- Part 1:長島ダム~井川~畑薙大吊橋
- Part 2:畑薙大吊橋~畑薙周辺散策~帰還
その他のゆるキャン△関連の記事はこちら。
今年の冬もゆるキャン△シーズンがやってきました。
この記事を書いている時点ではゆるキャン△原作はついに11巻が発売され、アニメについても二期が始まりました。去年とは比較にならないくらい寒い日が続いていますが、この大好きな作品のおかげでしばらくは退屈せずに過ごせそうです。
奥大井を再訪する
今回の舞台は、静岡県の奥大井と呼ばれる一帯。
ここを訪れるのは実に約一年ぶりになりますが、実は当時もゆるキャン△関連で奥大井をロードバイク同伴で訪れていました。理由は言うまでもなく、10巻で登場する地獄のデスロードの舞台訪問ライドをやりたかったからです。
このときは「どうせ11巻で再訪するから」という理由で折り返し地点を井川ダムに決めており、その先の地域についてはあえて訪問しませんでした。上の訪問記事でも書いているけど、いっぺんに回ってしまうと次回の楽しみが薄れてしまう。
今回は作中でリンと綾乃が訪問した畑薙大吊橋をロードバイクで目指してみることにしました。二人は原付で向かったにも関わらず満身創痍だったわけで、そこをロードバイクで走った場合自分は果たしてどういう感想を抱くのか気になって仕方ないです。
というわけで早速出発。
井川を抜けて畑薙へ
行程については、まず車載で長島ダム(なでしこがアプト式列車を下車して訪問したダム)に向かい、ここから畑薙大吊橋までピストンするコースに決めました。
リンと綾乃は最終的に長島ダムにほど近いアプトいちしろキャンプ場に到着したため、ここをスタート/ゴール地点にすれば、作中の雰囲気をより楽しめそうな気がしたからです。
実は、この日の前日も含めて11巻に登場するカット回収を並行して行っており、ロードバイクで走るこの日は奥大井に前泊していました。
自分は漫画作品を逐一追いかけるようなことはしないことにしていたのですが、ゆるキャン△については別。ゆるキャン△が芳文社の漫画配信サイト「COMIC FUZ」に移籍してからは、ふと気がつけば最近の動向をチェックしています。
なので、コミック発売前でも登場する場所については予め把握できるというわけです。上で述べたどうせ11巻で再訪するからというのも、10巻発売時点でリンと綾乃が畑薙を訪問することが分かっていたからこその決断でした。
スタート時間はもっと早く設定することができたものの、この時期の奥大井の道は高確率で凍結しているため朝方に走るのは怖いものがあります。なので、畑薙に到着するのが昼くらいになるように時間設定し、そこから逆算して長島ダムを出発することにしました。まあ、あまり時間を気にしていても楽しめないのでのんびり行こう。
スタート時点では確実に氷点下な気温なことは間違いないと確信できるくらいに冷え込んだものの、一度走り出してしまえばあまり問題になりません。身体に日が当たれば当然温かいし、ロードバイクに乗る=常に運動しているわけなので自然と熱が生まれてきます。そういう意味では、冬場でも楽しめるのがロードバイクのいいところ(ただし雪や凍結はNG)。
まずは、長島ダムからほど近い奥大井湖上駅で景色を楽しみました。当然自分以外に人影はなく、朝日に照らされる接岨湖の絶景を独占状態。前回訪問時も思ったけど、ここまで非日常感を味わえる駅もなかなか無いと思います。
そのまま井川駅や井川ダムをパスし、いよいよ未知のゾーンへ突入です。県道60号(南アルプス公園線)を気持ちよく流して井川の中心部へ。
大井川鐵道井川線はここ井川駅が終着駅となり、したがってここから先は観光チックな雰囲気は幾分鳴りを潜めています。両側に民家が見える以外には、目の前に広がる井川湖、そして視界の両端には山々がそびえ立っている風景しか目に入ってきません。
まさに山村と呼ぶにふさわしい感じがしていて、唯でさえ静かな山間部を走っているだけでも気持ちがいいのに、人々の生活の有り様を見ることができてさらに楽しくなってくる。
自分が旅先でよく考えることの一つに、「ここで生活されている方の日常はどういうものなんだろうか」というものがあります。自分が暮らしている場所周辺だと全くそんなこと考えない一方で、遠くの地を訪れるたびにそんなことばかり頭に浮かんでくる。
例えば、今回はあまり触れていませんが、実は井川に来るだけでも狭い道を走らないといけません。毎日あの道を車で走っているのだろうかとか。正直かなり気になります。
井川湖沿いに点在する集落を繋ぐように走っている県道60号は、徐々に大井川の上流へと向かっていきます。そんな中で立ち寄ったのが、ロードバイクはもちろん軽トラまで通行することができる井川大橋。
大井川というと吊橋が多いことで有名ですが、どれも歩行者が渡ることを前提に設計されているので幅は狭いものが多いです。もちろん吊橋以外にも川には架かっていますが、それはもう吊橋ではなく普通の橋になってしまう。そこへいくと、この井川大橋は立派な「吊橋」でありながらも非常に大きな造りになっています。
自分が訪れたタイミングではいきなり後ろから軽トラがやってきたので端に避けたものの、軽トラサイズがギリギリ通れるくらいの幅だったのでかなり怖い思いをしました。
端に行き過ぎるとなんか落ちそうだし、手すりの位置が相当低いこともあって恐怖感はなかなかのもの。橋の上なので風も強く、いくら比較的大きな吊橋だからといっても怖いものは怖い。
ひとしきり高度感を味わった後、さらに大井川の上流へ。
自分は旅の途中であまり時間を気にしないようにしていますが、今回ばかりは結構先を急いでいます。道中でまったりしすぎていると畑薙大吊橋まで行けるか怪しくなってくる上、季節が季節なので日が落ちるのも早い。なので、あれこれじっくり散策するのは復路でやることにしました。
この辺り(南アルプス井川オートキャンプ場周辺)が大井川流域の最後の集落に相当し、ここから上流の畑薙方面には民家はありません。いわば最後の補給ポイントになるので、飲み物などはしっかりゲットしていくほうがいいです。といっても、キャンプ場があるくらいで商店などはありません。
地獄のデスロード
最後の集落を過ぎると、畑薙までの寂しい区間に入ります。
道幅は一気に狭くなり、たまに登場してくる発電用の施設以外はひたすらに山道しかありません。さらに斜度もきつくなってくるので必然的に標高も徐々に高くなるというわけで、気温も今までよりは低くなります。
ゆるキャン△の作中にもある通り、畑薙までの道すがらには七つのタシロ(田代トンネル)が登場します。
これを順番に通過していくことで、畑薙まであとどれくらいで到着するのかの目安になります。ただし、第7を通過するとすぐに畑薙湖に着くのかというとそうでもなく、第7から畑薙湖までが意外に遠いので心を折られかけました。特にロードバイクの場合は、トンネルの数は目安程度に考えておくのがいいかもしれません。
あと、一見して道が凍結していないように見えたとしても、トンネル内部はほぼ確実に凍結していました。トンネル内部は水が吹き出していたりもするし、しかも常に日が当たらないので凍結が解除されずにずっと残っているという仕組みです。そういうときは焦らず押し歩きした方が安全。無理に走行して転倒したりすると目も当てられません。
メカトラブルについても同様で、常に安全を考慮して走ることをおすすめします。もしどこかが壊れた!という場合であっても電波が入らないので助けは呼べない可能性が高いです。
凍結箇所については、思っていたほど頻繁には現れませんでした。
目で見て分かる箇所なら避けて通れるし、日に当たっている部分はそもそも凍結してません。こういうのは前日の天気が重要だったりするので、晴れが続いているタイミングで訪れるのがベストかなと思います。
再度落石や凍結と戦いながら走行すること数十分…。
「よ゙うや゙くづいだァーっ」
やっと畑薙湖に到着。畑薙第一ダムが視界に入った瞬間、安堵のあまり身体中の力が抜けていったのは言うまでもない。
ただ、道としては非常に走りやすい印象を行けました。少なくとも四国や岐阜の400番台の国道よりは格段に路面が安定しているし、落石が多すぎてパンクする心配もなければ崖から転落する恐れもありません。比較的安心して走ることが可能です。
これや…。
これを見に来た。
美しく緑色に輝く湖面の向こう側には、冠雪した南アルプスが見える。ここまで人力で上ってきた甲斐があるというもの。
畑薙第一ダムは1962年に完成した中空重力式コンクリートダムで、この型式単体のダムとしては堤高が世界一だそうです。単に水力発電用のダムというだけでなく、南アルプス南部最大の登山基地である椹島をはじめ、二軒小屋や沼平、聖岳登山口への中継基点にもなっていることから登山客の訪問も多い場所。
自分もいずれはここから南アルプスを上る予定です。
畑薙第一ダム - 茶臼岳、仁田岳、光岳の登山口情報 Yamakei Online / 山と溪谷社
畑薙大吊橋へ
到着時の畑薙第一ダムは人気が全く無く、これだけ広い敷地の中にまるで自分ひとりしか居ないかのような錯覚を覚えるくらいでした。
それにしても、これだけ奥地の山間部にこんな巨大な施設を造ってしまうあたりに、人間の技術力の素晴らしさを感じてなりません。山奥に突如現れるダムの威風堂々とした姿は、まさに圧巻の一言。
畑薙第一ダムを訪れるまでに大井川流域内だけでも結構な数のダムを見てきたけど、いずれも奥深い自然×巨大なダムという組み合わせが印象に残っています。切り立った谷の地形をうまく利用した結果が見るものを虜にしているような、そんな気がしてくる。
せっかく畑薙湖までやってきたのだから、その先の畑薙大吊橋まで行かないと損というもの。
自分にしては珍しく時間管理がうまくいってくれたおかげでまだ時刻は昼前。時間にはまだ余裕があるし、予定通り畑薙大吊橋に向かいます。
畑薙湖をさらに上流側にしばらく進むとゲートがあり、ここから先は許可車両以外の全車両及びバイクが通行できません。ただし、(自転車は除く)と書かれている通り、自転車については問題なく通ることができます。
これは本当にありがたい。
というのも、ゲートから畑薙大吊橋までは往復で5kmほどあります。普通に徒歩だけで向かうと行って帰ってくるだけで1時間ほどかかってしまうところ、自転車ならばそれよりもずっと早い時間で移動できるという幸せ感。
この間の道路状況について書いておくと、今までの行程と同じようにちゃんと舗装されていたので安心して走れました。
ついに畑薙大吊橋に到着。これがあのデスブリッジなのか…。ワクワクすると同時に恐怖感も増してきた。というわけで、後半は畑薙大吊橋を渡るとこから始まります。
Part 2に続く。
コメント