【平戸島~生月島~大碆鼻灯台~生月サンセットウェイ】ロードバイクで九州の西の果てを走ってきた

今回は長崎県の五島列島を中心にロードバイクで走る旅を計画していて、その前哨戦として選んだのが同じ長崎県にある生月島でした。

行程上、前日に九州に移動してから五島列島に直行できないのは予め分かりきっていたことだったので、だとすればその空いた時間を自分の訪れたいところに費やすのは理にかなっていると言える。

地図を確認すると分かる通り、長崎県自体が九州の端っこに位置している魅力的な土地。地図上の端っこには人が密集していない上に起伏に富んだ地形があることが多いので、これからも訪れる機会は多いと思います。

以前「色づく世界の明日から」の舞台訪問で訪れたときに思い出したこととして、長崎県は海と山との距離が近くて高低差に富んだ地形が特徴です。そんなところをロードバイクで走って、文字通りの海の近さ、そして高低差を満喫したいと思ったのが今回の行程の主な理由。

行程の終わりに翌日のフェリー乗り場である佐世保まで向かう必要があることを考慮して、スタートは輪行で最寄り駅のたびら平戸口駅まで向かってから走り始める感じにしました。

もくじ

長崎の果ての地、生月島を走る

今日の行程をざっくり言うと、駅から平戸島を経由して生月島を走り、そのままスタート地点まで戻ってくるという単純なプラン。

でも同じ道をピストンするのも面白くないので、行きと帰りで走る道を変えています。

輪行解除して、そのままの勢いで国道382号~県道19号を走って生月島へ。

完全に宿泊装備のまま走ってきちゃったけど、今にして思えば駅のコインロッカーに不要な荷物を押し込んでから走り始めればよかったかなと思っている。

ダンシングとかはバイクパッキング時の適度に重い状態の方がやりやすいので、これはこれでヨシ。たぶんフィッティングをやった結果ステムが短くなりすぎたのが原因だと思うが…。

長崎県は本当に平地が少なくて、ちょっと進むだけですぐに坂道が登場してくる。でもそれが走る上で悪になっているかというとそうでもなく、まあなんだかんだで前には進めるので問題ない。

というか車道って車で通るのが前提なので、どれほどアップダウンがひどい状況だろうが自転車で進めないということにはならない。ましてや今自分が走っているのが「最果ての地」という良さみな場所なのだから、坂道の辛さはそれほど気にならないというのが正直なところだ。

あと、坂道はその土地の地形を感じられるだけでなく、自分を含めたロードバイクの重さを実感できる箇所でもあると思っている。

ダンシングしてる最中にちょっと重いなと思ったら痩せなければならないなとも思うし、でもクロモリ特有の適度な重要感が逆に心地よくも思えてくる。

平地ではその重さを体感として感じにくいだけに、なんというか旅の相棒の存在感を感じられるのがちょっと嬉しい。斜度によってはかなり重く感じることもあるけど…。(痩せろ)

生月島の入り口である生月大橋を降った先
昼食に長崎ちゃんぽんを食す

生月島に降り立った後は、まず栄養補給として寺田食堂で長崎ちゃんぽんを頂いた。

やはり旅をしている最中ではその土地ならではのものを食べたいと思っていて、長崎県の場合はちゃんぽんがそれに該当する。あっさりとした風味と野菜多めな具が朝食を抜いた身体に染み込んでいく。今回の旅はここからが本番だ。

これには個人差があると思うけど、せっかく自分が住んでいるところではない遠方に来ているのだから普段では味わえない食事を満喫したい。「日常とは別のところにいる」ことをより強く味わいたいというのがその理由で、言うなれば非日常感というか。

そういう方針なので、できれば食事をするなら全国どこでも内容が同じなコンビニなどではなくて現地の料理、もっというと町中に溶け込んでいるような町の食堂で食事をしていきたいと思っている。そういう意味では、このお店は本当に当たりでした。

生月島に上陸したところで、この後の行程は至極単純。

生月島の北端にある大碆鼻灯台を訪問して、後は生月島をぐるっと一周して駅に戻るだけ。そんな中でただ走って通過するだけではもったいないところもあって、適度にロードバイクを止めて佇む時間も少なくなかったです。

自分の場合はあ、ここいいなと思ったら道端でただ風景を眺める時間も多くて、一度もロードバイクを降りないで車上で過ごすだけというのはまずない。ストップ&ゴーが簡単にできるロードバイクを使用しているのだから、ストップする時間が多い場合だってあっていい。

大碆鼻灯台までは平坦が多めな県道42号を走ったところ、こちらの道は比較的家屋や港が多くて「町」としての印象が強かった。これが後に述べるサンセットウェイとの雰囲気の落差に繋がっていると思ったので、もし生月島を走るのであれば一周してみるのがおすすめ。

塩俵断崖

島の中央部から北部へと移っていく中で景観も様変わりしてきており、最初に訪れることになるのが塩俵断崖と呼ばれる断崖絶壁。

ここは溶岩台地の上に玄武岩が重なった柱状節理と呼ばれる柱がいくつも見られ、まるで鉛筆が何本も直立しているような独特の地形を見ることができました。このあたりには出店もあるので、休憩がてらに海沿いを眺めてみるのもいいと思います。

大碆鼻灯台を目指す

このあたりからアップダウンが如実に感じられるようになってきて、下ったかと思えば上ったり、その逆もあったりと予想だにしない光景が多かった印象です。

よく考えればただでさえ激しい地形が見られる長崎県で、その端っこの方にある生月島のさらに端部に自分はいる。考えなくても通常ではない海岸線になっているのは想像に難くないわけで、至極当然のシチュエーションといえば確かにそう。

ただ、そんな場所でも人の営みは確かに存在している。

自分が最果ての地を訪れているという先入観があったのも関係していると思うけど、結構な集落があるのは予想外だった。ここから先にはもう灯台しか無いだろうと思っていたのが、ここには田畑もあるしもちろん家屋もある。

自分としては、こういう場所こそ走っていて楽しい。人の気配がまるでないところを走るのも確かに良いものの、その土地の生活をこうやって実感できるというのは嬉しいものがある。

灯台の駐車場

そんなこんなで、無事に大碆鼻灯台に到着。

生月島自体がツーリングの聖地みたいな立ち位置になっていることもあって、道中はバイクの遭遇率がすごかった。自分が灯台周辺を散策している中でもひっきりなしにバイクがやってくるし、九州のバイク乗りにとってはとりあえずここ行っとくか的なポジションなようですね。

これが灯台周辺の眺め。

駐車場から1分くらい歩いたところに灯台があって、そこからは主に北方向の眺めが抜群に良い。近くにある壱岐島は当然のように視認できる上、さらに天気が良ければ遠くにある対馬も見えるようです。

今回は若干空が霞んでいたので見えなかったけど、それでもこの晴天の中で空を海を眺められるのだから満足というほかない。

灯台から見える海はかなり高低差があって、それは向かって左方向に見える断崖絶壁がわかりやすく示している。

周りに見えるのは海と空、それに島。他には風力発電用の風車が少し見えるくらいで、ここに限っては人々の生活の様子はちょっと伺えない。なので確かに最果て感が強くて、ここがある意味での終着点な感じもする。

ただ、向こうに見える島にはもちろん人がいるし、今は見えないけど対馬には対馬で生活圏が形成されている。そう考えると完全な最果ての地はもしかしたら存在しないのかもしれない。その場所に到達したらしたで、また人の存在を感じられる。世の中の端っこの地って、大抵はそうだと思う。

とにかく、これで今日の目的の大部分は終了。半分くらいは先月全く出かけていない運動不足を解消するのが目当てで、それはここまでの道のりで十二分に達成されている。

となれば後はこのシチュエーションを最大に楽しむのが合っているということで、灯台周辺で横になって寝てました。時間にすると1時間くらい。今日はもう輪行して佐世保に向かうだけだし、こういう贅沢な時間の使い方があってもいい。

生月サンセットウェイ

昼寝から目覚めて、改めて生月島を走っていく。

残りの行程は生月島の西側にある生月サンセットウェイという道を走ることになって、ここは前からずっと走ってみたかった道となる。

そのスタートは県道42号から方倉公園へと逸れる道から始まって、ここから島の南端に至るまでずっと海岸線を走っていくルート。

生月島の西を南北にほぼ縦断していて移動するにはもちろんのこと、同時に絶景を楽しめることからドライバーやライダーに有名な場所となっています。ただ「道」という性質上、もちろんロードバイク乗りにとってもおすすめできる魅力的なところでした。

今回走った季節は、春。

草木が芽吹く季節ということで道端には花が咲き誇っており、始めて訪れた場所にかかわらず自然と笑顔になってくる。緑が映える夏や紅葉が美しい秋と対比して、春は何もかもが鮮やかに見える季節だ。

ましてや先月までが肌寒い冬だったのだから、その変わりようは一年を通じて際立っている。

道の東側は常に切り立った崖になっている

そして、その先には生月サンセットウェイの本当の姿が待っていた。

海に沿ってワインディングしながら続いていく道の両側は崖になっていて、同時に上下方向にもうねるような起伏が待ち受けている。そんな中をスピードに乗って駆け抜けていくとこれ以上ないくらいに気持ちがいい。

坂道が多いということは、海面との高低差が連続的に変化していくということ。

ここでは景色が一様ではなく、上の写真のようにダイナミックな地形と海が同時に視界に入ってくる。ここは車のCMにも使われているほど有名だと聞いたことがあるけど、まさにその通りだった。

横目に見える海もせせこましい海ではなく、はるか遠くまで続いている大海原なのだから迫力があるのも無理はない。

海という平坦な地形と、逆方向にそびえ立つ崖の高さとの落差。これが生月サンセットウェイの大きさを表していると思う。

興奮冷めやらぬまま、生月島の入り口まで戻ってきた。

サンセットウェイの名前が付いているのにも関わらず、訪れたのは意図的に完全な夕暮れの時間帯を外した。夕暮れから夜になるのはかなり早いので暗い中走るのが嫌だったからだけど、ロードバイクならば明るいうちに走っておくほうがいいと思う。

予想通りここは夕暮れになるとちょっと交通量が増えるらしくて、自分が生月島を去るタイミングあたりでバイクやらスポーツカーやらが島の西側に走っていくのが見えた。あと道端に駐車して写真を撮る人も増えるので、日没より早めの時間帯くらいに走った選択は良かったと思います。そんなに交通量も多くなかったし。

後は行きと同様に坂道と格闘しながら生月島~平戸島を走り、国道393号を北上して平戸大橋へ。

この日はただでさえ風が尋常でないくらいに強くて、特に橋の上になるともう台風レベル。ほっとくとロードバイクが飛ばされそうになるくらいで、澄んだ空気の中で風景を眺めるのもなかなか一苦労でした。

まあ、最後には夕焼けに染まる平戸の海を眺められたので万事OKといったところ。

たびら平戸口駅へ帰還

佐世保へ

そのまま駅へ走って今日の日の行程は終了。

このたびら平戸口駅、実は日本最西端の駅だそうです。JRの最西端は佐世保だけど私鉄を含めるとここが最西端の駅で、それ関連の看板が目立っていました。他にも平戸周辺の観光案内が充実していたので、特に何も考えずにこの駅までくればなんとかなりそうです。

駅構内もなかなか渋くて、これからもう完全に夜になりますというタイミングで滑り込むようにワンマン電車が入ってきたのが情緒深い。

ロードバイクの旅は別に走っているときだけではなくて、こうやって輪行している最中ももちろん旅の一部。車窓からの眺めを楽しみながら佐世保へ向かいました。

おわりに

なんか一日だけ空きがあるのでどこか走るか…と思って決めた今回のライド、途中で昼寝を挟むくらいに時間管理がガバガバだった割にはかなり満足度が高くて嬉しい。

確かに坂道は多いけど、それを帳消しにできるだけの景色がそこには待っている。これからもこういう場所を訪れていきたいと思います。

おしまい。


本ブログ、tamaism.com にお越しいただきありがとうございます。主にロードバイク旅の行程や鄙びた旅館への宿泊記録を書いています。「役に立った」と思われましたら、ブックマーク・シェアをしていただければ嬉しいです。

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