今回は7月下旬に、新潟県魚沼市にある駒の湯温泉 駒の湯山荘に泊まってきました。
駒の湯山荘は越後駒ケ岳の麓に位置する一軒宿であり、そのはじまりは一帯で銀山が栄えていた1700年頃にまで遡ります。駒の湯山荘として開業したのは戦後の昭和29年(1954年)。開業時は大湯温泉 東雲(しののめ)荘別館という名称で、越後駒ヶ岳の登山道も同時期に完成したそうです。つまり越後駒ヶ岳の登山を終えた後に温泉に入る…という黄金ルートがあったわけで、越後駒ヶ岳と関係が深い宿と言えるでしょう。
温泉が好きな自分としては季節を問わずに温泉旅館に泊まりたいのですが、近年の夏の気温の高さを考えると温泉そのものが選択肢から外れがちとなります。そもそも暑がりな身にとって夏場の鄙びた宿訪問はハードルが比較的高いものの、駒の湯山荘の立地、そして後述する温泉の素晴らしさから、夏に泊まれる温泉旅館としてお気に入りの宿になりました。
概要と外観
駒の湯山荘の魅力の一つがその立地にあります。
駒の湯山荘は魚沼市街地から福島県檜枝岐村へ抜ける国道352号の脇道(県道518号)の脇に存在しているため、環境としては完全なる山の中。しかも建物が佐梨川の清流に近くて気温が低く、車の温度計では気温が平野部で32℃(13時時点)だったのが、山荘の駐車場で28℃まで下がりました。
また山荘には電気が通じておらず、明かりを得る手段は自家発電で賄われた電力によるランプと、昔ながらの石油ランプのみ。さらに電波は圏外、部屋にはテレビもエアコンもなく、山の中ということで余計な喧騒もない。温泉以外に何もいらない、温泉に入れれば万事OK…という静寂を求める人にとっては最高のシチュエーションでしょう。市街地までは比較的近いのですが、ここまでの秘境感を手軽に味わえるのはお得すぎる。
チェックイン可能時間は13時から。一般的な宿泊施設としてはかなり早めですが、温泉温度が低くて長湯に向いていることから、早い時間に到着しておくのがおすすめです。
SNS等の情報から駒の湯山荘はとても人気な宿と聞いていたため、今回は土日ではなく平日に泊まりました。しかしご主人曰く自分が泊まった日の翌日からずっと満室のようで、とても運が良いといえます。

続いては外観へ。
駒の湯山荘の建物は大きく分けると本館と別館から構成されており、駐車場を挟んで手前に見える茶色の木造建築が本館です。



本館玄関の様子。
日本秘湯を守る会会員「でした」と記載されている通り、これほどまでに秘湯らしいロケーションであるにも関わらず駒の湯山荘は会員ではないようです。このあたりの宿の成り立ちや秘湯の会については、ご主人からとても興味深いお話を伺うことができました。


本館から右側に視点を移すと右奥に白っぽい建物が見えます。これが別館で、本館だけでは宿泊者の増加に対応できないため後年になって増築されたもの。見た目が明らかに異なるため分かりやすい。
別館の右側には、駒の湯山荘の温泉の一つである外湯の建物があります。外湯へは本館からサンダルに履き替えて向かうことになります。
館内散策
本館1階 玄関~2階 廊下
それでは館内へ。
13時からチェックイン可能と聞いていたため13時少し前に到着するようにしたところ、なんと自分よりも先に到着している宿泊者がみえました。今まで自分が泊まった旅館・温泉でチェックイン可能時間からチェックインする人は結構稀で、いかに早く温泉に入りたいかが伝わってくる。


最初に1階及び2階の館内図を示します。
本館には1階に玄関、帳場、調理室、食堂があり、2階には客室が4部屋ほどありますが、客室については別館が主として使われているようで本館2階客室はメインではない様子でした。館内図に示した通り本館と別館の間に温泉への通路があり、動線としてはコンパクトにまとまっています。棟の造り・廊下の配置ともにシンプルで迷う心配は特にありません。




玄関アブ避けのカーテンを開けて本館に入ったところ。正面の廊下を通っていくと温泉への通路と別館への入口があり、帳場前を左へ向かうと本館2階への階段及び食堂があります。







帳場近くには玄関ロビーがあって寛げるほか、昔の展示物、コミック類などが置かれていました。今回は一泊のみだったため滞在時間が短かったものの、例えば湯治のために一週間宿泊するといった場合などには本館1階でのんびり過ごすのもいいかもしれません。




本館2階廊下及び客室の様子はこんな感じ。
駒の湯山荘の従業員数的に本館・別館の客室がフルで埋まることはないと思われます。本館2階客室はもしものときのための備えのような扱いっぽいですが、いつでも泊まれるように準備はされていました。

1階に戻り、今度は帳場右側廊下を奥へ進んでいきます。
帳場奥に男女別のトイレがあり、その奥の本館・別館連絡通路の左側に温泉へ続く階段があります。






温泉を示す案内表示には「貸切露天風呂」「家族風呂」「内湯」「混浴露天風呂」と書かれてます。ここでいう家族風呂は、現在では貸切露天風呂×2に変更されています。
以上が本館の様子ですが、谷に位置する建物である点に対して全体的に明るめの印象を受けました。床や柱に木造建築らしさが強く現れていて、レトロな雰囲気で落ち着けます。
別館1階 廊下~2階
続いては今回泊まることになる別館へと移動しました。



別館は本館とは異なり、宿泊用途に特化した間取りとなっています。具体的には建物の川に面した側に客室があり、反対側にまっすぐ廊下が通る簡素な造り。階段周辺にはトイレ及び洗面所があります。
トイレ及び洗面所は1階と2階両方に設けられているため、どちらに泊まったとしても問題ありません。









別館の内装も本館同様に明るめ。時間帯によっては窓から自然光が差し込んでくるため、山間部といっても暗くなりすぎることはないと思います。
別館2階 泊まった部屋
さて、今回泊まったのは別館2階最奥に位置する「26号室」で、広さは7.5畳+囲炉裏付きという贅沢な造り。
館内図を見ると分かる通り、別館客室は一般的に川に面した部屋奥側のみに窓があります。しかし1階・2階の建物両端の計4部屋については側面を含めた2面が窓になっていて開放感が大きく、そのぶん値段も少し高くなります(+約2000円)。今回は予約の際にどちらにしますか?と聞かれ、せっかくなので広い部屋を選びました。
投宿時点ですでに布団が敷かれているため、昼寝をして過ごすこともできます。









窓からの景色(北側)。左側に内湯の建物と、眼下には混浴露天風呂へ続く階段が見えます。

窓からの景色(東側)。佐梨川が見えます。川の手前側には混浴露天風呂がありますが、この部屋からは木々で見えなくなっています。


設備については扇風機、電気ランプ(24時間使用可)、石油ランプ、コンセントがあります。
駒の湯山荘には電気が通っていないと聞いていたため、コンセントの存在は意外に感じました。また部屋にエアコンはありませんが、7月下旬という環境下でも涼しく、扇風機をつけるとさらに快適です。寒い時期は窓際の囲炉裏を使って暖を取れるようで、夏場とはまた異なった良さを感じられるはず。
明かりについては、以下の通りとなります。
- 自家発電の電気ランプは24時間使用可。
- 石油ランプは、ご主人が各部屋に夕食のタイミングで石油ランプを灯しにきてくれる。また夕食時に使い方及び注意事項の説明あり。注意事項は1.必ず上にぶら下げること。2.火を大きくしすぎないこと。自分はそのままの明るさで特に問題なかったため触らずに一夜を過ごした。
全体的に別館は木造建築であるため、1階よりは2階のほうが物音を気にしないで過ごせるのではないかと思います。この日はちょうど真下の部屋にも宿泊者が泊まっていました。


この部屋に到着してまず思ったことが、室内と屋外の明暗の差が大きいという点。
昼過ぎの自然光が窓から差し込んでくる一方で、室内の人工的な明かりは無し。これは廊下でも客室内でも同様で、昼間の時点で屋内にすでに「明るいところ」と「暗いところ」が生まれている。これから夕方を経て夜へと移り変わっていくことを考えると、電灯の存在がいかに大きいかを早くも思い知らされました。
温泉
部屋に居てもやることがないので早速温泉へ。今回、駒の湯山荘宿泊の決め手となった温泉の詳細は下記のとおりです。
- 源泉名:駒の湯1号源泉、駒の湯2号源泉
- 泉温:32.5℃(1号)、31.5℃(2号)
- 泉質:アルカリ性単純温泉(低張性アルカリ性低温泉)
- 湧出量:320L/分(1号)、1800L/分(2号)
- pH:8.6
- 知覚的試験:無色透明で無臭
- 適応症:筋肉もしくは関節の慢性的な痛み又はこわばり(関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫等)、冷え性、胃腸機能の低下、軽症高血圧等
- その他:加水なし、循環ろ過なし、入浴剤なし、消毒処理なし、加温:小浴槽のみあがり湯用として加温
これですよ。一般的な温泉とは異なる、源泉温度約33℃という体温よりも低い絶妙な温度。例えば春や秋といった他の季節なら寒すぎると感じられるだろうけど、暑い夏場に訪れる場合ならこれ以上の気持ちよさはないだろう。
源泉温度が低い温泉は全国で見ても珍しい一方で、一年の中で気持ちよく入れる期間が比較的限定されます。なので、今年は夏になったら駒の湯山荘に泊まりに行こうと前もって決めていました。
- 外湯(混浴、女湯):建物右側の別棟。本館玄関でサンダルに履き替える必要あり。
- 内湯(混浴、女湯):虫対策でレースカーテンあり。
- 貸切露天風呂:2箇所:虫対策でレースカーテンあり。
- 混浴露天風呂:階段を下った河原にある。サンダルに履き替える必要あり。
また駒の湯山荘の温泉は上記のように複数あって、どこに入るかはその時の状況に合わせて決めるとよいです。到着してすぐのタイミング、夕食前、夕食後、日の出後…という風に他の宿泊客の入浴状況は時々刻々と変化していきます。
内湯
まずは内湯から。



本館・別館連絡通路から階段を下ると休憩所のスペースがあります。
ここが内湯・貸切露天風呂・混浴露天風呂への分岐になっており、例えばいま混浴露天風呂に入っている人がいるかどうかはここですぐに分かります。また2箇所ある貸切露天風呂はそれぞれ一度に1組ずつしか入れないため、ここで休憩しつつ様子を伺うのが良さげ。




内湯の様子。
内湯は廊下手前側が女性専用の女湯、奥側が男湯(かと思いきや混浴のようでした)となっています。宿泊棟から屋根が繋がっているため天候に関わらず気軽に入りに行くことが可能です。宿に到着してすぐのタイミングでは、まずこちらの内湯に入って身体を洗いました。
いずれの温泉も源泉温度33℃ととてもぬるく、温泉の熱によって身体が熱くならないためのぼせるということがない。冗談抜きに何時間でも入れそうなくらい快適ですが、温度が温度なのであまりにも長時間入っているとむしろ身体が冷えそうなくらいでした。しばらく入っていると肌毛に細かい泡がつく(アルカリ性温泉)ほか、飲んでみたところやや苦味を感じます。
周囲の気温の低さもあいまって下界とあまりに環境が違いすぎるため、さっきまで同じ新潟県魚沼市にいたとは思えない。ここが夏の極楽だったか…。
貸切露天風呂
続いては、内湯の奥にある貸切露天風呂へ入りに行きました。貸切露天風呂とはいわゆる家族風呂形式の温泉のことで、空いていればいつでも入ることができます。
おそらく駒の湯山荘の中でもっとも入りにくいのがこの貸切露天風呂です。駒の湯山荘の温泉は長湯が可能である(1時間以上は珍しくない)一方で、長湯ができるということは他の入浴者も温泉に長時間入るということ。従って同じ浴槽のなかで同じひとときを過ごすことになるわけですが、他の人の存在を気にせずじっくり入りたいという人も多いはず。
そんな中で貸切露天風呂は自分たちのみが入ることができるため、時間帯を問わずに人気です。従って宿に早めに到着して温泉が空いているうちに入ることをおすすめします。


貸切露天風呂は1階と2階に分かれています。まずは1階の方から入ることにしました。
入口に「どうぞお入り下さい」と書かれた札があり、入る際には裏返して「入浴中」に切り替えます。こうすることでいま入っている人がいるかどうかがひと目で分かるというわけです。




こちらが貸切露天風呂の様子です。
扉を開けて中に入ると川側2面の壁がないコンクリート製の建築物があり、木製の柱で多少の補強がしてあります。逆に本館側を見ると剥き出しの岩盤の上にコンクリート製の壁が設けられていて、これまたコンクリートで固められた床に露天風呂の浴槽があるという無骨な造り。投宿から今まで目に入ってきたのが木造ばかりだったので驚きました。
温泉は浴槽の中に豪快にかけ流されていて、あふれた分は惜しみなく盛大に排水路へと流されていました。ここだけ切り取っても豊富な湧出量を誇っていることが理解できます。



屋外に面している部分には床から天井まで虫対策のレースカーテンが取り付けられているため、アブ等の心配は無用です。
貸切露天風呂のメリットはとにかく広い(4~5人が一度に入れる)ことと、自分のペースでゆっくり入れるということ。何しろここには自分しか入っていないので落ち着いて温泉に集中できます。とはいえ後続に待っている人がいることを踏まえて、今回は45分程度で上がりました。
続いては2階の方へ。




1階の貸切露天風呂がコンクリート製だったのに対し、2階の貸切露天風呂は木造建築。脱衣所はかなり広くとってあって天井も高く、1階に比べると開放感がありました。




浴槽はこんな感じで、浴槽の向こう側に渡るための小さな橋が設けられています。昼間は大丈夫だろうけど、夜に入りに行く場合は足を踏み外さないように注意が必要です。
外湯
続いては外湯へ。
外湯へは本館玄関からサンダルに履き替えて向かうことになります。雨が降っている場合は少々行きにくいものの、他の温泉と比べると入っている人は少ないため穴場かもしれません。





外湯は扉を開けてすぐに脱衣所があり、脱衣所から洗い場・浴槽へそのまま繋がっています。外の入口と脱衣所は筵?で仕切られているだけなので正直丸見えですね。
浴槽の湧出量は相当なもので、浴槽のみならず洗い場の大部分まで浸水しているほどでした。
混浴露天風呂(河原)
最後が混浴露天風呂です。
駒の湯山荘の温泉を代表する混浴露天風呂はその特徴的なロケーションから人気が高く、自分としても特に好きになった場所。サンダルに履き替えて河原まで降りると浴槽と脱衣所があり、川を眺めながら温泉に入れるため展望が良くて落ち着けます。








こちらがその混浴露天風呂の様子。いや、ここまで大自然を間近に感じながら入れる温泉もなかなかないだろう。川と高低差がほとんどないところにコンクリートで土台が造られていて、浴槽の形状も丸みを帯びていて実に美しい。
階段を最後まで下ると向かって右手方向(川の上流側)に脱衣所があり、左手方向(下流側)に2つに仕切られた浴槽があります。ちなみに脱衣所の入口には開閉式の扉があるものの、中には窓も何もないため閉めると真っ暗になりました。





脱衣所上流側の一角から青いホースが浴槽まで繋がれていて、豊富な源泉が次から次へと投入されています。
浴槽からあふれた温泉は浴槽の縁から佐梨川へと流されており、越後駒ヶ岳山麓の自然の恵みの大きさが伝わってくる。天気がいいと日光が川面や温泉に反射して本当に綺麗だ。今回の天候が晴れてくれてよかった。
一方で、この時期の混浴露天風呂の注意点はやはりアブやブヨの存在。
駒の湯山荘におけるアブの出没時期は年々早くなっており、日没以降は動かなくなって夜明けとともに活動しはじめます。自分は宿泊した日の14~15時頃に最初に入りに行ったところ一瞬で襲われました。川岸で全裸で涼むなんてことはできず、すぐに浴槽に入ったうえで頭全体をタオルで覆ってやっと回避できるレベル。混浴露天風呂に行くなら時間帯をよく検討する必要があります。





虫対策が必要とはいえ、川の水音を聞きながら心地よいそよ風のなかじっくりと入ることができるのは大きなメリット。ぬるめの温泉で長湯をしながらぼんやりとしていると、自分はなんて贅沢な時間を過ごしているんだ…と一人で感動してました。
なお浴槽はホースで源泉が注がれている方と、加温された湯の浴槽の2つがあります。当日はともかく朝方は夏場でも意外に冷えるためか、加温された方が快適でした。
夕食~翌朝
ひとしきり温泉を巡った後、部屋に戻ってから布団に寝転んで一休み。


だいたい16:20くらいから気温が明確に下がり始め、周辺の山々ではひぐらしが鳴くようになります。この時間帯になるともう扇風機なしでも涼しくて快適そのもの。暑さで大変なことになっている下界とは体感気温があまりにも違いすぎる。
ゴロゴロしていると待ちに待った夕食の時間(18:00~19:30)になりました。夕食及び朝食はいずれも本館1階の食堂でいただくことになり、時間差はなく全員が一斉スタートです。


食堂の様子はこんな感じで大部屋にまとまっていました。一帯はすでに暗くなり始めているため、石油ランプによる明かりの存在感が増しているのが分かります。
さて、今回の夕食の内容は以下の通り。新潟県の山の中という立地にふさわしい、ここでしか味わえない独特な料理ばかりでした。すべての品についてご主人による丁寧な解説が入るため、自分が今日食べている料理はどんなものなのか、どういう背景で作られたのかが理解しやすいのもよかったです。
- 手作りのマタタビの食前酒:焼酎に3年以上漬け込んている。投宿時に、これをさらに蜂蜜に漬け込んだもの(30年もの)がお茶と一緒に部屋に置かれていた。昔は痛み止め用として食べていたらしい。
- 自家製の赤鶏の生ハム:味がしっかり付いている。
- 鮮度の良い魚沼牛のユッケ風
- あぶらこごみ(赤こごみ)の和物:山深いところにしか生えないが宿近くにたくさん生えている。
- ウドの皮の佃煮
- ワラビの塩漬け
- ゼンマイの煮物
- 天ぷら用の塩は新潟県内の藻塩。玉藻という海藻と一緒に煮込んでいる。
- ヤマメの唐揚げ:あまりにも柔らかすぎる。過去一でうまいのでは…。
- 豚汁
- 魚沼産コシヒカリ:BL米に品種改良される前の非BL米で昔ながらの純粋な正真正銘のコシヒカリ。とても美味しいが作るのが大変で、生産量が少ない。お櫃が瞬時に空になったが、そもそも量が少ないということでおかわりはやめておいた。
- 漆の椀と御膳:とても珍しい。御膳の金色の部分はご主人が漆を塗って補修している。
- 天ぷら:揚げたてが順次運ばれてくる。ウド、オクラの花びら、八色しいたけ。
- すもも、ヨモギあんこ餅













見た目は素朴な田舎料理という感じですが一品一品が本当に美味しく、丹精込めて作られた品であることがすぐに分かるほどでした。今回はお酒無しのつもりだったのが途中で注文しようか本気で悩んだくらい。
あと米どころの新潟県らしくご飯の品質が高く、普段食べているお米とは違うことが自分でも実感できました。新潟県のお米の旨さ、魚沼の食材の旨さ、そしてご主人の「食」へのこだわり。すべてが積み重なったところに温泉による適度な空腹感がプラスされ、満足のいく夕食になったのは言うまでもない。
夕食後はタイミングを見計らい、2階の家族風呂に40分ほど入りに行きました。
今日はまだ宿泊者が少なめ(自分含めて5組)ですが、満室時は内湯や混浴露天風呂に分散する必要があります。話によると時には数時間単位で入る人がいるとか…。まあ常識的な時間内に収めておきましょう。あと夜になると気温が下がり、駒の湯山荘の温泉に長時間浸かると思った以上に冷えました。



石油ランプの明かりのみが頼りになる薄暗い中で温泉に入る。
昼間以上に温泉そのものと向き合っているような感覚が強く、目を閉じながらこの暗さはこの地で駒の湯山荘が営業を始めた頃とそう変わっていないんだろうなと想像してみる。時代が変わって世の中のほとんどの場所が電球やLEDで明るく照らされている一方で、こうして昔と変わらない静かな暮らしもある。
技術が進歩した令和の時代だからこそ、駒の湯山荘での滞在は心から身にしみると思います。


で、温泉から上がって部屋に戻る道中。
館内の至るところで石油ランプの明かりが目に入り、そこには幻想的な風景が広がっていました。




部屋に戻ってきたところ、19:30の時点で室内が暗すぎて手元が見えません。室内に入るとわずかにランプの石油の匂いがするのが素敵だ。この匂いも昔と同じなのだろう。
周辺は電波も圏外となって特にすることがなくなるため温泉に行くか寝るかの二択になり、シンプルな過ごし方ができると思います。要は日が出ている時間帯のみ活動して、日が落ちたら寝るという人間本来の生活をすることになる。なんか自分にはそういう過ごし方の方が向いているのではないかと最近思い始めました。
この状況下では意図しなくても自然と眠くなってきて、結局20時前に就寝。下を流れる佐梨川の音が結構大きいため多少気になるかもしれませんが、自分は宿泊の際はいつも耳栓を持参しているので問題ありませんでした。




翌朝は6:00に起きたところ眠気はなく、快眠できたということで嬉しい。起床後は朝食の時間(8:00~)まで暇なので、アブがまだ出没していない早朝に混浴露天風呂へ入りに行きました。






朝食の内容はこんな感じで、大力納豆、なめこの味噌汁、鮎の甘露煮と棒鱈のマタタビ添え、豆腐、自家製の野菜ジュースが並びます。朝から鮎が食べられる贅沢感もさることながら、うまく言葉では言い表せないんだけど不思議と次から次へと食欲が湧いてくる。それほど駒の湯山荘の食事が自分の身体に合っているということだろうか。
そんなこんなで、駒の湯山荘での一夜はあっという間に終了。13時に投宿したということで滞在時間としては長めだったものの、温泉に入っている時間が長かったためか体感滞在時間がとても短かったです。これは二泊、三泊と続けて泊まってこそ、より満足できる宿だと思いました。
おわりに
駒の湯山荘は越後駒ヶ岳の山麓に位置し、そのぬる湯は夏場に入る温泉として最適だと思います。最大の売りである温泉を抜きにしても、余計な存在がなく、自然に囲まれて静かに過ごすことができる山中の環境は普段のストレスから自身を解放してくれる。
あと単純に夕食と朝食の内容が本当によかったです。食事については事前に知らなかったこともあってインパクトが大きく、駒の湯山荘での宿泊を機に今度から新潟県産のお米をふるさと納税で買おうと決意するほどでした。総合的に考えてこれから毎年、夏になるたびに訪れたいくらいほど好きな宿になりました。
おしまい。
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