アスペロを導入して初めての遠出ライドをどこにするか検討していたところ、ふっと長野県が頭の中に浮上してきたため長野県に行くことに決定。カーボンフレーム+ディスクブレーキの効果を最大限に確かめるためにはアップダウンが多い道がいいと思っており、山岳ルートが主となる長野県が試運転にうってつけでした。
さらに今の季節は新緑が映える春。ライドの内容だけでなく冠雪した北アルプスの山々を同時に眺められれば一石二鳥ということで、天気がいい日を狙って走ってきた記録になります。
長野~アルプス展望
今回走るルートは長野市をスタートして小川村まで向かい、そこから北上して鬼無里を経て戸隠へと到着。戸隠神社を参拝した後に長野市まで戻ってくるというオーソドックスな道のりです。
松本市在住のロードバイク乗りにとっては大町とか白馬がサイクリングコースとして馴染みが深そうですが、長野市在住のロードバイク乗りなら今回走ったルート、それかもう少し足を伸ばして白沢洞門まで行くのが有名みたい。実際に走っている最中は何人ものロードバイク乗りと遭遇できました。
国道19号から西へ走って県道31号・県道36号へと入り、小川村役場近くから道が北方向へと折り返します。
ここからしばらくは比較的急な斜度が続き、それと一緒に周りの風景も様変わりしてくる。具体的には今までは見られなかった棚田が出現するようになり、道の近くに家々が密集する風景から家屋が点在するのどかな田園風景に変わりました。標高が上がるにつれて田畑が形成されているのは珍しい気がする。
そのまま坂道を上っていき、斜度が緩くなったところで小川村アルプス展望広場に到着。その名の通り西方面にそびえる北アルプスをここから一望することができます。
いま自分がいる長野県内の場所を考慮するとこのあたりで最も標高が高い山岳は北アルプスになるわけだけど、それらが端から端まで見渡せるというのは展望が優れすぎている。視界手前の棚田、やや奥の低山、そして最奥の北アルプスという風に遠近感が感じられるのも素晴らしい。この絶景を手軽に楽しめるとしたら、長野県は登山だけでなくロードバイク趣味にとっても素敵な場所だ。
展望広場を抜けた後は一旦標高を下げて鬼無里に下山し、そこから県道36号を上り返して戸隠方面へ。なお鬼無里から国道406号を西へ進んでいけば白沢洞門へと向かうことができます。
県道36号、思った以上に好きな道かもしれない。曲がりくねった道をパスするたびに今まで見えなかった家屋や田畑が見えるようになって、先へ先へと進んでいきたくなってくるタイプの道だ。
山間部の集落を巡ることができる時点ですでに自分好みの道だけど、春という今現在の季節によって道周辺の瑞々しさが強調されていることが分かる。気温も最適で誰もが屋外に繰り出していこうと積極的に思えるシチュエーション。こういうベストなコンディションで長野県を訪問できたことが嬉しい。
そのままの勢いで北上を続け、鬼無里と戸隠の中間地点に位置する大望峠展望台(標高1,055m)に到着。最後の方は斜度が強めで、想定通りにアップダウンが連続する地形を通ってきたためしんどかった。
とにもかくにも、目に入ってくるのは山岳100%の絶景。峠のすぐ近くにある西岳連峰をはじめ、先ほど見た北アルプスが若干別角度から視認できます。長野県内を通る道は星の数ほどあれど、ここまで視界内に占める山率が高い道はそうそうないだろう。ここまで上ってきた甲斐がありました。
息を切らしながらヒルクライムをしてきて展望台に到着し、景色を見ながら深呼吸したときの気持ちよさは最高の一言。いや、これは本当に達成感があるわ。
ここでちょっとアスペロのレビュー。
本来グラベルロードであるアスペロをロードバイクとして使用してみたわけですが、思った以上にアップダウンに強いです。BB周りが硬いためなのか踏んだら踏んだだけ前に進んでくれて上りが楽。油圧ディスクブレーキでダウンヒルも安心して下ることができるし、初カーボンフレームなこともあって金属フレームとの違いに感動してました。32cタイヤで路面からの振動も比較的軽減されています。
アスペロのジオメトリは完全にロードバイクのそれなので、細いタイヤを履かせれば舗装路を違和感なく走ることが可能だと分かった。これは自分でも良い選択だったな。
戸隠そばと戸隠神社
それからは大望峠展望台から下って戸隠方面へ到着し、宝光社周辺をうろうろしながら散策を開始。戸隠は言わずとしれた観光地で車通りは多い一方で駐車場は限られており、ロードバイクだと比較的自由に移動できるのが便利でした。戸隠神社周辺を訪れたのは結構前のことで、確か当時はバスに乗ってここまでやってきた記憶がある。
お昼どきでお腹が空いたため、ここから奥社方面へ向かう前に有名な戸隠そばを食べることに。
やってきたのは宝光社からほど近い「戸隠・手打ちそば つる家」というお店。ざるそばと炊き込みご飯、山菜の天ぷらのセットを注文しました。
春といえば山菜がとても美味しく、旅館などでも出てくると嬉しくなってくる品。今回はそれをいただくことができて幸せになれたのと、そばそのものもさっぱりしていてヒルクライム中の身でもさらっと食べられました。最近はもう濃い味付けの料理よりもこういう風に薄い料理の方がむしろ好みになっている。旅館に泊まりまくって和食ばっかり食べているせいかもしれんが。
食後は県道36号を上り続けて戸隠神社の中社、それから奥社の順で参拝。宝光社から中社の区間はこんなに斜度高かったっけ?と疑問に思うくらいに坂道が急でした。
奥社では他の観光客と一緒に参道を歩き、大鳥居・随神門をくぐって杉並木へ。
駐車場から奥社までは観光地としてはそこそこ距離がありますが、ライドの途中に散策するのがメインな自分としてはむしろ楽しい徒歩の時間となりました。ずっとサドルの上に跨っているだけでも色んなところに行くことができるけど、そこに「歩き」を加えることでより充実した体験ができる。好きな訪問先が自分のように寺や神社だと自動的に参拝をすることにもなってお得感があります。
時間ばかり気にして平均速度はいくら必要で…とか休憩時間はこれくらいで…とかを考えすぎるのは自分には合っていない。旅先で出会う風景のみが最優先で時間は二の次。これからも時間と心に余裕を持ったライドをしていきたい。
戸隠神社の参拝後はもう長野市街へ戻るだけとなりますが、国道406号に合流するのはやめて飯縄山の麓を通る県道506号(戸隠バードライン)~長野市道105号線という上りも含むルートにしました。国道に比べると交通量は少なく、下りの道では簡単に時速60kmくらい出せて爽快感があります。
しかしこのあたりは本当に坂道ばっかりで良い運動になる。長野市からだと例えば南へ千曲川沿いに走れば平坦ルート、戸隠方面へ向かえば山岳ルートが簡単に走れることになって羨ましいと感じます。
で、帰りの〆として通ったのが道路界隈では有名な「七曲り」です。
ここは善光寺から戸隠方面へ向かうバードラインにある急勾配のつづら折り区間で、最大勾配16%の急カーブがその名の通り7回連続するという地獄みたいな道。道幅も非常に狭く、全域がスノーシェッドで覆われているので見通しも非常に悪い。
実際に下りで通ってみた感想としては、およそ自転車での通行は推奨されません。上りの対向車がセンターラインを越えてきたり下りの車がすぐ脇をギリギリで追い越していったりと、斜度やカーブそのものよりも車の存在が怖すぎる。上りなら言わずもがなで七曲り全域にマイカー規制がかかっていたら通ってもいいかなレベル。安全面を考慮すると大人しく国道406号か北にある真光寺ループ橋を通るほうがいいです。
ともあれ、無事に長野市街地に戻ってこれたので今回のライドはこれで終了。
日没間際の時間帯なのに参拝客が多かった善光寺周辺を眺めながら帰路につきました。アスペロの乗り味は大体理解できたので、グラベル用途だけでなくロードバイクとしても積極的に乗っていきたいと思います。
おしまい。
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