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旅の記録、宿泊先や行程とか

【銀山~瀬見~肘折】ちょっとロードバイクで山形県の温泉街を巡ってきた

【訪問日:2020年11月14日~15日】

初めての山形県

一ヶ月ほど前から「ロードバイクで温泉に入りに行く」というのを始めて以来、ライド道中と温泉との寒暖差の気持ちよさに味をしめてしまったこともあり、今週末も温泉ライドに出かけることに。

今回の舞台は山形県

実は山形県にはまだ行ったことがなかったのですが、温泉街が非常に多いという情報は掴んでいました。できることならどれか一つだけ訪問するのではなく、のんびりと複数箇所を回ってそれぞれの雰囲気を楽しむ形にしたいと常々考えており、今回ついに決行することになったわけです。岐阜の季節的にはまだ晩秋ですが、東北に位置する山形県はもう冬。装備についてはある程度考えて準備しました。

というわけで早速出発。

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岐阜に住んでて良かったと思うことは多いのですが、その理由の一つが名古屋空港(セントレアじゃない方)を利用しやすいこと。

というのも、名古屋空港からはFDAの路線が多く飛んでおり、これが日本各地の地方に行く際にとても重宝するのです。例えば高知や福岡、青森、花巻という風に日本の端っこの方に路線があるし、そこには今回乗ることになる山形も含まれています。FDAはANAやJALと比較しても航空券がかなり安く、キャンセル料もそれほどかかりません。なので、ちょっと東北や四国に行くか…と思い立ったときに大変頼りになりますね。

www.fujidream.co.jp

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FDAでの飛行機輪行はとっても楽チンで、上の写真のような輪行ボックスに一式をぶち込むだけでいいというお手軽さ。しかもこれ無料ですからね。予め電話予約しておいて空港で受け取るというスタイルです。

飛行機輪行をする際にはANAとかJAL、あとはLCCだったらハードケースを用意しないと不安…という人も多い中で(自分はANAやJALだと電車輪行のペラいやつに入れて預けてますが)、ここまでユーザーフレンドリーな航空会社は珍しいと思います。

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飛行機の窓から見える雪山に感動しつつ、山形空港に到着。

山形に降り立ってまず感じたことは、ある意味当然なんですが寒いこと。この日の最高気温は12℃と比較的低く、立ち止まってると身体が冷えて仕方ない。

銀山温泉へ

ちゃっちゃと輪行解除し、特に空港周辺でやることもなかったので移動を始めていきます。

今日の目的地は宿泊場所でもある瀬見温泉(最上町)で、普通にまっすぐ向かえば山形空港から約50kmというところ。もっとも、脇目も振らずに宿まで走るだけというのは味気ないので、例によって寄り道をしていきます。

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寄り道をするにしろしないにしろ、山形空港からは基本的に北へ向かって走っていくのですが、今日に限ってはこれが非常に辛かった。

なぜかというと、この日は北西の風が風速7m/sという暴風で吹き荒れていたから。

ロードバイクという乗り物は風の影響をとても受けやすい乗り物なので、個人的には向かい風があると全くやる気がでません。ましてや7m/sというともう前に進むのが困難になるレベルで、慣性がほぼ効かないため、ペダルを踏むのをやめた瞬間に失速するので割と心を折られました。

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月山方面を眺める。山形県は空港周辺は平野部が多いが、基本的には山岳地帯。

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この日の寄り道スポットである銀山温泉へ

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特に、空港から尾花沢市方面へ向かおうとすると基本的に平野部を走ることになって、遮るものがなにもないので余計に風に煽られてしまう始末。この日に寄り道するのを決めたのは強風に立ち向かうのに飽きたからでもあります(冗談抜きで全然進みません)。

平野部には田園が広がっていて、風の強さとは裏腹に景色はすごく良いです。遮るものがない=見通しがいいということでもあるので、冬眠に入りつつある田畑を眺めながら流していくのは非常に気持ちいい。

水を張っている田んぼも情緒あって良いものだけど、1年の役目を終えた田んぼも秋冬の見どころの一つですね。

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そんなことを考えながら丘陵部を走っていって、"あの"銀山温泉に到着。

銀山温泉は説明不要の人気温泉…もとい観光地で、山形の温泉を語る上では外せないほどの知名度を誇ります。現にGoogleで「山形 温泉」で画像検索すると銀山温泉の写真ばっかり出てくるくらいなので、全国的に見ても認知度が高い様子。夜の雪景色の中、ほんのりとガス灯がともった温泉街の風景は観光サイト等で見る機会も多いと思います。

「銀山」の名の通り、江戸時代に栄えた野辺沢銀山の鉱夫が湯を発見したことが銀山温泉に始まりとされており、銀山の衰退後は温泉宿が建てられて湯治場として賑わうことになりました。

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温泉街の一番奥には、有形登録文化財にも指定されている能登屋旅館がある。

温泉街はその中心を流れる銀山川と背後の山に挟まれた狭隘な場所に立置し、さらに長さも200mほどとコンパクトに収まっていることもあって、さながら秘湯と形容できるような佇まいとしています。

しかし、前述の通り知名度が高い=めちゃくちゃ人が多いので秘湯感はありません。日帰りで来る人も想像以上に多かったので、温泉に入りに来るというよりは温泉街の風景を見に来たという方が正確かも。

ちなみにですが、銀山温泉に宿泊するのはかなりの至難の業です。そもそもが当分先まで予約で埋まっているし(特に冬)、どの宿も一人客はNGで泊まることができません。ただ、能登屋旅館をはじめ魅力的な宿を現地でいくつか発見したので、いつかは冬の間に泊まってみたいものです。

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確かに温泉街としては狭いと思いますが、川を挟んで両側に背の高い旅館がずらっと並んでいる光景は見ごたえがあるので散策が楽しい。きっと宿に泊まれば上から見下ろすような風景も堪能できるし、やっぱり銀山温泉は宿泊するのが一番かもしれませんね。

日帰り客はひっきりなしに訪れているようで、これ以上人が増える前にさっさと退散することにしました。

瀬見温泉までの道のり

銀山温泉を出た時点で時間にはまだだいぶ余裕があるものの、今日は宿でゆっくりと過ごしたいので早めに瀬見温泉に行っておくことにしました。しかし、このまま予定通り舟形町経由で最上町まで向かうのはまたしても暴風の影響をすさまじく受けることが懸念されたため、急遽ルートを変更します。

こういう風に、臨機応変に走るコースを帰ることができるのも自分のスタイルならではかと思いますね。そもそも自分は下調べをあまりしないし、今回のように実際は風がめちゃくちゃ強かったことなど、地図上ではなくて現地に行ってみないと分からないこともあります。なのでその時々で予定や回る場所を適宜変えていくのが面白い。

予定通りにいかない…のではなくて最初から予定がないので行動の選択肢は無限大にあるというわけ。

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で、結局のところ平地が比較的多そうな舟形町方面ではなく、山ルートである県道28号を通って瀬見温泉まで向かうことにしました。

この選択は結果的には良い方向に働いてくれて、交通量がほぼない上に山の中を走るので風も防いでくれるという一石二鳥のような道。気分次第でルートを選ぶのもあながち変な行動ではない。

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それにしても。

さっきまでの平野部とは打って変わり、視界に入ってくるのは山と川のみ。距離的には30kmも走ってないので景色の移り変わりが短距離で楽しめるし、同時に気分転換にもなる。周りを山で囲まれているというと自転車的な意味では移動が大変かもしれないけど、むしろ個人的にはお得感の方が上回ってます。

逆に、例えば100km走って周りの風景が全く変わらなかったりすると正直飽きてしまうし、それよりはこんな風に短時間で風景が飛ぶように変化していく方が好き。

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瀬見温泉着

そんなこんなで無事に瀬見温泉に到着。

この日に宿泊した喜至楼という旅館がまたすごいところで、今回泊まれたことに感謝せざるをえませんでした。特に本館の部屋が空いていたことは奇跡に近いレベル。

なお、宿泊記録は別記事でまとめています。

やっぱり自分は、設備が整った最新の宿よりもこういう古い旅館のほうが好きですね。

何より木造建築だと心が落ち着けるし、どの宿も相応の歴史があるので年季が入っている。その旅館に漂う空気に身を任せてのんびりと過ごす時間はこれからも大事にしていきたい。

肘折温泉への極寒ヒルクライム

こうして銀山温泉と瀬見温泉で過ごした日から一夜あけ、今日は夕方の飛行機で名古屋空港まで帰ることになります。

しかし、よく考えてみると一日目の行程の"濃さ"と体感時間が全く釣り合っておらず、個人的には山形に来てまだ数時間しか経過していないのでは?と錯覚してしまうくらい。楽しい時間ほど過ぎ去るのは早いというだけあって、秋+山形+温泉旅行という組み合わせは自分でも驚くほど楽しいものだったようです。

さて。

今日は帰る前に一箇所寄り道してから空港まで自転車を走らせることにしましょう。目指すは瀬見温泉から西へ向かったところにある肘折温泉です。

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めっちゃ寒いんですが…。

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意気揚々と旅館を発ったはいいものの、道中のあまりの寒さに身体が冷え切ってしまう始末。

この日は最低気温が前日比マイナス9℃という落差で、肘折温泉までの道中はずっと2℃とか3℃とかの中を走ることになりました。身体の方は防寒をしているので問題ないんですが、頭とか首筋が冷えるのが困った。薄いネックウォーマーとかを持ってきていれば多少は違ったかもしれません。

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まるでサイレントヒルのような霧

この気温差のせいなのか、肘折温泉までの道中はずっと濃い霧が広がってました。天気予報的には快晴のはずなんやが…。一体どうなってるんだ。

気を取り直して、瀬見温泉から肘折温泉へは舟形町+新庄市の道を使うことになります。

麓から肘折温泉へ向かうには大雑把に分けて北と南からの2つのルートがあって、今回の今回の場合だと北ルートを使うことになります。もっとも、現時点だと肘折温泉から南の国道458号が工事で通行止めになっているため、肘折温泉まで行って折り返す一本道しか選択肢はありません。また、肘折温泉自体が標高が比較的高いところにあるためヒルクライムのような上りがずっと続きます。

こういうときの服装が地味に悩む。

気温自体は低いので厚着をしなくては耐えられないのですが、ヒルクライムをしていると汗ばんでくるのでジャケットを脱ぐ→休憩中は寒いのでまた着るというのを繰り返すことになります。ただしこれを何回もやるのは面倒なので、最終的にはジャケットはサドルバッグの中にしまい込んで薄着でずっと上ってました。

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快晴の中、冠雪した鳥海山を望む

心配していた天気については最終的に杞憂に終わり、ヒルクライムの途中で青空が広がってくれました。

途中の道でははるか向こうにある鳥海山(標高2,236m)が見えたりして、上りばっかりとはいえ景色は良いのが救い。

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そして肘折温泉に無事到着。

麓からは民家もあまりないような道をひたすら上ってきただけに、この開けた景色を見た瞬間に心から安堵できました。身体の方はこれから温泉に入って"解凍"していくわけですが、心の方はすでにほぐすことができたわけです。

というか、別にレンタカーとかで来ればここまで寒い思いをしなくて済むのは当然として、わざわざロードバイクで訪れているあたりマゾとしか言いようがない。しかし、上に書いたように到着したときの達成感と安心感はなかなかのものなので、ヒルクライムをする意義は十二分にあると断言できます。

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肘折温泉の開湯は平安時代と言われており、老僧が肘を折った際に治療したことからその名が付けられたみたいです。最初名前を知ったときには痛そうな名前だなと思った(名詞+動詞なので肘を折ると読める)けど、由来がなんとも即物的で面白いじゃないですか。

肘折温泉街の位置としては、昨日の出発時点で遠方に視認した月山の麓にあり、結果的には無意識のうちに翌日の目的地を確認していたわけですね。

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肘折温泉街

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狭い道路の左右に旅館が立ち並ぶ。やはり温泉街はこうでなくては。

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温泉街にある商店の中で最も古い横山仁右衛門商店 (左)

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足湯もあります

メインストリートは銅山川沿いにあり、その左右に旅館や商店が集中していますが…。

この風景が実にいいですね。

なにがいいって、こういう風に限られた領域内に建物が密集しているところ。自分は基本的に狭いところが好きなので、こういう路地を散策しているだけでなんか安心するし、逆に広いところは落ち着けません。さらに、上を見ればその建物も基本的に背が高いものが多く、足元を見れば温泉の湯気が出ているのが見える。そして真正面には向こうの方まで続いていく旅館群が見えて、何が言いたいのかというと視界内の全てが「温泉街」を形成する要素なんですね。

なので、否が応でも自分が今温泉街に来ていることが実感できて、早く身体を温めたいという思いでいっぱいになる。狭いということは何もデメリットばかりじゃないんです。

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ここまで何も食べずに来たこともあって、まずはここで採れたという原木なめこを使った汁物をいただくことに。

改めて書くことでもないんですが、冬場の汁物の旨さは本当にヤバい。身体が冷えているというのがむしろプラスに働いてくれて、隅々まで行き渡るような温かさが染みてくるのが分かる。

寒い道中を自転車漕ぐために外出して、冷えた状態で汁物を食べる。明らかにマッチポンプ感はあるものの、ここまで美味しく感じるのなら何回でもやりたくなるのはもう仕方ない。美味しさを増す要素があるのならそれを実行したくなるのが常というもの。

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温泉に入る前に、一通り温泉街を散策してみます。

昨日訪問した銀山温泉等とは異なり、日帰りで訪れる人はそれほど多いとは言えない肘折温泉ですが、個人的にはこの鄙びた空気感がちょうどよく感じました。もっとも、今の時期は秋と冬の中間くらいで、完全に冬になれば多くの温泉客で賑わうみたいですね。そういう意味では訪問したタイミングが良かったのかもしれません。

肘折温泉周辺は豪雪地帯としても有名なため、雪+温泉という至高のセットを味わいたい人にはもってこいだと思います。場所も山深いところにあって秘湯感もあるし、町並みも非常に気に入りました。

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で、肝心の温泉ですが。

今回は、温泉街の中心にある上の湯という共同浴場(¥300)を利用しました。時間帯的に近くの旅館に泊まった客が朝風呂で訪れている(宿泊客は無料で入れるみたいです)以外はほぼ貸切状態で、落ち着いて入ることができました。

かけ湯をしてから湯船に浸かって、身体の芯の芯までじわ~っと熱が浸透していく感じが堪らない。ここまでの凍結状態がまるで嘘みたいにぽかぽかになれた上、最終的にはこの後山形空港に着くまで持続してくれたのが最高すぎる。

やはり冬は温泉。この結論は今も昔も変わらない真理だな…(しみじみ)。

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時間もちょうどお昼時だったこともあり、近くの食堂で鶏そばをいただきました。

寒いときには温かいものが普段の何倍も美味しく感じられるというけど、ヒルクライムをする+温泉に入る、をした後の食事ですからね。胃が栄養を欲しているのは自明なわけで、しかも作りたてのそばが美味しくないはずもなく、一気に平らげてしまった。

温泉街というとあまり飲食店がない印象があるものの、昼から夜まで営業されているところなのも好感が持てました。

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そうこうしているうちに飛行機の時間が徐々に近づいてきたため、名残惜しいですがこの辺りで肘折温泉を後にします。

今度は雪景色の中、温泉のみに集中する目的でここに泊まるのもいいかもな。

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帰りはヒルクライムしてきた道をUターンしてから県道30号→大石田町を経由して山形空港まで帰還し、空港で山形の日本酒を購入してから帰宅。この記事も実は純米酒「出羽桜」を飲みながら書いてます(こいついっつも酒飲んでんな)

1泊2日ということで若干駆け足気味な部分はありましたが、ライドに旅館、温泉と一通り満喫できたので大満足。良い2日間になりました。

おわりに

山形という地は山が多いイメージばかりが先行していましたが、実際に訪れてみた感想としては温泉も○、旅館も○と非の打ち所がない県でした。今飲んでる日本酒も美味しいし、今度訪問するときは食事+酒に振ってみるのも面白そう。

FDAを使えば飛行機1本で軽率に行くことができるので、ふと思い立ったらまた訪問することになりそうです。

楽しかった!