【岡谷~上諏訪~飯田】「御神渡り」ロードバイクで結氷した諏訪湖を見に行ってきた

今回ロードバイクで走ってきたのは、長野県諏訪市にある諏訪湖です。

冬の長野県、それも標高759mと高所にある湖なので想像するだけでも寒くなってくる過酷な環境。なぜそんなところに行ってきたのかというと、今年は2018年以降の4年ぶりとなる御神渡りが見えるかも?とニュースになっていたからでした。

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極寒の諏訪湖

御神渡りというのは、めちゃくちゃ寒い日がずっと続いたときに諏訪湖の湖面上に張った氷の亀裂が高くせり上がる現象のこと。まるで何かが通った道筋のように見えることから、神様が通った跡との言い伝えもあるくらいです。

御神渡りは氷の厚さが一定以上になって夜間と昼間の寒暖差で膨張することで発生するため、前提として諏訪湖が全面凍結している必要があるそうです。さらに風が少なくて氷が成長する環境が整っている必要があるなど、いくつもの条件をクリアしないと見ることができない神秘的なものなのでした。

近年では地球温暖化の影響なのかそこまで気温が下がらず、御神渡りを拝めないまま春になってしまう「明けの海」状態が続いていました。しかし今年は寒気が激しいのでもしかしたら…と期待していた中で件のニュースを見たので、気になって仕方がなかったので寒い中走ってきました。

結論としては御神渡りはまだ見れませんでしたが、予想以上に迫力のある景色を見れたので大満足です。

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輪行で岡谷駅へ
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岡谷駅(気温マイナス6℃)

出発地点は諏訪湖から天竜川沿いにずっと南へ下ったところにある飯田にとり、まずは輪行で岡谷まで向かってから諏訪湖沿いを散策、その後ゆるゆると走って飯田まで戻ってくるというプランにしています。

飯田から走っていってもよかったのですが、この日の最低気温がマイナス10℃と無茶な気温だったのでやめました。単純に道の凍結が怖いし、この気温の中走るのは虚無になりそうだったし。なお実際に駅に向かう途中であまりの寒さに絶望しました。

岡谷に着いてからも寒さは多少マシになった程度で、時刻はもう9:30なのに気温はマイナス6℃。まあ今日の最高気温は2℃なので、単純に考えれば冷蔵庫の中の方が暖かいレベルですね。

というわけで輪行解除して出発。

圧巻の氷塊

諏訪湖の外周は約16kmで、ロードバイクじゃなくても気軽に一周できる程度の距離です。

今回は時計回りであてもなくぶらぶらするという方針にし、お腹が空いたらご飯にするか…程度のポタリングスタイルで行きました。いつものように宿泊する行程じゃないし、日の入りまでに飯田まで戻ってくれば問題ない。

というか、じっとしているとあっという間に身体が冷えてくるのでとにかく走り出したかった。こんな極限状況で立ち止まってじっくり景色を眺めるなんてできるわけ…

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いきなりこの景色
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!!!

いや、走り出していきなりこんな景色に出会ってしまったのだから止まらないのはさすがに無理。この眺めを前にして素通りなんてできるわけない。これは…ちょっと凄すぎる。

目の前にある諏訪湖はただ単純に水が凍っているわけではなくて、凍った湖面の上にさらに雪が積もっています。なんかもうどこまでが積雪で、どこまでが氷なのか分からないくらいに両者が一体化している。雪のおかげで湖面は一面の白世界になっていて、そのすぐ上には雲ひとつない快晴の青空。

これを見た瞬間に寒さは全く気にならなくなってしまった。冬にこんな天気いいことってあるの?

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凍りついた湖面
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凍っていないところには鳥が

諏訪湖を訪れるのは今回が初めてではなくて、その巨大さはすでに理解しているつもりではいた。外周を走る以外にも高速の諏訪湖SAからでも一望でき、やっぱりこの広さこそ"湖"だよな、とか感動したのを覚えている。

その貯水量も当然ながらとてつもなく膨大で、この湖が全面凍結するなんてにわかには信じられなかったけど…こうしてその実物を目の前にすると、なんだか非現実的な感じにも思えてくる。冬の諏訪湖ってこんなにも寒かったんだなって。

なお、諏訪湖にそそぐ河川の部分なんかは底が浅いので特にガチガチに凍っていて、凍ってない部分には鳥がいたりします。

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そして、諏訪湖の外周沿いにしばらく走ったところで出会ったのがこちら。

今回寒いなか走ってよかったというのがまさにこのことで、諏訪湖岸に押し寄せている分厚い氷塊を見れたことでした。風が強いと湖面が波打つので氷の成長という意味では望ましくないですが、ある程度育った氷が打ち上がってくるので迫力が凄い。「氷が張っている」とかのレベルでなくて完全にになってます。

この場所だと厚みは5cmくらいもあり、それが無数に積み重なっている。大きさといい厚さといい、なんか瓦みたいな感じがしました。

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ちなみにこの氷、厚みを見ると上に乗れそうですが危ないのでやめたほうがいいです。

この日の翌日には氷の上に乗る人が多いとニュースになってましたが、氷の厚さは均一ではないので割れる危険が大きい。現に「氷上への立ち入りは大変危険です」との看板も見れられました。

で、そんな氷塊が流れ着いている光景は主に諏訪湖の東側(下諏訪町~諏訪市湖岸通り)の随所に見られ、東に向かっていくに従って氷塊の大きさは徐々に大きくなっていっている様子。

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場所でいうと「市民いこいの広場」から北へ200mほど行ったところ
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このあたりの氷塊が一番巨大だった。ロードバイクと比較するとその大きさが分かるはず。

その極地とも言えるのがこちらの風景で、私が訪問する数日前にはニュースにもなっていたところです。

先程見た氷塊も自分の想像を超えるものだったけど、ここのは更にその上をいっていた。氷の厚さは軽く10cm以上あり、一つ一つの氷塊がまるで石版のような大きさをしている。ヤバい。(語彙力)

こんなデカさの氷を今までに見たことがないし、氷ってここまで成長するものなのか…?と頭の中が?マークだらけになってしまう。何度も言うけど、諏訪湖の環境は自分が思っている以上に極限なものだった。

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氷塊はかなり広範囲に渡って押し寄せているのが分かる。
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積み重なった氷塊の全高はロードバイクよりも高い。
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装着していたロードバイクのフロントライト(全長116mm)と比較。

氷の大きさもさることながら、やっぱりこの青空との対比が素敵すぎると思う。

空だけ見るとまさか冬だとはなかなか信じられない中、目の前には雪と氷の世界がどこまでも続いている。例えばこれが曇り空だったらああなんか冬っぽいなと思うだろうけど、快晴というのが冬っぽくなくて不思議だ。

冬なので空気中には余計なものが少なくて他の季節以上に澄み切っている感が強く、青空の青色が氷の白色を際立たせているような気さえしてくる。今日出かけたときにはここまでいい天気だとは思っていなかっただけに、諏訪湖で出会った風景の感動が何倍増しにもなって嬉しい。

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散歩をしている人が多い

この場所に限らず、今日は諏訪湖のどこを走っても人が多かったです。

もともと諏訪湖の外周はランニングコースが整備されていて走る人が多いけど、快晴+諏訪湖が凍っている状況のためか地元の方も多く訪れている印象でした。

立石公園からの昼食

ここでちょっと諏訪湖の外周を走るのは湖岸通りの片倉館近くで一旦中断し、気分転換も兼ねて湖の北東にある立石公園に向かいました。立石公園は諏訪湖を一望できるスポットの中ではもっとも有名だと思われる場所で、季節を問わず多くの観光客が訪れることで知られています。

個人的には、諏訪湖を訪れたら必ずここもセットで行ってみてほしい。諏訪湖からの高低差はありますが、水平距離的には短いので徒歩でも問題なくアクセスできます。

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立石公園までは短距離で高低差をかせぐ道になっていて身体が暖まる

その立石公園からの絶景がこちら。

眼下に広がる凍った諏訪湖、その向こうに広がる岡谷の町並み、さらにその向こうに見える北アルプスの山々。極めつけは何度も繰り返している快晴で、どこを見ても雲ひとつない青空が眩しい。パーフェクトな景色だ。

いやー…天気が良すぎるせいで、ただでさえ眺めがいいこの場所からの感動が2倍、3倍にも増して感じられる。やっぱり景色は遠近両方で楽しむとより一層感動が増幅される感じがしていて、上から眺めるとまた印象が異なるのが不思議。

近距離だととんでもない厚さの氷が岸に打ち寄せる様が楽しめるし、こうして遠距離からだと諏訪湖の大部分を氷が覆っている様が見え、結氷のスケールの大きさを実感できる。これだけ巨大な諏訪湖のほとんどが凍るなんて、自然の力は偉大だと改めて感じた。

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望遠で遠くを覗いてみると、自分がさっきまで走っていたルートが確認できた。

特に氷が多く打ち寄せていた付近は時間とともに見物する人が増加しているようで、本格的に混み始める前に離脱したのが数分前。たぶん今頃は結構渋滞しているだろうなと思いながら遠方から眺めてみるのも結構面白い。後からSNSを見たら案の定諏訪湖の外周は渋滞がひどかったみたいなので、ロードバイクでささっと回れて良かった。

こうして考えてみると、諏訪湖ってちょっと散歩がてらで回るのにちょうどいい広さだと思う。

一周するのにめちゃくちゃロードバイクで走らないといけないわけではないし、実際にランニングで回っている人が多かったのも事実。一周するのにそれほど時間がかからないということは景色の移り変わりが適度にあるということでもあるので、今日の諏訪湖はどんな感じかな、という程度の気軽さで回れるのがいいと思います。

ずっと景色が変わらないところを走るのは途中で飽きるけど、諏訪湖の向こうには富士山も北アルプスも見える。今回は他のロードバイク乗りには出会いませんでしたけど、日課で走ったりするのに向いているところだと感じました。

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立石公園の上の方にある時計塔 展望台
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展望台からの眺め。ちょっとだけ上から見た感じになります。
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諏訪市街方面

景色を眺めるのに夢中になって、身体が冷えてくるのも気にならないほどにぼんやりしてしまっていた。

気を取り直して、飯田へ帰還する前に昼食にしました。

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諏訪市の人気店「まとい食堂」

諏訪市で昼食をとるとなったときにおすすめしたいのが、国道20号からJR中央本線側に入ったところにあるまとい食堂さん。

常に客で混んでいるといっても過言ではないくらいに愛されている人気店で、メニューは定食、丼もの、麺類など様々ですがどれを注文しても満足できます。お値段はリーズナブルなのに量が多く、一回訪れたらリピート間違いなし。

今回は開店から10分後に訪問しましたが、自分が入ってから数分後にはもう満席になっていました。席数はそれほど多くないので、待つのが嫌なら開店すぐを狙うのが一番かなと思います。(営業時間は11:30~14:00、日曜祝日定休)

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大人気メニューの「アベック丼」を注文

注文したのは、まとい食堂の看板メニューであるアベック丼

大盛りのご飯の上にヒレカツが3枚、エビフライが1本乗ったボリュームたっぷりの一品です。ヒレカツの方は甘酸っぱいソースが染み込んでいて肉も柔らかく、3枚もあるにも関わらずペロッといけてしまうほど食べやすい。エビフライもタルタルソースとの絡みがよくて、全体的に揚げ物に胸焼け感が皆無でした。

たぶん次回諏訪を訪れた際にも、ここに立ち寄ることになると確信するくらい満足度が高かったです。心からおすすめ。

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諏訪には銭湯が多い
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氷の上に積もった雪に動物の足跡が。
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満腹になった後は付近を少し散策し、諏訪湖の西側を通って岡谷方面へと向かいました。

諏訪湖周辺の風の向きは基本的に西→東の向きのようで、岡谷市に近い側の岸にはほとんど氷が残ってませんでした。こちら側の氷は風に流されて対岸の方に行ってしまって、それが今日の午前中に見た氷の造形を生んでいるようです。

飯田へ

諏訪湖周辺での散策がとても満足のいくものになったところで、後は出発地点に戻るだけ。

諏訪から飯田までは下り基調で走りやすく、重力の流れに従っていればほぼ自動的に到着するので比較的楽。両側が常に山(中央アルプスと南アルプス)に挟まれている雄大な地形を感じながら飯田を目指しました。

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西側は中央アルプス
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東側は南アルプス

このあたりは山の合間に天竜川が流れており、逆に天竜川からちょっとでも離れると途端に坂が登場してくるという分かりやすい形。

その天竜川も、元を辿ればさっきまで走っていた諏訪湖の釜口水門を源流としていて、そう考えれば今日の行程は水の流れに沿っていて非常に整然としていた。遠く離れた全く関係のない地のように思えて、実はどこかで繋がっている。

風景や観光スポットだけでなく、地形を目的に走ってみるのも面白い。

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本数がとても少ないJR飯田線の電車に遭遇。運がいい。
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最後は夕焼けも眺めつつ、日没までに無事帰ってこれました。

おわりに

この時期のライドは寒いことは寒いけど、そこを乗り越えられるのなら他の季節ではお目にかかれない景色を見ることができる。

今回は結氷した諏訪湖をロードバイクで見に行って、冬ならではの要素が詰まった諏訪湖を見れたのが一番嬉しいです。こうしてブログを書いている最中のニュースを見た限りでは今季も御神渡りは厳しそうという話だけど、いつの日かこの目で見てみたい。

ライド前の数日間で積雪がなく、ロードバイクで走るのに支障がないコンディションになってくれたことも含めてとても素敵な体験になりました。

おしまい。


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