- Part 1:上高地~涸沢~穂高岳山荘
- Part 2:穂高岳山荘~奥穂高岳~ジャンダルム~西穂高岳
今回の縦走をしたそもそもの発端は、8月に行った北アルプス縦走にあります。
この縦走では、当初双六岳から槍ヶ岳に向かい、そこから大キレットを通って奥穂高岳に登って下山する予定でした。しかし実際には悪天候のため、双六岳から新穂高温泉へ下山するという煮え切らない結果になってしまいました。
しかし、この縦走の数日後に、そのモヤモヤを払拭する剱岳日帰りをやったことは記憶に新しいです。
ただどうしても岩成分が不足していた感は否めず、思い切ってフォロワーさんに声をかけたところ、二つ返事でOKを頂いたので行くことになりました。
行程
全体の行程としては以下となります。
- 1日目:上高地~横尾~涸沢~穂高岳山荘
- 2日目:穂高岳山荘~奥穂高岳~ジャンダルム~西穂高岳~新穂高ロープウェイ
まず初日に涸沢の紅葉を楽しみながら穂高岳山荘まで歩き、小屋泊をします。
小屋泊にした理由は言わずもがなで、岩場ばかりの道を通るので少しでも荷物を減らすためです。奥穂高岳~西穂高岳間をテント泊装備で歩くのはまだ自信が足りません。
そして翌日は奥穂高岳の山頂で朝日を拝んだ後、西穂高岳まで縦走してゴールという流れ。
この日程中に台風が日本海を通過し、北アルプスでも雨や風が強まるとの予報だったので心配してましたが、台風が過ぎ去ったあとはカラッと晴れてくれました。終わってみれば紅葉も岩場も楽しめて一石二鳥という素晴らしい山行となりました。
上高地からの道
午前3時30分にあかんだな駐車場入りし、始発のバスで上高地に向かいます。バス料金は片道¥1,350。
三連休ということもあり、始発にもかかわらず駐車場のバス乗り場周辺はかなりの数の登山客で賑わっていました。いくら晴れ予報とはいえ、台風の真っ只中から登山をしようと思う人は多いようです。
このところ週末の天気が悪い日ばかりだったので、鬱憤が溜まっている人も多そう。
バス一本で上高地へ到着。
上高地行きのバスはあかんだな駐車場以外にも、例えば平湯や松本などから出ています。それらすべてに登山客がぎっしり乗っているわけで、当然ながら北アルプス登山の拠点となるこの上高地は大混雑状態でした。
時期的に、大半の登山客の目当ては涸沢の紅葉なんじゃないでしょうか。
【2021年】一生に一度は見たい!涸沢カールの紅葉・登山情報 | 【YAMA HACK】日本最大級の登山マガジン - ヤマハック
もともと唐沢の紅葉は有名でしたが、ここ数年は訪れる人が更に増えているそうです。なんでも紅葉の最盛期に涸沢ヒュッテに宿泊しようとすると、1枚の布団を3人や4人で使うという状態になるのだとか。
それを嫌ってテント泊を選ぶ人も多く、紅葉シーズンには涸沢のテン場が難民キャンプばりにテントで埋め尽くされる光景を見ることができます。
午前5時30分。上高地はほんのり雨が降っている状況です。予報によれば、少なくとも昼からは晴れるとのことなので一安心。
登山届を提出し、早速出発。
今日の行程はまず、無心で横尾に向かうところから始まります。
横尾は槍ヶ岳、涸沢、穂高岳、蝶ヶ岳など北アルプス登山の出発点となる場所で、上高地からは梓川沿いにおよそ10km離れたところにあります。
この道を歩いたことがある方なら分かると思うけど、この10kmが非常にだるい。
道はほぼ平坦なので歩くのは楽な一方、あまり代わり映えしない道が延々と続くので精神的に参ってきます。
今回は岩場を通るので縦走用のハイカットの靴を履いてきましたが、正直横尾までの道はサンダルに履き替えて歩くのがいいかもしれません。
横尾に到着。これから槍ヶ岳/涸沢方面に登る人、すでに下山してきた人、横尾山荘に宿泊していた人などでかなりの混雑状態です。
天気についてはこの時点で雨はすっかり止んでおり、晴れ間も広がってきました。
紅葉の涸沢へ
ここからは横尾大橋を渡って涸沢方面へ向かうことになります。今までは平坦でピクニック気分でしたが、徐々に標高を上げていきます。
しばらくは左手に屏風ノ頭を眺めながらの歩行となります。
それにしても紅葉がすごい。今が一番綺麗な時期かもしれません。
紅葉が綺麗すぎて撮影ばかりしてたせいもあり、なかなか距離を稼げませんでした。
そんなこんなで横尾大橋から1時間ほど歩いて本谷橋へ到着。ここから若干ですが道が険しくなります。
このあたりでツアーと思われる団体(30人くらい)と複数すれ違いました。昨日は雨みたいだったので涸沢の景色もそこまで良くなかったのかもしれません。
本谷橋からは大勢の登山客に混じって涸沢まで歩いていくことになり、向かって右手方向が常に絶景なので皆さん撮影に夢中でした。特に紅葉が鮮やかだったのがSガレ付近で、涸沢カールおよび横尾本谷方面の一面が紅葉に染め上げられています。
これは涸沢カールの紅葉も期待できそうと思っていたところ、涸沢方面から下山してきた方に「涸沢の紅葉は見頃を少し過ぎている感じ。ここ(Sガレ)がいま一番綺麗よ」と言われました。
確かに予めSNSで確認していた限りでは、紅葉のピークは先週末だったようです。一週間たっただけで見頃を過ぎてしまうとは、やはり紅葉は見に行くタイミングがシビアすぎる。
ここの紅葉が素晴らしすぎたので、これだけで今回来たかいがありました。
涸沢ヒュッテに到着。
少し眺めの休憩をとる傍ら、せっかくなのでおでんを食べました。気温一桁の環境下ではこういう暖かい食べ物が本当に美味しく感じます。
この時間になると少し天候が変化してきました。横尾まではほぼ快晴だった天気も、残念ながら岐阜側がガスり始めてきています。
うーん、ガスってなければもう少し綺麗に見えるのだが。
ご覧の通り、テントの数は紅葉の時期にしてはそこまで多くありません。まだ時間が早いせいなのか、台風を気にしてキャンセルした人が多かったのかのどちらかです。逆に言えば朝早く出発して早めにテントを張ってしまえば、あとから来てもう張る場所がない…という事態にならなくて済みそうです。
穂高岳山荘まで
涸沢に到着した段階でもう少しゆっくり休憩するつもりだったのですが、「立ち止まっていると寒い」というシンプルな理由から、おでんを食べたらさっさと出発することにしました。
涸沢から穂高岳山荘へ行くには、ザイテングラートという岩場を通ることになります。ザイテングラートへの取り付きへは涸沢ヒュッテを出発し、涸沢カールを左手に見ながらのパノラマコースか、もしくは涸沢小屋前を通るコースを選択することができます。
今回はパノラマコースを歩くことにしました。
誰かのテントが風で飛んでるぞ。
奥穂高岳方面は完全に雲の中に入ってしまっています。
ザイテングラートへの取り付き箇所で、なんと赤ん坊を連れた登山客と遭遇しました。なんかもう安全とかいう以前の問題だよね。何かあったとき大変では?
ここは道も狭く、下山してくる人がいた場合はすれ違いになかなか難儀をする場所です。ただ今回はそれほど人も多くなく、すんなりと通れました。
というかこの登りで結構疲れました。こんなんで明日大丈夫か…。
ガスガスのなか穂高岳山荘に到着。時間を正午を少し回ったところです。
かなり早い時間に到着したこともあり、まだそこまで人が多くありません。
予め予約してから行ったのですんなりとチェックインできました。
このあと予約なしの方が大勢いらっしゃいましたが、最終的に布団を1人1枚使うことができました。あまりにも宿泊客が多いと布団1枚を2人で使うことになってしまうので、今回は運が良かったと言えます。
本日の行程が無事終わったことを記念してビール(¥800)と味噌ラーメン(¥1,000)で乾杯。
さすがに涸沢ヒュッテで食べたおでんだけだとお腹が空いたので、ここで昼食を取りました。ラーメンの温かさが体に染み渡ります…。
穂高岳山荘からは涸沢の様子がよく見えます。
つい数十分前まではあそこにいたのですが、比較にならないほどテントの数が増えてました。
嘘のような快晴
そこからは次第にガスが強くなって周囲の展望が全くなくなり、小屋の外にいても寒いばかりだったので中に入って昼寝してました。
夕食の時間である17時が近づいてきたころ、外の様子が騒がしかったので外に出てみたところ、
ガスが晴れてる!
岐阜側のガスが次第に下がってきたようで、あたり一面が快晴に包まれました。
日が差したことで気温も若干ですが上昇し、ちょっと行動しやすくなった感。早速景色を楽しむことにします。
さっきまでの悪天候はなんだったんだろうというような気持ちのいい天気になりました。
明日通るジャンダルム周辺もしっかり見ることができます。地図上で予め確認していあるとはいえ、次の日に通る行程を前日に確認できるのは気持ち的にかなり楽になります。
夕食が豪華すぎる
このまま夕焼けの時間まで外で待機するかと思ってましたが、夕食の時間になったので食堂に行くことに。
山小屋で宿泊し、かつ食事までするのは多分初めてだと思いますが、こんなに豪華だとは思ってませんでした…!
おかずの種類も多いし、ご飯はおかわり自由。標高3,000mで食べることができるメニューとは信じられません。
今回山小屋泊にして本当に良かった。ただ荷物が軽くなるだけでなく、快適さがテント泊とは全然違います。
明日の天気を信じて
夕食の後は早速外へ出て夕焼けを見ることにしました。
長野側・涸沢方面はすっかり雲海になっています。ちょこんと飛び出しているのは常念岳かな。
なんて美しいんだろう。
空の青と夕日の赤のグラデーションが好きです。山で味わうことができる絶景のなかでも1, 2を争うくらい好きかもしれません。
ちょっとでも高いところで夕日を見たかったので、涸沢岳方面に少し登ってみました。登ってから気づきましたが、ご覧の通りテント泊の方も非常に多い。テント同士が密集しすぎててすごいことになってます。
日が沈む瞬間に赤色が強く空に映るのもたまらなく綺麗です。気温はかなり低いものの、それ以上の感動を味わうことができました。
日が沈んでから一気に暗くなったので小屋に戻り、その後就寝。明日の天気も今日と同じように快晴であることを確信しながら床につきました。
Part 2に続きます▶【穂高岳山荘~奥穂高岳~ジャンダルム~西穂高岳】岩稜帯を楽しむ秋の北アルプス縦走 Part 2/2 - TAMAISM
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