霊泉寺温泉での宿泊が終わり、朝風呂の余韻が若干残っている中で今日の行程が始まる。
今回は、そのまま上田市の西南に広がる塩田平をポタることにしました。
塩田平は上田盆地を流れる千曲川左岸に位置する河岸段丘で、田園風景が広がる風光明媚な場所。しかもただ長閑なだけというわけではなく、「信州の鎌倉」の名の通り、各地には歴史ある寺社や史跡が残っています。
今日はその中でも自分が好きな神社に焦点をあて、さらに塩田平の西端にある別所温泉でゆっくりしてから帰ろうという形です。
天気が良すぎるので
塩田平は河岸段丘といえども地形的にはほぼ平野部みたいなもので、つまり全方向に見通しがいいです。
はるか東の遠くには浅間山も見えるし、逆方向の西を見渡すと背後には山がそびえている。自分の住んでいる周りにはむしろ山ばっかりなので、ここまで比較的平坦な地形が続いているのは走っていて新鮮味がある。
神社巡り
ここからは早速、神社を目当てに各地を走ってみることにします。
自分が良さそうだなと思った神社は結構各地に散らばっていて、結果的にはそれらを回るだけでもそこそこ走ることになりました。こういう風に明確な目的を持って散策するのも結構良くて、ただ単に風景を見て終わり、という流れにはならないので好きだったりします。
もちろん、何も考えないで展望スポットを巡るのもいいけど、何か目的をもって行動するのも案外いいなと最近思い始めました。
最初に訪れたのは、生きとし生けるもの万物に生命力を与える「生島大神」と、生きとし生けるもの万物に満足を与える「足島大神」の二神が祀られている生島足島神社。
本殿は神池に囲まれた神島の中に建っているという独特なもので、青空に朱色の鳥居が映えていることも含めて非常に存在感がある。
やはり神社はいいね。
身体の熱がスッと引いていくような雰囲気が漂っていて、歴史の古さ…も若干関係していると思うけど、どこか長居してしまいたくなるほど心地良い感じがする。自分が苦手な喧騒もここにはなくて、有名どころなので結構人は多かったものの至って静かだ。
全体的にコンパクトにまとまった神社ながらお参りする人は絶えず、地元にはなくてはならない存在だということを強く感じた。
次の神社に向かう前に、塩田平の一面を載せておきます。
こんな風に手前には田園、奥には山と奥行きを感じられる地形になっていて、ロードバイクで移動するには実にちょうどいい広さ。むしろ車だと目的地に早く着きすぎてしまうような気がして、そういう意味でも今回の移動手段の選択は正解だった。ちなみに、山側に向かうにつれて斜度が3%ほどあります。
大きい道だったら別に車でもいいですが、田園の周りにある細い道路なんかだと小回りが効くロードバイクの方が圧倒的に楽です。平野部ということで目的地の方角も結構わかりやすいし、都度景色を見渡しながら走るにはもってこいの場所じゃないかなと。
続いて訪れたのは、独鈷山沿いの高台にある塩野神社。
平野部のど真ん中に位置していた生島足島神社とは正反対で、その古さを物語るかのように大きく深い森につつまれた場所にあります。
何度も同じことを考えるけど、自然と木造建築の相性の良さは一体何なんだろう。まるで大地の延長線上に建物が違和感なく一体化しているように感じるし、周囲の風景と合わせても「そこに在る」ことに疑念を抱いたことがない。
言い換えれば地域に溶け込むほど長い長い歴史があるわけで、だからこそ自分は神社に惹かれるのかもしれない。一つとして同じような神社ってないし、各地を訪れる度に全く違う心境を楽しめる。
で、写真に示すように神社の前には太鼓橋がかかっていますが、その下には独鈷山の湧き水が川となって流れていて、それがやがて本流の産川、ひいては千曲川と合流して上田を潤しています。
観光として各地を訪れていく中で、川に代表されるような"水の流れ"を目にする機会は多いもの。
でも、それらの源流となっている場所等について思いを馳せることはあまりないと思います。大抵の場合はその一箇所だけちょこっと見て次の場所へ向かうことがほとんだったりして、この水の流れはどこから来て、どこへ行くんだろうとか考えている人は決して多くないはず。
そんな中でふと足を止めてみて、物事を二次元、三次元的に考えてみるのが結構面白い。
さっき述べたような自然現象の移り変わりについてもそうだし、昔ここで何があったのかという風に歴史について想像してみるのもいい。とにかく、今の時代に生きている自分にはあれこれ考察する余地や余裕があると思っていて、目の前のキレイな景色を見て終了というのはなんか味気ない。
それが特に何につながるというわけでもないけど、「その土地ならではの思考」をするのが旅先でのルーティンになっています。もっとも、私は一箇所に立ち止まってのんびりするのが好きなので、自然とそういうことをするようになったというのが正しいのかも。
別所温泉へ
今回の神社巡りは早いけどこれで終了。
あとは塩野神社にほど近い別所温泉でひとっ風呂浴びてから帰ることにします。
別所温泉は信州最古とも言われる温泉地で、上田電鉄別所線の終点である別所温泉駅から山側に向かって温泉街が形成されています。
また、温泉街に近接して安楽寺や常楽寺、北向観音等の神社仏閣もあるため、温泉街の散策と同時に古刹巡りも楽しめちゃいます。さらに、もともと上田市は真田氏ゆかりの地であることに加えて、別所温泉自体が真田幸村の隠し湯としても知られていることから歴史好きな人も多く訪れている様子。「真田丸」の放送当時は相当盛り上がったんじゃないかな。
別所温泉は計3箇所ある共同浴場(外湯)を中心に栄えており、そのうちの一つである大湯を中心とする「大湯地区」と上の写真に示した北向観音周辺の「院内地区」に分かれていますが、相互の距離はかなり近いです(歩いて10分くらい)。
温泉街としては広すぎずちょうどいいくらいなので、宿泊する以外に散策だけするのにもおすすめ。上の写真は人が写らないタイミングで撮ってますが、実際には温泉目当ての温泉客が多かったです。
一通り散策した後に、温泉街の一番奥にある「石湯」に入ることにしました。
ここに選んだ理由は至極単純で、散策コースからは外れているので人が少なかったから。逆にさっき述べた大湯なんかはかなり人が多くて、地元の人も多く訪れている様子です。
泉質は単純硫黄温泉(低張性アルカリ性高温泉)で、源泉温度は51.3℃。弱アルカリ性ということで、いわゆる肌がすべすべになる系のやつです。観光客に比較的女性が多かったのもその関係かもしれません。たぶん。
湯加減はというと、浸かった直後はかなり熱く感じたものの、じっくり入っているうちにちょうどよくなりました。
昨日、そして今朝に引き続いて温泉に入っている自分。外の気温は16°くらいあってそろそろ積極的に温泉に入ろうとは思わなくなってくる季節なものの、温泉の気持ちよさ自体は時期を問わず変わらない。やはり温泉はいいものだ。
温泉から上がってさっぱりした時点で時間は昼過ぎ。
どうせなので別所温泉で昼食を取ろうか…と思っていたところ、地元のおばちゃんに自分が持っているカメラのことで話しかけられる私。「大きいカメラ持ってるわね~!」と驚かれたんだけど、言うほどα7lllって大きいんですかね?自分の感覚が麻痺しているのかもしれんが。
あれこれ話すうちに、どこかで昼食を取ろうと思ってるんですが…と聞いてみたところ、なんと良さげなお店を教えていただきました。こういうの本当に助かります。
やっぱりその土地のことは、その土地の方に聞くのがてっとり早い。全然知らない土地で前もって予習できることなんてたかが知れてるし、そういう情報よりはよっぽど信頼できる。自分が男湯から出たタイミングで女湯の方から出てこられてきた方なんで、これも何かの縁だ。
そのお店にやってきました。
信州上田の名物は、言うまでもなくお蕎麦。ここではそのお蕎麦を中心としたメニューが多くて、結局ざるそば(さっぱりしてるので好き)に加えて、肉盛りも頼んじゃいました。
というか、この地元のお店感がすごい。
明らかに観光客向けではない外観、そして内装。実際に地元の人じゃない客は自分くらいで、あとはここを馴染みの店にしているっぽい方ばかりでした。
そんな中に混じって、昼過ぎのテレビニュースを見ながらざるそばをすする。お店の場所も温泉街の入口付近にあって静かなものだし、店内に限ってはもっと平和だ。観光地っぽさよりはその土地の本来の空気を味わいたい自分にとっては、このお店は本当に望み通りのところだった。
さっきのおばちゃんにはもう感謝しかない。ありがとう。
最後は、別所温泉を眼下に望みながら上田を後にしました。
おわりに
長野県は登山趣味で訪れる機会が多いところですが、訪れるのは松本~長野間ばかりで東の方はそれほど訪問経験がありませんでした。
そんな中で決行した今回の訪問は、宿泊はもちろんのこと、散策も楽しいという充実した二日間だったというのが率直な感想。これからも機会を見つけて訪れることになりそうです。
楽しかった!
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