最近では比較的気温が高い日が続いておりもうすぐで春かと思いきや、ここにきてまた寒くなってきてライド時の服装に悩むようになりました。
今回の旅先は九州です。
何気に九州はまだまだ走っていないというか訪れたことがない場所が多く、自転車関係なしにいつか行きたいと思ってました。特に長崎や熊本の西方面は前回の阿蘇ライドの時に行くことができなかったため、虎視眈々と訪問する機会を伺っていました。
例によって天気予報を確認したところ、どうやら今週末は九州の天気がいいらしいので行くかのノリで早速行くことに。
フェリーで島原半島へ
名古屋空港からだと熊本空港までFDA一本で行くことができるので、輪行する上で非常に便利です。
FDAの輪行ボックスはすでに何回か利用していて、袋のまま預けるよりは格段に安心できる。何より自転車以外の荷物もただ入れてしまうだけでいいのでとってもお手軽。
こういうサービスは積極的に利用していきたい。
天気予報とにらめっこしながら今回の行程をちょっと考えたところ、まず島原半島へフェリーで向かい、そのまま左回りで有明海をぐるっと回るような感じで熊本県まで走るルートになりました。
今回の出発地点は、ここ熊本港の高速カーフェリー乗り場となります。
熊本港~島原外港間はフェリーが運行しており、「高速カーフェリー」の名の通り、車やバイクも載せられる上に短時間で移動することが可能です。
この高速カーフェリー「オーシャンアロー」は、熊本港と島原外港の間(21km)を約30分でつないでおり、まさに熊本から長崎へ向かう交通手段としてはもう使うしかないという感じ。
ちなみに島原外港のすぐ横に島原鉄道の駅(島原港駅)があり、これに乗ると長崎中心部へも行きやすいです。
逆にフェリーを使わない場合は有明海をぐるっと回り込まないといけないので、このあたりは海路が発達しているのもうなずけます。
自転車に関しては、このように丁寧にラッシングしてもらえるので安心できます。
誰もいないロビーでひっそりと佇んでいてマジで驚いた。
あとは30分ほど乗ってれば自動的に島原半島に着きます。
フェリーの中には売店があるので、始発便に乗ってお腹が空いたという場合でも大丈夫です。温かいコーヒーを飲みながら海を眺めるひとときは何物にも代えがたい。
島原半島に到着した時点では軽く雨が降ってましたが、山の方に向かうにつれて徐々に晴れてきました。
山の方と書いた通り、ここからはヒルクライムをすることになります。普通に海沿いを走って天草方面に行くだけではちょっと物足りないのに加え、午前中は下界の天気がよくない感じがしたため天草へ向かう前に寄り道をしようというわけです。
島原外港から国道57号をひたすら西へ向かっていくと、雲仙岳(平成新山)が姿を現してきました。
雲仙岳といえば温泉ということで今回最初の目的地は雲仙温泉、そして雲仙で温泉に入ってまったりするのが目標です。これも結構突発的に決めた部分があって、フェリーに乗りつつほぼリアルタイムでSCWを開きながらどこをどう走ると天気がよさげなのかを考えつつ行程を考えました。
いつものライドスタイルからすると忙しない感じになっているけど、逆に言うとそれほど天気がよくないコンディションでも行き先を決めるのに役立つスキルなんじゃないかなと思います。天気予報では晴れマークが付いていても実際の天気がいつも晴れているとは限らないわけで、行程はその都度変更するという手段もありだと思いました。
雲仙温泉街の標高は約700mなので、今回の出発地点からだと海抜0mから700m↑のヒルクライムになります。
スタート時点からだと標高差が激しく気温の差もかなり大きいため、ヒルクライムを終えた途端に寒すぎて風邪を引くということにもなりかねません。体を冷やす前に温泉に入りたいところ。
汗だくになりながら雲仙温泉街に到着。
汗が冷やされたせいかあまりにも寒すぎて、あれこれ考える前に温泉に入りたいという思いで頭の中がいっぱいになりました。散策の前にまずは温泉に突入しに行きます。
いやー生き返った…!
身体の芯まで温まった途端に眠くなったりしたけど、とにかく体温が回復したので残りの行程も大丈夫そうです。
雲仙温泉街には日帰りで温泉に入ることができる場所がたくさんあって、比較的安価で入ることができる共同浴場ももちろんあります。
今回入ったのは、島原側から温泉街に入ってきた際に行きやすい場所にある湯の里温泉共同浴場。
¥200で入ることができるのでとってもリーズナブル。湯温も自分にとっては少し熱めくらいでちょうどよく、寒さで凍えているときにはこれ以上ないくらい快適でした。
番台のおじさんと道とか今後の予定とか色々話したあとにふと気になったことが一つ。さっきまで熊本にいたせいで実感があまり湧きませんでしたが、もうここは長崎県。いつの間にか県をまたいでいた。
長崎といえばカステラで、。どこかで休憩がてらカステラを食べられる場所はないものかと探してみる。
結局おじさんに聞いてみたりなんかして、最終的に一本丸ごと購入しました。
これがまた非常に美味しい。疲れているときに食べる糖分ほど美味しいものはなくて、このカステラはその中でも無限に食べられそうなくらい甘い。ご当地で有名なものを食べているという実感もあり、なおさら満足度が高い休憩になりました。
雲仙といえば地獄が有名です。
雲仙の古湯と新湯の間の白い土(温泉余土)におおわれた一帯が雲仙地獄地帯に指定されています。至る所から高温の温泉と噴気が激しく噴出しており、さらに強い硫黄臭がそこら中に漂っており、まさに地獄っぽい風景そのもの。
特に湯けむりが凄まじく、辺りが何も見えなくなるくらい白い煙に巻かれることもあります。まさに雲仙にはエネルギーが満ち溢れていることが分かったし、これだけ放出が凄まじいのだから温泉もあれだけ素晴らしいものになるのも納得。
あと、なぜか雲仙には猫が多いです。
それも人懐っこい猫が多いです。
ここは冬でも暖かいので猫が多いのかなと思いましたが、考えてみれば地熱のおかげで一年中床暖房みたいなものだし、猫たちにとっては快適そのものではないでしょうか。
どの子もモフられることに慣れているみたいで、もっと言うと暖かいせいでお腹を見せて寝ている子が多く、ここは地獄かと思ったが猫天国だったか…と一人で悦に浸ってました。温泉+猫で癒やされたい方にとっても雲仙はおすすめできる。
天草へ
思いがけないところで猫成分をたくさん補給したところで、雲仙を離脱して天草に向かいます。
雲仙周辺は雲仙温泉だけでなく少し西へ下ったところに小浜温泉という温泉街もあるので、ここらへんで一泊して温泉を満喫するのもいいかもしれません。
雲仙から天草に向かうには、島原半島の南端にある口之津港へ行く必要があります。ルート的には先程走ってきた国道57号から国道389号に変わり、これをひたすら下っていけば着きます。
この道、実はめちゃくちゃ気持ち良い道でした。
下り基調な道なので楽という意味もあるけど、高台にある集落を横目に見ながら港へ下っていくルートなので景色もいいです。上りも下りもこちら側の道を使うほうが案外いいかもしれません。
ダウンヒルを満喫して口之津港に到着。
島原半島の口之津港から天草の鬼池港へ向かうフェリーは1時間に1本程度と本数が多いので、行程に合わせて時間調節することも比較的容易です。今回の走行ルートを左回りにしたのもこれが理由だったりします。
乗船時間は、今朝乗ったオーシャンアローと同じく30分。
この風景の夏っぽさが半端ない。単に海が見えるからと言うだけでなく、快晴の空や全身で感じる海風の心地よさなど、どれをとっても夏にしか思えません。
写真だけ見せて夏に撮りましたって言っても普通に信じてもらえるくらい。
やはりフェリーでの移動は感傷に浸るには最高の環境じゃないかなと思います。まだ3月なのに一足早く夏を感じることができるなんて、それもついさっきまで寒くて震えてたとはちょっと信じられない。
たった30分の移動でしたが、これは何回でも乗りたくなるくらい素晴らしい航路でした。
無事に天草に到着。
いきなり天草四郎の銅像が迎えてくれるので、標識や看板がなくても天草に来たということがよく分かります。
倉岳神社ヒルクライム
天草に到着したところで、2つ目の目的地に向けて自転車を走らせました。
今回は時間の関係上断念たけど天草はなんといってもキリシタンが有名で、天草諸島を自転車で一周するということもいつかやってみたいと思ってます。この日のブラタモリで天草周辺のキリシタンについて触れていたのでなおさら行きたくなりました。
「潜伏キリシタン」が信仰を守り続けることができた秘密とは!? 世界文化遺産・天草/島原で解き明かす『ブラタモリ』 - music.jpニュース
天草諸島は海沿いに道が走っており、アップダウンもないので気持ちよく流すことができます。
午後に入って天気も非常に良くなってきたこともあり、冬はもう終わって春がきたことを強く感じることができました。風が寒くないのはとても助かる。
鬼池港から天草市を走り、国道266号を横に入るとこれから向かうことになる目的地(倉岳)が見えてきました。
あの山のてっぺんがそれになります。
今回九州を走っていてこれいいなと思ったことが一つ。
すでに田畑に水を張っているところが思いのほか多く、温暖な天気と相まってさながら5月くらいにワープしたかのような錯覚に陥りました。田畑の中をひた走るのも気持ちがいい。
ヒルクライムは続く。
今回走ったルートは登山道にも指定されており、こんな感じで山の中腹に給水ポイントがありました。ここまで結構汗をかいていたのでこれは非常に助かりました。ここで頭から水をぶっかけてクールダウンしたり給水することもできます。
倉岳頂上に登るルートは2箇所あってどちらも平均斜度が8%くらいあるので、途中で休めるのはありがたい。
なお道幅は狭く対向車とのすれ違いは非常に困難だったので、特に自転車で行かれる場合は対向車に注意する必要があります。
雲仙と同じく、約700m↑のヒルクライムをして倉岳神社に到着。
ここは自転車登ってきてこそ、達成感を感じることができる場所と個人的には思いました。
なぜかと言うと山頂から眺める風景が最高に素敵だから。
普通に海沿いを走っているだけでは眺めることができない風景を楽しめるのがヒルクライムの醍醐味の一つでもあるけど、まさかここまで見晴らしが良いところだとは思ってなかった。
天気のいい時間帯というのもあるけど、九州本土まで見渡せるなんて…。
この日は平日にも関わらず観光客が多くて、自転車をもれなく二度見されるあたり自転車で来る人は意外にも少ないようです。
もちろん神社にもしっかり参拝しました。
貝殻がお供えされているのが可愛い気がする。海で採れる貝殻を山の上で見る。実に不思議な光景だ。
それにしても本当に凄い。いつまでも眺めていられるくらい良い風景だ。
遥か向こうに見えている島々(横浦島、御所浦島など)は船でしか行けないわけで、そう考えるとこうして山の上から眺めているだけでも日本はまだまだ広く感じます。
行きたい場所が途中で次々と増えていくのも旅の面白いところの一つだと思いました。
倉岳神社を後にして、この日は松島まで走って一泊しました。
例によって当日の現地で宿を探すという下手すると野宿待ったなしのプランですが、なんとか一件空きがある宿を見つけることができたので野宿は回避されました。
日によってはそもそも営業していない宿が結構多いようです。
海へ続く路
ヒルクライム漬けの一日から一夜明け、この日は最後の目的地まで走って終了となります。
天草五橋(松島橋、前島橋、中の橋、大矢野橋、天門橋)を通り、天草諸島を後にして熊本県三角町へ。
橋の上から眺める風景も「諸島」の名の通り島が多く、それを横目に見ながら走っていく平日の朝。当然ながら他の自転車乗りに出会うこともなく、自分ひとりでこの道を走っているという感覚が好きだったりします。
途中で温泉に入ってまったりしつつ、ひたすら東へ向かって到着したのはここ。
海から現れて海へ消えていく路、長部田海床路です。
見ての通り海面に電柱が並ぶ不思議な光景が広がっており、そのまま進むと異界に行けてしまうような、この世のものとは思えないほど幻想的な場所です。
今でこそ観光面が強い長部田海床路、本来は漁業関係者のための道路として使用されています。
海岸は遠浅のため船を港につけることができなかったので海の上に道を造り、干潮時に沖に停泊した船と港との間とを行き来できるようにしたものだそうです。実際、遥か向こうに漁船が停泊しているのが確認できました。
この電柱は熊本地震と台風の影響で倒壊していたのですが、2018年7月に復活したとのこと。
道の向こう側には、今回の行程で最初に訪れた雲仙が見えています。
行程の最後の場所で、始まりの場所を眺める。旅の終わりに訪れるにはこれ以上ないくらい最高の場所だ。
この素晴らしい風景は潮汐に影響されるので、訪問の際はそちらを参考にしてから訪れることをおすすめします。今回の場合はたまたま訪問したタイミングでこれだったので、もう運が良すぎるというほかありません。
ライドの思い出に浸りつつ、しばらく海を眺めてから帰路につきました。
おわりに
今回も突発的に決めたライド、そして走行コースも天気任せと、今まで以上に行きあたりばったり感満載だったものの、終わってみれば最初から最後まで素敵な体験ができました。
九州は山も海も楽しめる場所なので、自転車に限らず登山でも楽しみたいと思ってます。
おしまい。
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