが披露されました。隠岐には数多くの民謡があるらしく、それらを女将さんの美声と踊りで表現されるので見ていて楽しくなってくる。
最後の民謡は町の自然と文化・人情が上手にうたい込まれている「キンニャモニャ」で、しゃもじを両手にもって踊るのが特徴。酒を飲みながら良い時間が過ごせました。
夜は周りの田んぼで蛙が大合唱するなか( ˘ω˘ )スヤァ…と布団でしっかりと寝て、翌朝の朝食で元気を養う。
思った以上にゆっくりすることができました。
島根県本土へ帰る日
今日は隠岐旅の最終日となり、もうここからは菱浦港からフェリーに乗って本土へ帰るだけです。
ただ港へ直行してもつまらないので、例によって寄り道をしながら港を目指しました。
誰もいない神社の境内を散策したり、集落内の狭い道のそばで田んぼを眺めたり。
結局のところ、こういう感じで観光っぽくない場所の方が自分は好きだったりする。その町の人にとっての日常風景を自分も味わって、ただ時間を過ごしていたい。全国各地を旅する中で一つとして同じ場所はなく、従ってそこで感じることができる内容も異なっている。
朝早い時間でも気温はそこそこ高かったので、ロードバイクで散策できる季節はもう終わりが近いのかもしれないです。完全に夏になればロードバイクに乗ってる場合じゃなくなるので、この季節でしか味わえないことをやっていきたい。
今まで寄港するばかりであまり散策できなかった菱浦港に帰還。
菱浦港は近代的な構造をしており、とても明るいイメージです。屋内には飲食施設や土産物屋が揃っており、あと弁当も売っているのでフェリーの中で食べるのに便利。逆にフェリーでは大したものは売ってません。
一通り回ってゆっくりしていると、自分が乗ることになるフェリーがやってきた。
接岸中に正面部分が徐々にせり上がってきて、車両甲板へ繋がる通路が出てくる。
着岸の様子を見ているとこれだけ巨大な構造物を舵で操っているのもすごいし、ミスなくサイドスラスターによる横移動や係船を行っているのも非常にスムーズ。
こんなところに着目している観光客も自分くらいしかないと思うけど、乗り物がやってきてから乗客が乗り込むまでのスタンバイ時間というか、そこで何をしているのかを眺めるのも好き。それが自分が乗るものならなおさらという感じ。
船が接岸したら乗り込むだけ。
ここで驚きの出会いがあって、実は一昨日に七類港で一緒になったMTBでキャンプライドをしているおじさんに再会しました。昨日も島後の水若酢神社で会いましたが、まさか今日も会うことができるとは思っていなかった。
彼はこれから西ノ島へ向かうようで、フェリーに乗っている途中でお別れとなります。
軽く話した内容は他愛も無いもので、もちろん今回たまたま会ったというだけにすぎない。でも、旅の途中で出会った同じ趣味の人って印象に残りやすいです。
今日もまた天気が良いようだし、自分と同じように摩天崖で感動に包まれてほしい。
そんなわけで、遂に隠岐を離れるときが来ました。
旅先から離脱するのはいつだって名残惜しいものだけど、船の場合はそれがより強調される気がする。移動速度がゆっくりな分、景色が少しずつ遠ざかっていくのが寂しさを誘ってくる。
この「少しずつ」というのが大事で、これがあっという間に見えなくなるのであれば情緒もなにもない。旅先へ向かうにしろ、旅先から帰るにしろ、船による移動は「旅」に似合っていると感じる。
本土へ向かう途中では昨日寄った別府港にも寄港したりして、目の前の風景を見ることによって体験が蘇ってくる。各島の港を繋ぐようにして巡るフェリー。甲板に出て風に吹かれながら佇んでいる中で、これだから自分は島旅が好きなんだと強く思った。
長いようでとても短かった隠岐の旅は、これにて無事に終了。
最後は島根県本土の境港へと到着しました。
ここからは海沿いの集落を目当てに島根半島を回ったり、水田の風景を眺めに内陸の奥出雲で一泊したりしましたが、その記録はまた別記事で。
おわりに
そろそろまた島旅がしたいな…という思いから計画したロードバイクで隠岐諸島を巡るライド。
日数が必要だったため混雑が予想されるゴールデンウィークに持ってきたものの、予想に反して人が少なかったので自分のペースで回ることができ、天気も含めて最初から最後まで十二分に楽しむことができました。
魅力的な集落と自然が調和した島後、逆に思いっきり大自然の景観の方に振っている島前。甲乙つけがたいほどどちらも楽しかったので、訪れるならセットで行くのがベストです。地形は高低差に富んでいるので上まで行けば見晴らしがよく、日本海に囲まれた島々の良さを最大限に満喫できるはず。
初めて訪れた隠岐諸島で、とても良い時間が過ごせました。
おしまい。
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