【身延山~赤沢宿~奈良田湖~本栖みち】「ゆるキャン△」グラベルロードで山梨の山の中を走ってきた

今回のライドをすることに決めたのは、先月の10月11日にゆるキャン△の7巻が発売されたことがきっかけです。

この7巻では、今までに登場してきたような「キャンプ場」とは別に、山梨県の観光名所やお店が数多く登場しており、発売日にKindleで購入して以来ずっと訪れてみたいと思っていました。

ただその舞台となる場所の多くは少しアクセスが悪く、遠方から訪問するにはレンタカーなどを調達する必要がありました。

そこで目をつけたのが、自転車を持ち込んで自走しながら各所を回るという方法。自転車ならば輪行で遠距離移動もしやすいですし、今回のような山奥の道も走ることができます。

7巻にも輪行についての記載があります。

というわけで輪行+自走で山梨ライドをすることが決まったので、早速行程を組んでみました。結論から言うと、当初の予定通りトラブルもなく走ることができました。

  • 1日目:身延~身延山~赤沢宿
  • 2日目:赤沢宿~奈良田湖~雨畑湖~下部温泉
  • 3日目:下部温泉~本栖湖~富士宮~富士

メインの目的は7巻に登場した場所の舞台訪問で、それは1日目と2日目で終了。3日目は単純に富士山を見ながら走りたいということで行程に加えました。

もくじ

身延の地に降り立つ

時間短縮のため静岡までは新幹線に乗り、静岡からは特急で身延駅まで輪行します。

新幹線で自転車輪行をする際は、自転車を置く場所が「各車両の最後列席の後ろのスペース」しかないため、必然的に最後列の席を押さえられるかが肝になってきます。

もちろんそれ以外の席に座るのもいいですが、このスペースにしか実質置くことができないため最後列の席に座るのが無難。平日・休日に関わらず、自由席だと最後列の席に100%座れるとは限らないので、EX予約を活用することになりました。

10時前に身延駅に到着。輪行解除して走る準備をします。

冬の寒い中の宿泊ライドということで、他の季節と比べると荷物は多少多めになってしまいます。特に防寒着が結構スペースをとってしまうので難儀しました。

「APIDURAのサドルバッグでは大きすぎる」という場合にはこのORTLIEBのサドルバッグLを持っていくことが多いのですが、宿泊ライドとなるとこれだと少々容量が足りないと分かりました。

ただ、このORTLIEBのサドルバッグはAPIDURAのものと違い、サドルにアタッチメントでがっちり固定できるので安定感があります。ダンシングしても左右に振られることがありません。

次にレンズについて。

今回は舞台訪問の関係上、カット合わせのためにカメラのレンズを2本持っていきました。これにより、ただでさえ小さいORTLIEBのサドルバッグ内をさらに圧迫するという事態に。

こういった荷物量に制限がある旅行では、1本で広い範囲をカバーできる便利ズームが便利です。今後は購入を真面目に検討することにしました。

広角端が足りないことが多いので、やはり標準ズームとは別に広角レンズも必要になってきます。なかなか難しい。

7巻の舞台訪問

7巻山梨編(リンちゃんが回ったとこ)の舞台訪問については別記事にまとめました。

身延山に上る

1日目は時間の都合上、身延駅からいきなり宿泊地の赤沢宿まで自走する予定でしたが、予定よりも1本早い特急に乗れたため、せっかくなので身延山に参拝することにしました。

身延山は5巻で千明とイヌ子たちが初日の出を見に来た場所として登場しています。

身延駅から向かう場合は、R804沿いに5kmほど走れば到着します。

三連休だけあって参拝客も多く、駐車場は常時満車という状況。

ちなみにですが、久遠寺三門から駐車場までの上りが斜度でいうと15%~20%もあって、さすがに押して歩きました。




山頂駅から見ると向かって右側が上り、左側のロープウェイが下りとなっています。

作中では上ってきたところのカットなのでロープウェイが右側にありますが、今回は混雑のため全く同一の状況では撮影できませんでした。



山頂駅の売店では作中と同じように串団子を食べることができます。もっちりしていて結構ボリュームがありました(¥350)

購入すると受付の方が「苦死を切って幸運を願います」のくだりをやってくれます。

ゆるキャン△推しが半端ない件。

今日はゆるキャン△の舞台訪問目的でここを訪れた人も少なくないようで、結構な人数がここで写真を撮っていました。

串団子を食べることができるのは売店付近だけで、奥之院周辺では食べ歩きはご遠慮くださいとの注意書きがありました。






身延山から眺める富士山。

この日はこれ以上ないくらい快晴で、雲ひとつない中最高の展望を味わうことができました。

一行が初日の出を待っていた展望台付近には手すりがあり、当然ながら外側には行くことができないため、作中と同じカットは撮影不可となります。

奥之院参拝の後は北側の展望台に行って南アルプスを眺めたりした後、下山。

相変わらず超混雑している駐車場を後にして、本日の宿泊地である赤沢宿へ向かうことにします。

赤沢宿への道のり

身延山から赤沢宿へは直線距離で言うとそこまで大したことはありませんが、道的にはぐるっと遠回りして行くしかありません。国道52号~県道37号の順に大きな道沿いに走ることになります。

県道37号に入ってからは交通量も少なくなり、川沿いに走る道に変わります。

ただ工事のダンプカーが結構なスピードで脇を走ってくるためかなり怖い思いをしました。

七面山口郵便局付近まで走ったら、あとは分岐を左に曲がって赤沢宿までひだすら上るだけ。

しかしこの上りが思いのほかキツかった。

普通のロードバイクだとそこまでという感じなのでしょうが、今回のように宿泊装備一式+38cタイヤ、それにエンジン(私)の貧脚っぷりが相まってなかなかに疲れました。軽いギアで回しても斜度がきつすぎるため解決策にならず、「脚を休めるダイシングもどき」を多用してなんとか赤沢宿に到着。

今回お世話になった宿は大阪屋というゲストハウスです。公式HP→大阪屋

2日目の奈良田湖への移動を考え、1日目の宿はここ赤沢宿にとりました。身延周辺は下部温泉を除けば宿がそこまで多いとは言えないため、必然的に宿泊地を十分吟味する必要があります。

大阪屋は古民家を改装したゲストハウスで、まるでタイムスリップをしたような、ゆっくりとした時の流れを味わうことができます。

ただし赤沢宿自体に食事ができるお店が少ないため、予めセルバみのぶ店などで食材を購入してから訪問することをおすすめします。通常のゲストハウス同様に調理器具は一式揃っているので、調理に関しては問題ありません。

赤沢宿での散策を済ませた後、大阪屋でゆっくり休むことにしました。

大阪屋での宿泊は個室+布団というスタイルなので非常にゆったりとくつろぐことができました。通常のゲストハウスだとドミトリーでの利用がほとんどで、プライバシーも何もあったものではないからです。個室スタイルなのでその分料金はちょっとお高め。

あと各部屋にファンヒーターがあるので、冬場の利用も安心。

意外なことに、この日はゆるキャン△の舞台訪問目的と思われる人も数名宿泊していました。ゆるキャン△効果すごいな。

奈良田湖への極寒ライド

2日目は自分の巡航速度を考えると時間にあまり余裕が無いため、早朝に出発することにしました。

大阪屋には玄関に鍵がないので、自由な時間に出入りすることができます。つまりチェックアウトの時間はいくらでも早くできるということ。

それでも日が昇る前から行動するのは気がひけたため、周りが少し明るくなってくる7時頃に出発しました。

赤沢宿から奈良田湖への道のりは、一言で言うとひたすら上り。下る箇所はほんの数箇所、数十mほどで、あとは全部上りです。

道そのものも山間にあるので、時間の割に気温がなかなか上がらず、かなり寒い思いをしました。具体的な数字でいうとおよそ1℃~3℃くらいの中、ひたすら自転車を漕ぐという形です。

自転車を漕いでいるので身体の中心部分は確かにそこそこ温まっているものの、問題は末端部。手と足の指先が次第に凍えてきました。一応秋冬用の靴下と手袋を装着してはいたのですが、これは追加で完全冬用のものを買わないといけない…。

30kmほど走って奈良田湖に到着。

気温は2℃くらい。さっむ。

日が当たるところとそうでないところで気温に差がありすぎる。

散策もそこそこに、まずは身体を温めないと話にならないので奈良田の里温泉に入ります。たまたま奈良田湖に到着した時間と、温泉が開く時間のタイムラグがそこまでなかったため、寒い中開くのを待つ心配はなかったのが良かった。

奈良田湖については作中のようにエメラルドグリーンの湖を期待したのですが、工事中のため水がなく底が丸見えの状態でした。後で調べたら護岸工事のようです。結構長い期間工事されてるようで、水が戻るのは一体いつになるのか。

温泉を満喫した後は「鍵屋」さんでスイーツを楽しみました。かなりの奥地にあるお店だけあってお客さんもそこまで多くなく、古民家の雰囲気を楽しみながらのカフェタイムとなりました。

ちなみにこの奈良田湖まで走ってきた県道37号をひたすら北上していくと、南アルプスの登山口で有名な広河原や北沢峠に行くことができます。今後行くときは登山装備を背負って、ライドと登山の両方を楽しむのも面白そう。

続いてやってきたのは県道810号沿いにある雨畑湖。

奈良田湖からはさっきまで走ってきた道を引き返し、県道37号から県道810号への分岐を右に曲がって少し上ると到着します。

行きの苦労の分だけ帰りは非常に楽。ボーッとしながら自転車に乗っているだけで進んでくれるので何も苦労するところがありません。

雨畑湖では吊橋を渡ってみたり、リンちゃんと同じようにヴィラ雨畑の温泉に入ってまったりしたりしました。お客さんは自分以外にほんの数名しかいなかったこともあり、奈良田湖以上にのんびりできました。自転車旅の理想的なスタイルだと思います。

通常のバスや電車による移動とは異なり、自転車での自走なので何かのトラブルで走行不能になることもありえるし、それこそ疲労によって移動ペースがガタ落ちすることも十分に考えられます。

ある程度時間に余裕をもって行程を組んでおけば気持ちにも余裕が生まれる。今回は途中でちょっと昼寝をしても大丈夫なように2時間ほど自由時間を作っておきました。

それにしても今回使ってみた38cのタイヤ、これが思った以上に全然転がってくれなくて上りでは辛い思いをしました。

ただ「舗装路がメインなら細いタイヤで十分」かと言われるとそうでもなく、例えば身延~奈良田湖区間は道路状況がひどく、随所に陥没した箇所があったり、落ち葉が敷き詰められていたりしました。そういう場所を走るのなら気持ち太めのタイヤのほうが安心できます。

ただ、38cは少し太すぎたかな。ツーリング目的なら32cとかで十分な気がします。

そこからは1日目に走った道を逆走して身延市街まで戻ってきました。

ゆるキャン△勢御用達のセルバみのぶ店で明日の朝食を買い、今日の宿泊地である下部温泉郷に向かいます。色々買い込んでもいいんですが、いかんせんサドルバッグが小さいので物が全然入りません。このときの状況だとパンを3つ入れるので精一杯でした。

宿に着いて荷物をおろしてから再度コンビニとかまで走るのも面倒なので、これで我慢します。

それにしても布団が気持ちよすぎる。

自走ばっかりで疲れているので余計に心地よく感じる。例えばこれがキャンプライドで、連日テント泊とかだと絶対疲労が回復しないまま走ることになってそうな気がします。いずれキャンプライドもしてみたいと思ってるだけに、ちょっとずつ慣らしていく必要があるようです。(テント泊→宿→テント泊とか)

本栖みちヒルクライム

3日目。

温泉に入ってぐっすり休めたことで体力は全回復。ゆるキャン△7巻のカット回収も、昨日までに予定したところは全て回ることができたので気が楽でした。

今日はまず下部温泉から本栖湖まで本栖みちを上り、あとは富士まで自走して帰るだけとなります。というわけで早速出発。

遠くに見えるのは本栖高校のモデルになった旧下部小学校・中学校。現在は廃校になっています。

ゆるキャン△関連のイベントはここで行われることが多く、11月のはじめには秘密結社ブランケット音楽祭が行われました。

ゆるキャン△の聖地で行われた「本栖高校学園祭 秘密結社ブランケット音楽祭」@motosu_high_fes 、夕陽を浴びながら演奏する皆さんが素敵で、写真係も楽しく撮影できました。締めはED「ふゆびより」を佐々木恵梨さんが歌いながらのキャンプファイヤー。お客さんも暖かい気分になったんじゃないかな。 pic.twitter.com/OUcdnpsewB

— 鹿野貴司 (@ShikanoTakashi) 2018年11月3日

参加者の皆様、ボランティアの皆様、関係者の皆様、本栖高校学園祭にお越しいただき、本当にありがとうございました!
心より感謝申し上げます。また皆様にお会い出来ますこと楽しみにしております!また身延町に遊びに来て下さいね!#ゆるキャン #ゆるキャンΔ#秘密結社ブランケット音楽祭 pic.twitter.com/kNYzn5bAri

— 本栖高校学園祭実行委員会(公式)秘密結社ブランケット音楽祭 (@motosu_high_fes) 2018年11月5日

そしてそして、今年のクリスマスにはここでクリキャン△が開催されるそうです。

詳細は公式から後日発表とのこと。ゆるキャン△のイベントにはまだ一回も行けていないので是非参加してみたいところです。

本栖みちヒルクライムについてちょっと書きたいと思います。

本栖みち自体は九十九折が始まるまではそこまで傾斜がきつくなく、そこから先がかなり脚にくる上りとなります。

注意しないといけないのが自動車。この道は普通に交通量が多く、九十九折付近ではお互いを視認しづらいため事故に気をつける必要があります。

斜度に関してはそこまで高くなく、8~10%くらいという感じです。個人的には寒霞渓南ルートと同じくらい。ただ今回の場合は荷物が重い上、タイヤが太いので寒霞渓より1.5倍ほど疲れました。

朝方の滅茶苦茶寒い時間帯というのに汗が出まくって風邪を引きそうになるし、ペース配分にはもっと気を使うべきだなと…。

自分で走ってみて気づきましたが、リンちゃんやなでしこの脚力は異常です。

ただでさえ斜度が厳しいのに、ミニベロで、しかもキャンプ道具を満載してあの坂を上り切るとか…。なでしこは中学生のときに、夏休みに毎日浜名湖を自転車で一周していたので体力がある設定はまだ分からなくもないのですが、リンちゃんはどうなってんの。

こんなに厚着してたら汗ダラッダラになりそう。

実際、私は途中から暑すぎてインナー+サイクルジャージだけで走ってました。

ひたすら上りに上って本栖湖に到着。

想像よりも混雑はしていたものの、滅茶苦茶混んでいるというわけではなかったです。

これは対岸から撮った写真で、テントサイトを見ても空きがあります。3連休最後の日なので、今日キャンプをする人はやはり少ないようです。

それにしても天気が良すぎる。

まさか3日連続でこれほど天気がいいとは思ってませんでした。何より富士山がちゃんと見えるというのがかなり嬉しいです。せっかく辛い思いをしながらヒルクライムをしてきたのに、ガスってて富士山が見えないとなれば達成感も半減しちゃうし。

今日はキャンプをしに来たわけではないので当然ながらキャンプ場内に入るということはせず、受付周辺を散策したり、展望スペースで富士山を眺めたりしてました。

その後は本栖湖を後にし、道の駅朝霧高原やまかいの牧場を散策。本栖湖から南に向かう場合はすべて下り坂となり、左手に富士山を眺めながらのライドが楽しめます。スピードの出しすぎにさえ注意すればこれ以上ないくらい快適。

このルートでは自転車には数台しか会わなかったため、ペースなどを気にすることなく気持ちよく走ることができました。

富士宮まで下ったあとはなでしこが訪れた浅間大社の散策と、しぐれ焼きが有名な伊東さんで夕食をとりました。

浅間大社には駐輪場がなく、警備員っぽい人に聞いても「公園内ならどこでも停めていいよ」と言われるばかりで特に指定場所はないようです。とはいえあまりにも目立ちすぎるのはアレなので端っこのほうに停めました。

浅間大社も例によって人が多いものの雰囲気はよく、さらに今日は結婚式も中でやってたりと賑やかな雰囲気。結局ゆっくりしすぎて、富士山がガスってはっきりと視認できない時間までここで散策してました。

あとは富士駅まで自走して輪行+フェリーで帰宅。

おわりに

なかなか長距離の輪行+自走の旅行になりましたが、天気もよく予定通りの場所を走れたということで大成功だといえます。以前アニメ版の舞台訪問で身延を訪れた際は、まさかいずれ自転車でここを走ることになるなんて夢にも思ってなかったのに。

今回の旅で新幹線輪行、自走+宿泊、さらに冬ライドと、色々経験を積むことができたので今後に活かしたいと思います。

おしまい。


本ブログ、tamaism.com にお越しいただきありがとうございます。主にロードバイク旅の行程や鄙びた旅館への宿泊記録を書いています。「役に立った」と思われましたら、ブックマーク・シェアをしていただければ嬉しいです。

過去に泊まった旅館の記事はこちらからどうぞ。

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • はじめまして。
    楽しく拝見させていただいてます。引き込まれながら読ませていただきました。
    赤沢に泊まられたのですね。私も宿内を散策して回ったのですが、静かで重々しくて独特な空気感に緊張さえ覚えながら回りました。宿泊こそしませんでしたが、ここで泊まれたらいいだろうなあと遠目から眺めていました。早川町もみな走っていて楽しいところばかりで、自分で走ったときを思い出しつつ見させていただきました。
    他にも私も惹かれる場所をたくさん訪ねられていて、共感が多そうです。これからじっくり読ませていただきます!

  • id:nonsugarcafe
    ナガヤマさん
    コメントありがとうございます。
    終わってから思い返してみると、今回のルートはのんびり自転車で走るのが一番楽しめる気がしました。人通りも少なく、ただ自然の中を走って温泉に入って帰るという、個人的に理想の自転車旅ができたと思います。身延周辺はまた走ってみたいですね。

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