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旅の記録、宿泊先や行程とか

【西海半島~外泊集落】ロードバイクで愛媛の最果て「石垣の里」を訪ねてきた Part 1/2

高知県の端の端

今回は、主に愛媛県高知県をロードバイクで走ってきました。

この2つの県は海鮮を中心に食が美味しい上に海沿いの景色が素晴らしく、個人的に四国の中でも特に好きな地方です。そのため一度の訪問だけではそのすべてを味わうには到底足らないため、その後も二度三度と足を運んでいました。

で、今回訪れる主なスポットは愛媛県愛南町にある外泊集落と、その東の高知県大月町に位置する柏島というところ。この2箇所は以前から訪れてみたかった場所ですが、そのアクセスの難易度の高さからなかなか手を出せないでいました。この辺りは全体的に公共交通機関が少なく、あれこれ回るにはそれなりの行程を考える必要があったからです。

まあ、そんな風に考えているといつまで経っても行けないので、意を決して行ってきました。これは旅に限らずあらゆる物事にも共通していて、結局はやるのかやらないのかというシンプルな二択。どうせやるんなら早いほうがいいという性格なので行動は早いです。

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最初に訪れることになる外泊集落は愛南町の西海半島という半島の端っこにあるため、必然的にこの西海半島をロードバイクで走っていくことになります。

道としては半島をぐるっと一周するように県道が走っているため、10秒くらい考えて時計回りで外泊を目指すことに決定。後から考えるとこれが実に良い選択でした。

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県道34号を進んで西海地区に到着

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さて、愛南町の中心部から県道34号に入ると途端に上りが始まります。

「海沿いを走るだけだしアップダウンは少ないでしょ?」って話なんですが、日本に限るとそれは一部だけに当てはまる話。特にリアス式海岸が続く四国ではかなりの頻度で坂道が登場するので、斜度は大したことはないとはいえ何も知らないで走り出すと結構面食らうかと。

で、紫電改展示館を通過してそのまま進むと西海地区へと到着。ここには自動販売機などがあるので補給をしておきました。まだスタートから間もないとはいえ、ここまで規模が大きい地区は珍しいです。

実はここから道を切り替えて時計回り→反時計回りにすると外泊にはあっという間に行くことができるのですが、せっかくなので当初の予定通り時計回りで進むことにしました。

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時計回り…という性質上、基本的にはずっと海を左手に見ながら道が上がったり下がったりしてます。

ただ道の上にはブルーラインも引かれているし、サイクリストの訪問は市町村として歓迎しているみたいでした。でもブルーラインなんかなくても道はずっと一本なので特に迷う心配はないです。

それにしても、この海と家屋の近さがやはり良い。

そこでの生活における「海」の存在がとても身近になっていることに他ならないし、生まれてから海とともに育ってきたという人もたくさんいると思う。海そのものが穏やかというのもあるけど、こういう一体感のある景色が好きだったりします。

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いつの間にか海面からかなりの高低差がある

そんな感じでたまに出てくる集落の風景に見とれつつ、道は徐々に高度を上げていく。

道というものは人の往来があるところにあるものなので、高度が高い場所にある道にはそれに応じた人の生活がセットになっています。ここの集落では、海に近いところまで階段がずっと続いているのが印象的でした。

あ、暑さについては前回の東北ライドのときに慣れたので、今回は全く問題なかったです。梅雨明け最初の運動ではかなりの確率で熱中症になってしまう一方で、逆にそれを体験するとその年の夏はもう乗り切れるという感じ。暑さへの耐性がつくからでしょうか。

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高茂岬展望園地

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なんというか、「果て」を感じる景色だ

道の上昇としてはこの「高茂岬」が最高で、これ以降は大きな上りはありません。

高茂岬は愛媛県の最南端に位置し、 ご覧の通り100mを超える断崖が続く最果ての岬。そもそも今回走っているところが四国の中でも端っこの方だけど、ここまでの景色を見るとより一層それを実感してしまう。

視界に入ってくるのは遥か水平線まで続く大海原と、わずかな島だけ。他の場所なら何らかの人工物が映っていてもおかしくないところ、すべてが自然で占められている。さっきまでとの海と一変して波も強く、自然の雄大さ、巨大さを味わうことができた。

外泊を散策する

その高茂岬からそのまま道を下っていった先に、目指す外泊集落が存在する。

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下り坂の向こうに集落が見えるのが好き

今回時計回りで西海半島を回ってよかったというのがこのことで、時計回りだと下り坂の向こう側に外泊集落が見えます。

逆に反時計回りだとなだらかな平地を走っていった曲がり角の先に見えるけど、それよりはこっちの方が「到着した感」が強い。特にさっきまで走ってきたのがあまり人の気配がない道だったということもあって、この到着時の感動はかなりのものだった。

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外泊に到着

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外泊は「がいはく」ではなく「そとどまり」と読み、谷に沿って石垣が組まれた特徴的な地形の中に、段々畑状に民家がひしめきあっています。

愛南町公式ホームページ/ 外泊(そとどまり)「石垣の里」

単なる漁村というわけではなく石垣の中に集落が形成されているという、さながら城郭都市のような重厚さ。これを見たくてずっと走ってきて、それがまさに目の前に広がっている。天気も快晴でこれ以上ないシチュエーションで、今日という日に感謝せざるをえない。

外泊の成り立ちは幕末期、外泊に隣接する中泊の人口が増加したことから、各家の二男以下の住民が分家移住してきたのがはじまりです。石垣は台風や海からの強い季節風から暮らしを守るために建造されたもので、すべて住人たちの手によって建造されました。石垣の高さはとても高く、傾斜地に建っている家屋の軒の高さまでがっちりと防護されてます。

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そんな外泊集落の目に前に広がっているのは、宇和海。

他の漁村と同じように、集落の男衆の働き場はこの宇和海となる。今自分が眺めている宇和海はいたって平穏なものだが、季節によっては石垣を建造した理由の通りに荒れ狂う海に変貌するのかもしれない。いずれにしても、この景色は昔の今も集落の生活を支えている。

変わらないものが今もある、というのが自分はやっぱり好きですね。施設にしろ景観にしろ、良いものは後世まで残っていくべきだと思う。外泊ではこの景観を守るために寄付を募っているらしく、自分も心ばかりの寄付をしました。

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というわけで、ここからは外泊を散策していく。

その矢先に通りがかったのがこの移動販売車で、町まで出ることができない方のために様々な物資が売られています。パッと見だと食料品だけでなく調味料もあったりして、相当に便利そうでした。

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外泊集落内で一番大きな道がこれで、先程移動販売車が止まっていた車庫前を直進した先に続いています。

集落内は基本的に家屋と家屋の間が非常に狭く、移動はもっぱら階段がメイン。車を止めるところはとても限られていました。

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集落の下(海に近い側)では石垣+塀という組み合わせが多いものの、そこから上へと向かっていくにつれてこの通り。家屋の土台となっているのは完全な石垣で、しかもかなりの高さがあります。

傾斜地に水平な土地を確保しようとした場合に石を持ってくるのはなんとなく想像できるものの、その傾斜がそもそもとんでもないものだから石垣の高さもそれに比例して高くなっている。上でも述べたとおり外観はもう集落というよりは城そのもので、忍者でもなければよじ登れそうにない。

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階段での移動は確かに大変だけど、その上からの景色は素晴らしいの一言。

密集する家々。そこで作業をしている老夫婦もいれば、布団などが干されている生活感のある一場面もあるし、何よりもその向こうに海が見えるというのが好き。しかも高低差があることによって視界内に三次元的な広がりが生まれ、ただ見通しがよい場所に留まらないスケールの大きさを感じた。

これが城跡だったら「昔はここに城がありました」で終わるんですが、外泊では今も確かに人々の生活が息づいている。全国各地の人の営みを求めて旅をしている自分にとっては、もうこれだけで外泊を訪れた意味がありました。

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とはいえ、集落の最上部に位置する一角では石垣のみが残されている場所もあります。

昔はここにも家屋があったのか、はたまた他の目的で使用されていたのかは定かではありません。ただ、他の場所と比べるといくぶん物悲しいような雰囲気が漂っていて、たぶん前者なんでしょうね。

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それにしてもこの石垣、まるでパズルみたいに隙間なく組み合わされていて見ていて気持ちがいい。

城郭などにおける石垣と異なっている点は、素人目線では石の形が均一でないことくらいしかわかりません。ただ、あくまで集落内だけで作業を行おうとした場合はそれほど大きな石を確保できないし、加工もできないだろうなというのは想像がつく。

なので、無数にあるこれらの石をどう組み合わせたら石垣として成り立つのか。そういう検討はもちろんされたと思うけど、現実にこうしてびっしりと組まれていて、それが自重や家屋からの荷重を分散できているというのがまず凄いです。あまりにも職人技すぎる。

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集落の最上部まで達したところで、ここからは集落を下りながら海へと戻っていく。

Part 2に続きます。