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旅の記録、宿泊先や行程とか

高知屋旅館 和洋折衷な木造旅館に泊まってきた Part 1/2

【訪問日:2020年10月25日】

これは泊まってみるしかないのでは?

いつものように暇さえあればGoogle Mapを見ている夕食後の時間帯。

適当に地図をぼけーっと眺めていて、気になるところがあればチェックするのが習慣の一つになっているのですが、ふと高知県の山中を眺めているときに一件の宿を見つけました。

その名は高知屋旅館

高知県なだけに高知屋なのか…と最初はあまり気になっていなかったものの、ストリートビューを確認して驚きました。いかにも風情ある外観で、これは内装も素晴らしいに違いない、となかば確信を持ったのを覚えています。早速電話をしてみると問題なく営業されているとのことで、少なくとも泊まれることは間違いない。

というわけで、善は急げということで兎にも角にも行ってきました。

ちなみにですが、写真を撮りすぎて一つの記事にまとめるのは困難だったため2つに分けています。

もう興奮せざるをえない

今回高知屋旅館を訪れたのは、時系列で言うとさくらぎ館に宿泊した翌日になります。

さくらぎ館から高知屋旅館に行くまでも波乱万丈だったわけですが、その過程は別記事で話すとして、今回は純粋に高知屋旅館についてご紹介したいと思います。

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まずは外観から確認していきましょう。

旅館ならではの荘厳とした玄関がまず目に入り、その後に2階部分へと視線が移る。瓦屋根と木、それに漆喰やガラス戸が芸術品のように組み合わさった構造をしていて、もうこの時点でここに泊まることを決めたのは正解でした。

もっとも、外観についてはストリートビューで確認していたこともありますが、いざ実物を目の当たりにすると迫力が本当にすごいです。いや、この宿の歴史を知ったならば迫力があるのも当然と言えるのですけどね。詳しい歴史についてはPart 2で述べることにします。

左手方向の1階部分は車庫になっていて、ここに軽自動車が泊まっていました。車庫部分は元々はどうやら土間だったようで、車庫のすぐ奥側には台所がありました。

宿の前で放心状態になっていると女将さんが登場し、「まだ時間は早いけど好きなだけ中でくつろいでもらっていいよ」とのことで、お言葉に甘えて中に入ることにしました。

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玄関の引き戸をガラガラと開けて中へ。

玄関が広いというのは、それだけでなんか安心できますよね。横方向だけでなく縦方向にも十分な広さがあり、閉塞感を全く感じさせません。むしろ広すぎて萎縮してしまうくらいには予想以上に広かった。

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玄関を上がってすぐのところには床の間付きの部屋があり、ここを左に抜ければ1階奥へ、右手に見える階段を上れば2階の客室や大広間へと繋がっています。

というか、このスペースに畳敷きの部屋があるのは個人的には珍しい気がします。通常なら木の廊下があって、そこから各部屋に繋がる構造になっているのを想像していましたが、いきなり予想の上を行くような光景が広がっていてもうニッコリしてしまう。

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ここから2階にある今回のお部屋に案内していただいたわけですが、この階段がまた面白い構造をしていた。

先程外観を確認したときに見えた車庫、あそこに続く階段が壁を挟んで反対側に存在していて、大きい視点で見てみれば幅広な階段を壁で区切ったような形になっています。階段を降りた先にも戸があるのでそこでも玄関と車庫の行き来が可能で、なんとも不思議な造りでした。

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そして、高知屋旅館最大の特徴といってもいいのがこの回廊部分

先程の階段を上っていった先には廊下があり、建物中心部の中庭を囲むようにぐるっと回っています。中庭があるだけでも素敵なのに、廊下のどこからでもそれが見渡せてしまうという構造になっていてもう感激。

中庭というと1階しかない平屋建てで多く見られるような気がしますが、2階分まとめて周囲の建物が囲っているので、その開放感はかなりのものです。

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今回のお部屋

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部屋にいたタヌキ

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廊下を挟んで隣の部屋

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その他の部屋の一例

そのまま廊下を直進していくと、今回お世話になる部屋があります。

場所的には一番南端にあり、部屋に面した窓を開けると山側の風景が目に入ってきました。

今日の行程もなかなかハードなものだったため、早速荷物を置いて一休み…するのが通常なところなんですけど、ここまで中が広いのは完全に予想外だったので居ても立っても居られません。休憩もそこそこに、屋内をあれこれ散策してみます。

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まずは1階部分から。

さっきの玄関を入ったところにある小部屋を左に進むと、2階部分と同様に中庭に面した廊下や部屋があります。実は今回泊まる部屋のすぐ横にも階段があって、そこからも1階に降りることができます。屋内が尋常じゃなく広いだけに階段の数は多めという感じ。

1階部分の部屋数も多いのですが、いずれもご主人や女将さんの生活スペースになっているようでした。

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中庭の広さも相当なもので、中庭というよりは庭園といった雰囲気が漂っています。苔むした石や植物で囲まれた水場もあるし、静寂な館内で水音だけが響いている様子がなんとも印象的。

昔は使われていたと思われる戸もあったりするわけですが、さっきも書いた通り2階部分まで建物が四方に立ちふさがっている状態なので、日当たりはそこまでよくなさそうな感じです。これでしっかり植物が育っているのだから相当工夫されているんだろうなと思いました。

1階には他にお風呂や洗面台、トイレがあり、あとは食事をとる食堂があります。なので、客室として使用されているのは完全に2階だけのようですね。

で。

さっき部屋に案内していただく過程であえてスルーしたんですけど、この正面に見える建物になにか違和感があると思いませんか。

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思いっきり洋風。

そう、洋風なんです。

ここまでの道中にはいかにも"旅館"を体現したような和風の雰囲気のみが在ったのに対し、この一角だけが洋風のつくりになっているのがわかります。これは一体どういうことなのか。

先に結論を書いてしまうと、なんとここ、昭和初期にダンスホールとして建てられたとのことです。反対側にある大広間(宴会場)とセットで使われていたらしく、まさに和洋折衷が垣間見える風景といえるでしょう。

というわけで、散策の場を2階へ移すことにします。

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とてつもない広さを誇る大広間

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大広間から通り方向を眺める

玄関から2階へ上がって、客室方向へ進むのと反対方向に行ってみると大広間(女将さん曰く百畳敷というらしい)がありました。

旅館の外観を確認したときに右手上方向に見えていた空間になりますが、百畳敷という名の通りとにかく広いです。そこらへんの体育館並みの収容数があることは間違いなさそうで、ここで宴会なんかやったら相当豪華なものになりそう。

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この大広間についても、当時の旅館が辿ってきた歴史を色濃く残していることが分かったため、Part 2でその辺りを述べたいと思います。

それでは大広間を後にして、1階の廊下から見えたダンスホールに行ってみることにしますか。

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基本的に中庭に面した廊下からすべての部屋に行くことができる

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ダンスホール部分に入る戸にはノブが設けてあり、外観だけでなく内装に関しても洋風にしていることが分かります。

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ノブを回して戸を開けると廊下があって、そこにはカーテンがかかっていました。

カーテンを開けた先には洋風の開き窓があり、窓を開けるとさっき通ってきた廊下が見える。目の前の窓と、窓から眺めた先の和風な構造とのギャップにふと混乱してしまう。しかし、「それぞれの構造が存在感を別々にアピールしている」というわけでは微塵もなくて、さっきも書いたとおり和洋折衷というか、両者の古さや時間の流れが双方の雰囲気を溶け合わせているというか。

建築様式としては全く別のものでありながらも、見事な一体感を感じさせています。

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ダンスホールがあったであろう空間は、今では客室に変わっていました。ここの客室数は2つですが、ダンスホールとして使われていた影響か壁はなく襖が張られており、襖を開ければ二間続きになります。

と、これですべての部屋を一通り散策し終わったので、改めてのんびり周辺を歩き回ることにしました。

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やっぱりね、この中庭に面した廊下の居心地の良さが半端じゃないのよね。

特に、窓の内側に張り巡らされた欄干がもう素敵過ぎる。見たところ、昔は窓がなくて欄干だけの状態で、後付けで窓を設置した…というわけではなく、この欄干と窓はセットで造られたようです。ということは欄干は意匠の一つであるわけで、細部まで凝られた模様だったり木の組み方だったりが、この旅館全体に広がる美しさをより増大させているといえます。

居心地の良さを十二分に感じさせつつも、どこか懐かしく、それでいて美しく感じる。

ここまで高知屋旅館を散策してきて、そんな気持ちでいっぱいでした。

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お風呂はいつでも入れます

そんな風にしていると、気がつけばもう日暮れの時間。

途端に寒くなってきたので部屋に戻り、浴衣を片手にお風呂に入りにいきました。お風呂はいつでも入れるとのことで、今日は自分以外に宿泊する人が皆無なので思う存分のんびりできます。これだけ広い旅館を貸し切り状態で満喫できるという事実だけでもう満足感がすごい。

お風呂から上がれば夕食の時間というわけで、Part 2へ続きます。