今回の目的地は、前回の冒頭で触れた「このあたりも雰囲気良さそう」の部分です。具体的に言うと、本巣市にある樽見鉄道の沿線沿いを走ってみようというのが趣旨。
樽見鉄道(樽見線)というのは、大垣市の大垣駅から本巣市の樽見駅に至る路線のことで、19ある駅のうち大垣駅と本巣駅以外の17駅が無人駅です。
いわゆるローカル線として地域に根付いているこの路線、もともとは国鉄樽見線として運営されていたのですが、昭和59年に廃線になることが決まり、その後第三セクターとして復活したみたいです。
樽見鉄道
岐阜県にはJR以外にも、こうした私鉄路線が多い(長良川鉄道、樽見鉄道、養老鉄道など)のが魅力の一つだと思います。
もちろんJRの駅も県北部へ向かうほど自分が好きな雰囲気(人が居ない)になっていくものの、私鉄だとまた違った良さを感じることができます。
そんな樽見鉄道ポタの出発点は、本社がある本巣市・本巣駅。
ここから北へ向かって走っていきます。
今まで岐阜県を走ってきて感じたことの一つが、川の規模が大きいこと。
なんといっても川の幅が広く、周囲の風景と相まってスケール感がものすごい。前回走った神崎川のような上流部の激しい流れとは打って変わり、静かな水の流れを感じることができます。いずれにしても水がとんでもなく綺麗なので、どの季節に走っても満足できる気がする。
樽見線は基本的に本巣市を流れる根尾川沿いに走っているため、沿線沿いに走ると必然的に川沿いに走ることになります。
なので自然と一体になっているような、ゆっくりと時間が流れているような場所ばかりを楽しめるという流れです。
谷汲
川沿いを走るだけでも十分満足できるのですが、樽見線をたどる道すがら少し西方面へ寄り道してみました。
ここは、かつてあった名鉄谷汲線の旧谷汲駅。
谷汲線は揖斐郡大野町の黒野駅からこの谷汲駅までを結んでいた路線で、2001年に廃線になりました。今ではこのように駅舎及び車両が保存されており、当時の面影を感じさせています。
うーん、良い空気感だ。
自分以外に誰も居ないことに加え、かつては栄えていたという情報がこの情緒に彩りを加えている。昔は当たり前のように親しまれてきた場所が、今もこうして遺っているというのは非常に貴重です。
駅の周りは田園風景そのもので、ここに鉄道が通っていたと言われてもにわかには信じがたいような気がするけど、昔は日本中にこんな風景がたくさんあったんだろう。利用者が少なくなれば無くなってしまうのは簡単な理屈ではあるものの、悲しい思いになります。
そう考えると、今回は利用しなかったけど今度来るときは樽見線を使って移動するのもいいかもしれません。
鉄道車両のことはよく分からないけど、岐阜県を走るようになってから岐阜県のことをもっとよく知りたいと思うようになったし、色々調べてみると散策がもっと面白いものになりそう。
帰ってから調べてみたところ、この谷汲線が敷設された一端となったのが谷汲にある観光名所・谷汲山華厳寺への交通の便の確保のためと書かれていました。
せっかくなのでそちらも今回参拝することにします。
総門を入って約1kmほどで仁王門があり、そこに至るまでの参道の左右は土産店や旅館が立ち並ぶ商店街になっている様子。
例によってお店のたぐいは休業中なので人通りもまばらです。
華厳寺は敷地がかなり広く、石灯籠や建物の数も相当多いです。
見ての通り今の時期だと新緑が綺麗なのでそれもまた良し、秋なら紅葉がとっても映えそうな場所。
今回はささっと参拝するに留めましたが、紅葉の時期にはじっくり回れるよう祈っておきました。
樽見線の終着駅へ
華厳寺を後にして、再度樽見線沿いに走っていきます。
この日は気温が本当にちょうどよく、春ならではの居心地のいい空気を感じながら自転車を走らせました。暑くも寒くもない4~5月が1年の中で個人的には一番好きです。
岐阜には河川が多いので、夏でもそれほど暑さにやられることなく満喫できそうなので楽しみ。
この時期になると田んぼに水が張られるようになり、いわゆる「水田がある風景」がそこかしこで楽しめるようになります。
やっぱり水田っていい。
これほど良い意味で田舎を感じられる風景もなかなか無いと自分では思っていて、同じ田舎でも鬱蒼とした山の中を走っているよりは心が落ち着きます。稲を植えていない状態だと水田への景色の映り込みがはっきり見えるし、それが向こうの方まで延々続いてたりするともう堪えられない。
さらに根尾川の上流まで走ってきました。
この記事の冒頭で樽見線はほとんどが無人駅と書いたけど、その中でも特に雰囲気良さげな駅があったので立ち寄ってみました。
この日当駅(ひなたえき)は山間に位置している駅で、トンネルとトンネルの間にぽつんと待合室があるのが特徴。待合室の近くには桜の木があり、桜の季節にトンネル上の高台から眺めると駅周辺が桜の花に包まれているのが見えるのだとか。
今回のポタを始めた下流域の根尾川は平野部にかかる清流という印象が強かったものの、ここまで上流に上ってくると道と川面との高低差もかなり開いてきます。そんな渓谷を走る樽見鉄道と桜を一緒に撮影できるスポットとして、この日当駅は有名とのこと。
しばし自転車を停めて駅の雰囲気に浸ったりしてました。
目的もなくただ座って風景を眺める。こういう時間の過ごし方がすき。
今回のポタは個人的にいつかやりたい「岐阜と福井の県境にある酷道」ポタの下見も兼ねていて、そのスタート地点まで走ったところで引き返しました。これについては今後の記事で詳しく触れます。
今まで走ってきた道とは一線を画するヤバさらしいので、走る際には心構えも必要かなと思います…。
そこからしばらく走って、今回のポタの目的地である終着駅・樽見駅に到着。
運良く列車が停車していたのがほんと運が良かった。なんせ本数が少ないので、走っているのはまだしも停車しているのを見れるのは時刻表なしだとなかなか難しいところがあります。適当に時間を全く考えずに走ってこれだったので持ってるとしか言いようがない。
樽見駅は終着駅にも関わらず無人駅なので、駅周辺には駐車場と待合室しかありません。
でも、だからこそ何か終着駅っぽい。
何もないことが一層「終着地点」ぽさを引き立たせている感じがして、案外好きかもしれません。
今回のポタはこれで終わり。
樽見駅からの帰り道は、国道418号を東に走ってみました。前回は美山から県道200号線をピストンしただけだったので、この道は途中からしか走っていなかったのでちょうどいい機会。
前回走った区間は道幅も広かったため非常に走りやすかったのとは異なり、この樽見~美山区間は車一台分がようやく通れるような道が続きます。美山までに集落をいくつか通過する道中、道幅はずっと狭いままでした。
そんな山奥に位置する場所なだけに、一休みするスポットは多いです。
具体的に言うと、いつも私がのんびりしてるようなこじんまりとした神社が点在しており、ひとりで黄昏るには最適。というか今まで岐阜で走ったところって大抵こんな感じなので、まさにちょこっと走って自分の時間を満喫するには適してます。
最後は遠回りして、武儀川や長良川を眺める道を走って帰路につきました。
走り終わった感想としては、アップダウンもあまりなく非常に走りやすく、さらに風景も申し分ないくらい素敵な道、という印象です。これはこれからのポタコースとして、季節を問わず何回も走りに来ることになりそう。
今回のポタも川に始まり川に終わって、岐阜を走る限り川と道は切っても切り離せない関係にある。多分今後も川沿いを走る機会は非常に多いと思います。同じ川でも場所や季節によって全く違った顔を見せてくれるので、さらに散策するのが楽しみになってきた。
おしまい。
コメント
コメント一覧 (2件)
帰省したら地元岐阜の田舎道を走ろうと思い、たまたまこのブログにたどり着きました。綺麗な写真ですね。
谷汲など懐かしいところがたくさん出てきて、とても嬉しい気分になりました。たまさんのブログを参考にして帰省したら走ってみようと思います。
私もグラベル持ってるので岐阜の素敵なグラベルを走ってみたいです。
やっしさん
コメントありがとうございます。
岐阜県内をしっかり走ったのはここ数ヶ月間のことなのですが、岐阜県はロードバイクで走るには最適…というかほんと走りやすい道が多いです。私の記事がライドのご参考になれば幸いです。