【白馬村~黒菱平~八方池山荘】「黒菱林道」ロードバイクで八方尾根の紅葉と白馬三山を訪ねてきた

今回は、ロードバイクで長野県白馬村の黒菱林道周辺を走ってきました。

黒菱林道を通行できるのは毎年7月初旬から11月初旬までと比較的短く、通年で通れるわけではないというレアな道。結論から言うと冬季閉鎖前に快晴&紅葉という素晴らしい景色を見ることができて最高だったという話です。

もくじ

黒菱林道の概要

長野県北西部の白馬村は北アルプスの白馬三山(後立山連峰)を目の前に臨む村であり、夏場は登山、そして冬になればスキー客で大いに賑わう避暑地でもあります。

特に八方尾根から八方池、そして唐松岳へ続く稜線は北アルプス入門にちょうどいい難易度で、そこから北へ行けば白馬岳、南へ行けば五竜岳や鹿島槍ヶ岳を経て黒部方面へ縦走することも可能という好立地。登山初心者から熟練者まで楽しみやすいルートというわけで、北アルプス北部の中では人が多いエリアだと思います。


そんな白馬村の山麓周辺にはスキー場のリフトが多数設置されていますが、今回走った黒菱林道(黒菱ライン)というのはそのリフトの発着点の一つ・黒菱駐車場へ向かう林道のことをいいます。

黒菱駐車場にある黒菱第3ペアリフトに乗ればグラートクワッドリフトに乗り継ぐことができ、要は山麓から八方アルペンラインに乗らなくても八方尾根まで比較的安く行くことができます。あとは前回の五竜岳登山でやったように、黒菱駐車場に車を止めればリフトを使わずに深夜~早朝の時間帯に唐松岳方面へ行くこともできて、どっちかというとこっちが目的の人が多いかな。

で、この黒菱林道は車だけでなく自転車も通ることが可能なんです。まあ「車が通れるなら自転車も通れるじゃない!」と思うのは当然のことですが、ヒルクライムで疲れた後は絶景を見ることで回復したいと思って行ってきました。

黒菱林道を上る

黒菱林道の長さは片道約9km、標高差は760m。終点の黒菱駐車場(1,500m地点)まで上りが収まることがない完全なヒルクライムコース。

秋口にもなると標高1,000m超えは涼しいを通り越して普通に寒いです。快晴だったとしてもヒルクライムをして身体が熱くなったのを放置すると一瞬で風邪を引くので、防寒装備はきっちりしていったほうがいいです。

この日(10/14)は冬季閉鎖を翌日に控えたタイミングで、しかも明日の天気予報は完全な雨。つまり今日しかロードバイクで上れる日が残っておらず、晴れや曇りの程度は度外視して最初から走りにくる計画でした。

白馬オリンピック大橋
目指す黒菱林道方面を見る

国道から道を一本入って白馬村の中心部へ入り、ローソンの前を通り過ぎて黒菱林道へ。

道の左右に木々が広がる白馬リゾートホテル周辺を抜けたあたりから本格的な上りが始まります。斜度としてはだいたい9~10%が延々と続く感じで、カーブがきついところなどはたまに15%くらいはあります。

黒菱林道は全体的に道の端にガードレール等が設置されていないのがデフォルトになっていて、ここが林道だということを改めて思い知らさせる。特にヒルクライム中は低速になっててふらつきやすく、交通量も全くないわけではないので注意が必要でした。

はじめのうちは林の中を走り、たまに視界が開ける
あそこまで上るらしくて絶望

上り初めたところのシチュエーションでは紅葉のコの字すら感じられなかったのが、上へと上っていくに連れて徐々に木々が鮮やかに色づいていきます。木々の中の紅葉の割合が10%、20%と少しずつ増えていき、黒菱駐車場に至るころには100%になってました。

私は周りの風景が少しずつ変わっていくのを実感できるのが自転車の良いところの一つだと思っていて、ヒルクライムをやっていると周囲に目を向ける余裕も生まれるのでなおさら景色の移り変わりを堪能しやすいと思います。今回の場合は山麓から山頂に向けて山岳の地形が変わっていく点に加えて、紅葉という分かりやすい指標があるし。

確かに自転車って速度は遅いし何よりも疲れるけど、「道中」を楽しめていると考えれば悪くない。

八方尾根の雄大な景色

というわけで、上りに上って黒菱駐車場に着きました。途中では数人のロードバイク乗りの方とすれ違うこともあり、どうやら考えることは皆同じだったようです。

ロードバイクから降りてまず最初にウインドブレーカーを引っ張り出し、まずは標高1,500mならではの標高の高さと寒さに驚く。ただ今日は風が弱いのがまだ幸いで、風が強かったらウインドブレーカーどころでは済まなかったと思います。

黒菱第3ペアリフト

黒菱駐車場の近くにはカフェテリア黒菱というレストランがあり、休憩が可能です。ちょうど時間は昼過ぎで唐松岳や八方池方面から戻ってきたと思われる登山客が多く、下山する前にちょっと食事でもというパターンが多い様子。

さて、黒菱林道の終点までロードバイクで行くという目的は達成したのですが、せっかくなのでここからリフトを乗り継いでさらに上へと向かうことにしました。何よりもこの快晴の状況下で、到着してすぐに下ってしまうのはあまりにももったいない。

登山道を歩くのであれば当然ながら登山装備が必要になるのに対して、リフトの終着駅である「グラートクワッドリフト頂上駅」に行くだけなら観光気分で大丈夫です。

ロードバイクに乗れるのは黒菱駐車場までなので、ここからはリフトに乗ることに。

黒菱第3ペアリフトからグラートクワッドリフト頂上駅までの往復チケットの料金は1900円です。最初に乗るのが黒菱第3ペアリフトで、そこからグラートクワッドリフト黒菱平~頂上駅に乗り継ぎます。

リフトが通っている斜面の斜度は黒菱林道とは比較にならないほど急ですが、リフトの移動はこれ以上ないくらいに楽チン。さっきまで自分がいた黒菱駐車場があっという間に小さくなりました。

黒菱第3ペアリフトに乗って黒菱平(標高1,680m)に到着。黒菱平にある雲海デッキからは、条件が良ければ白馬村全体を覆う雲海を望むことができるようです。

その反対方向に目を移すと、目の前に広がるのは紅葉と白馬三山の雄大な姿。これを見れたのなら今日は早起きした甲斐があったというもの。

グラートクワッドリフトに乗る
左方向に見える五竜岳
八方池山荘

そのままグラートクワッドリフトに乗り継ぎ、終点の八方池山荘(標高1,830m)に着きました。頭上に広がる空の青さもここにきて極限まで澄んでいるように感じられ、空そのものがとても近いことが実感できます。

今回はロードバイクで途中まで上りましたが、逆に言えばリフトに乗るだけで標高1,830mの地点まで無条件で来ることができるということ。黒菱平周辺には散策できる木道が続いているところもあるので、八方池までのトレッキングと合わせて風景を楽しみやすいのも素敵です。

八方池までの道中は完全に山道となります
白馬三山

八方池山荘に着いてからは、白馬三山方面を眺めたり白馬村方面を眺めたりして贅沢な時間を過ごす。

流石にこの時間から八方尾根~八方池に向かうのは時間が遅いので山荘周辺を歩くだけに留めました。あと装備もビンディングシューズではなくトレランシューズ等が必須です。念のため。


風景を眺めるのを阻害する邪魔な存在がここには無く、自然の存在感を全身で味わうことができる。山の風景って本当に「雄大」という言葉が似合うほど何もかもが大きく、この山岳地帯に身を置いていると普段の悩みがとてもちっぽけなもののように思えてくる。

最近はやりたいことが多いこともあってちょっと登山から離れていたけど、来年からは再開してみようかな。白馬も長野県も岐阜からだとアクセスが良いし、これを活かさない手はない。

下山
黒菱平の風景
景色の遠近感がすごい
帰りの黒菱林道の景色

北アルプスの存在感をひとしきり味わった後、来たときと同じようにリフトに乗って黒菱駐車場に帰還。あとは安全第一で下って帰路に着きました。

ヒルクライムは往々にして走行距離の割に達成感を感じやすいですが、黒菱林道は上りを頑張っただけの絶景が終点に待っています。訪問する時期によっては今回のように紅葉を見ることができるし、さらに足を延ばせばサイクリングだけでなくトレッキングも行うことができる。リフトを組み合わせれば実に様々な楽しみ方があると感じました。

精神的に疲れているときほど自然に触れるのは大きな効果があって、美しい景色に出会えると気分もリフレッシュできるはず。今回のライドは本当に晴れやかな気持ちになれました。

おしまい。


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