私が「響け!ユーフォニアム」という作品に魅了されてから、今年で6年目になる。
1期が放送されたのが2015年の春だから、もうそんなに経つのかと正直驚いている。そして、1期の放送終了から2期、映画(リズと青い鳥、誓いのフィナーレ)と順にアニメ作品シリーズが続いていくのと並行して開催されてきたのが、2016年から続く定期演奏会です。
その定期演奏会も今年で5年目になる。時が経つのは実に早いものだ。
忘れられない時間になる
そんなキリがいい5年目の今年2021年に、今回もまた定期演奏会に当選することができた。どれだけ運が良いのかって話なんだけど、思い返してみれば第1回目からずっと連続で定期演奏会の席に当選しているし、この縁は心から大事にしていきたい。
前回(第4回)のレポはこちら。
さて、今回の定期演奏会の開催地は、以前の定期演奏会では定番だった京都府宇治市や関東ではない全く新規の場所でした。しかし、この作品とは切っても切り離せないほど印象深いところで、最初にこの公演の開催案内を見たときには納得せざるをえませんでしたね。
それは、愛知県名古屋市に位置する名古屋国際会議場のセンチュリーホール。そう、作中で全国大会の会場になったあの場所です。
こんな世の中になってしまったということもあって、大人数が集まる公演会場では以下のような感染症対策がとられていました。
- 入場は各自がチケットの半券をちぎって提出し、係の人はチケットの確認のみ。
- センチュリーホールの席は一席飛ばしで間引かれていて、観客同士が隣り合わないようになっている。
コロナ禍ということで否応なしにこのような措置が取られているわけですが、隣の人がいないので個人的には結構快適でした。というかコロナが流行り始めてから自分が初めて参加したイベントがこの定期演奏会だし、久しぶりの生演奏という意味でも、1年ぶりのイベントという意味でもとても興奮している。
時間については、昼の部だと開場が13時で開演は14時。現地に到着してからというもの、公演が始まるのが待ち遠しくて仕方ない。
肝心の席なんですが、これがまた当たりでね。
1階のほぼ中央の席で、左右どころか前後位置についてもほぼ中央付近。具体的に言うと演奏者の方とだいたい同じ目線くらいの高さになる場所で、もう臨場感が限界突破してたと思います。間引き席のおかげで演奏している様子がよく見えるし、もしかしたら過去最高に良い席だったかもしれない。
そして、ついに第5回定期演奏会の始まり。
今回の定期演奏会は「響け!ユーフォニアム」シリーズを振り返るのが主なテーマになっていて、曲目はアニメの1期のものから順に演奏されていくスタイルになっています。
まずは1話の「本気で全国行けると思ってたの?」のシーンから、1曲目の地獄のオルフェ、そして2曲目のDREAM SOLISTERでいきなりのTRUEさん登場。文字通りのパワフルで圧倒的な声量でいきなりテンションはMAXに。声量もさることながら声質がTRUEさんは本当に凄くて、単に「音が耳に聞こえてくる」だけではなくて身体の中に響いてくるのがわかります。これがどれくらいかと言うと、他の音だとそうはならないのに、TRUEさんの声だけ鼓膜にビリビリ影響してくるほど。この声を生で聴くことができるだからコンサートは堪らない。
その後は暴れん坊将軍のテーマやRYDEEN、久美子と麗奈の掛け合いが印象的な愛を見つけた場所が続けざまに演奏され、自分の精神世界を強制的に6年前にタイムスリップさせてくる。自分は特にRYDEENの低音部分が本当に好きで、この音を聞いているだけでなんか人生が楽しくなってくる。これらの曲をアニメで最初に聞いたときの記憶がまるで昨日のように蘇ってくるし、やはり音楽の力ってすごい。
そして、休憩を挟んで演奏の2部はアニメ2期の曲からスタート。
最初からサウンドスケープで気分を最大限に盛り上げてきて、続く宝島では小気味よいリズムで自然と身体が動き出してくる。というか、バリトンサックスソロの方がもう遠目からでも分かるくらいイケメンすぎてヤバかったよね。そして2期を象徴する響け!ユーフォニアムが演奏されて、じわっと来て思わず泣いてしまった。久美子とあすか先輩のシーンを背景に流すのはずるいよ…。
ここまででももうハイテンションになりすぎて、感情が振り切れそうだったのですが…。
ここからが本当に凄かった。
「続いては、この会場ならではの曲です」とのことで曲目については予想ができたものの、まさかこんな演出をしてくるとは誰が予想できただろうか。
突然会場全体が真っ暗になり、「実は今日、うちのお姉ちゃんが来てるんです…。」「それは頑張らないとだね、黄前ちゃんも。」…という2期12話の全国大会のシーン、まさしくこのセンチュリーホールでの演奏前の一連のシーンが流れた後、ステージが明るくなる。そして…。
アナウンス「プログラム3番、関西代表 北宇治高等学校吹奏楽部。 課題曲4番に続きまして、自由曲、堀川奈美恵作曲「三日月の舞」。指揮は、滝昇です。」
!?!?!?!?!
え!?まさか作中の演出を完全再現ですか!?
そして始まるプロヴァンスの風と三日月の舞の演奏。作中と同じように、というか本物の全国大会と同じようにステージが明るくなり、アナウンスがあり、演奏が始まる。
これで興奮しないわけがない!
確かに、これらの曲自体は過去の定期演奏会で聞いたことがあるものだけど、このセンチュリーホールという場所、そしてこの神がかった演出がプラスされたプロヴァンスの風と三日月の舞はもう全くの別物。アニメとの一体感を通り越して、まるで自分がアニメの世界に迷い込んだかのような錯覚を覚えるほどでした。
ちなみにですが、他の曲目の演奏中には背後に作中のアニメーションだったり絵コンテが映し出されるのですが、この2曲の演奏中に限ってはそれがありません。とことんまで全国大会の再現を行っていて、なんという粋な演出をしてくれたのかスタッフさん…という感想しかないです。とにかくもう最高すぎる。
続いては、「リズと青い鳥」よりSongbirds(オーボエとフルートの掛け合いver.)が流れる。この作品は自分にとっては特別オブ特別で、もう何回観たか正直分かりません。映画を見終わってからEDでこの曲が流れたときの、開放感というか瑞々しい空気、それが色鮮やかに蘇ってきた。しかもオーボエとフルートの2人による演奏で、作中の二人の存在を強く意識したのは言うまでもない。
お次は、「誓いのフィナーレ」における演奏前のシーンから、リズと青い鳥の演奏がスタート。全部で第4楽章から成るこの曲は、作品としては「リズと青い鳥」と「誓いのフィナーレ」に跨っていて、作中での年月の経過を必然的に実感されるものとなっています。特にみぞれの覚醒シーンを経てからの「誓いのフィナーレ」での演奏は音が完成されすぎてて、終始震えっぱなしだったことを思い出しました。
今回の演奏でもそれが十二分に表現されていて、オーボエの演者の方の表現力が限界突破しているのが素人の私から見ても如実に理解できる。ソロパートとかもうとんでもなかったですよ?こっちは感動しっぱなしで涙ぐみながら拝聴してたし。
アンコールでは、まず最初につい先日発売されたドラマCD「きらめきパッセージ」の曲、トランペット吹きの休日が演奏。軽快なトランペットのリズムが続けざまに響いてきて、リズと青い鳥で涙ぐんだ感情が途端に明るくなりました。こういう、感情を上下左右に揺さぶってくる編成が実にいいですね…!
その後は、トゥッティ!の演奏とともに、北宇治カルテットのこの5年間(イベント)の写真がスライドショーで背後に流れるという演出があり、ユーフォシリーズの息の長さを物語るようなシーンをたくさん見ることができました。これらを北宇治カルテットはステージ上で見ているですが、事前の説明ではアニメのシーンを振り返るものと聞いていたようで完全にサプライズだった様子。というか、こういう風に過去のイベントの様子が流れてくると年月の経過を感じざるをえませんよね。上にも書いたように時が経つのは本当に一瞬だけど、響け!ユーフォニアムシリーズは確かにその歴史を積み重ねているわけで、その"歩み"を強烈に感じることができる。
〆は「誓いのフィナーレ」の映像とともに、TRUEさんによるBlast!。TRUEさんの曲は自己肯定感が強いものばかりで、聞いていると自然と元気が出てくる。相変わらずの歌唱力で精神をボコボコにされたけど、これを〆に持ってくるあたりスタッフは理解ってるとしか言いようがないですね。今回の定期演奏会の最初の(1期の)シーンからストーリーが淀みなく繋がるようにシーンを選んでいて、全体を通して演出の完成度が高すぎる。
そんなこんなで、第5回定期演奏会は冗談抜きで放心状態のまま終了。体感時間が極端に短くて、経過時間としては2時間20分ほどだったらしいですけど、絶対嘘でしょ!?という感じです。楽しい時間ほど短く感じると言うけど、まさしく一瞬で終わってしまった。難しく考える必要はどこにもなくて、溢れ出る感情にただ揉まれる。これが響け!ユーフォニアムの楽しみ方だ。
こんな素敵な時間をくれた洗足学園音楽大学のフレッシュマン・ウィンド・オーケストラ"2021"の皆様(今日がデビューとのことです!)、そして指揮の大和田さん、出演のTRUEさんや北宇治カルテットのメンバー全員に感謝の気持ちでいっぱいです。
演奏、演出、歌唱、アニメとのシンクロ感。それらが組み合わせることで、こんなに感動できる時間が過ごせるんだということが言葉でなく心で理解できたし、それはなんと言っても「響け!ユーフォニアム」シリーズという大きな存在があってこそ。それに、改めて音楽の持つ力はとてつもなく巨大なものであることが実感できた。この場に立ち会えたこと、そして見聞きできたこと全てに心からありがとうと言いたい。
今後ももちろんこの作品を追い続けていきたいし、そのことを考えるだけで未来が希望あふれるものになってくる。
本当に楽しかった!
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