今回は、ロードバイクのイベントの中では全国最大規模を誇る「サイクリングしまなみ2022」に参加してきました。
サイクリングしまなみは定められたコースの中を走っていき、その途中に存在する各エイドステーションで食を楽しんだり、水分補給したりしながら完走を目指すサイクリング大会です。なので決してスピードを競うものではなく、しまなみ海道の絶景を満喫しながらまったり走ることができるため、ロードバイク初心者でも参加しやすいのが特徴の一つ。
ロードバイクの楽しみ方は人によって様々である中で、ストレスなく走って瀬戸内の景色を眺めたり、美味しい食事を味わったりするのがこの大会の目的です。そういうのが好きな自分にとってこの大会はずっと前から気になっていて、今回当選したので行ってきました。なお本大会は2年に一度開催されるものの、前回はコロナの関係で中止となったため4年ぶりの開催となり、その盛況ぶりはかなりのものでした。
サイクリングしまなみ2022 瀬戸内しまなみ海道・国際サイクリング大会
サイクリングしまなみの概要
サイクリングしまなみの最大のポイントは、普段はロードバイクで走ることができない高速道路上を走行できるという点。
瀬戸内しまなみ海道といえば日本を代表し世界に誇りうるサイクリングコースであり、島と島をつなぐ個性あふれる橋や美しい海の風景を満喫できることで有名です。
島と島との間にある橋では端の方に自転車歩行者道が設けられており、島から橋へ上る道も自転車で走りやすいように斜度が緩く設計されていたりと、一言で言えば「サイクリストに優しい」のがしまなみ海道の良さです。メインは島の道路を走り、橋の区間だけ上って隣の島へ移るというルートが一般的ですね。
サイクリングしまなみではそんな通常ルートに加えて、なんと高速道路である西瀬戸自動車道もコースに含まれているんです。高速道路本線上を走るサイクリング大会としては国内でここだけのようで、その特別感は唯一無二のもの。
特に橋の上から眺める瀬戸内海との広さと、全身で感じることができる開放感…。そんな感じで想像しただけでも参加したくなってきた。「普段とは違う走りができる」というのが最大の醍醐味だと思うし、しまなみ海道?もう何回も走ったよという方でも新鮮に感じられるはずです。
どこをどう走るのかについては、走行距離が30km~140kmと幅広いAからHまでの8つのコースが用意されていて、走るルートも高速道路区間の長さも様々。出発地点も今治だったり尾道だったりと、人数がうまく分散するように工夫されています。行き/帰りの行程も含めて、コースの選択肢が多いのはとても嬉しい限り。
今回は、せっかくなので一番長いCOMPLETE SHIMANAMI 140km 今治⇔尾道〈往復〉(Dコース)を選びました。
Dコースは今治ICを出発して因島南ICまで高速道路区間を走り、尾道周辺は船で移動して帰りは一般道を走って今治まで戻ってくるコースです。単に長い距離を走りたいというよりは、正直に言うとエイドステーションの数が多いのでたくさん食べられそうという理由からこれにしました。
前日受付@今治市役所
Dコースの前日の受付会場は、今治の中心地にある今治市役所です。今回は本州から輪行で今治まで向かいました。
今治駅の時点ですでに輪行解除している人がたくさんいて、しかも市役所方面に向かうに連れてサイクリストがどんどん多くなってくる。市役所に到着したときにはそれが最高潮になって、こういう風に徐々に賑やかさが高まっていく様子が好き。イベントはやはりこういう風でなくちゃ。
今治市役所では前日受付のほか、各企業のブースがたくさん出店しているので見学して回るだけでも楽しめます。
特に様々なメーカーが販売している商品の実物を確認することができるので、これから購入を検討するにはもってこいの機会でした。メーカーをざっと挙げてみると、キャットアイ、ヴィプロス、パナレーサー、マツダ、オージーケーカブト、ジェイテクトなどなど。ブースによってはロードバイクの実写を展示しているところもあり、質感などの生の情報を得ることができます。
受付については、ゼッケン引換券及び健康チェックアプリの提示でゼッケン一式がもらえます。さらに手荷物預かりも可能ですが、これは前日のみ実施され、大会当日は預かってもらえないことに注意。自分のようにスタート地点に戻ってくるコースに参加する場合は、宿泊荷物などは宿に預けるか、コインロッカーに預ける形になります。
後は、やっぱり他の参加者のロードバイクを見ることができる点ですかね。
イベント当日に走っている中でじっくり眺めることはちょっと難しいので、時間に余裕がある前日の今日は絶好の機会であると言えます。別に何に活用するというわけでもないけど、世間一般のサイクリストがどんなバイクに乗っているのかはかなり興味がある。
その点で行くと、会場にはまさに多種多様なバイクが揃っていました。ロードバイクだけでなくクロスバイクやミニベロの割合が多かったし、中にはなんとMTBで参加する猛者もいる様子。ロードバイクについても、カーボンだけでなくアルミやクロモリが比較的多かったような気がします(なおチタンは見なかった)。
これが例えばレース系のイベントだとカーボン製以外のバイクはまず見ないと思うし、ここだけ切り取ってもサイクリングしまなみが「楽しむ」ためのイベントだと理解できる。自分が普段乗っている愛車で来るだけでいいのだから、変に力む必要はない。実に素敵なことだ。
ゼッケンを受け取った後は各ブースを見て回ったり試乗車に乗ったり、市役所隣りの芝っち広場で開催されているダンスパフォーマンスを眺めたりしてテンション上げてました。
ブースはサイクル関連、観光・物産&グルメ、協賛企業・物販の3種類に分かれていて、あくまで近隣地域の要素が強いことも特徴だと思います。ただ走って終わりではなく、今治市をはじめとして四国のことを少しでも知ってから帰路につきたいところ。
見学ではここでしか見れないようなものも多くて、つい先日発表されたキャットアイ VOLT800 NEOの実物を触ることができたり、団体客貸切の「サイクルキャビン」の中に入れたりしました。
あと、個人的に嬉しかったのはWAKO'Sの洗浄サービスを利用することができたこと。
ケミカルを使用してドライブトレイン周りの汚れを落とした上で注油までしてくれるという素晴らしいサービスで、料金はなんと無料!そろそろチェーンを綺麗にしようかなと思っていたタイミングだったのでとても助かりました。本当にありがとうございます。
こんな感じで、午前中から昼過ぎまではずっと会場周辺を歩き回ってました。当初は受付を済ませて別の用事をする予定だったけど、会場の展示やサービスが想像以上に充実していたのでこれはもう仕方ない。本番の明日に向けて気分を盛り上げていくという意味では、これ以上のものはないと思います。
この日はもともと走らない予定だったものの、明日は約140km走るのでアップも兼ねて近場をちょっと走りに行きました。同じことを考えている人は多いようで、どこを走ってもサイクリストの姿を見かけました。
明日に備えて、今日は早目の時間に就寝。早起きする必要があるときは特に何をすることもないです。
しまなみ海道を走る
集合~スタート 今治IC
むくり。
今日は待ちに待ったサイクリングしまなみの開催日。早速準備を済ませてスタート地点である今治ICに向かいました。
向かっている途中の光景もまたイベントならではのもので、ホテルから走っていくと次第にサイクリストがどんどん集まってくる。今治に前泊している時点でみんな今治ICスタートなのは当然だけど、参加者が徐々に集合してくる様子がワクワク感を増幅させている気がします。
今治IC西側にある「今治新都市第1地区」で検温を済ませ、リストバンドを受け取ってからDコースの待機地点(ブロック)で待機となりました。
今治ICをスタート地点とするのはC、D、E、F、Gコースで、DコースのブロックはCコースの次点となります。スタート時間は8:09予定で集合開始は6:30から。会場にはトイレはありますが給水場所などはないので、予め準備しておく必要がありました。
で、このブロックで待っている時間が何とも待ち遠しい。もちろん早く走りたいという気持ちが強いけど、それに加えて単純に寒いのがその理由です。この日の早朝は東側に雲がかかっていて日光が当たらず、自分も含めて周辺の参加者は寒がってました。
そうこうしているうちにCコースが順次出発となり、それに従って行列も前に進んでいきます。
次第にこれからくぐることになる今治ICも見えてきたけど、驚いたのは何と言っても参加者の多さ。写真にも写っている通り、自分の前にも後ろにも相当な人数が列をなしているのが見えます。今回のサイクリングしまなみの参加者は国内外から約6300人ということですが、数字で聞くよりも目の前の光景のほうが説得力がある。
それにしても、高速道路のIC前にサイクリストがずらっと並んでいる様相が個人的に印象に残りました。
だって高速道路といえば自動車が走る場所だし、こうして大人数が道路上に集まる機会そのものが無い。特別なイベントがこれから始まるという予感が自然と感じられます。
そしていざ自分が走るDコースの順番になり、あれよあれよという間に出発。ここからついにサイクリストしまなみが始まる。
最初のエイドステーションは今治市から大島、伯方島、大三島を経て生口島に位置する瀬戸田PAで、そこまでの区間はすべてが高速道路です。なお高速道路上は事故や故障などの場合を除き停車することができず、走行中のカメラ・ビデオ撮影の類も一切禁止。許可されているのはヘルメット等に固定するウェアラブルカメラのみです。
なので写真ではその様子を伝えることはできませんが、最初の区間では近見山のトンネルを通過して来島海峡大橋が目の前に迫ってきたときが脳汁出るくらいに気持ちよかったです。
そもそも走っていて目に入ってくるのがPAやICの看板だったり「今治北まで出口500m」という標識だったりと、要はいつもやっているようなライドのさなかに眺めるものとは明らかに異なるものばかり。それでいて高架の上なので景色に対する視点の高さがもろに効いており、まるで自分が空を飛んでいるかのような感覚になる。例えば自動車だったら通常通り高速を走るだけで同じ風景が見えるのに対し、ロードバイクだと風を感じながら走れるからより一層素敵だ。
コース上には一定間隔で係の方が待機されているほか、トイレブースがあったりフロアポンプが設置されていたりと、もしものときでも大丈夫なように準備は万全でした。安心して走ることができます。
ただちょっと書いておくと、「高速道路なので比較的スピードを出しやすいのではないか」と思っていたのは間違いでした。西瀬戸自動車道は橋の上を除いて大部分が暫定2車線道路(対面通行)となっていて、走ることができる幅員はせいぜい3.5m程度。そんな狭い道幅の道路にスピードが異なる数百人が集まるわけなので当然混みます。
基本的に左側を比較的低速で走りたい人が走って、右側を高速で走りたい人が走るわけですがいかんせん人が多いのでそうすんなりとはいかない。抜くタイミングもシビアだし、周りの人の走行レベルが不明なので気を抜くと接触するためかなり気を使いました。まあこのあたりはライドベントではあるあるなのかも。
エイドステーション1 瀬戸田PA
そんな感じで後続車に注意をはらいつつ、今治ICから33.5km走って最初のエイドステーションの瀬戸田PAに到着。特にトンネル内では無意識にスピードを緩める人が多いので気をつけました。
ここでは本来なら最初の食事が満喫できるはずだったものの、何かの手違いで用意がされていなかったために水分のみの補給となりました。かなしい。
でもここまでたった30kmなのにも関わらず、久しぶりのイベントライド参加だったので身体が変に強張ってしまっているのも事実。緊張をほぐす意味でも、ここで休憩することができたのは大きい。
いつもなら車で本線上からPAに侵入するところ、今回はロードバイクだったのでスピード感の違いを体感できてよかったです。今回のイベントでは何もかもが初体験だ。純粋に初めての感覚を楽しんでいこう。
これから到着することになる各エイドステーションでは、上の写真のようなラック?をよく見かけました。一般的なサイクルラックと異なり、省スペースで済む上に軽量なので便利そうです。
エイドステーション2 万田発酵
瀬戸田PAを出発し、今いる生口島から隣の因島に移って高速道路区間は終了。因島南ICで降りて一般道へと移ります。
こう書くとなんか高速道路が一瞬で終わったような感じになってしまうけど、実際体感的にもかなり短く感じました。それもそのはずで、いつものしまなみ海道だったら一般道を走る→坂道を上がる→橋という流れなのが、ここでは海面からの標高がほとんど変わらないまま島の間を移動することができる。より効率的に移動に特化した道を走行している関係上、走っている距離とは関係なくあっという間に到着した感が強まっているというわけです。
確かによく考えてみれば、自動車とロードバイクで明確に道路が異なるのって高速道路くらいしか存在しないと思う。
普段のライドだったら自分も車と同じ車道を走っているわけで、道の斜度や路面状況も自動車で走る場合と変わりはない。それがここでは明確に差異が生じていて、車はこんなに走りやすい快適な道を走っているのか!?って気分になりました。
因島南ICで降りたらちょっと走って、46.9km地点のエイドステーションである万田発酵に到着。ちなみに各エイドステーションでは水分補給は必ず行うことができ、それに加えてエイドステーションによっては食べ物があるという構成です。
ここでのエイドは万田発酵の万田酵素、瀬戸内銘菓の島そだち(こしあん入りの焼き饅頭)、因島のはっさくゼリー。どれもが瀬戸内ならではの品で、「自分は瀬戸内に帰ってきた」という思いが強まったのは言うまでもない。
ここまでの区間で無補給だったこともありかなりの空腹状態で、高速降りる手前からずっとお腹がなっていた自分にとってはまさに救いのようなエイドでした。もちろん瞬時に完食。
で、高速道路だけでなく一般道にも一定間隔で係の方が立っていらっしゃるんですよね。走る道の案内から応援まで幅広く活躍してくれる存在でとても頼もしく感じたし、それに加えて道端の地域の方まで頑張ってーと声援をかけてくれる。走っているときだとこれが本当に心強くて、バフがかかっていてもう無限に走れそうなくらい。
サイクリストしまなみは、ただ走っているだけで心が温まってくるイベントだと強く感じました。
エイドステーション3 向島中学校
続いては因島から因島大橋を渡って向島へ入り、島の西側を走って64.1km地点の向島中学校に到着。
高速道路を降りたあたりからは自然と同じくらいの速度のサイクリスト集団が形成され、これはフィニッシュまで変わりませんでした。あと巡航速度も明確に高速化し、今日は風が強いこともあって集団で走ることのメリットを最大限に享受できたと思います。まあソロで走るんならいつものライドと変わらないし、互いに協力しつつ走っていきたい。
向島中学校は水分補給のみのエイドステーションですが、その歓迎っぷりが突出してました。
まず到着した途端に吹奏楽部による生演奏がスタートし、水分補給の受付では生徒たちの明るい笑顔がまぶしい。実はエイドステーションの受付は地元の生徒や学生が担当されていて、この向島中学校でもそうでした。
快晴な空の下、気分を盛り上げる音楽と快活な声が響いてくる。地域と一体となったイベントでこれほどまでに活力をもらえるとは思っていなかっただけに、嬉しい気持ちになりました。
その後は、向島から尾道へ渡る手段の一つである福本渡船にて対岸へと移動。尾道といえばやはりこれが特徴的で、しまなみ海道を走ろうと思ったら渡船はなくてはならない存在です。これを行程にしっかり組み込んでくるあたり、大会運営サイドは理解ってる感がすごい。
尾道周辺では2連続で船に乗ることになりますが、当然ながら一度に乗れる人数には制限があるため、状況によってはそこそこ待ち時間が発生していたようです。今回は運良く到着してからそれほど待つことなく乗ることができたものの、可能であればフィニッシュまで後は自走だけ、というシチュエーションに早めに持っていきたいところです。
ライドイベントは時間を気にせずまったり走れるという利点が確かにある一方で、あまりにゆっくりしすぎていると足切りを食らったり混雑に巻き込まれたりしてしまいます。なので、大きな集団からは離れて走るのが個人的におすすめ。今回は先頭と中間の間くらいをずっと走っていたのが功を奏した印象でした。
エイドステーション4 みなとオアシス尾道
渡船で尾道に渡ったところで、次のエイドステーションはもう目の鼻の先にあります。
下船地点からは徒歩で移動し、65.0km地点にある尾道みなとオアシスに到着。場所的には尾道駅から降り立って真正面にある尾道駅前広場のことです。
他のエイドとの違いは観光地のどまんなかにあるという点で、この広場付近にもウッドデッキなどがあるため地域の方や観光客の憩いの場として賑わっていました。
エイドの内容はじゃこと鯛が混ぜ込まれた海賊むすび、アミノ酸、もみじ饅頭。時間的にちょうど昼時だったのでおにぎりの米がお腹によく合います。やはりお腹が減っているときには腹に貯まってくれる米が一番かな。
ここで全行程のうちの半分が終了して残りは約70kmなわけですが、これから走ることになる尾道→今治のルートはしまなみ海道としてオーソドックスなコースとなります。前半こそ高速道路を走って特別感があったライドも、ここにきて見覚えのある懐かしい道に切り替わることになる。
いわばそのスタート地点である尾道の風景を眺めていると、なんというか「帰ってきた感」があります。尾道から対岸にある向島を望むこの光景は、何度見ても飽きない。
コースによっては尾道がフィニッシュに指定されているため、ここにはそれを示す看板が設置されていました。また今日はここがスタート地点だった一団もいるわけで、すれ違ってこそいないものの別のサイクリストの存在を感じずにはいられない。
エイドステーション5 伯方SCパーク
尾道からライド再開地点へ向かうため、先ほどと同じく船に乗り込んで目的地に向かいます。
ただし乗り込むことになる船の種類に差異があり、先ほどは渡船に使用されるフェリーだったのに対して、今回はスピードが出る高速船でした。この小さな船に本当にロードバイクを乗せられるのかと一瞬疑問に思ったのですが、客室の2階デッキ部分が元々自転車置き場として使用されているようでした。
デッキへ上る階段横にスロープが設けられているので、ロードバイクをそれほど労力なく上げることができるようになっています。
そんな感じで全員が乗り込み、フェリーとは比較にならないスピードで移動開始。
確かに同じタイプのフェリーに2連続で乗って移動するのは新鮮味がないし、このような形で差異を出しているのはいいですね。これによって往路と復路で走ることになる一般道も重なることがなく、同じ道を走って微妙な気分になってしまう心配もない。
尾道新浜港を出発して、向島の隣にある因島の重井東港に到着。港のすぐ隣に鉄工所の巨大な建物がそびえていたので驚きました。
で、ここからは因島から生口島、大三島、伯方島へと往路とは逆の順番で島を巡って今治に帰っていきます。
ここでの区間では景色を楽しむというよりは、自分と同じくらいの速度の人と走ることを重点的に楽しむ形で行きました。ロードバイクって一人よりは複数人で走るほうが何倍も楽だし、一緒に走っているのは自分と同じく今治を目指している、いわば共通の目的を持つ一団。初対面なはずなのになんか楽しくなってくる。
途中の大三島ではエイドはありませんが、小休止目的で立ち寄ってみたりもしました。同じことを考えている人は多いようで、例の「サイクリストの聖地」の前は結構混んでいたり。
そんな感じでひたすら走って、102.4km地点にある伯方SCパークに到着。
エイドの内容はキンキンに冷えたオレンジジュース、塩ゼリー、ようかん。ライド途中の補給食として優れているものばかりで、ここまで来ると時間的に比較的暑くなっているために冷えた食べ物がとても心地よい。
ここのエイドはとにかく「海沿いの休憩所」としての魅力が高く、美しい海に白い砂浜、そして木々は南国風のヤシの木と、見渡すだけでも平和感が漂っているところです。しかしここだけ切り取ったとしても、あくまでしまなみ海道のうちのほんの一部なのだから凄い。瀬戸内はどこを走っても絵になる光景ばかりだ。
エイドステーション6 よしうみバラ公園
ライド再開後は伯方島から大島へ渡り、大島の西側海岸沿いを南下して今治方面へ。この県道49号線は途中で軽い坂道があって、最大斜度10%くらいあったので押し歩きしている人も多かったです。
残りのエイドもわずかとなってきた段階で、続いては115.5km地点のよしうみバラ公園に到着しました。
エイドの内容はじゃこ天、焼豚、ブルーベリーです。もちろん飲み物も一式揃っているので休憩には必要十分。さっきのエイドが比較的少量だったこともあり、小腹が空いてきたタイミングでこの内容だったのがよかった。
ここまでのエイドを振り返ってみると、あれですね。走ることを考えると満腹になるほど量が多いと困るけど、逆に少なすぎてもそれはそれで物足りない。その中間のちょうどいい量を走る距離に応じて都度準備してくれるので、消費カロリーと摂取カロリーが均等になってくれる。そのあたりのことをちゃんと考えられているなと感じます。
フィニッシュ 今治広小路
残りの行程は今治までもう後少しとなり、「終わり」を徐々に感じ始めているのが悲しい。最後は来島海峡大橋を通過して四国へ再上陸後、国道…ではなく海沿いの細い道を走ってフィニッシュを目指します。
ん?そういえばこの近くにあれがあるんじゃないかってことで、サンライズ糸山の横にあるSHIMANAMIモニュメントで記念撮影をしてみました。
もちろん他の別のタイミングで訪れても感慨深いものがある場所だけど、やっぱりサイクリングしまなみの途中でSHIMANAMIを味わうという図式が良い。終わりを飾るにはこれ以上無いスポットと言えます。
ああ美しい…。あまりにも最高すぎる。
なお途中から一緒に走ってきたチタンバイク乗りの方と同タイミングでの到着となったため、お互いの出会いを祝って一緒に撮影しました。旅先でチタンフレームと出会うことなんてそうそうないし、しかもライド終了間際ということで何かの運命を感じざるを得ない。
こちらのチタンフレームはOMULLER(ミューラー)という三重県のメーカーのものだそうです。もしかしてフォークもチタンなのか…??
自分のKUALISは和歌山に所在があるので、メーカーという面でも非常に親近感がある。できたらまたどこかでお会いしたいものだ。
最後は今治市街地のど真ん中を走って、140.0km地点の今治広小路に無事フィニッシュ!お疲れさまでした。
ゴールした後はちょっと先にある記念パネルの前で記念撮影することも可能ですが、ゴールした人が次々と撮影待ちの行列に並んでいくのでかなり待つことになります。自分の場合はなんとゴールしてから約1時間後にやっと順番が回ってきました。でもここで撮っておかないと後悔しそうな気がするし、並んだことは正解だったと思う。
フィニッシュフードはANAのスープ、あんぱん、うずしおパイ、リカバリードリンクに加えて、今治のソウルフードである今治焼豚玉子飯が出ました。
これがもうめちゃくちゃに旨くて、フィニッシュ後で肉体が栄養を欲しているということもあって美味しさが尋常じゃない。2つ目以降は500円で購入できるというのでもう一つ買おうか悩んだくらいです。
フィニッシュ後は特にイベントがあるわけでもなく、参加者の行動は人それぞれでした。帰り支度を済ませる人、すぐに今治駅に向かう人、フィニッシュ後にがっつり夕食を食べている人。そのどれもに共通するのは満足感がある顔をしているという点で、まさに自分もそうでした。
イベントが終わってしまうのはいつだって寂しいものだけど、今こうしてフィニッシュフードを食べながら今日の行程を思い出すだけで笑顔になってくる。そうしてまたしまなみ海道を走りたくなってくる。終わった後にすぐ「次」を考え出すあたり、このサイクリングしまなみというイベント、そしてしまなみ海道は人を惹きつけてやまない存在だと実感できました。
その後は日が落ちつつある今治を後にし、帰路へ。
おわりに
こんな感じで、サイクリングしまなみ2022は体感時間的にあっという間に終わりとなりました。
最初は一日がかりで140km走るという思考ばかりに頭が支配されていたものの、高速道路上から眺めるダイナミックな風景、道中のエイド、そして応援してくれる地元の方々の声援。そういう要素の方が圧倒的に強くて、振り返るまもなく次の展開がやってくるので新鮮そのものでした。
道中至るところで活躍してくれた運営サイドの係の方々の存在も光っていて、まさにしまなみ海道近隣総出で歓迎を受けた素晴らしいイベントといっても過言ではないと思います。本当にありがとうございました。
2年後の次回もぜひ参加して、またこの感動を全身で味わいたいと思います。
おしまい。
コメント