- Part 1:蟹田~脇野沢~仏ヶ浦~海峡ライン~大間
- Part 2:大間~風間浦~恐山~むつ
ふらいんぐうぃっち8巻発売おめでとうございます。
ふらいんぐうぃっちは個人的に大好きな作品で、新刊が発売するたびに弘前を訪問してぶらぶらするのが恒例となっています。
今回発売された8巻では弘前を離れ、舞台は下北半島がメインとなるとのこと。コミック派なのでストーリーを逐一追えていないために分かったのが遅れたとしても、こういう場所を知ってしまったのなら興味が湧いてくる。
そこで自転車を活用して、下北半島を回ってみようかなと考えたのがきっかけです。
装備
今回の行程をざっくりと書くと次のような感じ。
- 1日目:蟹田~脇野沢~仏ヶ浦~海峡ライン~大間
- 2日目:大間~風間浦~恐山~むつ
作中に登場する場所を回りながら下北半島を回る行程にしました。
ただ、大間での宿を直前に探し始めたので安くて良さげな物件が見当たらないという事態になり、さてどうするかと悩むこと数分。さらにいろいろ探してみると、大間には無料で使えるキャンプ場があるとのこと。
これはぜひとも利用してみるしかないということで、テント泊装備で走ることにしました。
夏場とはいえ青森の気温はそこまで高くないため、そのことを念頭に置きながら持っていくものを決めました。
APIDURAのサドルバッグとフレームバッグをフル活用しています。
APIDURA Backcountry Saddle Pack 17Lに入れたものは下記の通り:
- シェルター:Six moon designs Lunar Solo
- エマージェンシーシート
- ウインドブレーカー
- 着替え
夜はウインドブレーカーを着た上で、エマージェンシーシートにくるまって寝れば大丈夫という考え。
自分の使っているエマージェンシーシート:SOL ESCAPE PRO Bivvyはかなり冷えを防いでくれる優れものなので持っていきました。シュラフは今回の気温では不要です。
マットレスや枕の類も一切持っていっていません。極限環境で寝るのは登山で慣れているので…。
APIDURA Backcountry Compact Frame Pack 5.3Lに入れたものは下記の通り:
- シェルターのポール
- モバイルバッテリー
- ケーブル類
- 行動食
- ふらいんぐうぃっち8巻←ここ重要
これら2つのバッグに入れるほどのものでもないワイヤーロックなどはタコッシュに入れています。
フレームバッグについては今まで3Lのものを使用していたのですが、TADA車の内三角の大きさにミスマッチなので大きいサイズのものを買い足しました。ご覧の通りジャストフィットの大きさです。
多分日本では売ってないモデルだと思います。自分は公式サイトから直接買いました。
何より、このフレームバッグにコミックがちょうど収まるのがよかった。横にしても縦にしても収まるので便利です。
シュラフや自炊道具を追加するとハンドルバーバッグも必要になってきますが、ハンドリングに影響するのでできるだけ装着したくありませんでした。夏場のライドなら今回の装備で十分かなと思ってます。
初めての飛行機輪行
今回は名古屋空港から青森空港まで飛行機(FDA)で移動します。その際に問題となるのが自転車をどうするのかということ。
電車輪行なら今までに何回もやっているものの、飛行機輪行は今回が初めてとなります。そこで、今回利用したFDAにおける輪行についてちょっと書きたいと思います。
FDAではスポーツ用自転車搭載サービスといって、専用のハードケースを無料で貸し出してくれます。これに自転車を詰めて預けるだけで、簡単に飛行機輪行が可能です。
なお、利用には搭乗3日前までの予約が必要なので注意。
ハードケースの内寸は1000mm×800mm×300mm。予め自分の自転車が収まるか測定して調べましたが、かなりギリギリでした。実際に入れてみると、シートポストを抜かないと収まりませんでした…(ペダルは外さなくても入った)。
※一応、収まりきらなかったら通常の輪行袋のまま預けることも可能です。
飛行機にはこの状態のまま積載されるとのこと(=横倒しにはしない)なので、入れる際はそれを考慮するとよいかも。
流れとしては、
- カウンターで手続きを済ませる
- ハードケースを受け取り、自分で自転車を入れていく。このとき、緩衝材のプチプチは必要な分だけもらうことができます。
- セキュリティチェックを通過する
- 万が一だけど自転車が損傷してもいい?という了承のサインをする
- ドナドナ
となります。朝イチの便に乗ったので他の乗客もそこまで多くなく、自転車を入れるのも結構楽でした。結構目立ってたけど。
あとは飛行機に乗るだけ。
青森空港に到着すると、回転寿司のレーンみたいなアレではなく、係の方が直接ハードケースを持ってきてくれます。
中身を確認して終了。かんたん!
飛行機輪行というと自分でハードケースを準備しないといけなかったり、電車輪行用の輪行袋のまま預けると輸送中にあちこち壊れてしまうのでは…と心配になったりしますが、FDAのハードケースは無料で使うことできる上、特に問題もなさげでした。
これからも活用していきたいと思います。
弘前散策
行程的に、朝イチの便で青森空港に到着したとしても、その日中に脇野沢~大間を走るのはかなり無理がありました。
この日はまず弘前を散策した後に青森市まで移動して前泊し、翌日からライドを開始しました。
弘前に到着してまず向かったのはここ。
8巻の表紙になっている場所です。
場所でいうと大字国吉のあたりで、遠くに岩木山を望むことができる橋の上となっています。弘前駅からだとかなりの距離があるものの、ロードバイクでの移動なのでかなり楽。
それにしても天気が良すぎる。
まるで明日からのライドを祝ってくれているような…そんな爽やかな快晴でした。
その後は青森市に行く電車の時間まで、弘前をのんびりポタリングしていました。
アイス食べたり温泉に入ったりしてたら夕方になったので、適当に散策を切り上げて弘前駅に移動し、さらに青森駅まで輪行で移動。
明日のライド成功を祈願して寝ます…。
始まりは過酷
むくり。
知らない天井だ…そうだ、自分は青森にいるんだった。
青森駅からむつ湾フェリーが発着している蟹田まで輪行で向かいます。
実は今回の行程は、ふらいんぐうぃっち8巻の流れとほぼ同じになるように決めました。つまり脇野沢までむつ湾フェリーで向かい、そこから北上して仏ヶ浦方面へ行きます。そして最後(明日)に向かうのが恐山という形。
8巻が発売されるまでどのような話の流れなのか全くわかっていなかったので、「弘前からフェリーで下北半島に向かう」という情報だけを頼りに行程を決めたのですが、これがうまい具合に作中の流れとハマってくれました。
むつ湾フェリーは予約が可能なので、盆休みで人が多いことを想定して予約しておきました。
ここで驚きの展開になって結構びっくりで、台風の影響で海上の風が強いため第3便以降が欠航になるとのこと。
つまり今回乗る第1便を乗り過ごすと、今日は下北半島には向かうことができないというわけです。
たまたま日程的にこの日にフェリーに乗ることに決めて、ギリギリのところで首の皮一枚つながったというところです。実に運がいい。
フェリー乗るぞ。
今のところは生憎の曇天ですが、このあと晴れます。
自転車は写真のように丁寧にラッシングしてくださるので安心できます。
ていうか意外と自転車勢が多くて驚いてる。
1時間ほど船に揺られて脇野沢港に到着。
航海中は波が高く、座っている席の前方に波がバシャバシャあたって衝撃的でした。
今にも雨が降りそうだと思うでしょ?降らないんだなこれが。
兎にも角にも無事に下北半島に到着できたということで、ここから下北ライドが始まります。
今日の目的地である大間までは70kmほど。大したことがない距離に思えますがここからが地獄の始まりでした。
ヒルクライム多すぎ
まずは最初のチェックポイントである仏ヶ浦まで行くことになります。
ルートしては非常に単純で、国道338号をひたすら北上するだけ。でも走り始めるまでは自分の認識が甘かった。
!?
いやキツイが?
初っ端から峠を越す道を通ることになり、つまりテント泊装備でヒルクライムをやるということ。確かに予習としてGooglemapを見ていたときになんかグネグネした道が多いなとは思ってたけど、こういうことだったのか。
今更感がある一方でここで引き返すわけにもいかないので、ひたすら登ります。装備がまだ軽い方だったのが幸いでした。これでフル装備のスタイルだったら死んでた。
道の状態はというと、意外にもかなり良い方です。
東北の最北端なので整備とかされてなくて陥没地帯だらけなんだろうなと思ってたところ、個人的には走りやすい印象を受けました。弘前市内の道の方が陥没が多いような…。
仏ヶ浦
アップダウンは多いものの走行自体は快適で、台風の影響なのかそこまで交通量も多くありません。
ただ道幅が狭い箇所が結構あるので、対向車が来たときにはビビりました。
登った分だけ下るんだ…と自分に言い聞かせながら走り、ヒルクライム→ダウンヒル→ヒルクライム(ryを繰り返すこと約35km。
ついに仏ヶ浦に到着!
作中だと真琴ちゃん一行は佐井村からの定期観光船で仏ヶ浦に向かっていたものの、脇野沢から順当に北上した場合は最初に仏ヶ浦に到着することになります。
自転車を駐車場に置いて、早速仏ヶ浦に向かいます。
駐車場から仏ヶ浦まではかなり下る(多分100mくらい)ので、行きはいいですが帰りがしんどいかもしれません。実際、観光に訪れているお婆ちゃんなんかは息も絶え絶えに階段を登ってました。
これが嫌な方は佐井村からの定期観光船を利用されるといいです。あっちは海から仏ヶ浦に向かうので上り下りをする必要がありません。
すげー。
仏ヶ浦は作中の描写通り、不思議な地形になっています。
緑色凝灰岩を主とした岩石が、非常に長い間の海蝕を受けた結果形成されたものらしいです(Wikiより)。霊界と重なった場所だからと言われても信じてしまいそうな、不思議な感覚に陥りました。
ちょうど潮が引いている時間帯?なのか、歩いて観光できる場所が多かったです。
と思ったら、先程話に上げた佐井村からの定期観光船がやってきました。
やはりというか、ここを訪れるのはほとんどが定期観光船からの観光客みたいで、それが去っていくと人が一気に減ります。自分としてはのんびり散策ができるので、このアクセス難易度の高さは好きかもしれません。
絶景を見て活力を回復させたところでライドを再開。
ぬいどう食堂
仏ヶ浦を過ぎ、次のチェックポイントは作中で一行が昼食をとった「ぬいどう食堂」です。
仏ヶ浦からだとそんなに距離はないものの、やはり峠を一つ越える必要があるので大変です。
かなり長いダウンヒルを経てぬいどう食堂に到着。
さっき活力を補給したばかりなのにヒルクライムでいきなり活力ゼロになりました。
このあたりで下北半島西部の地形をあらかた把握できた気がします。つまり「民家がある場所以外はヒルクライムをする」ということ。
そこへいくと、ぬいどう食堂はライド的な意味でもオアシス。
ここでの目的は、作中でも触れられていた通りうに丼を食べること。
さぞかし美味しんだろうなあ…と思いながら入店し、店員さんに「うに丼ください」と注文しようとした矢先。
「すみません、今日はうにが採れてないんですよ」
(゜ロ゜)
(゜ロ゜)ェ...?
まじ…?俺のうには…? え…?(膝から崩れ落ちる)
お話を伺うと、毎年お盆の時期はうにを採らないらしいです。時化の影響もあるのかもしれません。
まあ、うに目当てとは言ってもマストではありません。
今回はまぐろ、イカ、いくらがセットになった歌舞伎丼を注文しました。
これが非常に旨い。
今までのライドの疲れが一気に吹っ飛びました。すぐそこが海なんだから新鮮さでいうともう最高ランクなわけで、これに醤油をぶっかけて食べるのがたまらない。ウマウマでした。
店主さんに「佐井村までは結構アップダウンあるよ!」と助言をいただいたところで、佐井村へ向けて出発です。
元気出た!
佐井村へ
佐井村までの道のりは、キツさでいうと今までと変わりありません。上って下ってが連続するだけ。
しかし、明らかに違うのが景色の良さ。
今までは森の中の山道を通ってきたのに対し、ここから先は海岸線を走る道へと変わります。
多少風は強くなるけれども、やはり自分は海を見ながら走るのが好きなようです。
佐井村に到着。
今日走ってて初めて結構な民家の集まりを見た気がします。R338は本当に山道がほとんどだったので、おもわず「民家だ!」と叫んでました。遭難者か何かか?
お店も多いので、ここで補給をおく。
作中で一行が乗っていた佐井村からの定期観光船はこいつです。
タイミングよく停泊しているところに出くわすことができました。今日はこれで最終便のようで、一通り外板を掃除したあとは停泊所に向けて出発していました。本当に運がいい。
大間に到着
佐井村から大間まではアップダウンはほとんどなく、あっという間に着きました。
アップダウンが無い代わりに厄介だったのが風。大間周辺は特に強風が吹く気候のようで、大間に近づくにつれて向かい風が無視できないレベルになりました。
そして天候も段々悪化する一方で、最終的には波なのか小雨なのかよくわからない天気になるという事態に。
そして、本州最北端の地である大間崎に到着!
パワーを感じるオブジェの前で記念撮影。
この頃になるともう暴風といっていいくらいの強風で、まるで台風が来ているかと思うくらい(実際来てるけど)でした。ですがこれくらいの風は、大間では日常茶飯事らしいです…。
今日の宿
最初に述べたとおり、今日はテント泊をします。
その場所は大間崎から歩いて30秒くらいのところにある大間崎テントサイト。
ここが非常にいいテン場だった。
敷地はかなり広い上にトイレ有り、炊事場有りと恵まれた環境で、特にライダーの方々にとって有名な場所のようです。
実際、この日テントサイトを利用している方のほとんどがライダーでした。大間から北海道へ向かうフェリーが出ているのも関係してるっぽい。
自分は強風を避けて炊事棟のすぐ横にテントを張りました。
張っている途中も強風だったのでなかなかに苦労しました。まあ無事に張れたのでよし。
炊事場は完全に一つの建物として独立しており、中でテントを張ったり寝たりすることは禁止されていますが、食事を取るのはOKなようです。
大間といえばマグロ
テントが張れたのであとは寝るだけだけど、その前にやることが一つ。
大間といえばマグロ。マグロといえば大間。ここ大間町で水揚げされたマグロは最高級品で、「大間まぐろ」というブランドネームで、全国に知れ渡っています。
マグロを食べないと今日は終われない。
大間崎周辺はマグロを食べられる場所が非常に多いものの、盆休みで人が多いため早い時間で店じまいをしているところもありました。
そこで混んでなさそうなお店を狙って入ってみることに。
はい美味しい。食べる前からわかる。これは美味しい。間違いない。
口に入れた瞬間に感じる「これが本物のマグロの味なのか…」という思い。一口噛むたびに今日のヒルクライムを思い出し、色々あったけどここまで来れてよかったという感情でいっぱいになりました。ここでマグロを食べることも目的の一つだったので、達成できて感無量です。
マグロ丼の値段は大体どこのお店も同じくらいです。¥2,500~¥3,000くらい。もし一箇所で足りなければ2、3件食べ歩きしてもいいかもしれません。
Part 2に続きます。
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