えびすや旅館 佐田岬半島 三崎港の木造旅館に泊まってきた

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最果ての地の旅館

今回走った愛媛県の最西端・佐田岬を目指すライド時に泊まった旅館が素敵すぎたので、記事にまとめました。

その旅館というのが、佐田岬半島 伊方町三崎に位置するえびすや旅館です。

三崎港は四国(愛媛)と九州(大分)を結ぶフェリーの港であり、陸路では移動が困難な双方を航路にて接続している非常に重要な場所。佐田岬半島自体が四国の中でもかなりアクセスが大変なところにあるものの、今では交通機関が発達しているために三崎港で一泊する人は少ないかもしれません。

今回は佐田岬半島をロードバイクで走った後、このえびすや旅館に投宿して翌日に大分を目指しました。

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えびすや旅館 外観

えびすや旅館の創業は昭和初期で、建物自体は大正時代のものと100年以上の古い歴史があります。

玄関入り口は港から続く細い路地裏にあり、港周辺に家屋や建物が密集していたと思われる当時の町並みを思わせる立地です。

以下、女将さんに伺ったお話。

  • 昔は三崎だけで生活が完結しており、さらに移動手段が船のみだったので三崎は港を中心に活気で溢れていた。えびすや旅館と同じくらい古くから続いていた旅館も多くあったが、今ではもう残っていない。
  • 30年ほど前にメロディライン(国道197号)が開通してからは車による移動が主流となり、三崎の地は素通りする人が多くなったことで店の数も少なくなった。

以上の背景から、交流としては四国の都市部よりも九州の方が多く、甘辛い味付け等も九州由来のもの。また、九州(特に航路がある大分県)から嫁いできた方も多かったそうです。

玄関前から見上げた2階部分
建物の右側面

国道方面からでは旅館の建物がほぼ全く見えないものの、通りを一本入ると見えます。

通りに面しているのは玄関がある正面部分と右側面で、特に正面部分の2階には欄干がそのまま残されていました。

明るい館内

それでは館内へ。

今回はまず昼頃に旅館に到着して荷物を置かせていただき、身軽になってから佐田岬灯台をピストンした後に正式に投宿となりました。

佐田岬半島をロードバイクで走る人は意外にもかなり多い様子で、女将さんもそのあたりは慣れているご様子。

玄関
玄関上部に「戎屋旅館」の文字。えびすというと「恵比寿」の感じががまず思い浮かぶこともあり、見慣れない字だった。
玄関内部

玄関を入ると正面に2階への階段があり、左手方向には厨房や食事をいただく食堂があります。また、階段の右奥には居間があるようでした。

玄関土間や廊下を含めて玄関のスペースはかなり広く、玄関前の通りの狭さのイメージのままで中に入るとそのギャップに驚きました。天井も高くて灯りも十分と、この時点ですでに旅館としては比較的明るい造りになっていることが分かります。

ロードバイクは向かって右側の土間部分に置かせていただきました。

ロードバイク同伴で泊まる場合はここが定位置のようです。また、ハンドルを立てかける壁が土壁なので「汚れないように…」とタオルをあてがっていただくなと、女将さんのご親切さに感動。こういうちょっとした点が嬉しく感じる。

1階部分は玄関や食堂のほかにお風呂場がありますが、別の階段から下る形になるのでここからはアクセスできません。

2階へ
2階への階段を上がった場所
階段の手摺
左奥に泊まった部屋(一号室)がある
談話スペース

階段を上がった先は廊下が3方向に伸びていて、いずれもが客室へと繋がっています。階段上がってすぐの場所には談話室として使えるこじんまりとした部屋が2つあって、ここで小休止しながらくつろぐことが可能。

玄関を入った時からずっと気になっていたことが一つあって、それは明るい気分になれる音楽(ジャズっぽい)が流れていること。

その音源は実はこの談話室にあったんですが、この音楽が個人的にかなりリラックスできるもので、滞在中ずっと流れていることもあって1日の疲れが取れやすかったような気がします。

1階に加えて2階部分の灯りも大きくとってあって、「建物自体は古いものだが、現代に合うように各所に手が加えられている」というのがえびすや旅館の特徴ではないかと感じました。ただ静かな旅館というだけではなくて、お洒落な部分もある。

洗面所

廊下を直進すると酒の自動販売機が置かれている曲がり角があり、その角を左に曲がると洗面所やトイレ、お風呂場への階段等があります。洗面所はタイル張りの古い構造で、左から右に向かって傾斜がつけられていました。

洗面所の奥にはガラス窓と、その向こう側には建物の外側部分にある別の窓が見えています。建物の外側に沿って廊下が走っているためにこういった景色になっていて、「窓の向こうに建物の別の部分が見える」というのがなんか好き。狭い範囲に建物の複雑な構造が集まっているというか。

洗面所前の廊下を進んでいった先には、広間と3階への階段がある
広間の様子

3階への階段前から洗面所の方向を見る

洗面所前の廊下を進んでいくと1階風呂場へと続く階段、次いでトイレがあり、さらに先へ進むと3階への階段があります。

階段の左方向には二間続きの広間があり、大人数の場合はこちらが客室として使われているようでした。

3階への階段を上った先。上に続いているのは屋上へと続く階段。
3階の様子
3階の客室の例
3階の客室の例

外観からでは分かりませんでしたが、実はえびすや旅館は3階建てとなっています。

ただし3階部分に使われている鉄筋は50年以上前のものらしく、耐震上の理由で今では客室として提供することはできないとのことでした。なお掃除は行き届いており、設備についても使用は問題ない感じです。

1階への階段を降りた先
お風呂場

さっき述べた階段の先にあるお風呂場はこんな感じで、2~3人が一度に入れる広さがあります。

泊まった部屋

今回泊まったのは、旅館建物の右側面に面した一号室の部屋です。

廊下から戸を開けるとさらに廊下があり、部屋は障子戸の中にある。

さっきまで通っていた広い廊下から鍵付きの戸を開けると、その先に細い廊下があって客室はその向こう側にあります。

どうやら昔は廊下がそのまま繋がっていたところを、防犯上の関係で戸を後付けしたようです。

一号室の部屋

床の間
熱帯魚が泳いでいる水槽

一号室の広さは8畳で、手前側に大きな床の間と書院を備えている上品な部屋。曲がり廊下に面しているので4面のうち2面が障子戸になっています。

部屋そのものは大正時代から大きく変わってはいないとのことなので、えびすや旅館の中でも当時の空気を感じられる部屋なのではないかと思います。

設備としてはエアコンやテレビ、ポットなどがあり、椅子や机もあるので居心地の良さは十分。障子戸のおかげで外からの採光もかなりあり、さっきまで歩いてきた館内の明るい雰囲気がそのまま延長されているような感じでした。

早速、お茶を飲みながら今日一日の行程について振り返ってみる。

早朝に宿を出発して八幡浜市に至り、そこからアップダウンの激しい佐田岬半島を走って三崎に到着。そのまま休憩もそこそこに灯台までピストンしましたが、思いの外日没までの時間がギリギリだったので時間的な意味で焦りました。冬のライドは宿に早めに到着しておく必要があるのは理解しているけど、寒い朝に布団から這い出るのがまず一苦労という。

ともかく、無事に予定通りに回るところは回れたので良し。その安心感もあって、この部屋で過ごしていると身体から力が抜けていきそうでした。

夕食~翌朝

夕食及び朝食は、1階玄関横にある食堂でいただく形になります。

食堂の様子
以前は食事のみの提供も行っていましたが、手が回らなくなって今では宿泊のみやっているようです。食堂の構造がどこか旅館ぽくないので質問してみたら予想通りでした。
飲み物

自分がえびすや旅館に泊まってみて一番驚いたのが、夕食と朝食の美味しさ

海が近いこと、漁港がすぐそこにあることから新鮮な魚が食べられるであろうことは容易に想像できたのですが、その味があまりにも予想以上でした。まるで料亭で食べる料理のように味付けが凝っており、素材の旨さに加えて「料理」としての完成度が高すぎる。

一度泊まったことがある人が絶賛されていたのをレビューで確認してましたけど、何度も言うけどめちゃくちゃ美味しかったです。魚についてはすべて当日採れたものを使っているため非常に新鮮という素晴らしさで、三崎の海の幸を味わうならもうここしかないという感じ。

タコの味噌和え
炙り魚のたたき風
上にウニが乗っている茶碗蒸し。風味がすごい。
種類が豊富なお造り。醤油は甘辛い味付け。
サザエのつぼ焼き
お造りの魚の内蔵(肝や大腸等)を使った天ぷら。苦味が効いていて酒が進む。
タチウオの煮付け
〆は通常なら雑炊のところ、特別手間のかかる焼きおにぎりのなめろう出汁茶漬けに。

何を食べても大満足とはまさにこのことで、魚介類をこれほどまでに美味しくいただけたのは初めてかもしれない。

一品一品に手間がかかってますというのが何も言わなくても伝わってくるレベルだし、料理の温度も一番美味しく食べられるタイミングで出してくれる。真心のこもった料理ばかりで、幸せ感でお腹いっぱいになれました。

朝食の内容
なんと朝食にマグロのカマが出ました
三崎名物のじゃこ天と、ご飯と味噌汁。

朝食もまた驚きの内容で、きんぴらや南蛮漬けに加えて出てきたのはなんとマグロのカマ

脂が乗りに乗りまくっていてボリュームは抜群、これに醤油を垂らしたじゃこ天と一緒に熱々の白米を食べるともう堪えられない。朝からこんな豪華な食事をいただいていいのかってくらいに感動しっぱなしでした。

なお、これらの食事の内容は季節や魚の採れ高によって変わります。あくまでもその日に採れた魚をベースに旨味を最大限に引き出す料理を提供してくださるのがえびすや旅館の良さであり、予め食事の内容が把握できるわけではないというのが面白い。

いずれにしても、三崎の魚を様々な調理方法で出してくれるので色彩的にも豊かで、それでいて味も抜群というのが印象的でした。

人懐っこい猫ちゃんもいます

最後になりますが、えびすや旅館には猫ちゃんが何匹かいました。

中でも一番人懐っこいこの子はかなりスリスリしてきて、隙あらば玄関や2階の廊下に出没したりする様子。会えるかどうかは運次第で、出発間際に遭遇したのであまりの可愛いさにフェリーの時間に遅れそうになってしまったくらいです。

おわりに

三崎のえびすや旅館は建物の雰囲気もさることながら、明るい館内や三崎を堪能できる美味しすぎる料理など、素敵なポイントが一杯でした。また三崎を訪れた際には再訪したいと強く思っています。

特に料理は本当にもう思い出すだけでも涎が出てくるくらいで、終わってみれば今回佐田岬半島を訪れた最大の理由はとても納得の行くものでした。

おしまい。

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コメント

コメント一覧 (1件)

  • このブログを拝見して、泊まってみたくなり、えびすや旅館に宿泊してきました。
    自分も自転車旅で、広島の自宅からフェリーで松山に渡り、三崎港に宿泊。
    翌日は九四国道フェリーで佐賀関まで渡り、宇佐神宮に参拝、輪行で広島に戻るという行程でした。
    えびすや旅館の料理は期待通りで、良い素材を手間をかけて調理しているという印象で、大変美味しかったです。
    「鄙びた旅館」というジャンルではないですが、料理が美味しい民宿ですと、愛媛県西予市のシーサイドうわかい、上島町の民宿よし正などが自分の泊まった宿では良かったです。どちらの宿も料理もロケーションもよいので機会あれば宿泊してみてくださいね。

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