TAMAISM

旅の記録、宿泊先や行程とか

出雲の秘湯を目指す、仲秋の島根ライド

一畑電車で松江へ

今回は島根県の湯村温泉 湯乃上館に宿泊したのですが、一緒に泊まる方の都合もあって現地集合/現地解散という変則的な形になりました。

心配していた天候については幸いにも雨は降らない模様だったので、せっかくなのでロードバイクで現地へ向かいます。普段通りに車で宿で直行する形だとなんか味気ないし、今までも、これからも旅館への移動手段はできるだけ車以外でやっていきたい。

で、ロードバイクで走るスタート地点は宍道湖のほとりにとりました。ここからゆるゆると走っていって、最終的に湯村温泉を目指したいと思います。

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出雲市周辺や宍道湖の周りを走る際に必ず目に入るのが、出雲市から松江市までを結んでいるこの一畑電車。

島根県の中心部を東西に走るこの路線は観光面でも非常に頼りになる存在なんですが、実はロードバイクで移動する際にも積極的に利用していきたい路線なんです。

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一畑電車は全線がサイクルトレインになっており、自転車をそのまま持ち込める

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自転車持込OK「レール&サイクル」|サービスのご案内|ばたでん【いちばたでんしゃ】

というのも、一畑電車はいわゆるサイクルトレインで、終日全区間で車両内に自転車をそのまま持ち込むことができるから。

通常の輪行であれば自転車を分解した上で、専用の輪行袋に入れる必要があって少々面倒なんですが、一畑電車に限ってはその手間がありません。駅に到着したらノータイムで持ち込むことができるので、気軽に移動することができちゃいます。料金は通常運賃に加えて320円/台と安いので、もうこれは利用しない手はない感じ。

また、宍道湖の周辺に広がる沿線には自転車道が整備されているということもあって、他の地域に比べるとロードバイク乗りに出会う頻度が高いなと感じました。一方で宍道湖周辺は少々風が強いことが多く、例えば東から西へ風が吹いている際には風に沿って走った後、帰りはこの一畑電車でさくっと帰宅するという芸当も可能。

「そのまま持ち込める」という簡便さは個人的にも非常に助かっていて、実際に今回も向かい風の中走るのが面倒になったので利用してみました。その時の気分に応じて行程を変更しやすいというのも、一畑電車のありがたい取り組みがあってこそだと思います。

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松江しんじ湖温泉駅に到着

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そんな感じで楽をしつつ松江に到着し、ここから本格的に走っていきました。

といっても集合時間まではまだまだ時間があるので、いつものように時間をあまり気にせずに気ままに走っていくことにします。

島根ならではの棚田を走る

気ままに…という言葉の通り、ここから湯村温泉までの行程はてんで無計画。

どこの道を通るかなんて決めてないけど、道ってのは繋がってるのでなんとなく南西に向かっていればいつか着くでしょう。というか、いつもの旅もこんな感じなので行程なんてあってないようなものだったりします。

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八重垣神社に参拝

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そんな中で、松江市街から少し南下したところにある八重垣神社がちょっと気になったので寄ってみることにしました。

日本神話の中でスサノオ(素盞鳴尊)がヤマタノオロチを退治した話はご存知だと思いますが、この地はヤマタノオロチを倒す際にクシナダヒメ(稲田姫命)が避難したといわれる場所。二人はその後夫婦として結ばれたという話からこの八重垣神社は縁結びの神社として有名で、その縁にあやかりたい人々で賑わっていました。

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縁結びの象徴なのか、境内には大きな男根があります

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社殿後方にある鏡の池では良縁占いができる

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もちろん神を祀っているのだから当然なんだけど、神社という場所は例外なく神聖な空気が漂っていて、旅先で見かけると立ち寄る率が高い。

あらかじめ立ち寄ることを決めておいた場所以外だと、道の駅とか神社ばかり訪れているような気がします。よく考えてみれば、たまたま見かけたのが例えば飲食店だったとしても寄るかといえば微妙なところだし、神社は「ちょっとの間時間を過ごす」というのにちょうどいい。特に何を消費するわけでもないし、お腹の空き具合とかに関係なくどのタイミングでも訪れることができる。

神社で過ごす時間はそれでいて静かで、喧騒などはありません。これだから旅先で神社を訪問するのはやめられない。

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松江市から雲南市へ

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島根県は山が大部分を占めているので坂道が多い

さて、ここからは天候もちょっとは気にしつつ西へと舵を切りました。

宍道湖周辺があまりにも平坦だったので一瞬忘れそうになったけど、島根県と言えばその大部分が山岳地帯。それほど高所ではないものの、山の麓や中腹を通る道が多いのでアップダウンの中を走っていくことになります。

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山王寺の棚田に到着

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秋らしからぬ気温の高さの中で若干四苦八苦しつつ、到着したのは山王寺の棚田という一帯。

前回のライドのときは田植えの時期にこのあたりを訪れており、あの頃に植えられた稲が半年経って稲刈りのシーズンを迎えている。自分のやっている旅はあくまで各地を数日間旅する短いものですが、こうしてほぼ同じ場所を再訪すると、季節の移り変わりが如実に感じられる気がする。

雲南市はその高低差を活かした棚田が本当に多くて、しかもちょっと上るだけでそれらを一望できるスポットに到着するのだからかなりお手軽と言えます。しかも別に観光地として後から造られた場所というわけでもなく、田んぼという地域の生活に直結した地形がそのまま見ごたえのある場所になっているというのが良い。

周囲は開けていて開放感があり、そこを吹き抜けていく風を感じながら稲を眺める。自分は島根県にゆかりはないものの、この景色を見てどこか懐かしさを覚えるのは日本人のDNAのせいかもしれない。

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稲刈りをした後は、束ねた稲を稲架に掛けて日光と風によって乾燥させます。

が、ここの稲架はその高さがとんでもなくて驚きました。棚田=ひとつひとつの田の面積が小さいからなのか、どうやら稲架の数を減らして上方向に伸ばしているようです。自分の地元だと高くても束2つ分程度だったのに対し、ここでは高さが束10ほどもあります。これほど高い稲架は、設置するだけでも大変そう。

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稲架掛けの作業中

こうして収穫された仁多米が食卓に並ぶと思うと、農家の方の苦労は計り知れない。

この日に泊まった湯乃上館でも十二分に味わった仁多米。自分としては田植えの時期に加えて収穫についても実際に見てきたこともあり、その過程を思い浮かべながら食べる米の旨さは尋常ではなかったです。

単に完成品をいただくのももちろん美味しいことに変わりはないけど、無関係者ながら「仁多米ができるまで」を遠目から見ていた分、どことなく美味しさが増幅して感じられました。

海の幸だったら海、山の幸だったら山。

ロードバイクで実際にその土地を走っていくと、その特産品の美味しさの理由がなんとなく分かる気がする。自分もその自然の中を訪ねてみることによって、旅先の土地の良さがほんの少しだけ理解できると思います。まあ単なる自己満足に過ぎないんですけど、こういう体験を経てから地物を味わうとより楽しめたりするのでおすすめ。

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たまたま立ち寄った売店が古風だった

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湯村温泉に到着

その後は昼食そっちのけで方方を散策しつつ、集合時間に湯村温泉に到着しました。

湯村温泉 湯乃上館の宿泊記録は、別記事でまとめています。

おわりに

単に宿に泊まることだけが目的であれば、日中の時間はどう過ごそうがあまり問題ではない。

でも、宿に到着するまでの過程にもちょっと目を向けてみると意外に楽しかったりします。ロードバイクの移動ということもあって行程は自由に決められるし、特にあてもなく彷徨いつつ宿を目指してもいい。

別に、無理に長距離を走る必要はない。自分も今まで無理になるくらい長い距離を走ったことはないし、宿泊のことを重視しているのでライドは腹八分で十分。その土地の「良さ」を、季節や気候に応じて満足できるくらいに味わえればいいかなと思ってます。
今回も、そんな時間が過ごせて何よりでした。