【山形県 瀬見温泉~新庄~大蔵村~肘折温泉】ロードバイクで残雪が残る春先の田園地帯と温泉街を巡ってきた

今回は春の山形県をロードバイクで走ってきた記録です。

もくじ

銀山温泉街までの残雪ライド

まだ十分に暖かいとは言えない3月。温泉へ入りに行くために東北を訪れることを決め、目的地に選んだのが山形県です。特に個人的なお気に入りの温泉旅館である喜至楼には秋と冬の時期に訪問したことがあり、次は春に再訪すると決めていました。遠方へ行く際に、宿泊地が検討の余地なくすんなり決まるのは珍しい。

で、ただ一泊だけしてとんぼ返りするのは少しもったいないと思ったため、せっかくなので二泊三日にして二泊目は肘折温泉に行くことにしました。ちょうど泊まってみたいと思っていた旅館があって、予約もできたので後は行くだけです。

山形空港
月山

一泊目に瀬見温泉で二泊目に肘折温泉、しかもロードバイク持参という行程は過去にやったことがあり、つまり走るルートとしての新規点は無し。しかし訪れる季節が異なると目に入ってくる情報も異なるわけで、「雪景色を味わえて、かつロードバイクで自走可能」なのはこの春の最初の時期だけです。

冬と夏の間の、しかもまだ植物の息吹が感じられる少し前の遷移的な季節。今回行った3月の山形というのはそういう空白的な時期となります。

天気が悪かったら公共交通機関で行くことを検討してたところ、運良く晴れてくれたので各温泉には自走で向かいました。個人的には日中にそこそこの運動をしてから温泉宿に到着する方が、温泉や食事の充実感が何倍にもなるので好きです。

あとは二週間ほど前にアスペロのハンドルバーを全路面対応のENVE SES ARに変えたので、パーツ交換したアスペロの試運転をしたいという思いがありました。

結果から言うとKUALISで使っているENVE ROADハンドルバーよりも若干しなりがあり、上面のフラットな部分に手を置きやすいため満足しています。100km以上の長距離を走ったら違いをより感じやすそう。

瀬見温泉へ向かう前に銀山温泉へ立ち寄ることにし、ショートカットしようと思って県道29号へ向かったら冬季閉鎖されていて引き返すの図。下調べをあまりしないのでこういうこともある。

どこもかしこも雪解け水が流れていて、この水が森の木々や農作物などを育んでいると思うと冬が終わって春が来た感があります。

それにしても、ここまで残雪がある状況でのライドはとても新鮮だ。

岐阜だと北部の高山とか飛騨の方まで向かわないとここまでの雪がなく、あったとしても路面にも雪が残っているか、天候が悪くてライドに適していないかのどちらかです。それに比べて本日は路面上は比較的ドライなのに道の脇には雪が多く残っている。加えて天気がとても良く、冷えた空気の中を走っていると本当に気持ちが良い。

涼しいだけ、乾いていて走りやすいだけのシチュエーションなら他でも味わえるものの、それらが一度に体感できるのは運が良い。

というわけで銀山温泉に到着。前回とは異なり今回は国道301号を走って向かいました。

銀山温泉といえば完全に雪に埋もれている冬の風景が有名だけど、今の時期でも雪がそこそこあるので雰囲気は十分に楽しめると思います。異なる点があるとすれば天気かな。冬場だとここまで快晴になる日はそんなにないはずです(常に曇天)。

雪かきがされていない箇所は結構積もっている
すでにかなり汚れている

観光客の姿はそこまで多くなく、散策もしっかりできました。銀山温泉ってどちらかというと宿泊地としての印象が強く、日帰りで利用できる施設は多くないので昼間に来ても混雑してません。銀山温泉は秋の時期に来たことがあるので、次回訪れるとしたら宿泊目的になると思います。

ここでライドの話に戻ると、雪解け水が流れる路面を走ると自転車がかなり汚れて悲しくなりました(今更)。なのでこのライドをやっている最中にAmazonでフェンダーを注文しました。後日の試運転の際に付けて走ってみたらサドルまでは汚れが届かなかったので、以後同じようなシチュエーションで走る場合はフェンダー必須ですね。まあホイールとかダウンチューブ裏の汚れまでは防げないけど。

ゲソ天カレー

気を取り直して、銀山温泉街の少し手前にある「大正ろまん館」で昼食のゲソ天カレーをいただく。あまり見たことない組み合わせだったので衝動的に注文してしまった。

ご飯の美味しさと辛すぎないカレーの味が身体をホッと温めてくれて、そこにゲソ天のむにっとした食感が加わってくる。やっぱり春先の気温だとまだまだ暖かい料理が恋しくなるものの、ロードバイクだとご飯系とおかずがほどよく合わさったものを選びがち。

湯澤屋
赤倉温泉

ランチの後は瀬見温泉までの道中として県道28号を走り、山刀伐峠を超えて赤倉温泉へ。

温泉街の中を軽く巡って、以前泊まった湯澤屋の様子を確認したりしてました。こんな風に、前に訪れたことのある場所が今どうなっているのか…を見たいがために少々寄り道することも多々ある。

進行方向に雨雲

その後は国道47号へ合流せず、県道262号を走って瀬見温泉に到着。瀬見温泉方面から雨雲が徐々に迫ってきているのに西風が強くて参りました。というか前回の訪問時も西風がとんでもなくてたどり着くのが大変だったような。

山形県に限らず、集落と集落の間の何もない区間を走っているととても心細くなる。

例えばこれが道端に耕された田畑やそこに実っている米などが目に入ってくると少しは安心できるところ、この時期だと荒涼とした山と雪しか見えなくて精神的に疲れてくるもの。しかしよく考えてみると東北の冬ってこういう景色こそがメインだし、「寂しさ」も山形県の冬を構成する一つの要素のように思えてくる。この後に温泉が待っていると前向きに考えながら向かい風と格闘してました。

その後は無事に瀬見温泉に到着し、素敵な一夜を過ごせました。宿泊記録は別記事でまとめています。

雪深い肘折温泉、その日帰り温泉へ

翌朝。

今日の天気は平野部は晴れなのに対して、肘折温泉がある山岳部は曇りの予報。特に予定もないので早い時間に肘折温泉まで向かうことにしました。

瀬見温泉

瀬見温泉から舟形町や大蔵村方面へ向かう道中ではJR陸羽東線の線路沿いを走る区間があって、ちょろっと駅に寄ってみたら除雪が全くされていなくて驚きました。そういえば陸羽東線は新庄駅~鳴子温泉駅の区間が工事のために運転見合わせになっていた。完全に忘れていたところをこの光景を見て思い出しました。

結果論になるけど、ロードバイクなら比較的自由に行動できてかつ交通費も安く済むのが便利だと思っています。公共交通機関があまり発達していない地域だとバス一本待つのに1時間以上かかることもあって、例えば山形空港から瀬見温泉へ向かうのもJR以外だと時間がかかります。自転車の機動力は地方でこそ発揮される。

県道31号から県道330号へと入り、その後は無心で上っていれば肘折温泉に着きます。あれこれ分岐がない分、迷う心配をせずに走れる点がグッド。獲得標高も大したことないです。

ちなみにこの国道458号は山の中腹にある肘折温泉から先も続いており、十部一峠を境にして下りに入ります。山の反対側には寒河江市や山形空港が位置しているので、普通に考えれば単に山形空港から肘折温泉へ向かうのであれば南から行くのが手っ取り早いです。ただ万年通行止めになっているために現状では大蔵村を経由するしか手がありません。Googleのストリートビューの日付が2012年なので通れるのは当分先になりそう。

というわけで肘折温泉に到着。

毎回思うけど、肘折希望大橋から温泉街を眺めたときの「やっと到着した感」がとても強い。国道からだと町の様子が全く見えず、この大橋までやってきて唐突に町の全容が目に飛び込んでくるためにインパクトが大きいです。

まだ旅館のチェックイン時間までには余裕があったので、日帰り温泉である「肘折いでゆ館」とその食堂でゆっくり過ごすことにしました。なんだかんだでヒルクライムが終わって身体が冷えているし、標高が高いので麓よりは寒い。

肘折いでゆ館

この肘折いでゆ館は1階におみやげ売り場、食堂や多目的ホール、2階に研修室や休憩室、3階に日帰り温泉などがある複合施設であり、肘折温泉の観光や文化を発信する中核的な場所となっています。

そして驚きだったのが、日帰り温泉が本日2025年3月23日をもって営業終了となってしまうことでした。意図せずして歴史的な節目のタイミングでの訪問となりましたが、運がいいのか悪いのか…。調べたら平成9年(1997年)にオープンして以来、28年もの間営業を続けてこられたとのことでした。この日は最終日ということで地元の方が多数訪れており、1階の受付周辺にも人が多かったです。

日帰り温泉はというと浴室に入って左側に大きな浴槽、右側に洗い場があり、入口正面奥には寝たままの姿勢で入浴できるところもありました。源泉かけ流しの温泉は比較的ぬるめの温度で、休憩しながらだと長湯ができる感じ。初めての訪問が最後の訪問になってしまったものの、温泉に浸かりながらゆっくりとした時間を過ごしました。

肘折温泉における日帰り温泉施設は肘折いでゆ館以外にもカルデラ温泉館と上ノ湯がある(ただし後者はシャンプー等なし)ので、今度からはそちらを訪問してねということみたいです。

遅めのランチ

温泉に入った後は1階に戻り、食堂で野菜炒め定食をいただきました。値段の割にボリュームがあってびっくり。この定食のおかげでヒルクライムと温泉による空腹を一気に解消することができました。

というか、1階ではなく3階に温泉施設があるのは珍しいですね。維持管理がなんか大変そう。

肘折いでゆ館の前には「おおくら君」というデカい雪だるまが鎮座しています。毎年3月に行われる雪まつりに合わせて作られるもので、今年2025年で31世。訪問時はまだまだ大部分が残っていました。

肘折温泉をぶらぶら歩いた後は、本日の宿である松井旅館に宿泊しました。宿泊記録は別記事にまとめています。

肘折温泉に宿泊するのはこれで何回目かになるけど、喧騒から離れて温泉療養するにはこれ以上の環境はないと思います。観光的な面が強いかというとそうでもなく、山の中に温泉と古びた旅館がただ存在している。昔からも、そしてこれからも肘折温泉はひっそりと歴史を重ねていくのだろう。

最終日の肘折温泉

最終日は特に寄り道することなく、一直線に山形空港まで走って今回の山形ライドは無事に終了。

走行距離は少なめで新規ルート開拓も季節柄難しく、シンプルに移動手段としてロードバイクを使用した形となった3日間。でも自転車による移動は本当に楽しいし、季節に応じた気温や空気感、風景などを五感で堪能しながら目的地へ向かえるのは大きなメリットだと思う。

これから先も自分は温泉や旅館を目当てにして山形県を訪問していくだろうし、それらの移動が短距離であったとしてもロードバイクに乗っていくだろう。改めてそう思えるほどに、精神的に充実した3日間となりました。

おしまい。


本ブログ、tamaism.com にお越しいただきありがとうございます。主にロードバイク旅の行程や鄙びた旅館への宿泊記録を書いています。「役に立った」と思われましたら、ブックマークやシェアをしていただければ嬉しいです。

過去に泊まった旅館の記事はこちらからどうぞ。

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