昨日の舞鶴ポタは海沿いを走れてもう大満足だったものの、梅雨の真っ只中にあって翌日のこの日も比較的天気がいいということでロードバイクに乗ることにしました。
その場所とは、舞鶴の西方にある丹後半島。
丹後半島は京都府北部の日本海に突き出た半島で、西半分を京丹後市、東半分を伊根町と宮津市が占めています。アクセスとしては自動車による車載が便利ですが、電車についても京丹後鉄道宮豊線が通っているので輪行も可能です。
丹後半島
今回は宮津から輪行でスタート地点に向かうことにしました。
平日のローカル線の雰囲気って、いつもでは味わえない状況になるのが好きだったりします。平日の始発の電車に乗ってくるのは通学中の学生くらいで、あとは年配の方くらい。
休日に電車に乗るといくらかは観光客の姿が見えたりするものの、平日だとほとんど見かけません。そういう意味では現地としては日常的な風景で、自分からしてみたら非日常。そこがいい。
平日に旅するのも積極的にやっていきたいです。
そんな丹後半島ポタの出発点にあるのが、久美浜湾のほとりにある小天橋。
宮津市周辺の風光明媚な場所といえば、日本三景にも数えられる天橋立が有名です。ここ小天橋はその天橋立と同じ湾口砂州で、見た目もかなり似ていることからこの名前がつけられたそうです。
近くに海水浴場もあり、夏場はかなりの人で賑わうことが予想されました。周辺には宿も多いのでここでまったりするのもよさそう。
小天橋の中心にある湊小橋は、ともすれば歩道橋のような独特の形をしています。
ただしその下を通るのは車ではなく船。こんな不思議な光景が初っ端から味わえるのがこのルートの魅力だと思いました。だって人しか通れない橋が湾を跨いで掛かっているなんて、実際に訪れるまで想像もできなかったし。
橋を渡った先にあるのは漁村の静謐な風景そのもの。
平日ということも相まって観光客はおろか住民の姿すらほとんどなく、そんな家々が立ち並ぶ細い路地を自転車で走っているだけで楽しくなってくる。
海のすぐ近くに家がある風景ってやっぱり良いものです。
それだけ波が静かということだし、それだけ生活が海と一体になっているということが如実に感じられる。
しばらく堤防の縁に座ったりなんかして、ゆっくりとした時間の流れを楽しんでいました。
伊根町へ向かう
小天橋を後にして、この後は丹後半島を時計回りに一周していきます。
ルートとしては主に国道178号を通ることになって、この道がほぼほぼ海沿いを走っているのが大変便利でした。海沿いを走っているととにかく眺めが良いので、ちょっと気になる風景などが発見しやすいというメリットがあります。
逆に内陸を走っていると山々に囲まれたりして見通しが悪かったりするし、遠くまで見通せるというのは走ってて精神的に安心できます。
丹後半島の東側と西側では地形が大きく異なっており、東側はほとんどアップダウンがないのに対し、西側はかなりの頻度で坂道が登場します。
海面と道との高低差もそれに従って上下するわけで、つまり視界に入ってくる景色が常に変化するということ。普通に歩いていけるくらいの砂浜が登場したかと思えば、海沿いの崖が見渡せる道に変わったり。
特に良さみが深いのが、波が打ち寄せる様子が刻々と変わっていくのが分かること。すぐ目の前に波があれば迫力も増すし、かなり高い場所から見れば水平線から岸に向かって流れてくるのがスケール感も大きく感じることができます。
何が言いたいのかというと、適度なアップダウンがある地形が風景をさらに素敵なものにしているということ。これだけははっきりしてる。
道の途中途中に観光スポットも多数存在しており、鳴き砂で有名な琴引浜や立岩、屏風岩、丹後松島展望所などなど。
これだけの風景を車のスピードで通り過ぎてしまうのはあまりにももったいないので、自転車の速度域で味わうのがおすすめです。
確かに駐車場があるところもあるけど、逆に言うと車って駐車場以外では停車できないのがネック。ロードバイクなどの場合は比較的自由に駐停車できるのが強みだと感じました。
そんなスポットを巡りつつ、さらに東方面へ向かっていく。
ここらへんになると海面と道の高低差もかなりのものになっています。それをこれ以上無いくらい実感させてくれるのが、経ヶ岬灯台を過ぎたあたりにあるカマヤ海岸。
このWINDING ROAD感がヤバい。
これだけ景色が開けていて気持ちいいのはもちろんのこと、西から東方面に向かうと全て下りなのでスピードに乗った状態のままでここを走ることができる。もう最高すぎる。
伊根の舟屋
カマヤ海岸をダウンヒルしてしばらく海沿いを流し、今回のポタの終着地点までやってきました。
以前からずっと行きたいと思っていた、伊根の舟屋です。
伊根の舟屋とは、簡単に言うとここ伊根地区で伊根湾沿いに立ち並ぶ民家のことをいい、船の収納庫(ガレージ)の上に住居を備えた伝統的建造物を指します。この「舟屋」は伊根湾の海面にせり出して建築されており、1階に船揚場や物置、作業場があり、2階が居室となっています。
民家の1階部分が海に面しているどころか海と一体となっており、ここから船を出し入れするというわけです。
日本中を探してもここでしか見られない建築様式で、しかもそんな舟屋が湾を取り囲むようにずらっと立ち並んでいるものだからもう興奮しっぱなし。
海に接している舟屋は、先ほど述べたように舟のガレージが主な機能です。なので道路を挟んだ向かい側には、住居用の母屋があるのが主流となっているようです。
ただし漁の後に作業をしたり、翌朝の漁に備えたりすることがあるため、舟屋でも居住できるような機能が加わったのが現在の舟屋の姿だそうです。
ちょっと思ったこととしては、伊根の舟屋を訪れる交通手段はロードバイク一択ということ。
周辺はとにかく道が狭く、対向車が来た場合はすれ違いがほぼ不可能な場所が多いです。観光協会としても駐車場に車を停めたあとは、徒歩かレンタルサイクルでの移動を推奨しています。
だったら始めからロードバイクで行けばいいじゃんという思考に至るのは当然という話で、実際に現地を走ってみると確かにそう思います。道の両脇にすぐ民家があるので車の運転は正直おすすめしません。
漁村の雰囲気…良き…。
自分は基本的に静かなところが好きで、特に観光客でごった返しているところは有名スポットであっても行くのをなかなか躊躇ってしまいがちです。ここ伊根の舟屋の雰囲気はまさにその逆をいっており、自転車で訪れて自分のペースで散策するのが非常にしやすい。
町そのものもこじんまりとまとまっているので、歩きでも散策しやすいのもいいところです。
舟屋と舟屋の間の路地からは海が見える。まさにここしかない光景です。
そんな舟屋郡ですが、観光名所として名高いスポットにも関わらず中を見て回ることは一般的にできません。舟屋は今でも現役で使われており、いわば普通の民家なのであれこれ勝手に見て回ることは不可能です。
伊根町観光協会 | 海の京都・舟屋の里 伊根町の良いとこをお届け
観光協会のHPでも、
伊根の舟屋は、名所旧跡ではありません。舟屋は漁師や住民の生活の場です。今なお、舟屋を活用して暮らす人々の生活があるからこそ、普遍的で魅力的に存在し続けています。 この魅力的な舟屋、舟屋を活用して暮らす人々の生活の一部を肌で感じていただき、観光地ではない生活感を体感していただけると幸いです。根の舟屋は個人の所有物であり、舟屋や母屋はもちろん、その敷地も個人の所有ですので、所有者の許可なく無断に侵入することはできません。
と書かれています。
ただ、ごく一部の舟屋に限っては見学が可能なので今回はそのうちの一つを訪れてみました。
この風景のインパクトが半端ない。
入り口を入って突如として現れる漁船。それを取り囲むように様々な道具類が壁にかけられています。※自転車は許可をとって入れさせてもらいました。ありがとうございます。
本当にもう船のガレージそのもので、なんというか秘密基地感があって興奮する。
木造というだけでも素敵なのに、これだけ海と密接に繋がっている生活をされているということを感じられるのがGood。
舟屋郡を訪れた際はぜひとも中を見学することをおすすめします。ガイドツアーなどもあって興味深いお話を聞けるはず。
お昼は観光案内所の2階にある「舟屋食堂」にて海鮮丼をいただきました。食堂の窓からは舟屋が一望できるほど眺めがいいです。
ここのランチメニューは海鮮丼やお刺身定食など、伊根湾や近海の新鮮な海の幸を使ったものが中心です。今回注文した海鮮丼にはご覧の通り新鮮な魚介がたっぷり。ネタは季節ごとに変わり、その時期旬の魚が7~8種類ほど乗るそうです。
今日はひたすら海沿いに焦点を合わせて走ってきて、これだけの風景を楽しむことができ、最後は海鮮丼で優勝する。平日の過ごし方としては申し分ない。
以上で今回のポタは終了。
今日見てきた風景を思い出しつつ、宮津まで自転車を走らせました。
おわりに
京都の海沿いにこれだけ風光明媚な場所があるなんて初めて知ったけど、実際に訪れてみてこれは何度でも走りたいと心から思えるほど癒やされるところでした。
そこそこ多いアップダウンも、景色を彩るように思えてきて全く苦になりません。自宅からも割と簡単に行ける場所にあるし、これから暑くなる季節には涼みに訪れるのも良さそうです。
おしまい。
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