- Part 1:佐渡島の鄙びた風景
- Part 2:宿で過ごした時間、そして帰路へ
日本海に面する新潟県は東西に広い面積を有しており、観光だけでなく登山的な意味でも以前から注目していた土地です。
ただし新潟県を訪問したことは今までに一度もなく、富山や長野の県境周辺を訪れる度にそういえば新潟って行ったことないんだよなと常々思ってました。
ただ、いつか行きたいねとか行って先送りにしていると未来永劫行かない可能性が高い。なので何かの機会のときに一緒にという考えはやめにして、今回は新潟メインで旅行してきました。
訪れたのは、日本海に浮かぶ佐渡島です。
新潟県行ったことない
個人的には「島」そのものの雰囲気がとても好きで、香川県に住んでいた頃も結構な頻度で瀬戸内海の島々を訪れたりしてました。
島といえば交通手段は船に限られるわけで、電車や車で訪問することができないぶん余計に「遠隔地に来ている」感が強まる気がします。なので自分の知らない土地を訪れる旅という意味では、これ以上ないほど相性がいい(と思ってる)。
新潟県本土から佐渡島に向かう航路は新潟港~両津港と直江津港~小木港の2つあります。
中部地方から行く場合は直江津港の方が近いものの、フェリーの本数やレンタカーの充実具合を考慮すると新潟港から向かうほうが良さげです。
直江津港からだと高速カーフェリーが1日に2便しかありませんが、新潟港発着の場合はカーフェリーとジェットフォイルの2通り(本数も多い)があり、料金体系も豊富にあるので自分にあったものを選べばいいと思います。
今回はカーフェリーの1等船室を選択。
カーフェリーの2等はジャンボフェリー等と同じように雑魚寝スタイルなのに対して、1等はかなりのびのびと使えます。1等にはジュータン席とイス席とあって、ジュータン席は写真のように布団類がセットになっているので快眠できます。
6時の始発便に乗ったこともあり、布団に入るやいなや速攻で眠りに落ちました。1等は全席指定で、料金の方は2等+約¥1,000で購入することができるので、新潟港~両津港の2時間30分を快適に過ごしたい場合は迷わず1等を選ぶのがおすすめ。
両津港に到着した後は、まず最初に予約しておいたレンタカーをゲットしました。
佐渡島は1周が約200kmと広い上に公共交通機関があまりないので、移動は車がないと話になりません。ロードバイクを持ち込んで一周する場合はともかく、今回は旅行がメインなのでレンタカーを使うのが手っ取り早いです。
今回の航路を新潟港~両津港にしたのもこのレンタカーが背景にあって、小木港だとレンタカーを借りられるところがほとんどありません。両津港は佐渡島の玄関口に位置づけられているだけあって選択肢が多く、まあこの航路を使っておくのが色々楽かと。
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佐渡島に着いていきなり¥5,000もらうということが起きてしまったので、おすすめとして以下に書いておきます。
概要だけ書くと、
- 佐渡で1泊以上宿泊する人かつさどまる倶楽部アプリ会員が対象
- 手続きはフェリー乗り場でアプリの画面を見せるだけ
- 佐渡島のあらゆるところで使える¥5,000分のポイントがもらえる
ということで、アプリをインストールして必要事項を記入すればOK。しかもこれなんと1人あたり¥5000。1泊2日で¥5,000ももらえるのは相当にデカイ。これは使わない手はありません。
さらに今回使ったレンタカーも市からの補助で基本料金が半額になったりしてたし、とにかくこのタイミングで佐渡を訪れて正解でした。
二ツ岩大明神
ここからは宿のチェックインの時間まで佐渡島を散策していきます。
先に述べたように佐渡島はかなり広いのですが、こっちにはレンタカーという便利なものがあるので移動は楽そのもの。
最初に訪れたのは、相川下戸村にある二ツ岩大明神というところ。
佐渡島という一大観光名所を訪れたにもかかわらず、最初に来たのが観光マップにも載っていないような神社というのが自分の旅行スタイルを如実に物語っている。
でもこれでいい。有名どころは人が多いし、自分にはこういう雰囲気の場所を歩くのが性に合っている。
二ツ岩大明神は、二ツ岩団三郎という名前の狸を祀っている神社です。
二ツ岩団三郎は佐渡狸の頭領と言われて島内に百以上の部下(諸神)を持っていたという。関の寒戸(さぶと)や赤泊の禅達などと昔は山伏の祈祷所だったらしく安産家内安全消除諸災のご利益があると、参詣者が多い。
狸を祀っているからなのかどうかはわかりませんが、この神社を参拝している途中では自分たち以外の"何か"の気配を感じました。たぶん人間ではない。
神社に着いた途端に雨が止んだのもおそらく偶然ではないのかも。
本堂までの参道には無数の鳥居が並んでおり、さらにそのどれもがかなり老朽化しているのが特徴的。一般的な神社にあるような朱い鳥居はほんの一部でした。
本堂に到着。
本堂では、なにかの災害の影響だと思われる天井付近の崩落が目に付きました。。屋内にまでは貫通していないのが幸いですが、工事用の足場が組まれているものの、特に工事が進んでいる様子はない。
まるでここだけ別次元のような錯覚に陥ってしまう。
本堂はどうやら巨石の脇に建てられているようで、半分屋内で半分屋外のような感じ。この様子から見るに巨石が祀られているのは間違いないようで、狸を巨石になぞらえているのかもしれません。
一通り参拝をしてから入り口に戻ります。
さっきまで雨が降っていた参道はしっとりと濡れていて、そこに立ち並ぶ鳥居の存在感がより強調されていました。当然ながら自分たち以外に人はおらず、あたりに広がるのは静寂のみ。不安になってときどき後ろを振り返ってしまうけどなにもいない。
やっぱり自分はこういう雰囲気の神社が好き。
もちろん規模が大きくて荘厳な神社もいいけど、じっくりと空気感に浸るには人気のない場所のほうが良い。佐渡島での最初の訪問地からこんな感情になれるなんて実に幸先がいいな。
佐渡金山へ
二ツ岩大明神を後にした我々が次に向かったのは、そこからほど近い場所にある佐渡金山。
佐渡金山自体は佐渡で最も有名な場所と言っても過言ではなく、大勢の観光客で賑わっていました。
佐渡金山関連の遺跡は数多く存在していて、全部回っていると時間が全然足りないので、今回はそのうちの道遊坑や道遊の割戸を中心に見学しました。
金山というか炭鉱関連の遺跡を訪問する度に毎回思うこととして、こんな閉塞感しかないようなところで1日中働いていたというのは尊敬してしまう。自分だったら1日くらいで精神がやられそう。
ずっと居れば慣れてしまうものだったりするのかもしれんけど、暗くて狭い空間に長居するだけで健康度がかなり下がりそうです。
佐渡金山全体に広がっている雰囲気は、自分が今までにあまり感じたことのないものでした。
例えば白川郷とか高山といった「ずっと昔から街の歴史は続いていて、今も継続されている」ところはそれ自体が情緒深くて良いものです。
ただ、この佐渡金山のように「かつては賑わっていた場所」を散策するのはまた異なった良さみを感じます。その産業や風土の歴史は過去に途絶えてしまった、という点に魅力を感じるからなのでしょうか。
今となっては資料や○○跡といった遺跡でしか知ることができない場所のみが残っていて、目の前に広がっているのはあくまである程度復元したものであるわけで、想像の余地が広がるのが個人的に好き。
ここで働いていた人はどんな生活を送っていたんだろうかとか考えながら散策するとさらに楽しめる。
その後はせっかくなので、佐渡の名物として宣伝されていたブリカツ丼(その名の通りブリのカツが乗っている)を頂きました。
このブリがまた絶品で、おそらく揚げたてを乗っけているので身がほくほくしてるし、何よりブリが美味い。島だけあって魚介類の旨さは予想していた部分もあるのですが、それを上回る美味しさを感じました。
廃寺かと見間違う寺へ
昼食を食べ終わったところで、矢継ぎ早に次の目的地へ車を走らせます。
お次に訪れたのは、佐渡島のやや中央付近にある清水寺(せいすいじ)。
観光マップにも一応載っていたことから廃寺ではないようですが、建物の倒壊具合などを見るに管理されてはいない寺のようでした。
確か下調べした時点では住職がいると書いてあった気がするが…常駐してはいないというだけかも。
そんなことはさておき、この清水寺の雰囲気はとても好き。
具体的に言うと、正門を入って目の前にある救世殿の迫力がすごい。京都の清水寺を模した舞台があり、周囲の森に完全に溶け込んでいるかのような静寂さが堪りません。
およそ人の手が入っている建物には見られないような朽ち方をしていて、木の上に塗られた塗装が剥げていく様子とか、柱が苔むしていっているのを感じます。放置されてからかなりの年月が経っている様相を見せつつも、完全に崩壊するまでは至っていない。
自然と一体になりつつある予感が強く、これから先どこまで保ってくれるのかは定かではありません。訪れるなら早めのほうがよさげです。
佐渡島に着いてからこれまでに訪れた場所が、いずれもどことなく寂しい雰囲気を感じさせているのに気がついてしまった。
もちろん人が多いところを積極的に訪問していればここまでの孤独感を味わうこともなかったと思うけど、こういう行程もなかなか良いもの。
特定の場所がというよりも、佐渡島全体がノスタルジックな空気感に包まれているといった方が正しい気がする。かつての栄光の名残があちこちに残っていることが理由の一つじゃないかなと思います。
Part 2に続く。
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