【日帰り登山】試練と憧れの剱岳 早月尾根をピストンで登ってきた

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剱岳はずっと登ってみたいと思っている山で、去年に引き続いて今年も訪れるたびに天気が急変して登るに登れない山となっていました。もちろんガスっていようが登れることは登れるけど、せっかく登っても展望がないようではあまり登る意味を感じません。

縦走を終えて下山した新穂高温泉で「剱岳だけまた今度登りに来なければな…」と考えながら湯に浸かってから外に出たところ、フォロワーさんと遭遇。彼は新穂高から高天原温泉をピストンしてきたようです。

お互い、今回の登山では天気があまり良くなかったねーと話をしていたところ、「3日後に早月尾根ルートで剱岳登るのですがご一緒にいかがですか」とのお誘いを受けました。

これは予想外に嬉しい出来事。本当は明日の夜行バスで帰るために、電波が入る鷲羽岳付近でバスの予約をとったりしたのですが、せっかくなので同行させて頂くことにしました。

もくじ

高山から出発

天気予報を見ると、3日後(8/18)は台風が過ぎたあとで天気はかなり良いようです。

このまま帰宅して次の機会に剱岳を登り直すよりはこのチャンスを活かすしかないと判断しました。急遽明日(8/16)の宿を確保してから高山行きのバスに乗り込みます。

高山市は快晴。飛び出しえるちゃんに明日の天気を願ってから合流することに。

剱の麓、馬場島へ

明日の剱岳早月尾根ルートに備え、ルートの出発点である富山県の馬場島へ車で向かいます。

馬場島に到着したのは19時前。この日は馬場島野営場にて幕営をしました。

馬場島野営場は水場もあるしトイレも綺麗、下は芝生で、しかも無料で使用できるキャンプ場です。

ただし水場には「生水は飲めませんので煮沸してください」と書いてありましたのでそうする必要があるものの、それを除けばかなり快適なキャンプ場といえます。

すぐ横にある馬場島荘の駐車場に車を止めてから幕営することになりますが、そのまま車中泊で済ます人のほうが多いみたいでした。

満天の星空を見上げながら、明日の行程が滞りなく進むことを願って就寝。

早月尾根を歩く

今回歩いた早月尾根ルートについて軽く説明します。

剱岳への登山ルートは大まかに分けて2つあり、そのうちの歩く人が比較的少ないのが早月尾根ルートです。

  • 別山尾根ルート:立山黒部アルペンルートの室堂ターミナルから雷鳥沢を登りつめ、剱御前小舎に出て剱沢を下り、ルート上にある剱沢小屋・剣山荘を通過し、一服剱・前剱を経てカニのタテバイ・ヨコバイと呼ばれる鎖場を抜けるルート。
  • 早月尾根ルート:上市町馬場島から早月尾根を進み、山頂直下で別山尾根ルートに合流します。標高2,200 m地点に早月小屋があり、高山植物が豊富で、混雑する室堂を避けて静かな山行が楽しめます。

別山尾根ルートは室堂を経由するため、そこまでのバスやロープウェイなどの料金が必要になるほか、日帰りで行くのは少々時間が厳しい面があります。

それに比べて早月尾根ルートは馬場島まで自家用車で来ることができる+前泊も無料で行える上、人によっては日帰りも可能なので選択しやすいルートです。

地図で見る限りはそこまで距離もありません。

しかし、このルートの恐ろしさはその標高差にあります。

早月尾根ルートは標高780mの馬場島から8.3kmのコースで、頂上までの標高差はなんと2,200m(←!?)。

甲斐駒ヶ岳の黒戸尾根と並ぶ国内屈指の急登で、北アルプス三大急登の一つに数えられてます。道中のアップダウンを含めれば累積標高は確実にそれ以上になります。ちなみに頂上までの通常CTは9時間30分。

膝が死ぬ予感しかしないが大丈夫か?

2時に出発

頂上までピストンするのに恐ろしく時間がかかることが予想されるので、出発時間は早いに越したことはありません。

まだ深夜の2時に出発することにしました。しかしこれも決して早すぎるということはなく、日帰りの場合は同じような時間帯に登り始める方がほとんどのようです。

有名な「試練と憧れ」の石碑を確認してから出発です。

早月小屋までは真っ暗な樹林帯の中をひたすら登っていくことになります。ライトなしでは何も見えないので展望もほぼ皆無。標高200mごとに目印があるので、今時分がどの程度進んでいるかが把握しやすくなっています。これは大変助かりました。

登山口からいきなり急登が連続するのでかなり疲れました。テント泊装備だったらこの倍以上時間がかかっていたかもしれません。逆に言うと早月小屋までテントを担いで登ってくる人は相当大変だろうな。

ずっと急登が続くわけではなく、急登→若干平坦な道→急登という感じでところどころ脚が休まる道を挟むので、適宜休憩しながら歩くことが重要です。

出発から3時間で標高2,200mにある早月小屋に到着。すでに1,400mほど登ってきたことになる。

このルート、道は確かに急登なのですが、一本道な上に道がわかりやすいので迷いようがありません。そういう意味では無心で登っていれば頂上に着くという点で楽かも。

ラスト1kmからが勝負

早月小屋まではずっと同じような道を歩いてきましたが、ここからは道が険しくなります。つまり岩場が増えます。

早月小屋の先、森林限界を越えてからが剱岳らしい試練と絶景が待ち構えているといっても過言ではありません。道が岩場に変わってから本番という感じです。

ラスト1kmになると足場が岩のみになり、終わりの見えない岩登りの連続。今までも体の全てを使った岩登りはあったけど、なかなか楽しい。万が一滑落でもしたら、日の届かない渓谷の底に真っ逆さまです。

というかこのルートは毎年のように滑落して死亡される方がいます。歩く際は十分な注意が必要です。

逆光なんでうまく撮れてませんね。

もっとスケール感のある写真を撮りたいのですが、岩場を登っている最中にあれこれカメラを触るのは危険なので、さっと構えて撮影、ということを繰り返しています。

剱岳に登頂

もういくつ越えたか分からない岩場を越え、頂上付近にさしかかると別山尾根ルートと合流して一気に人が増えます。

時間的に別山尾根ルートから早朝アタックをかけた人たちが頂上を満喫しているようです。こっちは立山同様に公共交通機関で高度を上げられ、必然的に剱沢で一泊することになるので、比較的行程も短く、難所はありますが比較的登りやすいようです。

登山開始から5時間40分、剱岳(2,999m)に登頂成功!念願の剱岳にやっと来ることができました!

そしてお待ちかねの踏破後ビュータイム。今日は最高の快晴です。

まずは立山方面。

剱沢と室堂/立山だけでなく、遥か遠くに見えるのは槍穂。さらに立山連峰の山々、そして富士山も確認できます。薬師岳や黒部五郎岳を眺めていると、ほんの数日前にあの周辺を歩いていたことを思い出して感動しました。

続いて後立山連峰。この稜線を見ると去年白馬から扇沢まで縦走した思い出が蘇ってきました。また機会を見つけて歩きたい。

背後を見れば登ってきた道のりが確認できます。

さらにその向こうには富山湾と富山の町並みが見えました。赤い早月小屋の屋根の向こうに川が見えますが、高さ的にはあのあたりから登ってきたことになります。

他の登山者の方がヤマノススメのあおいちゃんねんどろいどをお持ちでしたので、無理を言って撮影させていただきました。ありがとうございました!

下山

あまりにも景色が良すぎたので山頂で2時間くらい滞在してました。

徐々に山頂に登ってくる人の数も増えてきたのでそろそろ下山します。

岩場は下りで使うとさらに危険度が増すので注意が必要です。

下山までの時間的余裕はある程度あったため、登り以上に写真を撮ったり、ペースも抑え目でのんびり下ることにします。

登るときにはうまく撮影できなかった岩場の写真が中心となっています。日が昇って影が薄くなったので撮影が容易にできるようになりました。

こうして見ると本当に美しい岩稜帯です。ゴツゴツした岩場を歩くのは大好物なのですが、ここに来たらみんな岩場が好きになるのではと思うくらい良い道でした。

大きな杉の木が現れ始めるともうすぐで登山口です。

そして無事に馬場島に下山。お疲れさまでした。

「試練と憧れ」という言葉、まさにそのとおりの試練が待ち構えていましたが、それに十分見合う展望を味わうことができました。

この後は馬場島荘のお風呂(¥500)に入ってから二人で打ち上げをし、翌日帰宅。

帰りの車中からでも剱岳はばっちり確認できました。また来たい。

まとめ

自身にとって初の剱岳となりました。

しかも一般的な別山尾根ルートではなく、難易度が高いと有名な早月尾根ルートでの登頂成功。何も言うことはありません。天気、道、それから達成感。どれをとっても最高の登山でした。

次回訪問時は別山尾根ルートで登って鎖場を堪能してみたいです。

剱岳登山自体は岩場が中心で難易度は高いですが、公共交通機関で標高を稼げる別山尾根ルートはもちろん、早月尾根ルートも途中の早月小屋を使ってゆっくり行けば十分歩き切ることができると思います。

山頂からは立山はもちろん、日本海の水平線や微かに能登半島も見えてたし、天気が良ければ槍穂まで見渡すことができます。挑戦するだけの価値は十分にあるので、憧れにしておくだけではもったいない。

おしまい。


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