今回の旅先は高知県。
仕事の関係で3年ほど住んでいた香川を去らなければならなくなり、ロードバイク納車のタイミングでは四国を走るということができませんでした。そこからちょくちょく四国を走る機を伺っていたところ、唐突に高知県を走るという案が浮上してきたので行ってみることに。
室戸岬
一応グラベルロードでは四国の真ん中の方を以前走ったことがあるので、今回は主に海沿いを中心にプランを考えてみました。山の方はもう少し気温が高くなって走りやすくなったら再訪するつもりです。
飛行機輪行をする機会も多くなってきたけど、相変わらず電車輪行と同じノリで預けています。今のところ輸送中にどこかが壊れたとかはないので問題なし。
高知県は東西に長く、今回行くところが方角的にほぼ真反対のところだったので、この日はかなり輪行をフル活用した行程になりました。
始発の電車に乗って目的地まで向かう途中、空の色が赤色から青っぽくなってくるのが目に見えてわかるのが好き。行程の時間の制約を抜きにしても、やはり早起きして景色を楽しむのは個人的にお気に入りです。
自分以外に乗る人がいないことも含め、車窓から見える海と空を眺める時間がたまらない。
今回最初に目指すのは、高知県の東側にあって、太平洋に大きく突き出している室戸岬。
基本的にほぼフラットな海沿いのR55を気持ちよく流していくだけで到達できるけど、せっかくなのでちょっと寄り道をしてみた。
それがこの室戸スカイライン。
室戸岬先端付近でR55から分岐して、岬中央部の尾根を伝い、岬の西海岸で再びR55に戻るルート。なんといってもこの眺めが本当に素晴らしく、今日走ってきた道のりが遥か向こうまで見渡せます。
この見晴らしポイントへは岬先端側から3個のヘアピンカーブを上って行って、最御崎寺の参道がある4個目のコーナーあたりで振り返ると最短で到達できます。
でも、個人的には反対側(室戸中央病院)から上っていくのがおすすめ。最後のカーブを曲がった先に絶景が広がるので脳汁ドバドバになります。ダイナミックな道のレイアウトと、麓の町並みが並んでいるのを上から眺めるのも良い。
確かに海沿いをひたすら走るのも風を感じられて気持ちがいいんだけど、こんな感じでちょっと視点を変えてみるとより高知の海の広さを実感できる気がします。
あとは室戸岬をぶらぶらと散策し、来たときと同じように海風に吹かれながら奈半利駅を目指しました。
雲ひとつない青空の下で走るのは季節を選ばず爽快な気分になる。冬なので外に出るのが億劫になりがちだけど、これはもう旅しまくったほうが得。
よく知らない土地を走るときは色々なものが視界に入ってくるので、走っていて単調な気分になることがありません。このあたりは旅と近場で気分の切り替えができるという意味で、個人的には旅をバンバンして行きたいと思います。
例えば平日は仕事で休日も近所を散策するだけだと精神的にも代わり映えしにくいし、やはり遠方に行くのは心が落ち着きます。
ローカル線での移動もかなり趣深いのが輪行のいいところ。
実際に自転車で走ってて出会える景色とはまた一味違って、電車ならではの速度域で眺める風景とか、駅での停車時間とか。
ちょっと脚を休めてみるのも旅行の楽しみの一つかと思います。
あとは高知駅経由で今日の宿に移動して一泊。
これは結構あるあるだと思うこととして、一般的な宿泊予約サイトには載ってないような宿はかなり多いです。特に明日どうしてもこの土地の周辺に泊まりたいけど宿が見つからないとなったときは、Googleマップを開いて宿を探して電話してみるほうが見つかる可能性が高いような気がします。
実際、今回の宿も適当に走るコースを思い浮かべながら前日に電話して予約しました。
かなりの観光地で何日も前から予約しておかないと無理という場合を除いて、オフシーズンなどは適当に探してもなんとかなるはず。まあこいういうスタイルも身につけていけば行程の選択肢が広がると思うので、今後もやっていきたい。
酷道から海へ
室戸岬ライドから一夜明けたこの日の目的の一つは、国道439号線を走ること。
グラベルロードを購入した2018年の時点で四国の林道については色々調査を進めており、当時は結局走る機会はなかったものの、「いつか走りたいルート」としてリストアップしてあります。
その一つが国道439号線。
徳島県徳島市から高知県四万十市に至る一般国道で、総延長は348.9km。国道ならぬ酷道として全国的にかなりの知名度を誇っている道です。
一部の区間を除いて対面通行不可能なほど道幅が狭かったり、直線区間がほぼ無いくらいコーナーが連続するとかしないとか。そんな「与作酷道」をがっつり走るのは春以降にやるとして、今回は比較的様相が若干マシだといわれる高知県の区間をちょろっと走ることにしました。
昨日は走っててむしろ暑いと思えるほど気温が高かったものの、今朝は一転して寒いくらいでした。冬+森の中とはいえ、気温マイナス2℃の状況で走るのはあまり経験がありません。
それだけに、今回の酷道ライドは非常に楽しいものになりました。
今回走った国道439号の区間は、土佐大正~津野までの40kmほど。
噂通り道幅はぎりぎり車一台分が通れるほど狭く、また梼原川沿いに道が走っていることもあってカーブ&カーブの連続。鬱蒼とした川沿いの木々の中を走っていくと突然視界が開けて集落が現れる、ということが度々あります。
この秘境感がなんともたまらない。
早朝ということもあって交通量どころか人の姿も見えない山道を走る。自分的にはこういうのがやりたかった。自分一人しかいないような空間を思いのまま走っていくというのは、うまく言葉に出来ないけどなんか心地いい気分になれる。
その昔、友達と「旅行で散策するのは、人が少ない早朝か深夜がいい。」という議論をしたことがあって、自分は断然早朝に色々歩き回って散策するのを推します。散策しているうちに早朝から朝になって、少しずつ町が起きてくる。そんな時間帯が好き。
この考えはロードバイクを始めてからも変わってなくて、つまり今回のライドも大成功でした。
このルートではこのような昔の道の痕跡もそこかしこに見ることができ、ただ走っているだけでもノスタルジックな気分に浸れます。
国道439号はバイク乗りの方々にとっては非常に有名みたいで、夏になると結構走る人が多いそうです。しかし今の時期はそんな雰囲気はまったくなく、道は静寂そのもの。
この時期のライドも積極的にやってきてよかったなと思えました。夏だとなんだかんだで暑いし、冬だからといって走れないということはないという感じです。
今回の山岳ゾーンはひとまずこれにて終了。北から東方面へと進路を変更します。
余談ですが、このまま国道439号を北上すると前回通った仁淀川町方面に行けるみたいです。そう考えると四国カルストや石鎚山も意外と近く思えてくる。
これからは道の繋がりにも注目して、その日走る行程を決めていきたい。
太平洋を拝む前にちょっと寄り道。
これまたGoogleマップで発見して気になっていた施設で、見ての通り廃校です。今では改装されて売店兼宿泊施設になっている森の巣箱という場所で、田畑や集落の中に溶け込んでいる懐かしい木造校舎が特徴。
今回は休みの日の関係で宿泊はできませんでしたが、次回はぜひとも泊まってみたいところです。
こういう廃校跡に宿泊できるのはとても貴重だし、何より当時のままの雰囲気がそのまま残っているところで一泊できるというのが好き。廃校を活用した施設は全国各地に点在しているようなので、宿を決める際のために頭の片隅に置いておくことにします。
予め見学の電話を入れておいたので、早速中を散策していくことに。
廃校の雰囲気って意味もなく好きになれる要素だと思う。
木造なので歩くとギシギシ音がするし、壁に背をもたれかかっているだけで安心できるしでもう素敵すぎる。
小学生の頃の記憶が影響しているのかもしれんけど、こういう場所はわくわくすると同時に心が安らぐ性質があるような気がしてならない。やはり夏のライドのときはぜひとも泊まりたい。
津野町を後にして、そこからは須崎市や土佐市を海沿いにひたすら走っていつのまにか高知市・桂浜に到着。
このあたりの海沿いは本当にアップダウンが皆無なので非常に走りやすく、おまけにすぐ横が海なので快適そのもの。青空と青い海を視界いっぱいに感じながら走るのは堪えられないほど気持ちいい。
よくよく考えてみると今日の最初の方は思いっきり山の中をひた走っていたにも関わらず、あれから数時間もたたないのに目の前には太平洋が広がっている。
高知県は山間部は山と川で楽しめるし、ちょっと下って海沿いに行けばもちろん海の風景も楽しめる。そういう意味ではかなり「お得」な場所なことは間違いないわけで、バリエーションに富んだ土地といえます。
今回はロードバイク乗りにはほとんど出会わなかったけど、個人的には自信を持っておすすめできる場所だと思います。山間部のヒルクライムも冬の間ならそれほど水分も必要ないだろうし、むしろ今の時期に訪れるのがいいかも。
桂浜に到着する頃にはすっかり気温も上がっており、半袖ジャージでちょうどいいくらいの快晴日でした。寒暖の差が激しいので装備的には難しいところ。そろそろ冬も終わり、春が近づいてきた気がします。
最後は高知に来たからにはこれを食べずには終われないということでカツオのたたきを食べに行きました。高知駅周辺でいうと「ひろめ市場」が有名で、豊富な海鮮系だけでなく、昼間っから酒を飲める空間として有名です。
というかむしろ酒を飲むためのスペースがほとんどなので、周りを見渡してもすでに出来上がっている人ばかり。
今回は「明神丸 ひろめ市場店」で10貫定食を食べたところ、本場のカツオのたたきを白米と一緒に食べるてもうダメになりました。これ以上走る気になれないくらい精神がカツオ一色になって、気がついたら酒も一緒に飲んでました。帰る前にどこかで飲みたい!という場合はひろめ市場おすすめです。
ライドも食も十分に堪能してから高知を離脱。海沿いを単に走るだけでも県によって全然道が異なるし、海の広さとか青さとかも感じ方はその都度変わる。
土佐湾の地形的な影響もあって、高知の海はとにかく広いという印象を受けた。どの季節に訪れても満足できることは間違いないと思う。次に高知を訪れるときはたぶん山間部メインになるとは思うけど、今度は川でちょっと泳いでみるのも楽しいかもと計画中です。
おしまい。
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