【海ぼうず~志摩市街~伊勢神宮】ロードバイクで伊勢志摩を走って廃校に泊まってきた Part 2/2

今日の宿である廃校「海ぼうず」に到着して私は喜びに包まれていた。

予約の段階では簡単な施設の案内や外観写真をささっと確認しただけだったので、そもそもどういう場所にあるのかなどは現地に着いてからのお楽しみだったからです。その分、実物を目の前にしたときの感動が大きかったということ。

これはライドの行程についても同じことが言えて、今回走った道中での風景に感動したのもたぶん下調べをあまりしなかった影響が少なからずあると思います。

ストリートビューなどで予めルート上の風景とかを確認しておくことも可能ではあるけど、個人的にはそれだと楽しみが半減してしまうような気がしてなりません。初めて目にする景色を満喫していくスタイルで今後もいきたいと思います。

もくじ

廃校に泊まる

立地

この廃校があるのは海沿いの高台です。

学校といえばもしもの時の避難場所にも指定されるので、海が近い場所では高いところにあることが多いです。

これのいいところは、とにかく眺めが良いこと。特に校舎の窓越しに見える海を見ていると、自分がまるで小学生に戻ったかのような錯覚に陥りました。

窓から見える景色をぼんやり見ているだけでも心が落ち着きます。

玄関

廃校へ至る道は全部で3つあって、そのうち2つは階段です。

自転車を持っていく場合は、元喫茶店の前の道を入って坂を上っていくことになります。

坂の斜度的に小学生にはなかなか難しいと思うけど、廃校になる前はどうしてたんだろう。もともと歩いて来ることができる範囲の子どもたちしかいなかったのか、バス通学が可能だったか、自転車置き場が坂の下にあったのか。たぶんバスかな。

今回の滞在中では、学校として現役だった頃はどうだったんだろう?と何かにつけて考えてます。説明しづらいけど、廃校には過去を思わずにはいられない魅力があります。

管理人さんのご厚意で、自転車を玄関に置かせてもらうことができました。昔は生徒の下駄箱があったであろう場所に靴を収め、早速中へ入ってみることにします。

校舎は3F建てで、次のような構造になっています。

  • 1F:管理人室、お風呂、厨房、食堂、広間
  • 2F:宿泊部屋エリア
  • 3F:体育館
  • 屋上

なお、水道やトイレは各階に設けられています。

廊下

個人的に学校で一番好きな場所が、この廊下です。

教室も好きだけど、廊下の雰囲気がすごく好き。直線にずっと続く廊下の両脇に教室などの部屋が並んでいるスタイルは、学校もののアニメでもよく登場しています。

廊下の一番先が扉というのもいいね。歩いていった先にさらに世界が広がっている気がする。

体育館に通じる廊下は木製で、歩くと軋みます。この軋みももはや懐かしいレベルでした。

1Fの廊下、玄関のすぐ横にはくつろぎスペース(勝手に命名)があり、将棋とかオセロなどが置いてあります。飲み物の自動販売機も設置されていますが、現在では使用不可のようでした。

玄関を入ってすぐの廊下には、今月の生活目標を書く黒板がありました。その上には教育目標として「自ら考える子ども・自ら鍛える子ども・自ら実践する子ども」の文字が。なんか耳が痛い。

ひらがなばかりなので「元小学校」ということが強く伝わってきました。黒板の前の机にかかっているランドセルも良い味を出している。

階段

各階をつなぐ階段には窓が多く、日光を多く取り入れられるように工夫されています。

もちろん電灯もちゃんとある中で、電気の力で明かりを得るのがメインではないところに惹かれました。

普通の階段って、フロア-階段-踊り場-階段-フロアの順になっている。

つまり中間にある踊り場は完全にフラットで、それを挟むように階段が反転して設置されているタイプ。小学校の階段というと、この形式を思い浮かべると思います。

しかしこの小学校は写真の通り、さらに踊り場を2つに分割してしてその中間に階段があります。フロアをまたぐ際に階段を3つ上り下りする形になっていて、これがとても好き。

なんというか、「上ってる感」「下ってる感」がより強調されているのがよい。小学生の上り下りの負担軽減のために踊り場までの間隔を狭くしたんだと思いますが、大人になってから通ってみると感動しました。

大きい窓でなく、小さい窓がいくつもあるのが個人的にジーンときたポイント。

デザインの統一性をみるに、どうやら手すりの位置の影響=踊り場の分割のためにこのような構造になったのだろうと感じます。自分がもし小学生だったらこんなポイントは気にもとめないのに、大きくなってから訪れてみると色々感じるものがある。

これがたまらない。

廊下や階段などは各自が勝手に歩いているとぶつかって危険なので中央に線が引かれています。

自分も小さいときにこれの右側あるいは左側を通るように指導されたのをうっすら思い出しました。

宿泊部屋

お次は、本日3人で宿泊することになるお部屋の紹介です。

黒板をそのまま残してくれるとか、なんという粋なことをしてくれたのか。

もちろんチョークも黒板消しもそのままなので、思い思いの落書きをしたりすることも可能です。

教室の真ん中に壁を設けて2つの宿泊部屋にしているところもあれば、大人数でも対応できるように教室をまるごと使っているところもあり、宿泊人数に応じた部屋選びが可能です。今回泊まった部屋だと、7人くらいなら余裕で布団を敷けそうでした。

設備としてはコンセントが2箇所あるほか、テレビやエアコンがあります。あと服を干すところもあります。完璧だね。

あと、個人的にベストだったのが布団で寝られること。ベッドでなく布団で寝られるということで、なんか修学旅行的な雰囲気を楽しむこともできます。

図書室

図書室には、学校として使われていたときのまま保存されていたであろう蔵書が保管されていました。

図書室といっても、宿泊施設となった今では図書目当てに利用する人は少ないようで、余った布団置き場に使われているようでした。

体育館

この廃校がある場所は前にも述べたとおり高台なのですが、スペースとしてはかなり狭いです。あとで触れる屋外(運動場)もそんなに広くないので、もともと生徒数が少ないことを想定していたようです。

なので、体育館を別途作るような場所を確保する必要がなかったからなのか、体育館は校舎の3Fに作られています。

ステージの狭さや、そこに至るまでのステップの幅、それに天井の低さを見ると、自分はもう小学生ではないと思い知らされます。つまり、あらゆるものが小さく見えてしまう。

ここで学芸会とかやってたんだろうなと思うとジーンとしてしまった。

下の敷板部分もだいぶ剥がれかけているものの、まだまだ普通に使えそうでした。施設としては卓球台が結構な台数置いてあるので、暇になったらこれで遊ぶのも楽しそうです。

屋上

今回、廃校となった学校を訪れて一番感動したのがこの屋上です。

小学校に通っていた頃は、屋上に上がる機会なんで全くなかった方がほとんでじゃないかと思います。屋上といえば立ち入り禁止が当たり前で、気にはなっていたものの結局一度も行けずじまいでした。

ここでは合法的に屋上に上がることができます。

なんかもう青春を感じてる感がヤバい。

小学校で青春も何もないとは思うけど、できるなら学生時代に屋上でゆっくり過ごしてみたかった。でも大きくなってから初めて屋上を体験するのも素晴らしいものでした。

校舎が高台にあることも相まって、眺めは非常に良いです。ここから遠くを眺めてるだけで酒がうまい。

食堂&厨房

食堂と厨房は1Fにあり、持ち込みで料理をすることが可能です。

自分のいた小学校では給食センターというものが市内にあり、そこから給食を運んでくる方式でしたが、ここでは実際に学校の中に食事を作る設備があるようです。

夏休み等の際は、数十人分のカレーをここで作って子どもたちに振る舞っていたりしていたようでした(ホワイトボードに書いてた)。

厨房というだけあって設備の充実っぷりが凄まじく、電子レンジやポット、ガスコンロなども完備しているので、大抵の料理ならここで作ることができます。近くのスーパーで食材を仕入れて、ここで豪勢な料理を作って楽しむこともできます。

屋外

屋内はあらかた散策し終わったので次は屋外へ。

玄関を出て右手方向がグラウンドで、今は芝生に覆われています。

屋外の施設としては、バーベキューが可能なセットがあります。夏場にここで肉を焼いて酒で流し込むやつをやったら最高だろうな。

遊具に目を向けると、現存しているのは鉄棒とブランコくらい。ブランコについては外側の棒の部分しか残ってませんでした。

あと、夏場はとても便利な屋外シャワーもちゃんとあります。例えば近くの海で泳いできて、汚れを落とす際に使えます。

廃校の夜は早い

写真を撮りまくっていたので気がついたら19時くらいになってました。ここに到着したのが16時くらいなので、約3時間ほど散策と写真撮影にあてたことになります。いくらなんでも満喫しすぎ。

今日はもうライドはしないため、あとは夕食を食べて寝るだけとなります。

今日の夕食は…なんとカレーです!

最寄りのスーパーからここまで15kmもあり、さらに自転車での移動ということで「容量が少なく、カロリーを摂れるもの」を考えてたら、いつの間にかカレーに決まってました。

厨房に電子レンジもポットもあるし、作るのは簡単でした。なお、電子レンジの温め時間をミスってご飯がめちゃくちゃ硬いままだったのは秘密。

図らずも学校でカレーという構図になり、あたかもなにかの合宿のような雰囲気を味わうことができました。そう考えると余計にカレーが美味しく思えてきて、もう雰囲気だけでご飯が食べられるレベル。

ご飯を食べ終えたら、あとはもう寝るしかない。

不思議と遅くまで起きる欲求がなく、スッと眠りにつくことができました。廃校の雰囲気にあてられてリラックスできてたからかもしれません。通常だと寝つくのに結構な時間がかかるのに。

そして廃校の夜は、静かに過ぎていきました。

廃校の朝

知らない天井だ。

この日はまず朝食を食べる前に、軽く近所を散歩することにしました。まず校舎内を散策し、その後屋外へでかけることに。

この日の宿泊は自分たちの貸し切りというわけではなく、ご夫婦がもう一組泊まってらしたので静かに行動します。

朝の廃校って、どうしてこんなにも美しいんだろう。

昼間の廃校もよい雰囲気で感動しましたが、早朝の廃校の、しかも校舎内で朝を迎えることができるなんて。今回ここを宿泊地に決めて本当によかったです。

小学校が廃校になった今でも、その回りの景色は変わってなくて。

この学校だけが時代から取り残されているような雰囲気に包まれている一方で、その一方で宿泊施設として生まれ変わって自分たちはそこに泊まっている。それを実感するとともに、とてつもなくノスタルジーな感情が改めて湧いてきました。

楽しい時間ほど、過ぎるのは早いもの。そろそろ出発の時間が近づいてきました。

短い間でしたが本当にお世話になりました。

たまたま見つけた場所なのに一生に残る思い出になりました。ここはまた必ずまた訪れたい。

今回泊まった廃校だけでなく、その回りの風景や道、走ってきた行程も含めてまとめて好きになりました。

これは是非ともまた訪れなければならない。

伊勢観光

宿を出発した我々は、昨日走ってきた道を戻って鵜方駅に向かいました。

残りの時間は伊勢をまったり観光して終わろうという話になり、電車輪行を活用して鵜方から伊勢にワープします。

伊勢に到着してまず立ち寄ったのは、外宮の目の前にある赤福・外宮前特設店。

ここで冷やしぜんざいなるものをいただきました。

赤福といえば、内宮近くにあるおかげ横丁のお店が有名ですが、あっちは人が多いのでこっちに来ました。この日も昨日に引き続いて気温が高く、「冷やし」の恩恵が思いのほか助かりました。まだまだ秋は遠いのかも。

最後に向かったのはまんぷく食堂というお店で、半月の原作に登場するお店のモデルになった場所とのことです。

注文したのは見た目からして美味しいこと間違いなしのからあげ丼。

たぶんこれだけで、この二日間のカロリー収支がプラスになるくらいのエネルギーみを感じました。それくらい美味い。ライドの締めに訪れるには最適の場所だった。

伊勢志摩を満喫したところで帰路につきました。

おわりに

今回はライドそのものよりも宿泊がメインという、今までの自分のスタイルと比較すると珍しい部類に入る二日間でした。ただ道を走って風景を楽しむという面とは少し違った自転車の楽しみ方を見つけたような気がします。

自分はやっぱり宿泊込みで自転車を満喫するスタイルが合っているというか、これが自分の「好き」を素直に楽しめるやり方だと実感できました。今後もライド/宿泊に重点をあて、両方とも存分に味わえるような行程で走っていきたいです。

おしまい。


本ブログ、tamaism.com にお越しいただきありがとうございます。主にロードバイク旅の行程や鄙びた旅館への宿泊記録を書いています。「役に立った」と思われましたら、ブックマーク・シェアをしていただければ嬉しいです。

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