【仙人温泉小屋~阿曽原温泉小屋~欅平】北アルプスの最深部 裏剱を縦走してきた Part 3/3

おはようございます。

ここは仙人温泉小屋。

今日も長い一日になるので、朝食も早い時間にしてもらいました。4時から可能とのことだったので4時前に起きて朝食をいただきます。

なお、今日阿曽原温泉小屋に泊まる方々はこんな早い時間に起きる必要がないので5時に起きられるようです。

もくじ

朝4時

昨日の夕食に引き続いて朝食も山奥とは思えないほど豪華。

ご飯も味噌汁もしっかりおかわりして、今日の山行に備えます。

ご主人にご挨拶を済ませて、4:40に仙人温泉小屋を出発。

大変お世話になりました。また訪れたいほど素晴らしい温泉でした。

仙人温泉小屋は渓谷の中に位置しています。つまり夜は暗くなるのが早いし、朝はなかなか明るくなりません。明るくなるのは6時頃になってからというところです。

というわけでヘッデンを付けて歩かざるをえないわけですが、稜線沿いと違って山の中をヘッデンだけで歩くのは結構怖いです。突然野生動物が飛び出してきたら一緒に自分の心臓も飛び出そう。

仙人温泉小屋から仙人谷ダム(阿曽原温泉小屋へ続くルート上にある)までは、雲切新道という道を歩くことになります。

この雲切新道がなかなかの曲者で、

  • 斜度が急すぎる
  • ハシゴとロープのオンパレード
  • 獣道並の荒れ模様

と、結構な悪路です。

新道と名のついている通り、この道は2007年7月から使われ始めた比較的新しい道で、旧道の仙人谷を通るルートよりはだいぶ安全になったとのこと。整備された方々には頭が下がる思いで一杯です…。

通る人が少ないので荒れているのは仕方ないとして、膝を破壊してくるような斜度がかなり疲れました(写真なし)。しかし、下りだったからまだよかったものの、個人的には登りでは絶対に使いたくない。昨日通った仙人新道を3倍ほどキツくしたのが雲切新道だと思ってくれればいいかと。

コースタイムとしては、仙人温泉小屋→仙人谷ダムで3:30、反対方向(登り)だと4:50です。鬼か。

途中で補給ポイントも一切ないので、夏場の登りで使うと軽く死ねること間違いなし。

やっと視界に仙人谷ダムが見えたときは、それはもう安堵しました。

まだ結構な高低差があるにしろ、やはり目標物が見えると安心感が違います。

元気が出てきたのでこの辺から急に写真が増えます。

しかし歩いても歩いても視界に映る仙人谷ダムが全然大きくならず、これ本当に下ってるんだろうかとときどき疑問に思うくらいでした。

やっと黒部川沿いに降りてきました。

最後の難所がこの連続する長いハシゴ。

足を踏み外すとすぐ下にある黒部川にボチャンすることになるので緊張します。

仙人谷ダムに無事下山しました!

今日の行程的にはまだまだ始まったばかりというところなのにすでに疲れてる件。これから先はアップダウンはそれほどないため、疲労度的には今がピークだと思います。

阿曽原温泉へ

仙人谷ダムの次の目的地は、ここからほど近い阿曽原温泉小屋になります。

仙人谷ダムから阿曽原温泉小屋までは、ほんの30分ほど。

いつものように関電の施設内を通っていこう。

ちょっと気になったのが、去年までとは違って登山者が通る道がきっちり区画切りされていたこと。ロープが張られているのがわかります。

立入禁止のところに入ったり、ここでテン泊したりした登山者がいたんでしょうか?だいぶ厳しくなっている感じがしました。

軽く上りがあったあと、特に問題なく阿曽原温泉小屋に到着。

到着後、早速温泉に入るぞ!と思ってたのですが、実は昨日、仙人温泉小屋で恐ろしい話を聞いてました。

「阿曽原温泉は午前中は掃除をしているので入ることができない」

……。

今回の縦走行程を決めているときは、「最終日も温泉に入ってまったり歩こうか」とか優雅に考えていたものの、この話が本当なら阿曽原温泉はスルーせざるをえませんでした。下調べが足りなかった…。

しかしただスルーするのもあれなので、今日はできる限り早めに出発し、もしかしたら掃除が始まる前なら入ることができるのではないかと考えていたわけです。

雲切新道をかなりハイペースで歩いていたので、まだ時間は7時すぎ。ダメ元で小屋の方に話してみたところ…。

「まだ掃除してないから今のうちに入っちゃっていいよ^^」

!!!!

ありがとうございます!

完全にいい意味で予想を裏切られたので、このときは本当に嬉しかった。

当然ながら温泉(¥700)は貸切状態

昨日泊まっていた方はすでに出発してるし、欅平方面から訪れる場合もこの時間に到着するのは難しいはず。

自分一人しかいない温泉を心ゆくまで楽しみました。

自分が温泉に入っているタイミングでちょうど付近に日がさし始めたのも含めて、もう何かの力が働いたのではと錯覚するほど何もかも出来すぎている。

お天気もいいし、最高のお風呂となりました。

紅葉の時期になるとテントでいっぱいになるこのテン場も、この時期・この時間帯だとご覧の通り。自分しかいない。

結果論ですが、当初の目的であった「自分ひとりの時間を楽しむ」登山ができていると言えます。

水平歩道をゆく

温泉に入ってさっぱりしたところで、今回の縦走の最終到達地点に向けて出発。

ゴールとなるのは阿曽原温泉小屋から水平歩道を抜けた先にある欅平です。

この水平歩道もまた長い行程になるので、油断は禁物。その名の通り「水平」な道が多くて、疲れにくいかわりに危険度が非常に高いです。

阿曽原温泉小屋から程遠くない場所からみたこの眺め、実はこの景色を見るのは今回が初めて。

なぜかというと、この道を歩くときは決まって「黒部ダム方面から歩いて阿曽原温泉小屋にテント泊→翌日早朝に出発」するので、ここを明るい時間帯に歩くことがありません。

そういう意味でも、今回の行程は自身にとって非常に新鮮でした。

夏の水平歩道はとにかく緑色が綺麗です。

紅葉に染まる山々も趣がありますが、この季節も個人的には好きです。岩の色と鮮やかな緑の対比が綺麗だし、何より夏を感じるのがよい。

歩いていると蝉の鳴き声が聞こえてきたりして、黒部はまだまだ夏が続いていることを実感できました。

阿曽原温泉小屋から約2時間の場所にある折尾谷を通過。

谷の上にある砂防堤の中を通っていきます。

標高も徐々に低くなってきており、それに加えて気温も高くなってきました。

水の流れを眺めて涼を得ながら歩けるのがいい。

少しずつ水平歩道の核心部に近づいてきました。

植物の緑一辺倒だったがルートが姿を変え、どちらかというと岩がメインの道になってきます。

水平歩道の代表的な道になってきました。岩をくり抜いたコの字型の道が延々と続いています。

毎回思うのですが、ここで向こうから人が歩いてきたらどうしよう?と不安になります。すれ違う分の道幅はないので、もし対向者がいる場合は結構な距離を歩いて戻らなければなりません。

自分はまだ水平歩道の危険箇所ですれ違いをしたことはないけど、紅葉のピーク時とかだと阿鼻叫喚なことになってそうです。

水平歩道で自分が特に好きなのがこの周辺からの眺めです。場所的には大太鼓の100mくらい上流側です。

岩と丸太、植物の緑、そして向こうに見える山々。遠近感がひと目で把握できるので、なんていうか「秘境」感が伝わりやすいと思いませんか。

そして、水平歩道の核心部:大太鼓に到着。

このあたりの道は天井が低く、自分の場合は屈まないとヘルメットやザックが天井に当たります。そして右側はというと、黒部川まで200mはある断崖絶壁。

ここは何度通っても足が震えます。こわい…。

大太鼓周辺に限った話ではないものの、「黒部に怪我はない」との言葉通り、黒部で滑落したら間違いなく死ぬので十分に注意が必要です。

大太鼓を通過したということで、水平歩道も終盤に差し掛かってきました。

志合谷を通過。

ここは150mのトンネルの中を通ることになりますが、足元は軽い川になっている上、明かりが皆無なのでヘッデンは必須です。あと天井が低いです。自分は何度も頭をぶつけました。

鉄塔のすぐそばを通過したら、欅平はすぐそこ。

ここから一気に標高を下げ、いよいよゴール地点が近づいてきました。

無事に欅平に到着!

着いたー!!٩(ˊᗜˋ*)وお疲れさまでした!

これにて裏剱縦走終了です!

欅平駅前で記念撮影を済ませたあとは、しばらく縦走の余韻に浸ってました。

下山後はまず宇奈月までのトロッコの乗車券(13:10欅平発)を確保した後、出発時間まで40分ほどのんびりすることに。

最初に向かったのは、欅平から歩いて1分のところにある猿飛山荘。

ここの温泉(¥700)で水平歩道の疲れをさっぱり流しました。

その後は駅構内にある立ち食いそば屋で栄養補給。

縦走が終わって緊張が解けたせいもあって、かなりお腹ぺこぺこでした。いかんせん行動食だけだとお腹が空きます。

3連休だけあって欅平も人でいっぱい。

今回の行程ではあまり人と出会わなかったことも相まって、下山したという実感が湧きました。

その後は欅平~宇奈月~立山やトロッコと電車を乗り継ぎ、立山駅に帰還。

車を回収してそのまま帰宅しました。

ここでちょっと聞いたところによると「車の転送サービス」というものがあり、例えば縦走中に立山から宇奈月まで車を転送してもらって、宇奈月に下山後はそのまま帰宅ということも可能だそうです。

入山地点と下山地点が異なる場合は検討してみてもいいかもしれません。

おわりに

今回の縦走も、終わってみれば大満足でした。

3連休の混雑をうまく回避し、かつ展望もよいルートを歩けたのは我ながらよくやったと言いたい。以前から行ってみたかった仙人温泉小屋だけでなく、池ノ平や阿曽原温泉小屋など、ルート上にある素敵な場所を満喫できたこともよい思い出になりました。

何よりも、普段はなかなか見ることができない「裏側から眺めた剱岳」のかっこよさは忘れられません。これからも登山レベルを向上させて、剱岳の難所ルートを歩けるように努力したいと思います。

おしまい。


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