【那覇〜海中道路~伊計島〜浜比嘉島】ロードバイクで五月晴れの沖縄本島を巡ってきた Part 1/3

今回は沖縄県に行ってきました。

実は前回の宮古島ライドのとき、沖縄の「海」の美しさに見惚れてしまい、来年もできたら南国の風景を味わいに行きたいなと漠然と考えてました。でもあのときの訪問は夏も真っ盛りの時期で、正直なところ暑すぎて気候に慣れるまでに時間を要したのも事実。

可能ならばもうちょっと涼しい時期に、ある程度過ごしやすい天気の中をロードバイクで颯爽と走りたい。そう思ってたら、意外にもかなり早いタイミングでその時がやってきた。

もくじ

晴れてるところに行く

沖縄県は一年を通して温暖な気候で過ごしやすく、中でも春は訪れるにもっとも良い時期と聞いたことがあります。もちろん一番のシーズンは夏なんですが、その時期になると台風やら大雨やらが心配になってしまう。かといって春を過ぎると梅雨に入ってしまうし、行くとしたらこのタイミングを逃す手はない。

目指すは沖縄県の那覇空港。今回走るのは、この沖縄本島です。

今回の行程はほぼ前日に決めたようなものである一方で、費用についてはかなり抑えめにしています。具体的に言うと3泊4日の行程で、

  • 航空券→マイレージを使ったので自己負担ゼロ
  • 宿泊費→それぞれ泊まる日の前日に予約した安いところで、3泊分合わせて合計1万円くらい

旅を安く済ませる方法なんていくらでもあるので、今回は自分にあった方式を選びました。特に宿泊については、昔から安い宿に慣れているので特に抵抗はない。こういうときって、高い宿しか泊まったことがない人だと色々大変そう。知らんけど。

なんで今回こんなスタイルにしたのかというと、行程中の天候の変化が不透明だったからです。

この期間の沖縄周辺は全体的に強風が吹き荒れていて、なんかの拍子に雨雲がやってきたりする可能性がなくもないのが怖いところ。それを予防する目的で予め回るポイントだけ決めておいて、宿泊地や行程は前日に決めるといういつもの方針にしました。

その回るポイントについては、下記の通りです。

  • 海中道路
  • 浜比嘉島
  • 古宇利島
  • 備瀬のフクギ並木
  • 万座毛
  • 残波岬灯台
  • 座喜味城跡
  • 首里城

沖縄本島のほぼ全体を均等に回りたかったので、最北部以外の地域から景色が良さげな場所をチョイスしました。

結果的に言うと、ポイントとポイントが適度に離れているこの選択はまさに絶妙だったと思います。車で回るんだったら近すぎるところもあるかもしれないけど、ロードバイクという移動手段だとこれが実に良い感じの距離感。飽きがこないタイミングで目的地に到着するので、走りが全く苦にならない嬉しさがありました。

まずは那覇空港に定刻通り到着し、ささっと輪行解除してスタート。

この湿度の高さと暑さ。春らしからぬ熱気が、あの日の宮古島を思い出させてくる。あのときは宮古島到着と同時に汗が吹き出してきて、たまらず空港内に逃げ帰った記憶があります。

今回もその兆候はすでに身体に現れていて、まだ5月とはいっても本州とはまるで異なる気候に汗が滲んでくる。しかし風の強さがある意味で清涼剤になってて、気温の高さと風による冷やし効果?がなんかバランス良く感じられました。

今回の滞在中、何回飲んだかわからないさんぴん茶

適当に2日後くらいまでの天気や風向きを確認した結果、那覇市から反時計回りに名護市までぐるっと回って、最終日に那覇空港に帰還するルートにしました。少なくとも初日(今日)は強烈な南西の風が吹いているので、空港から北東方向に進むのがベスト。

最初の目的地もそこにあるし、今日の行程はここでようやく確定したという感じ。

海の上を走る

那覇空港からめちゃくちゃ栄えている県庁周辺を素通りし、国道369号を走ってうるま市へ到着。

ここまではかなり交通量が多い国道を中心に走りましたが、驚いたのが意外にも交通マナーが良いことですかね。自分(ロードバイク)を追い越していく際にも危険だと感じることはまったくなく、信号待ちのときもちゃんと距離を取ってくれる。全国各地を走っていくとその土地の交通マナーが強く実感できますが、これについては沖縄は好印象でした。

あとは、ちょっとした坂がめちゃくちゃ多いこと。

斜度は4~5%で1回の獲得標高としては70mとか80mとか、あくまでその程度なんですが坂の数自体がとにかく多い。市街地であろうが町の外れであろうが関係なく坂が頻発するので、個人的にはこれも意外でした。「海岸線に沿って走ればほぼ平坦なのでは」と思ってたのに、アップダウンが連続するとちょっときつい。

なのでこれも個人的な意見になりますが、沖縄を自転車で走るんだったら夏以外がおすすめかなと思います。夏はとにかく暑すぎるので、走るんじゃなくて海で泳いだりしてたほうが良さそう。

そんなことを考えながら走っていたら最初の目的地が見えてきました。

海中道路は視界を遮るものが少なく、沖縄の自然を感じながら走ることができる

それがこの海中道路です。

海中道路はうるま市の与勝半島から平安座島までを結ぶ全長4.75kmの県道10号の名称で、その名の通りまるで海中を走っているかのような爽快感を体験できるところです。

本島と島を結ぶと聞くと橋なのかと思われる人もいるかと思いますが、実はこの海中道路、浅い海域に土手を築いて作られた道なので橋ではありません。

海中道路 | うるま市観光物産協会公式サイト「うるまいろ」

海中道路の特徴は、なんといっても道と海との高低差がほとんどないこと。車が行き交っている道路のすぐそばで、視界の端から橋まで海が広がっている様は圧巻の一言でした。

やはり海という自然界の産物を最大限に楽しむのであれば、人工的な要素があまりないところの方がいい。いくら沖縄の海が綺麗過ぎるとはいっても、その海の向こうに巨大なホテルやらがそびえ立っていると急に現実に引き戻されてしまう。

でも、ここではそういう煩わしい要素がそんなにない。

ロードバイクで進んでも進んでも、ふと横を見れば碧色に染まっている海がすぐ近くに見える。走るのをちょっと中断して、道の脇の石段を下ってみればそこはもう海面の高さ。

潮風に撫でられながら遠くを見つめていると、今回の沖縄訪問が早くも大成功に思えてくるから不思議だ。

ちょっと横を見ればこの景色
爽快感が限界突破している件

海中道路はドライブの聖地とも言われているみたいだけど、やっぱりロードバイクで走るのがおすすめ。

車だと気になった風景があったとしても急に止まれないし、車を置く場所を探すのも苦労してしまう。路上駐車ばっかりになってもアレだし、好きな場所で立ち止まって、しかも邪魔にならないロードバイクの存在は実にありがたい。

ただ、これだけ景色がいい沖縄でロードバイクを見かけたのはほんの数回だけでした。そもそも自転車に乗っている人も少ない様子だし、沖縄は車社会なんでしょうか。

基本的に、沖縄の海はどこへいっても美しいです
ある意味で最果てに位置する伊計島

その後は海中道路を直進して平安座島に到着し、そのまま道を直進して伊計島へ。

伊計島は海中道路を利用して行くことができる平安座島、宮城島、浜比嘉島、伊計島の中でも最も北に位置しており、大部分の観光客にとっては観光ルートから外れているためか、ほとんど人を見かけませんでした。

ここは周囲7kmほどの平坦な小さい島。海に囲まれた内陸部にはサトウキビ畑が広がっています。

周囲には畑仕事をする地元の方のみで、車の音すら聞こえてこないくらいには平和。綺麗な海と広大な畑しかないような場所…といえば若干の秘境感が感じられるものの、観光地としてではない、静かな風景を見られたことに感謝せざるをえない。

良さげな場所は端っこの方にあるとは今自分が考えた特徴なんですけど、これはどこへ行っても結構当てはまる気がします。大抵の場合は端っこの方ってアクセスが悪かったりして訪れる人が少ないので、むしろ自分が好きな要素が溢れている。

店の前の看板で笑ってしまった

伊計島でちょっと買い食いしたいというときに便利なのが、島の入り口付近に位置している伊計島共同売店。

売店の名の通り、飲み物やアイス、ちょっとした惣菜も売っていて休憩に大変便利でした。ここにきて気温も結構上がってきているし、沖縄の気候に慣れるまでは休憩多めで行くのがよさげ。

ちなみに沖縄は比較的各所にコンビニがあるので、ライド中に一休みするのには基本困りません。

でもコンビニにばかり行くのはなんかありきたりすぎる。コンビニの品揃えって全国で代わり映えしないし、自分がいま「旅」をしている感がちょっと薄くなってしまうような気がする。そんな理由で、自分はできる限りその土地にしかないような商店を訪れるように心がけています。

個人経営のお店といっても休憩するには何も困らないし、昔からやっているような商店の雰囲気というか、そういうゆっくりとした時間の流れを実感できるようなところで休みたい。

お店で買った塩飴を舐めつつ、頭が痛くなりながらアイスを食べているとそれを今まさに実行できていることが感じられて、本当に嬉しい。

こんなにゆるい雰囲気にあてられたせいか、ふと残りの行程とか宿のこととかを忘れてここで昼寝したくなってくる。人間を縛っている時間の概念や喧騒がここにはなく、あるのはただ広がる青い海と青空。まさに「時間を忘れる」という言葉が似合う風景だ。

俗世のしがらみとかを一切忘れて、沖縄に移住する人の気持ちがちょっと理解できるような気がする。

浜比嘉島へ

伊計島を後にし、帰りも相変わらず坂と格闘しながら海中道路の起点まで戻ってきた。

行きと同じようにここを通れば本島に戻れるのですが、その前に今日最後のスポットを訪れることにしました。

浜比嘉島から浜比嘉大橋を見る

それがこの浜比嘉島です。

浜比嘉島は先程訪れた伊計島と同じくらいの面積で、琉球の起源の地ともいわれている神聖な場所。島全体が広大ないわゆるパワースポットになっているらしく、手つかずのビーチも残っていて訪れる人は多かったです。

おやつとして「もずくコロッケ」を注文
集落には昔ながらの民家が立ち並ぶ
沖縄の建物の門には例外なく、沖縄に古くから伝わる守り神のシーサーが鎮座してます

浜比嘉島は沖縄の観光地の一つとして有名である一方で、近代化がほとんどされていません。

その影響もあって、島の中ではまるでタイムスリップしたかのような感覚に陥ることがあります。沖縄の家屋についての知識はあまりありませんが、少なくとも目新しいような造りではないような建物が道に沿って続いている。

ただ、沖縄といえば台風ということで、とにかく軒先が強風で煽られないようになっているのは素人目にみても判断できました。具体的に言うと敷地周囲が塀で囲まれている上に軒が低くなっており、さらに屋根瓦を漆喰で固定しています。

今回はそうではなかったけど、今度訪れるときは伝統的な琉球建築の宿で一泊するのもいいかもしれない。そうなると、やっぱり夏頃に沖縄を再訪することになるかも。

宿へ

そんなこんなでひとまず今日の行程は終了したので、来た道を引き返して宿へ向かいました。

市街地ほど坂が多いような気がする…気のせい?
今回泊まった「民宿さざんか」

この日に泊まったのは、うるま市の内陸部に位置する「民宿さざんか」さん。個人的には前日とかに突発的に決める宿は本当に適当に決めるものの、この宿はかなり良かったのでちょっとご紹介したい。

民宿さざんかは素泊まり専門の宿で食事の提供はありませんが、館内は清潔感があり、部屋の作りもきれいで良い時間を過ごせました。ロードバイクを部屋の中に置かせていただいたのもとてもありがたいです。

アメニティも一通り揃っているので手ぶらでもOKだし、すぐそこに大きなスーパーがあるので買い出しも楽々。沖縄本島の中央部に位置しており、また大きな国道から近いのも売りだと思いました。各所に行く際の拠点にもなるし、ここに連泊して遊びに行くという人も多いそうです。

廊下。各部屋の入り口までは土足でOK
階段
部屋の様子。ベッドじゃなくて布団で寝られるというのがいいね

洗濯機と乾燥機。今回の行程中では連日汗だくになったので、洗濯機がある宿は助かります。

部屋に到着して早速持ってきた着替えを着用し、ライド中に汗を吸ったウェアを軒並み洗濯機に放り込んでからシャワーを浴びる。部屋にはエアコンもあって、その心地よい冷気を味わっていると一瞬で眠気が襲ってくる始末でした。

素泊まりということを加味しても、宿泊料はたったの4000円くらい。この値段になると宿というよりはゲストハウスになっちゃうし、この時期の沖縄で、この価格で満足に過ごせる宿は珍しいんじゃなかろうかと思います。あと、個人的には畳に布団というのがかなり良かったです。

ちょっと散歩にでかけた際に見た建物一つとっても、自分が南国に来ているということが分かる

夕食と翌日の朝食は、さっき話したスーパーで適当に済ませました。いくらなんでも状況が状況すぎるし、飲み屋で一杯という気分ではない。

購入したのは、沖縄県に本拠を置くビールメーカー・オリオンビール。あと酔い醒まし用にさんぴん茶(美味しい)を2本ほど。

明日や明後日の行程を思案しつつ、ローカル番組を眺めながらオリオンビールを飲む。決して華やかな夕食とはいきませんが、これはこれでいいものです。というか、自分は地元のものを満喫できればそれでいい。こういう旅の形があってもいいなと改めて感じました。

というわけで、Part 2に続きます。


本ブログ、tamaism.com にお越しいただきありがとうございます。主にロードバイク旅の行程や鄙びた旅館への宿泊記録を書いています。「役に立った」と思われましたら、ブックマーク・シェアをしていただければ嬉しいです。

過去に泊まった旅館の記事はこちらからどうぞ。

  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

もくじ