今回は、高知県四万十市を流れる四万十川に沿ってロードバイクで走ってきた話です。
高知県と言えば「日本最後の清流」として名高い四万十川があり、今年の3月にはそのうちの江川崎駅付近から四万十町までを走る機会がありました。川沿いに走る道に沿って流していくだけでも気持ちがよく、それに四万十町の景観が加わって想い出深かったのを覚えています。
ただ、清流を満喫するのに適しているのはやっぱり夏。当時に「夏に再訪したいです」と書いたとおりに、快晴のときを狙って走ることにしました。
夏の高知
今回のスタート地点は四万十市街。ここから四万十川の上流に向かって走り始め、遭遇した沈下橋周辺の景色を楽しむという感じでいきます。
そういえば国道381号沿いにずっと走っていった前回の際、江川崎駅付近で国道441号に向かう分岐がありました。それまで国道381号に沿って流れていたのは実は広見川という川で、この分岐で四万十川に合流しています。
あの分岐で別れて進んでいれば今自分がいる四万十市街まで繋がっているというわけで、今回は過去に自分が走った道の近くまで行くことになる。
今回訪れる沈下橋は以下のとおりです。
- 岩間沈下橋
- 勝間沈下橋
- 高瀬沈下橋
- 三里沈下橋
- 佐田沈下橋
上から下の順にそれぞれ上流から下流にある沈下橋となっているため、まずは一番上流に位置する岩間沈下橋を目指し、そこから下流のスタート地点まで戻ってくるという行程にしました。
最初に到着したのは岩間沈下橋で、橋のすぐ近くに集落があるのが特徴。架設されたのは昭和41年(1966年)で、全長120m、幅3.5mあります。
橋の近くの高台には小さな茶屋があり、自動販売機のほかに地元の野菜や果実などが売られていました。というか、四万十川沿いには他の地域と比較するとかなりの数の自動販売機があるので、夏であっても水分を多めに持っていく必要はそんなにありません。手軽に休憩するスポットが多いというのは助かるし、だからこそロードバイクで走るのがなおさら楽しいという感じ。
岩間沈下橋に限らず、沈下橋を訪問するのは車ではなく自転車が良いと個人的には思ってます。なぜかというと沈下橋周辺は大抵が路駐禁止になっている上に、沈下橋の上は車一台がようやく通れるくらいの幅しかないから。有名所だと近くに駐車場があったりもしますが、そうでないところはいきなり橋が出現してくるので一時停車するのが困難です。
自転車だとそういう制限は特にないので、好きなところで止まったり休んだりできる。自分みたいに四万十市街からなら距離も大したことはないのでおすすめです。
あとは沈下橋の上にいるときに車がやってきた際、退避しやすいというのも小さいけど利点の一つ。
沈下橋は「橋」の役割の通り、川のこちら側と向こう側を繋ぐのが目的。向こう側にはほぼ確実に集落があって、そこへ出入りする地元の車もそこそこの頻度で通っています。そういうときに橋の袂まで向かいやすいので結構便利かと。
岩間沈下橋の向こう側にはキャンプ場があるので、地元の車以外にも橋の上を通っているのがたまに見えました。
しかし、こんな狭い道の上をよく走れるなと関心してしまう。幅的にはかなりギリギリだし、運転が下手な人だったら脱輪してそのまま橋から落ちそうで怖い。
その次に訪れたのは勝間沈下橋。架設されたのは昭和34年(1959年)で、全長171.4m、幅4.4mあります。
他の沈下橋と比較すると河原が広く、川沿いで何か準備したりするのがやりやすそうな印象を受けました。
他の沈下橋にも言えることだけど、この橋の上から飛び込みたくて仕方ない。
沈下橋自体が橋と川面との高低差がほとんどない上に、橋の欄干が存在しないので橋から川の様子がよく見えるんです。暑さに多少は慣れたとはいえ今は夏の8月、気温は優に30℃をオーバーしているので暑いものは暑い。ここから四万十川に飛び込めたらどんなに気持ちがいいだろうか。
ただこれだけ静かに流れているようにみえる四万十川ですが、遊泳にはかなり危険なようです。どこの沈下橋にも危険を示す看板が立てられていたし、よくよく川を観察してみれば危ないのは確か。でもここから即泳ぎに行けたら最高でしょうね。
ちなみに勝間沈下橋では他の観光客は皆無で、しばらく川面を眺めて過ごしてました。
ここでちょっと雑談。
沈下橋巡りをしていく中では四万十川を下流から上流に、あるいはその逆方向に移動することになりますが、以外にも高低差はあまりありません。川がカーブになっている部分では少し坂道になっているものの、全体的に下流上流とはあまり関係なく道が傾斜しています。
なので、特に散策する方向は気にしなくてもいいかもしれません。どっちの方角を選んでも獲得標高的には大したことはないので。
雑談終わり。
その次に訪れたのは高瀬沈下橋。四万十川で3番目に長い沈下橋が架設されたのは昭和48年(1973年)で、全長は232.3m、幅は3.4mあります。
特徴としては橋脚が鋼の管で製作されているので比較的丈夫なことと、橋の中間に車がすれ違うための待避所が設けてあること。
待避所といっても車同士の場合は気休め程度にしかなりませんが、片方が歩行者の場合はかなり役立ってくれます。
個人的に今回の行程の中でもっとも気に入ったのがこの高瀬沈下橋で、比較的観光客の数も多いように感じました。橋周辺の地形がかなり見通しがよく、上流下流方面を端から端まで見渡すことができます。
その他にも河原まで道が続いているので四万十川そのものへのアクセスが良く、自分が訪問したタイミングでは家族連れが魚を観察したりしてました。
こんな暑さの中でも四万十川の流れは自分に涼をもたらしてくれて、シューズを脱いで川に入ったりしてその冷たさを感じたりもしてました。
橋の下は影になっているので涼むこともできるし、近くで購入したコーラを片手に四万十川をのんびり眺めることもできる。冷たい飲み物と碧い四万十川、それに夏の日差し。すべてが高知県の夏を如実に表していて、これをこの時期に味わうことができたというのが何よりも嬉しい。
沈下橋って、四万十川の雄大さを本当によく感じることができる。
橋と川とを遮っている欄干が全くないので身を乗り出すだけで川の流れが目の前に広がっていて、そこには一種の一体感がある。もう四万十川と沈下橋は対になる存在みたいなもの。これらがセットになることによって、視界内の景色がより夏らしくなる。
飲み物の調達は割と簡単にできるので、行程をちょっと忘れて休憩に没頭するのもいいかもしれません。
その先にある三里沈下橋は昭和38年(1963年)に架設された橋で、全長145.8m、幅は3.3m。
下り坂の先に連続的に沈下橋が繋がっているので導線がよく、駐車スペースはその下り坂に何台分かはあります。河原も広いので、こちらに荷物を置いて泳ぐのもやりやすそう。
ここで初心者マークのコンパクトカーが対岸に行こうとしてましたが、見ていて結構ハラハラしました。比較的小さいサイズのコンパクトカーですら自分はかなり緊張すると思うので、ロードバイクで訪れていてよかったというところです。
もっとも、ロードバイクであっても橋の端っこの方を走っていると何かの弾みで落ちそうになるかもしれないので、走る場合は橋の真ん中がベスト。
こうして見てみると、沈下橋の周辺にあまり人工物がないことが、沈下橋の存在を際立たせる要因の一つになってるんじゃないかなと思います。
一般的な橋だとそもそもが交通量のあるところばかりで、その回りには家屋とかアスファルト舗装の道路などがあって然るべきもの。でも四万十川の場合はそうではなくて、なんというか沈下橋が単独で存在しているかのような感覚を受ける。回りは四万十川を含めて自然ばかりだし、ここだけに人工物があるということがまるで周囲から浮いているような気持ち。
だからこそ、この風景に惹かれる人が多いと思う。沈下橋が高知県に多いという理由のほかに、その周辺の環境も一緒になって沈下橋を押し上げている。
夏に沈下橋を訪れる人が多い理由が、なんか分かったような気がする。
そして、最後に訪れたのは佐田沈下橋。
四万十川の河口からもっとも近い沈下橋で、架設されたのは昭和47年(1972年)、全長は291.6m、幅は4.2mです。
最下流域かつ最長の橋だけあってのそのスケールは大きく、橋の袂に立つと遥か向こうまで続く橋を見ることができました。橋は川の中洲にも繋がっているため、下りることは困難ですが四万十川の大きさを実感するにはもってこいの橋といえるでしょう。河口付近にあるので川幅が広い=橋も長いということになります。
昼食はカツオのたたき
その後は無事にスタート地点まで帰還。
次の目的地に向かう前に昼食をいただこうと思い店を探したところ、近くによさげな店を発見したのでそこへ向かいました。
高知県でランチをとる場合に外せないのがカツオのたたき。高知県といえばカツオのたたきだし、カツオのたたきといえば高知県です。
今回は普通のたたきに加えてカツオのフライも一緒に注文し、いずれもさっぱりとした風味を味わいながらの昼食となりました。
特にカツオのフライについては初めて食べたのですが、揚げ物独特の重さがまるで感じられないくらいに食べやすいです。これに白米を合わせるともう答えられないくらいに美味しく、たたきもプラスされて一瞬で白米が消費されてしまう。
カツオのたたきについては薬味のほかに「塩」がとにかく合いすぎて、これからもう塩一筋で食べることを決めるくらいには美味しかった。
とにかく、高知県を訪れた際にはカツオを食べるのを忘れてはならないということ。海沿いや四万十川の景色も相まって、忘れられないほど充実した時間が過ごせること間違いなしです。
おしまい。
コメント