今年の登山は7月に八ヶ岳縦走、そして8月に北アルプス縦走と剱岳日帰りを行いました。
そして9月。
待ちに待ったこの3連休を利用しない手はありません。今回は友人と一緒に登ることにし、どこへ行くか早速相談をした結果、以下の三箇所の候補が上がりました。
- 北アルプス:鹿島槍ヶ岳&五竜岳縦走
- 南アルプス:鳳凰三山&甲斐駒ケ岳縦走
- 中央アルプス:木曽駒ヶ岳&空木岳縦走
ここからどれか一つ選んで当日登る…というスタイルではなく、「数日前の天気予報を見て、比較的天気が良い場所を選択して登る」ことになりました。こうしておけば、わざわざ天気が悪いと分かっているところに虚無登山をしに行くこともありません。三箇所とも天気が悪い場合はキャンプに切り替えることにしました。
行程
そんなこんなで登山日の一週間前から毎日天気予報をチェックした結果、どうやら23日は全国的に天気が良い。
しかし24日は場所によって雨か、もしくは午前中は晴れる事がわかりました。そして最終的に、「中央アルプス:木曽駒ヶ岳&空木岳」に行くことが決定。駒ヶ根市付近は24日の天気予報が良かったのが決め手になりました。
なお、全体の行程は以下のようになります。
- 1日目:菅の台~木曽駒ヶ岳~頂上山荘幕営
- 2日目:頂上山荘~宝剣岳~空木岳~駒峰ヒュッテ宿泊
- 3日目:駒峰ヒュッテ~菅の台下山
山と高原地図を見る限り、2日目の行程がちょっと長いくらいかな程度に考えていましたが、実際はなかなかの地獄でした。
アクセス
中央アルプスの主峰である木曽駒ヶ岳へのアクセスは、駒ヶ根市にある駒ヶ根ロープウェイを使うのが一般的です。
木曽駒ヶ岳の標高は2,956mなのですが、駒ヶ根ロープウェイを使えば始点のしらび平駅(1,662m)から終点の千畳敷駅(2,612m)まで、わずか7分強で行くことが可能です。
なお、山の麓である黒川平からしらび平駅までの県道は一般車両の通行が禁止されているため、菅の台バスセンターの有料駐車場から連絡バスで向かうことになります。
まとめると、菅の台~(バス)~しらび平駅~(ロープウェイ)~千畳敷駅~(徒歩)~木曽駒ヶ岳となります。
今回のような縦走をせずに、千畳敷カールの散策のみ、あるいは木曽駒ヶ岳をピストンする場合は往復券を購入されると便利です。行程的に片道を買うことになるのですが、あやうく往復分を買うところでした。
駒ヶ根へ
トラブル
金曜日の夜中に集合し、駒ヶ根へ向けて出発。
駒ヶ根に到着した後は24時間営業のスーパーで食材などを購入した後、菅の台バスセンターの駐車場で仮眠を取ることにしました。ここからの流れとしては上で述べたとおり、
- 駒ヶ根ロープウェイ行きの始発バス(5:15)に乗る。
- そのままロープウェイに乗る。
- 木曽駒ヶ岳の頂上山荘に幕営してのんびり
を考えていました。
しかし前日までの大雨の影響で、菅の台~しらび平間の県道が通行止めになるという事態。この区間は自家用車は通れず専用路線バスでしか移動できないため、バスの運行が再開するまでは身動きができないということになります。
菅の台バスセンター駐車場の窓口にいた係の方に聞いたところ、以下のようなことが分かりました。
- そもそも通行の可否を判断する県側と我々は管轄が異なるので、最新情報は県のホームページを見てほしい。
- 雨が止んでから6時間後に、県職員が菅の台~しらび平間の県道の見回りを行う。
- そこで通行に問題なしと判断されればゲートが開き、バス・ロープウェイともに運行が再開する。
- 少なくとも昼までは何も進展がないだろう。
このような事は年に数日にしかないらしく、運が悪い日に重なってしまいました。
この情報を聞いたのが朝の5時頃だったので途端に暇になり、下山してから入るはずだったこまくさの湯に行ったりして時間を潰しました。
この間、通行止めになったことを知らない観光客や登山客の方がひっきりなしに駐車場に車を止めに来ており、しらび平行きのバス待合場所にはたくさんのザックが順番待ちの目印として置かれるようになりました。あまり早い時間からずっと列に並ぶのは大変だったので、我々が列に並んだのは12時ごろ。
24時間営業のスーパーで買ったネギをうまくパッキングできなかったため、ザックに横付けしました。バス順番待ちのザック群の中でもひと目で分かります。
最終的な順番待ちの人数は200人くらいだったかな?やはり3連休ということで登山者も多いようです。
途中で係の方より「バス運行再開は15時以降になると予想されますので、日帰りの方は明日以降またお越し願いますー」とのアナウンスがありました。これを聞いた後でも結果的に200人以上の方が列に並んだということは、全員小屋泊なりテント泊をするということに他なりません。
無事に幕営できるか不安になってきた。
運転再開、頂上へ
列に並び始めてから3時間、ずっとスマホで県のホームページをリロードしまくっていたところ、ついに15時に運行が再開することになりました。やったね!
午前中は雨ばかり降っていましたが、午後からは晴れてきたので期待して待っていて正解でしたな。
比較的列の初めの方に並んでいたので、2本目のバスに乗ることができました。
バスとロープウェイを乗り継いで千畳敷カールへ到着。しらび平から標高が1,000m近く上がっているので流石に冷えます。
この時点で時刻は16時。本日の幕営地である頂上山荘までは1時間ほどかかるので、到着は17時頃になる予感。普通の登山だと山小屋の人に怒られる時間なので急がないと。
というわけで早速出発。
千畳敷カールから標高300mほど登って頂上山荘に到着。頂上付近でもきれいに晴れていたので嬉しいです。
幕営地に到着したところで、早速幕営して夕食をとることにしました。バス待ちをしていた集団の中では比較的早めに到着できたので、テントを張る場所にはまだ余裕があって安心しました。
幕営した段階であたりが真っ暗になったのでライト必須。
自炊道具を担いで登るのはやはり重いのですが、新鮮な野菜や肉をできたてで味わうことができます。
今後は一泊くらいなら凝った料理を作ってみたくなりました。
その後就寝。
20時くらいには寝てました。
空木岳への道
日曜日になりました。
この日は木曽駒ヶ岳の山頂で朝日を眺めてからの出発となります。
寝ているときは非常に寒く、持ってきた服装を完全にミスったとしか思えませんでした。finetrackのパンツだけでは、シュラフに入ったとしても下半身が冷えてなかなか眠れません。
夜中はマイナス3℃まで冷え込んだようです。秋頃のテント泊における防寒着の選択を今後は間違えないようにしなければなりませんな。これは。
ただ、寒くても起きて歩いていれば多少は身体が暖かくなります。
テン場から歩いて10分ほどで山頂に到着。頂上はなだらかな丘という感じです。
しばらく朝日を待つこと数分。5時30分頃に夜明けを迎えました。非常にいい天気で、今日の山行も楽しいものになりそうです。晴れてくれて本当に良かった…!
木曽駒ヶ岳の山頂ではヤマノススメK2タペストリーで記念撮影をしました。思いっきり逆光になったけど、タペストリーの絵柄が分かりやすくなって撮影的には楽になります。
宝剣岳登頂
テントに戻って支度をし、早速空木岳へ向けて出発となります。
木曽駒ヶ岳から空木岳に向かう際、まず通過することになるのが、作中でも登っていた宝剣岳。
千畳敷駅から木曽駒ヶ岳までの比較的歩きやすい道とは一転し、岩稜帯へと突入します。
最近岩成分が不足していると感じていた身にとっては最高の道となりました。
宝剣岳の頂上に到着!
宝剣岳の山頂には人一人が立てるようなスペースがあります。しかしそこへ登るのがかなり危ないというか、掴むところがありません。
見てくださいこの景色!
千畳敷カールだけでなく、遥か遠くの南アルプスの山々、それから富士山や八ヶ岳もすべて見渡すことができました。
やはりこの雄大な景色を味わうと、多少疲れても登ってきてよかったという気になります。頂上まで登ったときの達成感が尋常じゃない。
あー良い。この岩と植物が絶妙に融合したような形が一番好きです。岩場を歩いているときが一番幸せかもしれません。
アップダウンの連続
宝剣岳のピークを過ぎ、極楽平へとやってきました。
ここからは千畳敷駅へと下ることができるため、木曽駒ヶ岳から宝剣岳を経由せずに空木岳へと向かうことも可能です。ただ、一旦下ってからまた上りになるのでちょっと大変です。
(。・x・)<向こうに山が沢山見えますね
(。・x・)<写真中央、一番奥に見えるのが200名山の南駒ヶ岳(2,841m)で、その左手前にあるのが今日の目的地の空木岳です。
(。・x・)<つまり今からあそこまで歩くことになります
我々が今いる島田娘から空木岳山頂へのCTは8時間20分。その間、檜尾岳や熊沢岳、東川岳という山々を超えていきます。途中に水場もないため非常に厳しいルートとなります。
でも遠目から見る限りそんなにアップダウンなさそうじゃない?なんていう話をしながら歩き始めたところ、いきなり「NO」を突きつけられる結果になりました。
遠くから見ただけではわからないようなアップダウンが非常に多く、地味に体力を削られていきます。
檜尾岳(2,728m)に到着。
写真でも見えていますが、ここから東へ10分ほど歩けば檜尾避難小屋に到着します。木曽駒ヶ岳と空木岳の中間に位置するため、ここで一泊してもいいと思います。
左手奥に見えるのが空木岳です。
歩いても歩いても全然目的地が近づいている気がしない。目的地がずっと見えている分、精神的なダメージも大きいです。
途中で猿の軍団に出会ったりもしました。
ちょうどペアの登山者と一緒に歩いていたので安心したものの、一人だったら襲われていたかもしれません。こわい。
その後、熊沢岳と東川岳を超え、木曽殿山荘に到着。
ここで長めの休憩を取りました。
この山荘は予約必須で、予約なしで当日訪れても宿泊させてもらえず、空木岳山頂にある駒峰ヒュッテ(今日泊まるとこ)まで歩いてねと言われるそうです。山と高原地図にもその旨が記載されているので注意してください。
同じ方向に歩いている登山者に話を聞いたところ、この日は木曽殿山荘に団体さんが泊まっているらしく、少人数の登山者は皆駒峰ヒュッテの方に宿泊することになったそうです。これは混む予感がする。
まだまだ先は長い。
木曽殿越からの登りを超えれば空木岳山頂に着く道中、今日一番の急登の連続で脚が削られました。岩場も多く、行程の最後に通る道になるのでかなり大変です。
「頂上だと思ったらまだ先にピークがある現象」を何度か味わいつつ、100名山の空木岳(2,864m)に登頂。
頂上は岩場が多いものの、木曽駒ヶ岳のように多少は平坦な部分が多い印象でした。
今日歩いてきた道のりを眺めながらのビュータイム。
縦走は山頂ピストンなどと比較して時間的にも体力的にも厳しいものがありますが、「歩いてきた道のりが見える」ことで達成感が跳ね上がります。木曽駒ヶ岳からの稜線歩きも終わってみればとても楽しく感じました。
駒峰ヒュッテへ
山頂から駒ヶ根方面に少し下り、今日の宿である駒峰ヒュッテに到着。
中央アルプスは幕営できる場所が駒ヶ岳頂上山荘の一箇所のみで、他は山小屋や避難小屋を利用することになります。
この駒峰ヒュッテも幕営は禁止で小屋泊のみ。しかも食事の提供は無い(簡単なものは販売しています)ので、予め夕食や朝食は持っていった方が確実です。
受付を済ませてからテラスで打ち上げ。
別のパーティの方がおつまみをくれたりして(ありがとうございました)、とても楽しいひとときになりました。山でビールというのもいいですね。いつもは下山してから飲むと決めているので我慢してますが、あとは下山するだけという状況ではぜひ飲みたいところです。
その後「檜尾岳付近でビバークしている人がいる」という話がちらっと聞こえてきました。そういえばかなり遅い時間帯に木曽駒ヶ岳方面に歩いていった人と何組かすれ違ったな。大丈夫かな?
岩場が多い場所なのでビバークするにしてもかなりの危険が伴います。山での行動は計画的にしなければなりません。
さて、この日の宿泊について少し話したいと思います。
この駒峰ヒュッテは一階と二階に分かれており、食事は一階、就寝は二階と定められていますが、宿泊者が多い場合はその限りではありません。
また布団は一切無いため、シュラフを所持している方はそれを使い、持っていない方は¥1,000で借りて使うことになります。小屋といっても隙間風がかなり入ってくるのでシュラフは必須です。※マットはあります。
この日は二階だけでなく一階もほぼすべて人で埋まっていました。寝るときは隣の人がすぐ横にいるので非常に寝づらく、夜中に何度も目がさめることになりました。やはり自分はテント泊の方が快適なのでは…と信じざるをえません。テント泊はある程度プライバシーが確保されるし。
空木岳山頂から見る朝日
3連休最終日は、隣の人がガサゴソする音で4時ごろに目が覚めました。どうやらこのまま下山する人がほとんどのようで、それほど急いで出発する人は少なかったように見えます。
我々は空木岳の山頂で朝日を拝んでから下山する予定。寒い中ちょこっと歩いて頂上へ向かいます。
ちなみに小屋からでも朝日は見えるためか、頂上まで登ってくる人はそれほどいませんでした。
駒ヶ根市街にかかる雲海の向こうから朝日が昇ってきました。昨日に引き続き最高の朝を迎えることができて嬉しいです!
背後には空木岳の影が山々にかかっているのが見えます。
木曽駒ヶ岳方面もばっちりの展望。頭の上の方は雲が多かったものの、太陽の陽の光の通り道は晴れていたおかげで綺麗に見渡すことができました。
景色が素晴らしすぎて、しばらく二人で佇んでいました。
下山開始
無事朝日を見ることができたので、そろそろ下山します。
空木岳も見納めになるのでよく目に焼き付けておきました。
下山路は思いのほか岩場が多く、時には鎖場もあったりして一筋縄ではいきませんでした。
林道の終点に出るまでは道が一人分しかない場所がほとんどな上、向かって右側が崖になるので注意が必要です。
そしてスタート地点の菅の台に無事下山。お疲れさまでしたー!
下山後の温泉
中央アルプスを歩いたあとは是非立ち寄ってね!と言わんばかりの場所にある「こまくさの湯」で登山の疲れを癒やすことにしました。ここはゆるキャン△でも登場したことで有名です。
ゆるキャン△のジャージを着て舞台訪問をするという、まさにうってつけのシチュエーション。
下山時の天気も比較的よく、露天風呂からは宝剣岳がよく見えました。
温泉に入ったあとは、リンちゃんがやっていたようにセット券でミニソースカツ丼を購入。あとお腹が空いていたのでついでに豚しゃぶ定食も購入。
かなり量が多いように見えますが、縦走後にはこれでちょうどいいくらいでした。流石に登山終わってミニソースカツ丼だけでは足りない。
お腹も膨れたところで、あとは帰るだけです。
おわりに
登山予定が天気に振りに振り回された結果、最後の最後まで行く場所が決まらないという事態になったものの、天気にも恵まれて良い思い出になる山歩きができました。
ヤマノススメサードシーズンも終わって悲しみに暮れる毎日で、これからも山に登ってはヤマノススメのことを思い出すと思います。これからもゆるふわ縦走を続けていきたい。
おしまい。
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