- Part 1:印通寺~岳の辻~久喜触~旅館網元~郷ノ浦
- Part 2:郷ノ浦~勝本浦~芦辺~左京鼻~印通寺
そうだ、壱岐に行こう。
今回は、玄界灘にある長崎県の壱岐島をロードバイクで走ってきました。
壱岐といえば「古事記」の神話で5番目に生まれた島であり、古来から一支国(いきのくに)として中国大陸や朝鮮半島との交易で栄えた土地。古代史という観点からみればとても密度が濃い島として知られています。
隣にある対馬と同じく大陸の影響を受けやすかった壱岐には稲作、鉄器といった文明や文化が最初に伝わり、次いで日本列島各地へと広がっていったと考えられています。
そういう背景もあって現在の壱岐は単なる島というだけでなく、各地にパワースポットが点在する魅力のある場所。それは遺跡の数だったり(古墳を含めて約500箇所)、神社の密度が日本一(小さな社や祠を加えると1000箇所以上)だったりといった点にも現れています。
以上のように歴史的にみても重要な島であるのに加え、自然と神道が風景に溶け込んで一体となったような、素朴な美しさを内包しているのが壱岐島の特徴です。
今までに日本各地の島を訪れた機会は数多い一方で、壱岐島はおそらく一味違った体験ができるに違いない。そんな思惑もあって今回は「神々が宿る島」への訪問を決めました。
壱岐島に行きたくなった理由をもっと簡潔に言うと「なんか気になった」ということになるけど、自分が興味を惹かれたのならそこには距離は関係ない。思い立ってからアクションするまでの時間が短いのが、自分の性格の一つだと思います。
壱岐島は対馬海峡の影響を受けており、気候が温暖で畜産や農業に適しています。加えて島という環境からもちろん魚介類も美味しく、ライドに加えて食についても満足のいく旅ができました。
壱岐島へのアクセス
壱岐島へ向かう方法は海路と空路の2種類あり、今回は船旅がしたかったので前者を選択。
航路は、福岡市にある博多港(ジェットフォイル(高速船)及びフェリー)と、唐津市にある唐津東港(フェリーのみ)から運行しています。
アクセスのしやすさを考えると博多駅に近い博多港が便利ですが、今回はロードバイク同伴ということや、一泊二日の行程ということを考慮して唐津東港を選択しました。
理由としては、まずジェットフォイルにはロードバイクを乗せることができない(小径車は可能)ので、自動的に移動手段がフェリーのみに限定されます。となるとフェリー便数が比較的少ない博多港よりは、一日に5便が運行している唐津東港の方が時間的に便利なので、これで壱岐島へ向かうことに決定。
往路も復路も唐津東港⇔印通寺港の航路を利用して、形としては壱岐島を一周する感じです。
というわけで早速出発。
壱岐島への船旅
この日は前日に熊本県の杖立温泉に一泊し、一夜明けてここから壱岐島へと渡るという移動メインの一日でした。
杖立温泉関連のライドの詳細は別記事で話すとして、電車を乗り継いで唐津東港に向かいます。こういうときにロードバイクは輪行ができるのが非常に便利で、手軽に長距離を移動できるのが強みの一つ。
電車の時間の関係で、唐津東港に到着したのは出港の約15分前。
割と時間ギリギリで焦ったものの、問題なく乗船券を購入できたのでそのまま船に乗り込みました。
ロードバイクは壁に溶接してある固定用の手すりにハンドルを架け、後輪をタイヤ止めで固定してくれます。
最小限の設備で固定力が強く、ロードバイクで訪問する人にとってもフレンドリーでした。
この日は土曜日で、しかも昼の便だったので割と人が多いかなと思ってたけどそんなことはなし。ロードバイクも自分一人だけでした。
壱岐島へのアクセスは前述の通り博多港からが大部分っぽいので、あえて唐津東港から向かう人はそんなに多くはないのかもしれません。
そうこうしているうちに出港時間になって、ここから約1.5時間の船旅がスタート。何事も始まるときは緊張するものだけど、至って静かな滑り出しとなりました。
フェリーの旅の良さは、この適度な移動時間の長さにあると思う。
例えば飛行機だったら結構あっという間に到着してしまって、目的地の姿が見えたと思ったらもう着陸で「道中」をくつろぐ暇があんまりない。
フェリーはというと、大きな窓から見えるのは周りの景色がゆっくりと移り変わっていく様子。そこには急激な変化というものがなく、船そのものの実際の移動速度の割にはまったり過ごすことができます。
航海中に船内を自由に歩き回れるという点も自分は好きで、甲板に上がって海風を直に感じることもできるし、眠くなったら二等客室で寝転がって寝ることもできる。船自体が大きいので揺れも少なくて快適です。
もちろん空路やジェットフォイルに比べると時間はかかるものの、フェリーにはフェリーの良さがあると思っています。この感覚は新幹線と鈍行列車の差異に似てるかな。
出港時点では影も形も見えなかった壱岐島が、いつの間にか遠方に見えたかと思えば徐々にその姿が大きくなってくる。
この「徐々に」というのが大事で、目的地に到着した感をより強調させてくれる要素。
視界に入るものの中では「島」は途方も無いほど大きく、それに近づいていくまでのスピード次第で、そのスケール感を強く実感できるかどうかが決まる。なので、船による到着はベストだと思います。
そんなわけで、壱岐島の港の一つ・印通寺港に到着。
もちろんこの時点では壱岐島の全容は全く掴めておらず、目の前に広がっているのは壱岐島のほんの一部だけ。これから一日をかけて島を巡っていくというわけで、降り立った瞬間にワクワクが止まらなくなってくる。旅の始まりとして申し分ない気分だ。
壱岐島にはジェットフォイルやフェリーが発着する港が印通寺港、郷ノ浦港、芦辺港の3箇所あって、ここ印通寺港は唐津東港からのみの発着となっています。なので壱岐の玄関口としては比較的小規模で、港の周りにもそれほど建物は多くありません。
これは飲食店や宿泊施設の点からも重要なポイントで、印通寺港周辺にはそれらがあまりないので注意が必要です。仮に昼くらいに印通寺港に到着して、壱岐を回る前に昼食にするかという気分になっても店は限られています。
他の2箇所の港はその辺りが結構充実しているので、どの港に降り立ってどういう経路で回るのかは決めておいたほうがいいと感じました。
自分はというと、印通寺港に到着したのは15時をちょっと過ぎたところ。今日の宿は印通寺港の近くにとってあるのでもうチェックインしてもいいものの、その前にちょっと散策をしてみることにしました。
当初の予定では、今日はもう一本遅い便のフェリーに乗って17時ごろに壱岐入り→すぐ投宿で、壱岐島を回るのは翌日からという流れでした。でもそれだと散策時間が1日だけになってしまうため、予定よりも一本早い便に乗って壱岐入りし、宿泊前に2時間ほど軽く散策しようという感じです。
工夫次第で滞在時間が長くできるとなればやらない手はないし、多少急いで唐津東港に向かったのは間違いではない。
まずは、印通寺港周辺を軽く走ってみる。
おお…これだ。海沿いに建つ家屋、そこに停泊している漁船、そして確かに感じられる心地よい風。島特有のゆっくりとした時間の流れがいきなり感じられる。
壱岐島はもともと温暖な気候なのに加え、最近になって気温が明確に上がってきているのでこの時期でも薄着で過ごすことができます。
そんな陽気に満ち溢れた海沿いをただ走っているだけで、もう早速だけど今回壱岐島を訪問してよかったと思えてくる。昨日のルートが完全に山岳メインだったので、山から海への環境の違いもここにきて効いている。同じような環境を連続して走ると飽きてしまうので、この行程にして正解。
壱岐島の最高峰を目指す
今日泊まる宿には17時過ぎには投宿しておきたいので、それまでの時間は明日訪れない場所を走ることにしました。
明日は初っ端に印通寺から国道382号を西へ走って郷ノ浦に至るルートをとり、その国道の南側は完全にスルーする方針。なので、ここからは壱岐島の最高峰・岳の辻展望台を含んだ山岳地帯に向かうことに。
同じルートを通ってもあまり面白くないので、こういう方針にしたのは個人的にも良かったと思います。
島といえば平坦な土地が海沿いに限られてしまっていて、内陸部へ行けば行くほど険しくなるのを想像する人が多いと思います。でも壱岐島は坂道が多い長崎県の中でも平地が多いことが特徴で、それは標高の高さにあまり関係しません。
今回の場合だと、印通寺から県道176号を西へ向かっていった先の風景が上記のような感じです。最初はいきなり坂道が登場して標高を上げたかと思えば、その先には平坦な畑が広がる田園地帯が広がっている。
一般的には坂道が出た先はそのままずっと坂道が続いて、次第に山に入っていく…という光景が多いのに対して、壱岐島ではその限りではないです。しかもこの平地は一部分だけではなくて結構広くて、それが各地に点在しているようなイメージ。
確かに道としての上って下っては連続するものの、平地の割合が比較的多いと感じました(なお疲れないとは言ってない)。
というわけで、壱岐島で最も標高が高い岳ノ辻(212.8m)に到着。
最後の方は終始斜度10%以上あるので、今日あまり走っていない割には良い運動になったかな。とはいえ、短距離で効率的に標高が上がってくれるので上る距離としては短いです。
展望台からの眺めは素晴らしいの一言で、壱岐島の南に位置しているのでそれ以外の方角への展望がとにかく良すぎる。夕方に差し掛かっている絶妙な時間帯の中、見渡す限りの光景が何よりの休憩になりました。
こうしてみると、どの方面を見ても突出して高い山がないことがよく分かると思います。山があるのは自分が今いる南端と北東部くらいで、あとは平野部と丘陵部がほとんどを占めている感じ。そのおかげで遠景までよく見えます。
あと、明日回ることになる場所の位置関係を、この時点で把握できたのが地味に嬉しい。
地図を見ながら明日走っていくことになる中で、ポイントごとに立ち止まる形を取ると島の全体像というのはなかなか実感できないものだと思う。でも壱岐島に到着して、何も分からないシチュエーションから始まって、島で一番高いところから各地の様子を把握する。
やってることが完全に古来における旅みたいだけど、自分が知らない土地を走る上でこのスタートは結構アリなんじゃないか。
明日へ向けて気分を盛り上げたところで、そろそろ印通寺へと戻ることにします。
帰り道で訪問したのは、海沿いの斜面に形成された久喜触という地名の一帯。
地名で「触」って見たことないな…と思って調べたところ、壱岐島は地名の最後に触(ふれ)もしくは浦(うら)がつくそうです。特に「触」については壱岐島特有のもので、諸説ありますが正確な由来は分かっていません。
さらにこれらにはもっと深い意味があって、触=主に農村地域の集落を示し、浦=主に漁村地域の集落を示しています。そこへいくと久喜触は農村地域の集落となるわけだけど、どちらかというと見る感じ漁村のような。例外があるということか。
久喜触はこじんまりとした一帯に集落と港が位置しており、集落については車の往来が不可能なほど細い路地が通っていました。
ここは壱岐島には星の数ほどある漁村集落のうちの一箇所に相当して、特に目立った特徴があるという風景ではない。でも、自分としてはこういう集落を巡っているときが一番好きです。
観光地化されていない、その土地のありのままの生活風景。それが見たくてあちこちを訪れている身からすると、ここでの散策は実に楽しいものでした。
印通寺に帰還し、後はぶらぶらして宿に向かいます。
夕方の日に照らされる漁港は釣りをする人が多く、さっき港に到着したときとは状況が変わっていることに気がつく。同じ場所でも当然ながら時間帯によって同じ環境とはならないし、ましてや漁港ならなおさら。
日没間際のこの時間にこれほど余裕を持って散策できるのは壱岐島に一泊する人のみの特権で、日帰りだったらこんなに悠長にしてられないです。
当初は日帰りにするプランも計画していたけど、島で迎える夕方、夜…そして朝を味わいたい。滞在という視点から見れば、その土地に宿泊するのは自分の中でマストかな。
旅館 網元での宿泊
今日泊まったのは、印通寺港から30秒くらいの近場にある旅館網元という宿です。
ここを選んだ理由は単純に印通寺港(明日の出発地点)から近いことと、食事がとにかく美味しいという評判から。実は今回の旅では食事を豪華にしたいという気持ちがあって、やっぱり島を訪問するのだから海鮮を食べたいよねって話。
旅の中における土地の良さを生かした食事は何よりの贅沢で、港の真ん前にある旅館でそれをいただけるとなれば最高すぎる。あと部屋の眺めがよかったり、温泉があったりと寛ぐには最適な宿とのこと。
たまたま見たら運良く部屋が空いていたので、即予約しました。
旅館網元は、港から道路を一本挟んですぐのところにあります。なので文字通り海が目の鼻の先というわけで、海に近い…というかもう海に接しているくらいの勢い。
1階にフロントとロビー、食事会場があって、客室は2階以上にあります(温泉は4階)。
投宿して早速嬉しかったのが、ロードバイクを屋内に置かせていただけたこと。普通だったら屋外か玄関周辺になるところが、かなり奥まったところに置いていいですよとのことでした。あまりにも親切すぎて感謝です。
今回泊まったのは3階にある301号室で、島の旅館だからたぶん民宿みたいな感じかな?と思っていたら全然違いました。
まず部屋が畳の部分だけで8畳あり、それに板間の分がプラスされていてとても広いです。しかも海に面した側にはベランダもあって、設備はエアコン、冷蔵庫、ポット、テレビ、加えて洗面所とトイレ付き。これはちょっと設備が充実しすぎているのでは??
というか1階の時点で建物が全体的に綺麗だし、何より清潔感がある。部屋ももちろん快適で、滞在中はずっと居心地の良さを感じてました。
で、ベランダからの眺めがこちら。
印通寺港が少し遠くに見え、その手前側には右から左まで港が一望できるという眺めの良さ。3階に泊まっているということもあって、海面との高低差が最高すぎる。
ここまで海方向の展望が良い宿は、そんなにないのではないだろうか。
部屋の様子に驚いた後は温泉に行って汗を流し、部屋に戻ってまったりしてました。
窓の前にある椅子に腰かけて外を眺めていると、まだ壱岐島での滞在は短いのに充実した時間を過ごしていることに気がつく。
行程がみっちりと詰まっている旅ではなく、出発からここまで適度にだらだらしているのが功を奏しているのだろうか。いずれにせよ、壱岐島の空気が自分に合っているのは確かなことだ。
そうこうしているうちに夕食の時間になったので、1階に向かいました。
旅館網元の夕食は、壱岐島の幸をふんだんに使用した豪華極まりない内容です。
まず玄界灘の魚が美味すぎることに加えて、魚だけではなく肉(壱岐牛)の肉が柔らかすぎてびっくりしました。
壱岐は平地が多くて畜産が盛んに行われており、つまり島なのにも関わらず魚と肉の両方が楽しめるという形です。確かに特徴的な地形だということはさっきのライドで把握したけど、それが食事の内容に明確に現れてくるとは思っていなかった。
宿によっては「山の中にある宿なのに食事に刺し身が出てくる」みたいなところも巷にはあるけど、壱岐島の宿はそんなことはなく、偽りはない地産地消そのもの。
そんな美味しい食材が様々な料理となって目の前に並んでいるわけで、実に幸せな時間となりました。
夕食の内容をざっと書くと、ブリ・キンメダイ・マグロ・さわら・タイの刺身、茶碗蒸し、ローストビーフ、さわらと野菜の包み焼き(西京焼きみたいな料理)、壱岐牛の陶板焼き、野菜の天ぷら、ひじき麺の山かけ、お吸い物、最後にデザートとして、ゆずのシャーベットといちごです。
料理の種類が豊富で、魚のみ・肉のみではない点も新鮮でいいですね。
島ということで海に囲まれ、てっきり海鮮のみと思っていたのが「肉」も有名だとは知りませんでした。この翌日に走った島内散策中では実際に牛舎を見かけたり、牛の鳴き声が聞こえたりしてとても牧歌的な雰囲気だったのを覚えています。ありがとう…牛…。
どの料理も非常に美味しくて白米の消費が追いつかず、特に壱岐牛にいたっては一切れでご飯1杯が余裕で食べられそうなくらいでした。最終的にはご飯3杯おかわりして、味もボリュームも十二分で本当に満足。
夕食後は明日の準備を済ませて、早めに就寝。
よく考えてみれば、宿での夜は特に何もすることがない。特別な用事があるわけではないし、宿の雰囲気の良さが影響して普段より早めに眠くなってしまう。睡眠時間の長さは体調に直結するので、美味しい食事を食べてストレスなく布団に入れる旅はやはり健康に良いと思います。
で、翌朝は目の前の港から出港していく漁船の音で目が覚めました。これは海が近いからこそ聞こえてくる音にほかならないし、立地の良さ、環境の良さが実感できる。
旅先で迎える朝は平日のそれと比べると精神的な開放感が強くて、しかもこれから見知らぬ土地での一日が始まると思うと、余計に笑顔になってくる。これは日帰り旅行にはない幸せな体験だ。
さらに言うと、カーテンを開けて部屋から見た最初の眺めがこれ。
昇ったばかりの朝日が港を幻想的に染め上げており、出歩く人もまばらな港町の風景が視界に飛び込んでくる。フェリーやジェットフォイルの到着時間を考慮すると、これは宿泊者しか味わうことができない風景です。
何よりも「壱岐島での一日」が始まろうとしている場面に、自分も同席しているという唯一無二のシチュエーションが嬉しい。到達するのに一手間を要する島だからこそこの光景にはなおさら感動して、今回宿泊を決めて本当に良かった。
一日の始まりは、美味しい朝食から。
朝食の内容はアジのみりん干し、壱州豆腐、アオサの味噌汁など元気が出るものばかり。一品一品が素朴な味付けなんだけど、ご飯のおかずとしてとても強いので白米の消費が進みました。
同じタイミングで朝食をとっていた他の宿泊者達もご飯のおかわりをしていて、お互いに昨晩はあれだけお腹いっぱいになったのに…と不思議そうな顔をしている。夕食と比べるとかなり静かなのが宿での朝食ですが、ご飯の消費量はたぶん同じくらいです。これはもう仕方ない。
朝方の郷ノ浦港
そんな感じで旅館網元での滞在は終わり、ここからは壱岐島を本格的に散策していく。
帰りのフェリーも昨日と同じくここ印通寺港からなので、旅館に荷物を預けて身軽になりました。これが別の港から帰るという場合なら荷物を全部持って走らないといけなくなってしまって、楽をできるところは楽をしていきたい。
この日の行程を簡単に説明すると、印通寺港から時計回りに郷ノ浦港、勝本浦、芦辺港と順番に巡って、最後に印通寺港に戻ってくるという形です。結果的に壱岐島を一周することになり、島における一般的なライド形態をとっています。
時計回りにした理由は特になくて、適当に決めました。強いて言えば時計回りだと道の左側に海が見える形になるので、左側通行のロードバイクだと海をより近くに感じることができるのが良いですね。
島における朝の空気、ほんと好き。
吸い込む端から新鮮な空気が美味しく感じ、暑いでもなく寒いでもない良い感じの気温がそれを加速させていく。
これから日が昇っていくにつれて気温が徐々に上がっていく前の、走り始めにちょっと寒いと思える程度の気温が個人的に好きです。これは今の時期しか体験できないことだし、その旅の端々で体感することに思いを馳せていきたい。
印通寺港から郷ノ浦港へは国道382号を通るのが最短ルートで、その途中には主に田園風景が広がっていました。丘のような適度な坂道が連続していて、朝方の雰囲気に包まれながら走る道はこれ以上ないほど気持ちがいい。
昨日通った山岳地帯とは直線距離で約1kmしか離れていないものの、ここまで明確に地形が異なっているのは面白いです。
国道をしばらく走った後は港まで下りが続き、その先に郷ノ浦港があります。
郷ノ浦港周辺は海岸から少し奥まったところ(湾)に集落が形成されており、ここには多数の飲食店や宿泊施設、それに学校などが集まっていました。まだ朝なので営業はしていないものの、これだけで活気のある町ということが理解できる。
それらの傍らには常に海という存在があって、海の向こう側に家屋が集まっている風景が見えるのが個人的に好き。
なんだろう、海沿いの町という括りとは少し毛色が異なって、自分の周りのどこを見ても家屋が見える漁村という感じ。ある程度の広さの湾がないとこういう集落にはならないので、壱岐島の中でも郷ノ浦港は建物の密集具合がかなりのものでした。
そんな中で立ち寄ったのは塞神社という神社で、ここもまた壱岐島にたくさんある神社の一つ。
神社って昔は一つの集落に最低一つは存在していたものだけど、壱岐島ではその伝統が今も受け継がれているようです。壱岐島のどこを訪れても必ず目に入る要素がこの「神社」で、神社が好きな自分としてはその度に立ち止まってしまいました。
そしてこの神社にはある特徴があって、
それがこちらです。あまりにもデカすぎワロタ。
社殿へ続く階段の左側にある巨大な男根(書いちゃった)がインパクトありすぎ。もちろん私も参拝の一貫で撫でておきました。色んな意味でご利益ありそう。
しかも屋外だけでなく屋内も圧倒的な存在感を誇っているので、郷ノ浦港を訪問したらぜひこの塞神社を参拝してみてほしいです。見ての通り子宝と安産祈願の神社として親しまれていて、朝一番の散策で訪問したことで自分も元気をもらえた…のかもしれない。
あ、こんな感じで壱岐島にはそこら中に神社があるので、散策時間は多めに確保しておくことをおすすめします。
気になったところを素通りするのはもったいないし、立ち止まりながらの旅も悪くない。こういうときにロードバイクによる移動はとても役に立ってくれて、ストップ&ゴーがしやすいので便利でした(毎回言ってる)。
次の場所へ向かう前に、郷ノ浦港の真上に架かっている郷ノ浦大橋へ。
橋の大きさもさることながら、白い橋が青空に映えてとても美しいです。橋の上からは郷ノ浦港周辺を一望できて、こんな風に視点を変えて町並みを眺めることができるスポットは好き。
空の青と海の青、それに挟まれるようにして建っている郷ノ浦大橋はとても存在感がありました。朝の散策でいきなりこんな爽快な風景に出会えるなんて、実に運がいい。
この後は郷ノ浦港を過ぎ、次のスポットへとロードバイクを走らせていく。Part 2に続きます。
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