【室堂~剱岳~剱沢】北アルプスの最深部 裏剱を縦走してきた Part 1/3

9月の3連休。しかも天気がいいとなれば登山に行くしかないという思考になったものの、3連休ともなれば有名どころの山々は大変な混雑が予想されます。そこで今回は趣向を変えていつもやっている稜線歩きではなく、人が少ないところを歩いて、自分ひとりの時間を大切にした登山をしてみたいと思っていました。

そこで候補に上がったのが、北アルプスの最深部である裏剱ルート。

裏剱とは、よく映像などで見られる剱岳のちょうど裏側にあたるためそう呼ばれている秘境のことで、とりわけ北アルプスの山々の中では歩く人が少ないことで知られています。普通の登山者ならまず寄り付かないこのルートでは、以前より訪れてみたかった仙人温泉小屋にも寄れるということで行程に組み込みました。行程としては上にもある通り、全部で二泊三日としています。

というわけで早速出発。

もくじ

前乗り

登山口までの移動手段としては、前回と同じように自動車を選択しました。

例によって下山後などの移動の自由度の高さを重視しています。また3連休ともなれば同じことを考える人が多いだろうということで、今回は金曜日に年休をとって早めに現地入りすることにしました。

こういう場合、公共交通機関だと確かに決まった時間に目的地に着くことができますが、逆に時間が決まっているのでなかなか自由に動くことができません。チケットなども確保しないといけないので柔軟さに欠ける面があります。

ここは立山黒部アルペンルート(室堂)への玄関口となる富山県・立山駅。

木曜日は帰宅して即仮眠を取り、岐阜から立山まで車を走らせました。立山駅に到着したのは深夜2時。普段全く車に乗らないので約250kmを運転するのは正直しんどかった。

3連休前に現地入りするからかなり余裕なのでは?と思っていましたが、実は立山駅前の駐車場(一番大きいとこ)は9割方車で埋まっていたので、現実には結構ギリギリでした。おそらくですが、明日の同じ時間に来たら満車だったと思います。

ともかく無事に駐車できたということで、再度仮眠。この日は合計5時間程度しか寝れてませんが一睡もできないよりはマシかな。

自動車での深夜到着はメリットも多いけど、やはり初日に睡眠不足になってしまうのがデメリットです。行程を組む際は初日に無理をしすぎないほうがいい。

切符を買う行列にも早い段階から並ぶようにしたので、室堂へ向かう始発便に乗ることができました。

バスの中で軽く寝ようと思ったものの、なぜか眠れなかった…。

通常通り室堂へ到着。

立山からの始発便に乗った場合は、午前8時過ぎに室堂に着くことになります。

なんかガスってますが、このあと晴れるのでご安心を。

登山届の提出や水の補給を手早く済ませ、早速今日の幕営地である剱沢キャンプ場へ向けて出発。

ちょっと前にテントの盗難でニュースになった雷鳥沢キャンプ場を通過。

確かに室堂からのアクセスが良すぎるので盗難が起きるんでしょうか…。

自分も今回みたいによく幕営したあとで近くの山に登ったりするので、盗難は非常に怖いです。

雷鳥沢キャンプ場からひたすら上って剱御前小舎に到着。

ここへの登り、実際に遠くから見ると大したことない斜度に見えるんですが、毎回めっちゃ疲れます。

剱御前小舎から剱沢キャンプ場(2,520m)までは下りオンリー。次第に眼前に迫ってくる剱岳を眺めながら下っていく。

幕営地に着いたのでちゃちゃっと幕営。

テン場については、3連休前だというのにそこそこテントで埋まってました。どのテントにも人が見えないところを見ると、どうやら皆さん剱岳に上っているようです。

剱岳登山

幕営が終了したのが10:30すぎ。

今日はここで一泊するけど、このまま何もしないで夕方を迎えるのは少々時間がもったいない。

お天気もよくなってきたことだし、剱岳を別山尾根ルートで軽く上ってくることにしました。

なお、時間・疲労度的に山頂までは行けないと思うので途中までにします。

まずは剣山荘を過ぎて一服剱方面へ向かいます。テント泊装備から開放されてるので非常に歩きやすい。

ところで剱岳といえば、つい先日に19歳の女の子が滑落死したことで話題に上がりました。

当時の装備とか時間帯とかが色々槍玉に挙がってますが、そもそも剱岳は毎年死者が出ている大変危険な山です。自分もソロで登山することが多いので、今一度気を引き締める必要があると感じました。

初心者・上級者関係なく、普通に死ぬ山。それを肝に銘じておきたい。

だからこそ体調は万全にしておくべきだし、何か違和感を感じたらすぐに下山orエスケープすることが重要。

お悔やみ申し上げます。

話を登山に戻すと、剣山荘が遥か下に見えてきたくらいから道がザレザレになります。浮石が多くなり、ルートそのものもそうですが、他の登山者による落石にも気を配らなくてはなりません。

危険な箇所には鎖が設けてあるので、適宜使いながら上っていきます。

今日はそれほど人が多くないので比較的安心して歩くことができました。こんな場所で渋滞とか考えたくない。

剱岳・別山尾根ルートは危険箇所ばかりではなく、もちろん鎖場ばっかりでもありません。

緩急があるといえば聞こえはいいですが、それでも斜度はかなり急なので精神的に疲れるか、肉体的に疲れるかの二択になります。いずれにせよペースを崩さないように気をつけなくてはなりません。

明日歩くことになる剱沢本谷方面をチラ見。遠いですが雪渓が確認できます。

今更感満載の標識を眺めながら上っていきます。

わざわざこのように示されているということは今までの比じゃないくらい危険な道になるということ。

あと、このような落石が多い場所を歩くとなると、「自分が発生させた落石によって他人に怪我をさせる」ケースも当然考えておく必要があります。

自分は登山に行く際には、モンベルの野あそび保険に都度加入するようにしています。上記のような個人賠償責任のほか、遭難した場合などの捜索費用や救援費用も負担してくれるのでおすすめです。

リスクを減らして、安心できる状態で登山するのは大切。

剱岳は上りと下りでルートが若干異なるので、道に迷わないように歩くことが重要になってきます。ところどころに書かれているペンキマークを見逃さないように。

大きい岩が多い場所を通過すると膝を上げないと通れない=大きい筋肉を使うことになるので疲労が溜まりやすくなります。自分は適度に休憩を挟むか、歩幅を小さくとって疲れにくくするようにしてます。

前剱(2,813m)に到着。

剱岳山頂が目の前にありますが、室堂から一気に飛ばしてきたので疲労がきつく、このまま山頂まで行くと帰ってこれないと判断し、平蔵の頭まで行ったら引き返すことにしました。

ふと左手に視線を移せば、上市町方面の雲海が見事。

昼過ぎで雲海を見れるなんて、なかなかない経験です。

個人的にはこういう道ばかりだとありがたい。

岩場を満喫するにはやはりある程度の高低感が必要かなと感じます。

ここらへんからは、ほぼ垂直に上って下ってが連続するので足の置き場所に注意です。

ちょっとでもバランスを崩すとすぐ50mとか下に滑落します。

12:40、平蔵のコルの手前にある平蔵の頭に到着。

疲労がマッハになってきたのでUターンしてテントに戻りましょう。

雲があると「とんでもなく高いところまで上ってきたんだな」とわかりやすいのが良い。

今までは青空ばかり撮ってたけど、これからは雲の効果を積極的に取り入れていこうと思います。

剣山荘まで戻ってきました。

剱岳周辺には山小屋が3つほどあって、この3連休はどこも埋まっているようです。

そういう意味でも、初日である今日をテント泊にしたのは正解だった。せめて就寝時くらいは人権が確保されていたい。混雑時の山小屋では布団一枚に3人とかで寝ることになるそうで、そんな中で安眠できるとは思えないのでテント泊の方が良さげ。

テントに戻るまでに、明日歩くことになるルートを下見しておきました。

道の場所そのものは地図で確認できるものの、大事なのは道がどういう状態なのかということ。

最新の情報によると、どうやら

  • 剱沢の雪渓上は穴やクラック多数のため、通行不可
  • したがって両岸にある秋道を歩く

ということらしいです。念のため軽アイゼンを持ってきたものの、使うことはないかも?

道の確認を済ませたところで、剱沢小屋で剱岳を眺めながらのんびりしてました。

さっきまでは結構ガスっていたものの、少し待ったら晴れてくれました。やはり剱岳はこのアングルから眺めるのが一番格好いい。

剱沢キャンプ場に無事帰還しました。

ところで…今日は快晴すぎるな??

天が明日からの登山本番を祝福してくれているかのような、そんな晴れやかな夕方でした。

剱岳を眺めながらコーヒーキメるの最高すぎる。

剱沢ではその名の通り水は豊富にあるので、湯を沸かしたりするのに非常に便利です。

一日の行程を終えて、今日歩いた道に思いを馳せながらコーヒーを飲む。なんて贅沢な時間の使い方だ。

北アルプスの岩峰を前にして感じざるを得ない畏敬の念というか、一種の高揚感というか。

この景色には他の北アの風景とは異なる荘厳さを実感できます。さすがは「岩と雪の殿堂」といったところでしょうか。

夕食をとってからはもう完全に就寝モード。

明日に備えて寝ようと思っていたところ、なんと自分のテントの2m先くらいにライチョウが三羽もいるではありませんか!

カワイイネーカワイイネー。

ライチョウって結構人懐っこいのかもしれません。結構至近距離で写真を撮っていたにも関わらず、逃げる様子はありませんでした。登山初日からこれとは、非常に運がいい!

明日からの本番もかなり楽しみになってきました。

続きます▶【剱沢~池ノ平~仙人温泉小屋】北アルプスの最深部 裏剱を縦走してきた Part 2/3 - TAMAISM


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