【青森~函館~城岱牧場展望台~弘前岩木山】ロードバイクで津軽の温泉を巡る秋の北海道~青森ライド

今回はロードバイクで北海道の七飯町~函館市近辺と青森県弘前市~青森市を走ってきました。

秋の時期にとりあえず青森に走りに行くことを決め、その後に追加分として北海道の行程を追加したのがきっかけです。

もくじ

秋の北海道駒ヶ岳を望む

実際のところは弘前にある温泉旅館に一泊するのが主な目的で、旅行の数日前に天気予報を確認したら比較的晴れだったのでロードバイクを持ち込むことに決定。ただし普通に青森空港と弘前市街地を往復するだけだと走行距離が短いため、無茶と理解しつつも急遽北海道の行程を追加しました。

例えばこれが青森~函館を結ぶフェリーに乗りたい、とかだと日程的に厳しいところ、新青森~新函館北斗の新幹線を使うことで回りたいところを回りつつ二泊三日の行程に収めることに成功。振り返ってみれば、今までの青森ライドでは訪れてこなかった場所を多く巡ることができました。

青森空港

いつものように青森空港に到着。

アスペロの飛行機輪行はこれが初めてとなりますが、油圧式ディスクブレーキになったからといって輪行方式は変わりません。

新青森駅

青森空港から山を下って青森市街に向かい、新青森駅から新幹線で新函館北斗駅へ。

この区間の新幹線に乗るのは初めてですが、全国の新幹線の路線の中でも特に人が少ないエリアを横断しているせいか、車窓からの眺めがほぼ自然のみでした。北海道に入ってからは町並みが見え、そうこうしていたら函館に到着していたという流れです。

新函館北斗駅に到着。駅自体がかなり近代的な造りをしており、天井がとても高くて驚きました。

北海道に降り立ってまず感じたことはシンプルに「寒い」ということ。たった数十分前に居た青森県よりも空気が冷えこんでいるようで、自分が東北ではなく北海道にいることを実感させます。心なしか空気も美味しいような。

ここからの流れを説明すると、鹿部町を経由して渡島半島の反対側まで走って一泊してこの日は終了。翌日はほぼ同じ道をとんぼ返りして同じく新函館北斗駅から新青森駅~弘前へと移動し、散策を続けていきます。旅行用語で言うところの単振動をする形で、たまにはこういう行程も面白いかなと思いました。

鹿部町までの移動で走った道というのが、この城岱スカイラインです。交通量が多い国道を避けるルートはないかと思って探してみたところ、面白そうなルートを発見したので行ってみることにしたのが一番の理由。マップで見て分かる通り城岱スカイラインは麓からの高低差がある、いわゆるヒルクライムルートとなります。

大人しく国道5号を北上するよりも時間がかかることが予想されたものの、時間の短縮よりも直感で気になった道を実際に走ってみたいという思いのほうが優先する。この感性は今後も大事にしていきたい。

のんびり上ってスカイラインの一番上に位置する城岱牧場に到着。

頂上からは函館方面を一望することができて達成感はかなりのもので、ここには高地まで上ってきたことを実感させる光景が広がっていました。これがあるからヒルクライムはやめられない。

立ち止まって深呼吸をしてみると、肺に入ってくるのは清々しい秋の空気。火照った身体を適度な風が冷やしていく中でしばし佇む。適度な寒さ、澄んだ空気、それによって他の季節より鮮明になる景色。こういうシチュエーションの中に身を置いていると、やっぱり自分は秋の季節が好きだなと思います。

牧場ということで周辺には木々が少なく、それによって自分が今いる地形が分かりやすくなっています。

例えば本州の山だったら木々が多いためにこういう風に景色が開けていないし、何よりも標高が高い場所になだらかな丘が広がる地形が少ない。というか自分も実際にここに上ってくるまで、山の上に牧場があることを知りませんでした。地元の人からしたら何気ない地形でも、余所から来た自分にとっては北海道らしさを十分に感じられる。

牧場を通り過ぎると今度は下りに入り景色は一変。

函館方面の景色は見えなくなり、代わりに北海道駒ヶ岳が視界に入ってくるようになりました。このあたりは突出して高い山があまりないため、必然的に北海道駒ヶ岳の存在感が際立っている。

県道43号に合流し、ここからはひたすらに太平洋側を目指して走っていきました。

常に左側に見える北海道駒ヶ岳を目印にしながら、日が傾きかけている時間帯の山間部を走るライド。上の写真の地点からだと山の全容が見やすかったのですが、こうして見ると結構なだらかな斜面をしているのが分かります。登山では割と上りやすかったりするのかもしれない。

鹿部町に到着
半島の東側を走る頃には日が落ちかけていた
翌朝
新幹線で青森県へ帰る

その後は無事に鹿部町にたどり着き、国道278号を南下して宿に到着。半島における人口密集地である函館市~七飯町周辺とは対象的に、ほとんど交通量がない中を走るのはまた別の良さがあって楽しい。

自転車という移動手段は「道」という経路上において、都会から田舎への移り変わりを交通量の差異によって、また平地から山岳部への移り変わりを疲労という形で体感しやすいのが特徴だと思います。特に人家の密集具合や交通量などは当たり前だけど場所によって全く異なっていて、その土地の空気感に直結している。そんなシームレスな移り変わりを全身で味わえるのが良さの一つだ。

弘前郊外、岩木山近くの温泉を巡る

翌朝は前日に走った道を戻り、新函館北斗駅から電車を乗り継いで弘前へ向かいました。宿から新函館北斗駅までの区間を割と急ぎで走ったため一本早い新幹線に乗ることができ、弘前での散策時間が増えました。

というわけで、2日目~3日目は青森県を走っていく。といっても2日目はこれまでに何度も訪問した弘前市街~岩木山周辺を訪れるのみで、目新しい部分はありません。

弘前駅
以前泊まった石場旅館
弘前公園周辺
石場屋酒店

弘前駅から中央弘前駅前を通過し、弘前公園を通り過ぎて石場屋酒店で日本酒(豊盃)を購入する。いつも通りの行動すぎる上に、今回は豊盃を三本も買いました。

青森県で日本酒を購入できる店なんて星の数ほどあるだろうけど、私が最初に青森県を訪問したときに向かったのがこの弘前で、さらに青森県で一番最初に訪れた酒店がここだったので以後通い続けています。そういう意味では馴染みのある店だ。

春の時期は花見客でごった返す弘前公園も、秋の時期は全然人がいません。

混むシーズンをあえて外して訪問するのもいいですね。

地元の人しかこないような店でランチ。唐揚げの量が多すぎる件について
岩木山

市街地を後にし、本日の宿がある岩木山方面へ向かうことにしました。

その道中でやってみたかったのが、岩木山周辺の日帰り温泉に立ち寄ること。実は青森県には温泉旅館だけでなく日帰り入浴できる施設(今まで入ったところの例:あたご温泉や百沢温泉)がたくさん存在し、肌寒い秋の季節を最大限に活かしてそれらに入っていこうというわけです。

日帰り入浴をライドに組み合わせるのはかなり難しくて、春や夏だとせっかく温泉に入っても走っている途中に汗をかいてしまう。なのでその日の宿に温泉があるケースでしか温泉を堪能できず、目星をつけておいた日帰り温泉に立ち寄るのが後回しになってしまってました。

真岡温泉

最初に訪れたのは、あたご温泉からほど近い真岡温泉です。

温泉は男女別の内湯が一箇所あるのみで、その他の設備も必要最小限。古めかしい外観やレトロな感じの湯船など、自分はこういう公衆浴場が好きなんだと思い出させてくれる静かな温泉です。お湯は茶色っぽく温度は熱めで、自分だと長湯はあまりできませんでした。

特徴的なのはその湯量にあり、湯船にドバドバと盛大に掛け流されています。身体の熱が持続する感覚が強く、そのまま屋外へ出ると湯冷めしそうだったのでソファに座って身体をある程度冷ましてから次の場所へ向かいました。

三本柳温泉

続いて訪れたのは百沢温泉近くの三本柳温泉

さっき以上に鄙びた外観と内装をしており、日帰り入浴だけでなく素泊まりもできるようです。駐車場と建物の両方がかなり広く、隅っこにはマイクロバスもあったことから昔は団体客で賑わっていたことを伺い知ることができました。駐車場には県外ナンバーの車も止まっていたりして、有名どころのようです。

温泉は源泉かけ流しで加水・加温もなく、温度は若干低め(約41℃)で長湯ができました。シャンプーやボディソープ等が置かれていないシンプルな点も地域の温泉という感じがします。

あとは…なんといっても立地がいいですね。三本柳温泉は大通りに面していないために農作業のための車か温泉目的の車のどちらかしか通らず、周辺がとても静かです。

2箇所の日帰り温泉に入ったところで、今日の宿である温泉旅館中野へと向かいました。

宿泊記録は別記事でまとめています。

青森市街地の喫茶店を巡る

旅館での滞在から一夜明け、青森県ライド3日目。

今日も特に予定を決めておらず、適当に弘前周辺を走って青森空港へ向かってライド終了のつもりでした。しかしここにきて「そういえば青森市にあまり行ったことないのでは?」と気が付き、そのままの勢いで青森市へと向かうことに決定。

マップを見てみると行ってみたかった喫茶店が青森市にあるし、ちょうどいい機会でした。

毎回訪れている「悪戸のアイス」は、今年の営業を終了していた。また来年。

岩木山から弘前市街地へと下り、普段通ったことない国道7号を走って北へ。

青森~弘前間の道は国道7号とは別に青森空港を通過する県道27号があるものの、ヒルクライムを挟むのでしんどいです。JR奥羽本線沿いに走れば高低差が少ないです(と車窓からの景色でいつも思っていた)。

国道の途中から県道247号へと入り、しばらく走った先にあるのがたらポッキ温泉です。

何回でも入りたくなるとSNS上でかなり評判が良い日帰り温泉で自分も気になっていましたが、現在は源泉温度の低下により休業中。再開は未定となっており、クラウドファンディングで資金を募っているとのことです。

営業再開したらぜひとも入りに来たいところだが、果たしてどうなるか…。

自分が好きな古い旅館に限らず、これから先の日本は施設の老朽化や後継者問題によって利用できる施設や建物はどんどん減っていくことが予想されます。なので少しでも琴線に触れたところがあるなら行っておくべきだし、行かないで後悔するよりは行って後悔したほうがいい。

温泉に関しては、源泉温度の低下が割と問題になっているような気がします。青森県下では嶽温泉が同じ問題に直面していたし、近年は地球の調子が悪くなっているのかもしれない。

気を取り直してライドを再開していく。

青森市街地に到着して向かったのは、昔ながらの喫茶店という言葉が似合う珈琲茶館 麦藁帽子というお店です。

何でこの喫茶店を知ったのかはちょっと忘れたけど、古びていて静かな喫茶店は自分の大好物。普段のライド中心の行程とは少し離れて、ライドの「合間」の休憩を最大限に楽しむことにしました。

メニューは豊富

ブレンドコーヒー、ストレートコーヒー、アレンジコーヒーに加えてソフトドリンクやケーキ・プリン類のデザートも揃っており、さらにはトースト系やナポリタン、ピラフといった料理の種類も豊富で、午前中や午後、お昼時など時間を問わずに訪れることができます。

店内は比較的こじんまりとしており、向かって左側にテーブル席、右側にカウンター席が並んでいます。青森の町の中に溶け込んでいる歴史ある店なだけあって常連客も多いようで、店内はほぼ満席でした。

※撮影許可いただきました

店内の様子はこんな感じ。カウンターの椅子の昭和感やずらっと並べられたマグカップ、サイフォンで淹れてもらえるコーヒー、店内の照明など見どころがたくさんあります。

今回はチーズケーキとコーヒーを注文し、店内の様子を眺めながらゆっくりと過ごしました。

他の客の話し声や新聞をめくる音、係の人が移動する音などの適度な音がむしろ心地よく、特に何をするわけでもないけど集中できる。それに加えて美味しいデザートがあればもう言うことなしで、昼下がりの時間帯は静かに過ぎていく。こんな時間の使い方は実に素敵だ。

青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸
青森県観光物産館アスパム

その後は青森駅や青森ベイブリッジ周辺を散策。

ここからは青森の海がよく見えて、今回のライドではあまり考えてこなかった津軽海峡のことに思いを馳せる。青森と北海道の函館・室蘭とは津軽海峡フェリーでも行き来ができるので、将来の訪問時には選択肢に加えてもいいかもしれない。こういう思想になるのも今回のライドで青森県と北海道を往復したからこそだし、思いつきでもやってみてよかったかな。

また、こうして陸奥湾がすぐそこに見える場所にいると下北半島をまた走りたくなってきた。次に青森県を訪問するとしたら、おそらく下北半島の険しさと奥深さを復習するライドをやることになりそうだ。

最後に訪れたのは喫茶マロンというお店です。

1階は階段のみで、店舗自体は2階にあります。

店内は比較的新しめな内装をしているものの、年代物の壁掛け時計や電話機をはじめとして全国各地から集められたというアンティーク系の小物類が並んでおり雰囲気がとても良いです。

ちょうど窓際の席が空いていたのでここに座り、数量限定というパフェを注文。この寒さにも関わらずもっと寒くなるようなパフェはどうなのかと一瞬思ったものの、パフェそのものがとても美味しかったので帳消しになりました。

一般的なカフェと少し異なっているのは、眼下の大通りの様子を見渡せるという点にあります。窓際の席に限られますが、通りを走る車や歩道を歩くサラリーマン、舞い散るイチョウの葉、そして時間とともに暗くなっていく町。刻一刻と変わっていく状況を眺めながらコーヒーを楽しめるというわけで、日が落ちるのが早い秋の季節においては、屋外を感じられるというポイントが素敵さを増していました。

帰る際には階段下に「ありがとうございました」の文字。

こちらも思わずにっこりと笑顔になってしまって、また来ようと強く思わせてくれる素敵な工夫ですね。

最後は青森市側から青森空港まで上って、今回のライドは終了。

雪が降る前に青森県に行っておくか、と軽い気持ちで決めた秋の青森ライドですが、ライドというよりも温泉と喫茶店でのひとときが印象に残る3日間となりました。これからは景色を求めるのを控えめにし、お店や施設の方も重点的に訪ねていこうと思います。

おしまい。


本ブログ、tamaism.com にお越しいただきありがとうございます。主にロードバイク旅の行程や鄙びた旅館への宿泊記録を書いています。「役に立った」と思われましたら、ブックマーク・シェアをしていただければ嬉しいです。

過去に泊まった旅館の記事はこちらからどうぞ。

  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

もくじ