TAMAISM

旅の記録、宿泊先や行程とか

【鞆の浦~田島~横島~因島】ロードバイクで夏の瀬戸内を走ってきた

夏の海の景色を満喫してきた話。

【訪問日:2020年8月29日〜30日】

地元ライド

8月といえば夏。

夏といえば海。

気温が限界突破していた8月も終わりに差し掛かり、せっかくだしちょっと海でも見に行ってみようかと思ったのが木曜日の夜のこと。そういえば瀬戸内の海を久しく走ってないなと思い出し、いそいそと広島に出かける準備をしました。

そもそも、広島の海沿いを自転車で走ったのがグラベルロードのJARI1.5に主に乗っていた時期だけで、TADA車を納車してからはまだ行ったことがありませんでした。

瀬戸内海の海の色は、TADA No.275の青いフレームにどんなにか合うだろう。

そんな期待、もしくは確信を胸に車を走らせ、気がつけば福山で朝を迎えてた。

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はい。今回も車中泊です。

早朝に出発するために単純に車載を選んだものの、岐阜から福山までは400km程度あるので運転が地味に疲れます。夜でさえも蒸し暑かったので睡眠も2時間程度しかとれず、この日のライドに思いっきり影響したので今度からは普通に新幹線で楽に移動することになると思う。

個人的には、車載で行ける距離は片道300km程度が限度ですかね。もちろん時期にもよるけど、睡眠時間を十分に確保できないと翌日がかなり辛いことになるので。

鞆の浦を散策する

で、今回のルートですが。

前回と同様に、しまなみ海道などの○○海道を単に走るだけだと同じ風景しか見えなくて退屈する気がしたので、ちょっと趣向を変えて福山駅前から海沿いに因島まで走ることにしました。

福山周辺は岡山に住んでいたころによく来ていたので、うろ覚えだけどなんか見た覚えがある景色が多い。十数年振りに訪れてみるとなんだか感慨深いものがある。

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福山駅前から平坦な道を走り、最初の目的地である鞆の浦に到着。

鞆の浦は瀬戸内海の海流がぶつかる場所に位置しており、ここを堺にして潮が逆転することから、古来より多くの船が鞆の浦で潮流が変わるのを待っていたそうです。船が集まる場所ということで必然的に港町として栄えるようになり、今でも古い街路や町並みが残されている、そんなところ。

特に、鞆の浦のシンボルでもある常夜燈をはじめ、江戸時代の港湾施設がそのまま残っているというのは相当珍しいとのこと。

visittomonoura.com

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常夜燈

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現代では通称の発達によって商船の流れはめっきり無くなり、代わりにこの港には静かな雰囲気が訪れました。といっても決して寂れた様子ではなくて、当時の面影を感じさせるノスタルジックな景勝地として十二分に楽しめるというわけです。

鞆の浦周辺はとにかく道が狭く、自動車だとすれ違いすら不可能な道が多いのでロードバイクでの移動が大変に便利。こういう場所の散策にはやっぱり自転車での移動が役立ちますね。

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早朝に訪れたこともあり、予想はしてたけど観光客は皆無。出歩く人といえば地元の漁師の方くらいです。

鞆の浦は確かに景勝地プラス観光地として有名なのですが、個人的にはあまり観光地っぽくない印象を受けました。どちらかというと古い街の雰囲気を大事に保存していて、観光地らしさよりも一つの町としての雰囲気のほうが強いです。

通りには石畳に水をまくおばあちゃんがいたり、釣りに道具を背負って自転車を走らせるおじいちゃんが居たりしてて実に平和。港町特有のゆっくりとした時間が流れていくのが実感できる。

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そんな鞆の浦を一望できるのが、港町の西側にある医王寺。

長い階段を上っていくにつれて徐々に町並みが眼下に広がっていき、境内からは視界の端から端まで鞆の浦の家々がずらっと並んでいる光景が見れるというわけですよ。

こういう風に、港町のすぐ近くに見晴らしのいい高台があるという点では尾道に似ているかもしれません。尾道の狭い路地や高低差、こじんまりとまとまった町並みが好きという人は、鞆の浦も間違いなく気に入るはず。

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と、展望を得るためにこの医王寺まで上ってきて引き返すという人が多いみたいですが、さらにその先の太子殿まで足を運んでみることをおすすめします。

石段を600段近く上る必要があって夏場だとそこそこ疲れるけど、それに見合うだけの景色を味わうことができますよ。

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これですよこれ!

はるか下に見える鞆の浦の町並み。

鞆湾の有り様がじっくりと見渡せるほどの標高にあって、ここで時間を忘れてしばし景色に見入ってました。辺りには蝉の声が響いていて、目の前には海原、そして立ち並ぶ家屋。

それはどことなく懐かしさを感じさせ、まるで実家に帰省して散歩しているような感覚になりました。

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実のところ、今日の行程も大雑把にしか決めてないので時間の使い方は無限。

何時頃にここを走って…という風ではなくて、いつもと同じようにあくまで回りたいところを決めておくだけ。なので散策を多めにとって風景にうっとりすることもできるし、飲み物を片手に木陰で涼んだりも自由にできます。

自分はこういうライドの形が好き(というかこれしかやってない)なので、走るときは時間にとらわれない行程にしておくのがやっぱり合っていると思ったり。

田島&横島の景色

鞆の浦を後にして、因島方面に舵を切りました。

このまま順繰りに海沿いを流していけば尾道経由でしまなみ海道に入れますが、先にも述べたように私のポタは寄り道がメインみたいなところがあるので、もちろん普通に直行はしません。

というわけで、やってきたのはここ。

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地名としては福山市内海町、島の名前で言うと田島横島です。本州側にあるのが田島で、瀬戸内海側にあるのが横島。

どちらも観光名所らしい名所はなく、観光客も必然的に皆無なこの島。結論から言うと自転車でのんびり回るにはおすすめです。○○海道と名がついた道があるわけでもなく、したがって道も特に整備されているわけでもなし。

なら何がおすすめなのかというと、一言でいうと難しい。

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これらの島の外周はほんとに釣りをする人くらいしかいなくて、観光客向けに何か行政がやってますというのが皆無で「その土地の本来の風景」がそのまま感じられるというか、曖昧な言い方になるけどそんな感じ。

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田島と横島をつなぐ睦橋は海面からの高低差があまりなくて、コンパクトな感じがGood

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他のサイクリストがいないどころか、交通量がそもそも無い。自転車で走っているのは自分ひとりだけ。

海の景色に集中できるという意味では、ここまでの場所はなかなかないと思います。聞こえてくるのは波の音、そして風の音くらい。じっとしているわけでもないのに、ただ自転車を走らせているだけでノスタルジックな気分になってくる。

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そんな思いが最高潮に達するのが、横島の南側外周付近。

海と接するかのような道に、極めて簡素なガードレールが延々と続いている光景。よくないですか、ここ。

ここの雰囲気が本当に好きになってしまい、自転車を止めて、さらに暑さも忘れて海を眺めてたりしました。

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しまいにはガードレールそのものも無くなってしまって、景色に見とれていると瀬戸内海にドボンしてしまいそうになる道が続きます。

普通の海沿いの道だと堤防があるので直接は海を見るのは難しかったりするし、ここまでストレートに海と一体化している道を楽しめるのは嬉しい限り。

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しかも、島の外周を流すだけではなくてヒルクライムも楽しめてしまうのが横島の魅力の一つ。

横島の真ん中にある切石山には南端からアクセス可能で、そこそこ急な坂道を上っていくと展望台があります。

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展望台からはしまなみ海道の島々(因島など)や、先ほど通ってきた田島も一望できるのでお得すぎる。

自分が好きな風景がぎゅっと圧縮されていて、まさに自転車でちょっとポタるには最適な道ばかり。走行距離を考えると、視界に入ってくる景色に全く飽きがこないのはほんと素敵です。

因島を目指す

田島と横島を存分に満喫したところで、次の目的地である因島を目指すことにしました。

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まずは来たときと同じように内海大橋を渡って本州へ。

内海大橋は海面からの標高が高く、瀬戸内海の美しい海に加えてはるか遠くの造船所群まで一望できます。

瀬戸内周辺は島と島の距離も近いし、このように適度に高低差もあるので、これから向かうところが簡単に確認できるのもいいですよね。あっちの方にも島が見えるから行ってみるか、という風に目的地を探しながら走るということも簡単にできるので、実に散策に向いている地域だと思います。

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常石造船の造船工場

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瀬戸内ライドと切っても切り離せないのが、造船所の存在。

さっきも書いたけど、瀬戸内といえば造船といっても過言ではないくらいに造船所が多いです。むしろ走っていて造船関係の施設が目に入らないことがないくらい、建造中のデカイ船をそこかしこで見ることができます。

海沿いの長閑な港の町並みと、その一角に突如として巨大な鉄の塊が登場してくる風景はある意味で異質ともとれるものの、もう慣れすぎて逆に造船所がないと瀬戸内らしさが感じられなくなってしまった。やっぱり大きいものが出来上がっていく行程って興奮するよね。

そもそもが船とともに栄えた地域だし、その土地の生活に造船が完全に溶け込んでいる様子は、傍から見ているだけでも美しいと感じます。

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夏ライドといえばやっぱりむぎ茶だね

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干潮のときしか参拝できない神社

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で、今いる常石からしまなみ海道を経て因島に向かいたいわけですが、ここでもフェリーが大活躍してくれます。

歌戸運航が運営している戸崎~歌(因島)航路があって、これを使えば簡単に両者を行き来できるというわけ。なお、ここのフェリーについては特に時刻表が定まってなくて、船が向こう岸にいるときにブザーを押して呼ぶスタイルです。

極めてお手軽だし、何より乗っていて楽しい(ここ重要)のが瀬戸内のフェリーのいいところ。瀬戸内を走るならフェリーを積極的に活用することをおすすめします。

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小型のカーフェリーの甲板に立って、夏の生ぬるい風を感じながら海を眺める。

すぐ下を飛沫を立てながら流れていく水面、フェリーのエンジンの駆動音、そして空と海の眩しさ。なにもかもが「夏」を体現したかのような状況で、もう感動するしかない。

フェリーのスピードが実にちょうどよくて、対岸に到着するわずかな時間でさえもほんと楽しいんですよ。これは実際に乗ってみた人しか実感できないことだと思うので、ぜひとも自転車と一緒にフェリーに乗ってみてください。

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因島に上陸後は、これまたブルーラインを完全に無視して島の南側を中心にポタってました。

何も決められた道筋通りに走る必要はないし、自分で走るルートを決めるのも案外楽しいものです。スマホのマップすら見ずにあっちへいったり、こっちへ行ったり。

休憩できそうなスポットがあればちょっと休んだりして、寝転がって雲の流れる様子を眺めたりする。我ながら計画性がないとよく思うけど、こういう時間の過ごし方があってもいい。

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それにしても天気が良すぎる件。

夏だと午後から雷雨になったりすることが多いものの、この日は最後まで快晴のままでした。おかげでライドも散策も捗ったし、天気の神様ありがとう。

因島に泊まる

この日は、かねてより泊まってみたかった因島の穂満旅館さんに1泊しました。詳細については別記事でまとめています。

翌日は尾道へ

今回のポタは1日目の行程がメインだったので、2日目はサクッと尾道まで戻ることにしました。

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因島から尾道までは距離的にも近いのですんなりと走れるはずだったものの、ここで完全に予想外の出来事が。

前回お世話になった向島~尾道間を結ぶフェリーの一つである福本渡船さんが、船員不足のため日曜は営業してないとのこと。幸いにもすぐ近くにある向島運航さんのフェリーで尾道に向かうことはできたものの、まさか人手不足の余波がここまで影響しているなんて、かなりショックです。

自分としては何度も訪れてお金を落とすくらいしかできませんが、他のフェリー航路も今後ずっと存続してほしいものです。

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というわけで無事に尾道に到着。

そのまま輪行で福山に戻り、帰路につきました。

おわりに

久しぶりに広島を走りたくなったので決行した今回のポタでは、予想以上に夏の雰囲気を味わうことができました。

しまなみ海道をはじめとして、瀬戸内周辺は自転車で走るには最適の道ばかりです。今回はちょっと観光向けでないゾーンを中心に回ってみたところ、結論としてはどこを走っても面白い。特に夏は海と空、そして雲の組み合わせが瀬戸内の良さを最大限に引き出してくれます。今後も毎年広島を訪れて、島の空気を味わいたいと心から思えました。

楽しかった!