今回は、いつもだったら寄らないようなところを散策してみました。
舞台は岐阜県下呂市の飛騨金山。下呂市というととにかく下呂温泉のイメージが強すぎて、飛騨金山は明確な目的がないと立ち寄らない人が多いイメージがあります。そもそも地名を知らない人も多そう。
飛騨金山は下呂市中心部から南へ30kmほど行ったところにある町で、かつては飛騨街道の金山宿として栄えた地。今でもその古い町並みが残っていて、散策するにはもってこいの場所です。
路地裏を満喫する
飛騨金山を訪れた理由は、この地の最大の特徴でもある「筋骨」を歩いてみること。
筋骨とはこの地方の言葉で複雑に絡み合った細い路地のことをいい、その名の通り筋や骨のように網の目状に走っている道。かつては国が管理していた道(つまり公道)でもあったとのことで、そんなところをぶらぶら散策してみようというのが今回の趣旨。自分はそういう路地裏の雰囲気がすごく好きなこともあって、観光地なんかでは表通りよりも裏通りを歩くほうが好きだったりするので楽しみ以外の何物でもない。
例を挙げると、以前訪問した渋温泉がまさにそれでした。人気のない狭い道を歩いていると心が落ち着いてくる。
というわけで早速出発。
!?
初っ端からヤバい雰囲気になってるけど、これは民家の敷地ではなくて立派な公道です。
金山町の筋骨はかつては国が所有する道だったものということはすでに述べた通りで、金山町は2004年に下呂市と合併し、その際に筋骨は下呂市の所有となりました。つまり正確に言うなら市道ということになり、私道ではありません。
家と家の間を縫うように走っているので、普通に考えたらどう見ても私道ではないのか?と勘違いしてしまいそうになる。
筋骨の一部については身をかがめないと通れなかったり、道の左右には石垣やパイプ、さらには家々の勝手口がいきなり登場してくる。
こんな風に、集落の裏の顔とも言うべき風景が手軽に楽しめるのは実に良い。どこも普通に散策しているだけでは出会えないような道だし、この道を堂々を通っていいという事実が散策をさらに充実したものにしてくれる。
次は、筋骨から表通りである旧飛騨街道へ移動してみます。
ここは昭和63年まで実際に営業していた銭湯の建物。
男湯の方には今でも入ることができて、番台や脱衣所、木製ロッカー、タイル張りの浴槽、当時の料金表など、当時のままの状態が保存されていました。規模は決して大きくはないものの、この一角だけ時が止まったように外界から切り取られているような気さえしてくる。
自分はこんな感じで、番台を境にして男湯と女湯に分かれている銭湯が本当に好き。今ではなかなかお目にかかれないけど、旅先でたまに遭遇したりするとかなり嬉しいです。
ここからはあてもなく飛騨金山の町並みをただ気になる方向に歩いてみる。
特に目的があるわけではない。今日は他に用事もないし、時間を忘れて歩き回るにはうってつけだ。
山間に位置する金山の時間の流れは、とてもゆっくりとしている。
山の向こうに隠れていた太陽もようやく本格的に頭上へと移動し、休日の昼間が過ぎ去っていく。通りには地元の人が時折姿を見せるようになって、平穏な日常が続いているという感じ。
都会の喧騒や、観光地の騒がしさもここには無い。ただ町並みを眺めながら歩くという意味では、今回の選択は間違っていなかった。
細い路地裏、飛騨街道、そして遊郭の遺構。
ほんの2時間ほど歩き回っただけでここまで様々な風景に出会えるとは想像していなかった。特に筋骨めぐりについては、路地裏散策が好きな人にとってはたまらないと思います。
おしまい。
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