TAMAISM

旅の記録、宿泊先や行程とか

友景旅館 防石鉄道の駅前老舗旅館に泊まってきた

今はなき駅前

今回は、山口県山口市徳地堀にある旅館、友景旅館に泊まってきました。

大正時代の終わり頃から営業されている旅館で、ご主人のお話によれば詳細は不明ですが、少なくとも創業から100年は経っているとのことです。比較的若いご主人の前の代(両親?)が旅館を継いでいないことから、その辺りの情報が引き継がれていない様子でした。なので、ご主人の先代は90代の祖母となるそうです。

さて、ここ徳地の地には1964年まで防石鉄道という名前の鉄道が通っており、起点となる防府駅から約18.8kmの区間を結ぶ路線として活用されていました。しかしモータリゼーションの波には勝てずその後廃業となり、今では線路跡すら残っていない状態です。

友景旅館はその防石鉄道の終着駅(堀駅)付近における駅前旅館として賑わい、他にもそういった駅前旅館は周辺にたくさんあったそうですが、今では残っているのは友景旅館のみ。そういう意味では、防石鉄道の歴史を知る唯一の旅館と言えるかもしれません。

友景旅館

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友景旅館 外観

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通りに面した石州瓦の棟が特徴的

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友景旅館は正面に見える母屋と、その左側にある棟から構成されています。

左側にある棟は後から移築されたもので、本来はすぐ近くにある別の場所にあった建物とのこと。

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母屋の玄関に続く庭が見事

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左手には、ご主人達が日常的に出入りする別の玄関がある

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玄関の様子

通りから玄関までの間には庭があって、頭上を通っている枝の下をくぐって玄関まで向かうことになります。

その先の玄関には「旅人御宿」の文字。昔はここが交通の要所だったことを考えると、まさに旅人が多く宿泊する旅館だったのではと思います。今ではメインの客層はビジネス客で、自分のように観光で利用する人は少ないとのこと。

しかし、若いご主人だけあって旅館の運営には工夫されているようで、友景旅館は宿泊業だけでなくランチもやっているそうです。そういえば、旅館の前にはランチの幟が立っていました。

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玄関内部

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玄関上がって右手には2階への階段がある

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玄関入って左手には食堂と、そこから右方向へ向かえばお風呂場がある

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お風呂場

玄関を入った先で呼び鈴を鳴らし、ご主人にご挨拶をして宿泊開始。

ちなみに少し離れたところに旅館の駐車場(屋根付き)があり、ロードバイクはこちらに置かせていただきました。

玄関を入った先は左右に分かれていて、右手に進めば母屋1階の客室や2階への階段が、左手に進めば食堂やお風呂場があります。食堂については、夕食・朝食いずれもこちらでいただく形になります。食堂のさらに奥側は厨房や居間などになっているようで、ご主人は普段はそちらにいらっしゃるようでした。

友景旅館に宿泊する

母屋

友景旅館の客室は、全部で5部屋。

母屋の1階と2階にそれぞれ2部屋ずつと、母屋左側の棟の2階に1部屋あります。

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2階へ

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階段を上がった先。広い廊下に椅子が置かれている

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廊下からの眺め

階段を上がった先を振り返ってみると、ちょうど母屋の通りに面した側には一直線に廊下が走っていました。

廊下には椅子があって休憩できるほかに共用の冷蔵庫が置かれていて、ビジネスで何泊もするという場合に便利です。また、ここに限らず廊下全体に張り巡らされた欄干がそのまま残されていて、昔の風情を感じました。こういう風に昔の建物を現代まで残すとなるとあちこち補修しなくてはなりませんが、残すところはきっちり保存しておいてくれる旅館は好きです。

欄干とその外側にあるガラス窓、そして日光を遮るためのすだれ。昔から全く変わっていないわけではないけど、雰囲気を壊さずに旅館が現代に適応している感じがして素敵だ。

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階段を上がって左手に進んだ突き当りが、今回宿泊した部屋

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この廊下の反対側、階段を上がった先を右ではなく左手に進んだ先にある「第壹號(ゴウは変換できない)」が今回泊まった部屋です。位置的にはちょうど母屋の裏手にあたります。

部屋の名前を示す表札は「一」が壱よりももっと古い壹という旧字体、さらに「号」が号に虎でなく乕となっている異体字で、なかなか見ることができないものでした。これについても、当時のものをそのまま使っているというのがいいですね。

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部屋の様子。二間続きとなっています。

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設置に苦心したであろうエアコンと謎の装置

で、この部屋がとにかく広い

手前が8畳で奥が6畳の広さがある二間続きの間となっていて、これを一人で使うことができるのだから贅沢というほかない。実は母屋の客室4部屋はすべて二間続きの構成なので、宿泊人数に応じた部屋割がやりやすくなっています。一人泊の場合は単純に二部屋を使える形になるわけでやっと旅館に到着した身としては実に落ち着きました。

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旅館裏手の眺め

さらに母屋の客室に関しては、客室を囲むようにぐるっと廊下が周囲に通っています。

特に母屋2階の裏手側の廊下は板でなく畳敷きで、ここに座って裏手の景色を眺めているのが好きでした。川の向こうには国道が走っていますがそこまで交通量が多いわけでもなく、その手前に広がる田畑が実に長閑です。

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母屋2階のもう一つの部屋。造りはほぼ同じでした

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廊下にある丸窓

客室で出入りする廊下が周り廊下になっている都合上、客室への出入りがどこからでもできるという点に古い旅館の特徴を感じます。

天井も高くとってあって窮屈な感じではなく、特に今回泊まった客室からは景色も見えるということで伸び伸びと過ごすことができました。

母屋左側の棟

お次は、先程通った玄関真上の廊下を通って母屋左側の棟へと行ってみました。

この左側の棟の1階部分はどうやら生活スペースとして使われているようなので通行することができず、母屋経由で向かう形になっています。

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廊下を直進したところ。左手前の小さい階段は厨房へと繋がっている

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母屋2階の廊下をまっすぐ進んでいった先に母屋左側の棟の客室があって、廊下としてはそのさらに左手方向に伸びていました。

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客室

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隣の客室

こちらの客室は母屋のように二間続きではありませんが、その分面積が広くて10畳あります。

また、隣の部屋とは襖戸で仕切られているだけなので、場合によってはそこを開放して用いられていたと思います。

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廊下は畳敷き

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雨戸収納部分

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母屋玄関前が見える

友景旅館は玄関前の庭を中心にして建物が建っていて、その表側に廊下が配置されている。

なので廊下を歩いているだけでも視界が徐々に切り替わっていって、窓から見える眺めも変わっていきます。この階下を見下ろすような景色を昔の宿泊者も見ていたのかと思うと、今回ここに宿泊してよかったと思う。

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夕食の献立

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朝食の献立

夕食や朝食はこのような献立てで、多種多様な品で大満足でした。

なお、大人数の場合は内容をさらに豪華にしたプランもあります。

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翌朝

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友景旅館での一夜はこんな感じで終了。

防石鉄道の終着駅だった旧徳地町。今では主要な交通路から若干離れたところにありますが、その静けさは旅する上でどこか懐かしさを感じるものでした。